国民総所得 GNI マクロ経済学(第 1章補足)
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国民総所得 GNI マクロ経済学(第 1章補足)
国民総所得GNI • (定義)国民総所得とは、居住者としての国民が一定期 間(1年、半年、四半期など)におこなった生産活動によ る所得。 • 日本人(企業)が海外でおこなった生産活動からの所得 (海外からの所得)を含む。 →プラスする • 外国人(非居住者)が日本国内でおこなった生産活動か らの所得(海外への所得)は含まない。 →マイナスする • よって、 GNI=GDP+海外からの所得-海外への所得=GNP マクロ経済学(第1章補足) 中村学園大学 吉川卓也 2 国民所得NI • 国民総所得は、国民によって生み出された粗付加価値 の合計を(所得)分配面からとらえたものである。 • しかし、そこに含まれる固定資本減耗分は純粋に新たに 生み出された付加価値とはいえないので、国民総所得 から固定資本減耗を除いた指標が考えられる。 • これを「市場価格表示の国民所得」あるいは国民純生産 NNPという。 • さらに、税金や補助金は生産活動に対する報酬とはいえ ないので、「市場価格表示の国民所得」から(税金-補 助金)を除いた指標がある。 • これを「要素費用表示の国民所得」という。 • 通常、国民所得とは「要素費用表示の国民所得」を指す。 例題(国民所得統計) 国民所得に関する指標について、以下の関係式 のうち間違っているのはどれか。 (1)国内総支出=民間最終消費支出+政府最終 消費支出+総固定資本形成+在庫品増加+輸 出-輸入 (2)国内純生産=雇用者報酬+営業余剰・混合所 得+固定資本減耗+(税金-補助金) (3)国民総所得=国内総生産+海外からの所得- 海外への所得) (4)要素費用表示の国民所得=市場価格表示の 国民所得-(税金-補助金) 3 産出額-中間投入 生産面 分配面 固定資 本減耗 税金- 補助金 支出面 GDE 民間最終消 費支出 営業余剰・混合 所得 政府最終消 費支出 総固定資本形成 雇用者報酬 在庫品 増加 輸出-輸入 海外からの純要素所得 国民所得の諸概念 GDP NDP 国内所得DI 営業余剰・混合 所得 雇用者報酬 国民所得NI NNP GNP 6 4 世界同時不況 pp.25-27 • 日本の景気は2002年1月に「谷」となり、その後 徐々に回復したが、そのスピードは緩やかだった。 • ただし、2007年10月に景気の「山」となるまで5年 9か月に及ぶ拡張期の長さは、戦後最長のいざな ぎ景気を上回るものだった。 • その間、日本の実質GDPは1割以上増加した。 • しかし、2007年夏頃から、アメリカで低所得者層 向けの住宅ローンであるサブプライム・ローンの 焦げ付き(債務不履行)が顕在化した。(サブプラ イム・ローン問題) • その結果、欧米で金融不安が広がった。 7 1 • 日本の実質GDP成長率は、2008年第4四半期に -11.9%、2009年第1四半期にー19.9%(いずれ も年率換算)を記録するなど、第二次世界大戦後 の混乱期を除くと戦後最大の下落となった。 • 各国で実施された経済政策の効果もあって、 2009年春以降、世界景気は最悪期を脱した。 • 2009年第2四半期には、日本の実質GDP成長率 もプラスに転ずるなど、景気は徐々に回復してき た。 • ただし、日本の景気回復は他の先進国と比べて 遅れがちである。 • それまで好況だった世界経済に陰りがみえ始め、 日本経済も2007年秋には景気後退期に入った。 • とりわけ、2008年9月にアメリカの投資銀行(日本 の証券会社にあたる)であるリーマン・ブラザース の破綻が発生すると、欧米の金融機関に対する 信用不安が一気に高まり、世界経済は「百年に 一度」といわれる世界同時不況に突入した。(リー マン・ショック) • 日本では、欧米諸国のように金融機関が深刻な ダメージを被ることはなかったが、世界景気の急 速な悪化によって輸出が大幅に落ち込んだ。 8 9 2