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チカラ アワセテ 福岡県立田川高校 3学年団 山口勝利 山形啓二 同じ理想、異なる手法で 生徒の主体性を育んでいく 主体的に動く体験を通して 生徒に自信を与えたい うならやっちゃろう!﹂と決断できる チームワークがあるから 次の手が素早く打てる 山形先生には、目指すゴールを伝 えるだけで、安心して後を任せられ 業を3年間担当しました。山形くんは、 学旅行などの体験で自分に自信を持て 主体的に動く体験は、進路実現 の面でも大きなプラスです。私も、修 ルは同じだけれど、そこに至るまで いるからでしょう。ただ、 目指すゴー ます。それはきっと私が、山形先生 生徒主体の修学旅行を企画するような ましたし、具体的なビジョンを描き、 のプロセスが同じとは限りません。 と 思 い ま す。 ﹁ 僕 ら は、 先 生 た ち の 手 は、自分に自信を持ちたかったからだ 修学旅行など、いろいろなこと を自分たちの力で動かそうとしたの 形くんが見事に開花してくれました。 仲間に伝える言葉やタイミングが分か クラスの生徒も、自分の思いや考えを せん。学校行事の委員長を務めた私の 生徒にとっては簡単なことではありま 山形 の形の1つとしているから、つまり、 山形先生と私が成功体験を共有して 各々の経験や理念を基に指導するわ けですから、違いがあるのは当然で す。目標は同じだけれど、手法は違 う。でも、お互いに尊敬し、職員室 でもたくさん話し合います。そうし たチームワークがあるからこそ、困 難に直面しても、知恵を出し合い、 歳 すぐに次の手が打てるのです。 福岡県立田川高校 山口勝利 や ま ぐ ち・しょう り 教 職 歴 年。 同 校 に赴任して3年目。3学年主任。国語科。 せい ほう みやこ こ くら ひがし 進 路 指 導 部 所 属。 福 岡 県 立 小 倉 東 高 校、 へ。 青 豊 高 校、 京 都 高 校 な ど を 経 て 田 川 高 校 2 Ap r i l 2 0 15 ような信頼関係を構築するためにも、 日頃から生徒と対話する時間をたくさ ん設けたいと思っています。 スーパー生徒会長で、実際、教師の指 そこに至るプロセスを見通す力も付き を離れてもちゃんと出来ます﹂と、行 ら ず に、 ﹁ 先 生、 ど う し て も う ま く 出 山口 が高校生だった時の生徒たちを理想 示に頼らずに行動する生徒たちを見た ました。そうした力は、目標にどうや 山形 旅先の人から、 ﹁この学校は生徒が先 れば近付けるかという意味で、受験勉 山口 山形先生は、同僚であり、教え 子でもあります。約 年前、国語の授 生を引率しているようだ﹂と言われる 強でも非常に役に立ちました。 の生徒が動けば学年全体が動く。そん なリーダーを生徒の中から育てよう﹂ 動で示したかったのです。 彼が苦しんでいたのは知っていました と話し合っていました。その中で、山 どんなことでも生徒に任せるほ ど時間が掛かりますが、その手間を厭 が、主体性を育むためには、最低限の とはいえ、主体的に動き、リー ダーとして仲間を引っ張るのは、今の うては生徒の成長はありません。最近 言葉掛けにとどめ、とにかく待つこと 山形 は、自己主張が苦手で、自分に自信を にしました。そして、少しの変化を見 逃さずに、褒めるようにしたのです。 28 来ん!﹂と涙を見せたことがあります。 持てない生徒が少なくありません。教 師が背中を押した時、 ﹁先生がそう言 50 主体性の育成を待つ指導と 主体性の発揮を仕掛ける指導 ほ ど で し た。 当 時 の 学 年 団 で は、 ﹁こ 20 01 Vo l . 福岡県立田川高校 ◎「水平線上に突起をつくれ」という校訓は、 「人にはそれぞれ持って生まれた天分があり、その天分を努力 ひ こ さ ん によって生かし、それぞれの分野で有為な人物になれ」と生徒に説く。 「英 彦山耐暑行進」 「寒稽古」など、 がくなん 炎天下や厳寒の中で心身を鍛え、困難を乗り越える強い意志=『嶽南魂』を育む。各学年に『スーパー特進 クラス』を設置し、進路目標をより明確化させた指導を展開する。 ◎設立 1917(大正 6)年 ◎形態 全日制/普通科/共学 ◎生徒数 1学年約 240 人 ◎2014年度入試合格実績(現浪計) 国公立大は、名古屋大、大阪大、広島大、九州大、熊本大、北九州市立大などに 55 人が合格。私立大は、 明治大、早稲田大、同志社大、立命館大、西南学院大、福岡大などに延べ308人が合格。 ◎ URL http://tagawa.fku.ed.jp/ ﹁授業を真面目に え え。 私 も、 聞いとるけど、内心は苦しんどるんだ 山口 生にもお話ししましたよね。 彼が行き詰まっていることは、山口先 らも、生徒の号令で校訓を高唱する、 伝統を受け継ぎ、厳粛に式を進めなが ます。例えば、3学年団の卒業式では、 ど、新しいことに挑む気概を持ってい 徒が自立し、教師の手を離れたことを 生徒主体の場面を盛り込みました。生 生徒の様子を把握しようと、休み時間 晴れの場で見せたかったのです。 ろうなあ﹂と思っていました。そして、 での友達との会話に耳をそばだてて、 手法が違うからこそ 高いチーム力を発揮できる 代の頃、 ﹁自 生徒をより深く理解するために は、教師のチームワークが欠かせま せん。ただ私にも、 分1人で全部できる﹂と思い込み、 抱え込んだ時期がありました。しか 私の理想は、自ら歩き出した生 徒を一番後ろから見守る教師です。 山形 るなら大丈夫だ﹂と安心したものです。 切なのだと改めて思いました。過去の れの教師が持ち味を発揮することが大 して、生徒の成長のためには、それぞ 山形 卒業式での挑戦を知り、山口先 生の熱意と実行力に感動しました。そ ら、型を提示します。でも、生徒に し、それでは何をしているのか周囲 山口 経験に縛られず、探究心を持って行動 自立してほしいという強い思いは同 まずは生徒の気持ちを引き出してか では型を重んじますが、山口先生は と思います。例えば、私は生徒指導 共有しても、同じである必要はない いと気付いたのです。ただ、指導は に理解されず、学校のためにならな 私は、時には働き掛けるのが好 きですね。本校は伝統校でありながら、 する山口先生は、私の目標の1人です。 ﹁このメンバーと、こんな話をしてい アクティブ・ラーニングに取り組むな じです。思いは同じだけれど、手法 は違う。だからこそ、高いチーム力 歳 を発揮できるのだと思います。 福岡県立田川高校 山形啓二 いく とく かん やまがた・けいじ 教職歴7年。同校に赴 任 し て 4 年 目。 3 学 年 担 任。 数 学 科。 進 て田川高校へ。 *プロフィールは 2015 年3月時点のものです 20 路 指 導 部 所 属。 福 岡 県 立 育 徳 館 高 校 を 経 April 2 0 15 3 35