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Transcription
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第 120 回日本耳鼻咽喉科学会福島県地方部会学術講演会 日時:平成 27 年 3 月 29 日(日) 14:30~18:00 場所:福島市・福島ビューホテル 3 階「安達太良Ⅰ」 (TEL 024-531-1111) <一般演題>(14:30~16:30) 第Ⅰ群(14:30~15:00) 座長 仙波 哲雄 1.当科での VEMP 導入経験 ○山内智彦・横山秀二・小川 洋(福島県立医科大学会津医療センター) 当科では本年 1 月より VEMP(前庭誘発筋電図)を導入した。診断・治療に苦慮しているめま い症例に対して、従来の検査法と組み合わせることで質の高い治療・病状説明を目指している。 検査結果の解釈、導入に際しての問題点を含め、当科での経験を報告する。 2.当科における小児の末梢性顔面神経麻痺の検討 ○星 雄二郎・柴﨑仁志・坂井利彦・吉田 剛(竹田綜合病院) 一般に小児顔面神経麻痺の予後は良好とされているが、評価や診断が困難である点、ステロイ ド治療の要否について議論がある点など成人例とは異なった問題点がある。今回我々は、2004 年 1 月から 2014 年 12 月までに当科で加療した 15 歳以下の小児末梢性顔面神経麻痺新鮮例のう ち症状の安定まで、または 1 カ月以上の経過観察が可能であった 26 症例について臨床的に検討 したので報告する。 3.新生児聴覚スクリーニングと小児人工内耳 ○松井隆道(福島県立医科大学)・馬場陽子(ばばクリニック)・ 鈴木雪恵(福島県総合療育センター)・鶴岡美果(星総合病院)・ 野本美香・小野美穂・大槻好史(福島県立医科大学)・ 小川 洋(福島県立医科大学会津医療センター)・大森孝一(福島県立医科大学) 当院での小児人工内耳手術は平成 13 年から開始され、これまで 61 例 68 耳に対して施行され た。一方、新生児聴覚スクリーニングは平成 15 年に福島県の事業として開始されて 10 年あまり が経過し、平成 25 年度のカバー率は 92%になっている。今回、平成 16 年から平成 25 年に当院 にて人工内耳植込術を施行した小児例を対象に新生児聴覚スクリーニングの有無、手術時年齢、 難聴の原因、今後の課題について報告する。 第Ⅱ群(15:00~15:30) 座長 相川 通 4.鼻出血に対し選択的動脈塞栓術を施行し脳梗塞を生じた 1 例 ○菊地大介・川瀬友貴・佐藤 聡・三浦智広・佐藤和則(太田西ノ内病院) 鼻出血は耳鼻咽喉科医にとってしばしば遭遇する疾患であるが、 出血の部位や出血量によって は止血に難渋する。難治性鼻出血に対する止血法に選択的動脈塞栓術がある。今回鼻腔後方から の動脈性出血に対して選択的塞栓術を施行し、 合併症に脳梗塞を生じた症例を経験したため報告 する。選択的塞栓術は鼻出血止血法としては侵襲が少なく有用な治療法ではあるが、脳梗塞の予 防と適応を検討する必要がある。 5.無床診療所で経験した緊急対応を必要とした15症例の検討 ○桑畑直史(まるべりー耳鼻科) 2009 年 9 月に開院してから 5 年 6 ヶ月の間に、当院で救急車での搬入または搬送を要した 15 症例を検討した。救急車で当院に搬入された2例は鼻出血であり、当院から搬送した症例が 14 例あり、7例は耳鼻咽喉科へ、残り 7 例は救急科や循環器科への搬送であった。主訴による内訳 は鼻出血が5例、めまいが5名、呼吸苦が4名、失神1名であった。設備が限られた無床診療所 での対応を振り返り、これからの安全管理策を検討する。 6. 自験鼻副鼻腔悪性腫瘍症例構成の年次推移と対応上の問題点 ○今野昭義・植木雄司・間多祐輔(脳神経疾患研究所附属総合南東北病院) 悪性リンパ腫を除く自験鼻副鼻腔悪性腫瘍の症例構成をⅠ期104例 (1980~1989, 秋田大学) 、 Ⅱ期108例(1990~1999, 千葉大学)、Ⅲ期79例(2003~2014, 総合南東北病院)で比較した。 上 顎洞癌症例数はⅠ,Ⅱ期と比較してⅢ期では約1/2に減少しているのに対して、鼻腔、篩骨洞癌は Ⅲ期で最も多く、全症例に占める鼻腔、篩骨洞癌の頻度は、Ⅰ期15%、Ⅱ期30%、Ⅲ期50%と増 加している。分化型扁平上皮癌が多い上顎洞癌と比較して、鼻腔、篩骨洞癌では組織型が多彩で あり、適切な早期診断と個々の症例に応じた治療法の選択が求められる。 第Ⅲ群(15:30~16:00) 座長 多田 靖宏 7.膿瘍の局在と治療法からみた扁桃周囲膿瘍の臨床的検討 ○松見文晶・清水雅子・鈴木茂憲・鶴岡美果(星総合病院) 平成 25 年 1 月から平成 27 年 1 月まで当科を受診した扁桃周囲膿瘍 47 例を後方視的に検討した。 下極型は喉頭浮腫や深頸部膿瘍合併など重症例が多く、上極型では穿刺と切開で入院期間に差は なかった。下極型に対し即時扁摘を施行しても初診時に頸部に炎症所見がある場合には深頸部膿 瘍に進展しやすく厳重な対応が必要であり、膿瘍腔が小さい場合は保存的治療でも対応できる可 能性が示唆された。 8.救急患者に対する抜管後の嚥下機能スクリーニング ○鈴木政博・松塚 崇・谷 亜希子・大槻好史・池田雅一・鈴木 亮・柳川明弘・大森孝一 (福島県立医科大学) 救急患者において救命のために挿管管理がしばしば行われるが、 この管理により嚥下などの機 能障害を来している可能性がある。当院では、H26 年 4 月より現在まで、救急科と当科が連携し、 経口挿管により気道管理された救急科の入院症例に対し、 抜管後に反復唾液飲みテストと嚥下内 視鏡検査を行った。これらの検査と年齢や挿管期間などとの関係を検討したので報告する。 9.反回神経麻痺を初発とした胸部腫瘍の 2 例 ○湯田孝之・山辺 習(寿泉堂綜合病院) 初診時に反回神経麻痺を認め、画像検査で胸部腫瘍を認めた症例を 2 例報告する。1 例目は 70 歳男性。CT 検査で胸腔、腹腔内に多発する腫瘍性病変を認め、内科入院となった。リンパ節の 針生検で神経内分泌細胞癌の診断を得たが 3 週間後死亡した。2 例目は 93 歳の女性。CT 検査で 左肺門部に病変を認め内科へ紹介した。高齢のため精査は希望せず経過観察となった。頭頸部領 域外も含めた原因検索と他科との連携が重要と思われた。 第Ⅳ群(16:00~16:30) 座長 鹿野 真人 10.複数回の異物摘出を要した木片異物による頭頸部外傷の 2 例 ○垣野内景・鈴木俊彦・西條 聡・野本美香・松井隆道・松塚 崇・大森孝一(福島県立医科大学) 横山秀二・小川 洋(福島県立医科大学会津医療センター) 木片異物による外傷の 2 例を経験したので報告する。 【症例 1】60 歳男性。作業中に右頸部に 木が刺入した。近医外科で局麻下異物除去行われたが、翌日 CT で異物残存認め当科紹介。全麻 下異物摘出術施行した。 【症例 2】88 歳男性、転倒し右頬部に木が刺入した。患者自身で異物を 抜去したが MRI にて異物残存疑われ受傷 3 ヶ月後に透視下に異物摘出術施行したが、 受傷 9 ヶ月 後に異物残存疑われナビシステム下に再度異物摘出術施行した。 11.気道狭窄を認めた偏在性甲状舌管嚢胞の1例 ○清水雅子・松見文晶・鶴岡美果・鈴木茂憲(星総合病院) 気道狭窄を認め気管切開を要した偏在性甲状舌管嚢胞の一例を経験したので報告する。 症例は 37 歳男性。右顎下部腫脹を主訴に受診され、喉頭ファイバースコピーでは右喉頭蓋谷~梨状窩 に進展する腫瘤を認めた。MRI で 54*38*48mm大の顎下腺背側、胸鎖乳突筋腹側より咽頭腔に進 展する占拠性病変を認めた。局所麻酔下に気管切開術を先行し嚢胞摘出術を施行した。病理診断 は甲状舌管嚢胞であった。 術後 4 か月経過した現在、再発は認めず経過良好である。 12.頭頸部扁平上皮癌における重複癌の検討 ○間多祐輔・植木雄司・今野昭義(脳神経疾患研究所附属総合南東北病院) 2008 年 1 月~2014 年 12 月に当科で治療した頭頸部扁平上皮癌新鮮例 227 例を対象に重複癌の 異時性・同時性、発生部位、転帰について、同時性重複癌については治療内容も検討した。対象 症例のうち、54 例(23.8%)に重複癌を認め、5 例(2.2%)は 3 重癌(異時性 4 例、同時性 1 例)であ った。発生部位は食道が 13 例と最多で、胃、肺、大腸・頭頸部の順であった。同時性重複癌は 20 例(37.0%)、異時性重複癌は 34 例(63.0%)であり、3 年生存率はそれぞれ 60.7%、70.6%であっ た。 <大内賞受賞記念講演> (16:30~16:45) 座長 尾股 丈夫 「Povidone-iodine-induced cell death in cultured human epithelial HeLa cells and rat oral mucosal tissue.」 佐藤 聡(福島県立医科大学) <指定演題> (16:45~16:55) 座長 大槻 好正 「経口抗菌薬の最近の話題」 大正富山医薬品株式会社 学術研修センター <特別講演> 伊藤 直子 (17:00~18:00) 座長 大森 孝一 「換気能から見た中耳疾患の病態と治療」 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 展開医療科学講座 耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野 教授 髙橋 晴雄 先生 ※専門医の方は学術集会参加報告票をご持参下さい。 ※意見交換会を 18:10 より「安達太良Ⅱ」にて行います。 主催:日本耳鼻咽喉科学会福島県地方部会 共催:福島県耳鼻咽喉科医会・大正富山医薬品㈱