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EMBASE文献速報
文献データベース「EMBASE」からうつ、不安障害に関連した最新の文献情報をお届けします。
AマイナーからBメジャーへ:高齢者の閾値下うつ病の疫学、疾患経過、公衆衛生への影響に関するレビュー
A tune in "a minor" can "b major": a review of epidemiology, illness course, and
public health implications of subthreshold depression in older adults.
J Affect Disord 2011; 129: 126-142
Meeks TW, Vahia IV, Lavretsky H, Kulkarni G, Jeste DV
背景 : 作成段階にあり、まもなく発行される DSM-Ⅴに含まれる精神病理に関する次元的なとらえ方に重点をおいて、大うつ病性障害または気
分変調性障害の DSM-IV-TR 診断基準を満たさない高齢者うつ病症候群の疫学、リスク因子、疾患経過、転帰に関するデータを系統的にレビ
ューする。小うつ病と亜症候群性うつ病を含むこれらの症候群に対して、閾値下うつ病という用語を用いた。
方法 : 1980 年 1 月~ 2010 年を対象に PubMed を用いて、“subsyndromal depression”(亜症候群性うつ病)、“subthreshold depression”(閾値
下うつ病)、さらに“mimor depression”(小うつ病)と、高齢者を意味する“elderly”、“geriatric”、“older adult”、老年期を意味する“late-life”を組
み合わせて検索を行った。181 の研究から老年期の閾値下うつ病に関するデータが抽出された。
結果 : 概して高齢者における閾値下うつ病の有病率は大うつ病よりも少なくとも 2 ~ 3 倍高かった(地域の時点有病率の中央値 9.8%)。閾値下
うつ病の有病率は、プライマリケアのサンプルと比べ地域社会のサンプルで低く、長期ケアのサンプルでは最も高かった。閾値下うつ病を有する
高齢者の約 8 ~ 10% が 1 年間に大うつ病へ進展した。高齢者における閾値下うつ病の経過は、大うつ病の経過に比べて良好であったが良性と
はいいがたく、寛解率(1 年以上経過した後に非うつ状態となった患者の割合)の中央値は 27% にすぎなかった。主なリスク因子としては、女性、
内科的疾患、機能障害、社会的サポートが少ないことが認められ、転帰としては、機能障害の増加、医療ケアの利用の増加、自殺念慮の増加
が認められた。
限界 : データの異質性、とくに閾値下うつ病の定義に関連する異質性が、メタ解析を実施する際の限界となった。
結論 : 老年期の閾値下うつ病の高い有病率と関連する有害な健康アウトカムは、この疾患の公衆衛生上の重要性を示しており、その神経生物
学的および治療に関する更なる研究の必要性を示唆している。そうした取り組みは、増加しつつある高齢者における疾病予防に寄与できると考
えられる。
(翻訳:エルゼビア・ジャパン)
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