超高張力鋼プレス部品のトリミング時におけるスクラップ落下

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超高張力鋼プレス部品のトリミング時におけるスクラップ落下
超高張力鋼プレス部品のトリミング時に
おけるスクラップ落下挙動および切粉発生挙動
極限成形システム研究室 岡本泰尚
自動車軽量化
超高張力鋼板割合増:
高強度
トリミング
超高張力鋼自動車部品
上型
板材
スクラップの高速落下:
衝突,跳ね返り
切粉の発生:
製品の傷
切粉
スクラップ
下型
スクラップ
ガード
生産性低下
目的
トリミングにおけるスクラップ落下
速度の低減と切粉の発生防止
超高張力鋼プレス部品のトリミング時に
おけるスクラップ落下挙動および切粉発生挙動
1.直線パンチによるトリミング
2.シャー角付きパンチを用いた加工荷重の
低減によるスクラップ落下速度の低減
3.傾斜部のトリミング時における切粉の
発生挙動と防止
スクラップ落下挙動の
観察方法とトリミング条件
パンチ速度v
パンチ
ダイス
180
板材
騒音計
90
1.2
板押え
パンチ
クリアランス比10%
カメラ
20
板押え
スクラップ
板材
ダイス
ホルダー
1000
2500
ダイス
鋼板
引張強さ [MPa] 伸び[%]
JSC1180YN
1242
8.1
JSC980YN
1004
12.6
JSC780YN
813
17.3
絞り[%]
26.6
37.4
56.0
直線パンチによるトリミングにおける
スクラップ落下挙動
パンチv =48mm/s
板材
JSC980YN
板押え
ダイス
鋼板の引張強さとスクラップ落下
速度および騒音の関係
3
120
JSC1180YN
JSC980YN
JSC780YN
110
v =48mm/s
100
6mm/s
2
90
プレス機
1
自由落下
0
0
80
70
20
40
60
パンチ荷重 [kN]
80
60
最大騒音レベル [dB]
スクラップ落下速度 [m/s]
4
超高張力鋼プレス部品のトリミング時に
おけるスクラップ落下挙動および切粉発生挙動
1.直線パンチによるトリミング
2.シャー角付きパンチを用いた加工荷重の
低減によるスクラップ落下速度の低減
3.傾斜部のトリミング時における切粉の
発生挙動と防止
シャー角付きパンチによるトリミング
パンチ速度:v =48mm/s
5°
パンチ
板材:JSC980YN
80
ダイス
5°
5°
24
180
パンチ
ダイス
スクラップ
(a) 直線
(b) 全面傾斜
(c) 一部傾斜
トリミング後55ms
(d) 凹形
スクラップ落下速度に及ぼす
シャー角形状の影響
スクラップ落下速度 [m/s]
4
3
JSC1180YN
JSC980YN
JSC780YN
凹形
2
5
直線
一部傾斜
1
自由落下
全面傾斜
0
20
40
60
最大パンチ荷重 [kN]
80
パンチ荷重-パンチストローク曲線
(JSC980YN)
60
パンチ荷重 [kN]
50
(a)
(a) 直線
(b) 一部傾斜
(c) 凹形
(d) 全面傾斜
40
30
(b)
20
(c)
10
0
(d)
1
2
3
4
5
6
パンチストローク [mm]
7
8
騒音に及ぼすシャー角形状の影響
最大騒音レベル [dB]
120
110
JSC1180YN
JSC980YN
JSC780YN
直線
100
一部傾斜
90
80
凹形
全面傾斜
プレス機動作音
70
60
0
20
40
60
最大パンチ荷重 [kN]
80
スクラップ落下速度および騒音に
及ぼすパンチ形状の影響
直線
全面傾斜
一部傾斜
凹形
スクラップ落下速度
×
○
○
×
騒音
×
○
×
△
パンチ
パンチ荷重:大
板材
せん断面積:小
→パンチ荷重:小
(a) 全面傾斜
パンチ荷重:小
(b) 一部傾斜
弾性変形・回復
接触
接触
(c) 凹形
トリミングされた製品の切口面構成比
1mm
だれ
せん断面
破断面
製品
スクラップ
左端からの
距離x mm
だれ
100
75
50
25
0
-25
切口面構成比 [%]
JSC980YN
v =48 mm/s
せん断面
破断面
0
かえり
40
80
(a) 全面傾斜
0
0
40
80
左端からの距離x [mm]
(b) 一部傾斜
40
(c) 凹形
80
超高張力鋼プレス部品のトリミング時に
おけるスクラップ落下挙動および切粉発生挙動
1.直線パンチによるトリミング
2.シャー角付きパンチを用いた加工荷重の
低減によるスクラップ落下速度の低減
3.傾斜部のトリミング時における切粉の
発生挙動と防止
傾斜部のトリミング条件
55
板厚1.2mm
JSC1180YN
板押え
(a) トリミング後の超高張力鋼プレス部品
パンチ
(a) 上面
4mm/s
パンチ
パンチ
板押え
ダイス
30
(b) A-A’断面のトリミング
板材
2
10mm
10
板材
120°
15
35
切口面:悪
切粉:有
クリアランス比10%
15
40
ダイス
(b) 正面
Φ20 コイル
スプリング
トリミング後における傾斜部
切口面および切粉
製品
切口面観察部
スクラップ
1mm
1mm
1mm
スクラップ
製品
(a) コイルスプリングなし
1mm
発生した切粉
1mm
1mm
1mm
スクラップ
製品
(b) コイルスプリングあり
1mm
傾斜部のトリミング時におけるせん断
挙動と荷重-ストローク曲線
板押え
コイル
スプリング
パンチ
板材
50
パンチ荷重 [kN]
ダイス
s =2.8mm
60
40
コイル
スプリング
なし
8
10
s =2.4mm
30
20
コイル
スプリングあり
10
0
s =9.8mm
(a) コイルスプリングなし
s =8.6mm
2 4 6 8 10 12
パンチストロークs [mm] (b) コイルスプリングあり
まとめ
1. 鋼板の引張強さおよびパンチ速度の増加とともにスク
ラップ落下速度が大きくなった.
2. 傾斜パンチによるトリミングでは,パンチ荷重を小さくす
ることでスクラップ落下速度および騒音を低減すること
ができた.
3. 傾斜部のトリミングでは,製品とスクラップに切り離され
る時に切粉が発生した.
4. 傾斜部のトリミング時に,スクラップの変形を抑制するこ
とで切粉の発生を抑制できた.