安全な手術体位の取り方に関する研究 How to make safety position of the surgical patients

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安全な手術体位の取り方に関する研究 How to make safety position of the surgical patients
安全な手術体位の取り方に関する研究
How to make safety position of the surgical patients
高橋 徹(Toru Takahashi )
保健福祉学部 看護学科 教授
Professor, Department of Nursing
研究領域:成人看護学
共同研究者 水野 樹(順天堂大学)
キーワード:周手術期看護、医療安全、手術体位
【研究内容】
近年の医用工学の進歩に伴い、腹部を大きく切開することなく、皮膚に直径数 cm 開けた
穴から、カメラと柄の長い手術器具を挿入し、小さな侵襲で手術を行うことが可能となって
きた(鏡視下手術)
。鏡視下手術は術者が視野を得るために患者は特殊な体位(姿勢)を長時
間取り続けることが必要であるが、全身麻酔下で行われるため痛みやしびれを訴えることが
できない。
そのため、手術自体が成功しても術後に神経麻痺や皮膚障害(褥瘡)が時に発生し、周手
術期看護の分野において医療安全上の大きな問題となっている。しかし、その対策の根拠は
解剖生理学的構造からの推測と経験に頼っており、実際どの程度の負荷が身体のどの部位に
かかっているのかは未だ明らかではない。
胃がん摘出術など頻度の多い鏡視下外科手術では砕石位(下図)という特殊体位が取られ、
下肢を支えるために使用される装具によって長時間下肢の神経(腓骨神経)
・筋肉(腓腹筋)
が圧迫され、偶発的に下肢麻痺・筋肉損傷が起こる。
私たちは、より安全な砕石位の取り方を確立する目的で体圧分布シートを用いて種々の下
肢支持装置を用いて、下腿の神経走行部位、筋肉にかかる圧力を詳細に検討している。これ
までの研究により、腓骨神経走行部位の下腿周囲径と神経走行部位への最大圧力との間には
正の相関関係があり、被験者によってはその圧力が毛細血管圧を越えることが明らかとなっ
ている。
実際に支持器から下腿にかかる負荷
を詳細に検討した報告はこれまでなく、
極めて独創性に富む研究である。さら
に本研究は看護師が手術場で砕石位を
安全に保持するための臨床指針の確立
に大きく寄与すると考えている。
【特記事項】
関連する業績
・水野 樹、難波 力、高橋 徹 2014
圧力分布. 麻酔 (印刷中)
.
BIG-MAT®システムを用いた砕石位支脚器上の
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