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目 次 Ⅰ 医療と公衆衛生に関する研究 1.新臨床研修制度における 2 年目研修医の職業性ストレス―他職種との比較― ……………………………………………………………… 産業精神保健班 引地克仁 他 2.統合失調症患者に対する教育目的の 2 週間クリニカルパスの有用性 …………………………………………………… 精神科クリニカルパス班 甲斐利弘 他 3.難治性疾患患児の終末期医療のありかたについての検討 ………………………………………………………… 小児緩和医療研究班 大杉夕子 他 4.てんかん児における画像所見と発達障害の検討 ………………………………………… 生活習慣病にかかわる調査研究班 川脇 寿 他 Ⅱ 母子医療に関する研究 1.胎便関連性腸閉塞症に対するガストログラフィン胃内投与の効果についての無作為比較対照試験 実地のための予備的検討…………………… 極低出生体重児の合併症研究班 田中裕子 他 2.NICU における標準予防策の徹底が MRSA 保菌者数、発症者数に及ぼす効果 …………………………………………… NICU での感染予防対策研究班 市場博幸 他 3.胆道閉鎖症の成因、病態、治療、予後等に関する調査研究 …………………………………………………… 小児肝胆道疾患調査研究班 東 孝 他 4.腎奇形を合併する Beckwith-Wiedemann 症候群の腎組織病理及び分子生物学的検討 ……………………………………………………… 小児腎疾患治療研究班 藤丸季可 他 Ⅲ 感染症に関する研究 1.当院で経験した細菌性赤痢・腸チフス・パラチフス患者から分離された菌株の薬剤耐性の動向 ………………………… 感染症ならびに救命医療に関する調査・研究班 中村匡宏 他 2.入院時監視培養検査の有用性に関する研究…………… 院内感染予防研究班 大野耕一 他 Ⅳ 悪性腫瘍に関する研究 1.子宮癌の新しい分子マーカーの解析 …………………………………… 大阪市婦人科悪性腫瘍化学療法研究班 西村貞子 他 2.色素性病変に対するダーマスコピーの有用性について………… 皮膚研究会 前川直輝 他 3.転移性骨腫瘍患者に対する局所経皮的ラジオ波焼灼法(PRFA)に関する研究 ………………………………………………… 骨軟部ラジオ波焼灼研究班 青野勝成 他 4.小児脳腫瘍に対する臨床試験……………………………… 小児脳腫瘍研究班 原 純一 他 5.総合医療センター原発性肝癌追跡調査-第9報― ……………………………………… 総合医療センター肝カンファレンス 山崎 修 他 6.当院での肝細胞癌治療症例における BCAA 長期投与の肝予備能に対する効果の検討 …………………………………………………………… 肝疾患治療研究班 倉井 修 他 7.高度進行胃癌または再発胃癌に対する TS-1/CDDP/Lentinan 併用化学療法の有用性 ………………………………………… 大阪市立十三市民病院外科研究班 掘 武治 他 8.消化器癌に対する化学療法の有用性についての研究 …………………………………………………… 消化器癌化学療法研究班 大谷 博 他 Ⅴ 診断治療技術(内科系)に関する研究 1.Dual Chamber Pacemaker が埋め込まれた患者において Av delay の適正化による ANP・BNP の 長期的な変動を検討する………………………………… ペースメーカ調節班 阿部幸雄 他 2.アデノシン三リン酸(ATP)による早期興奮症候群の鑑別 …………………………………………………………… 小児循環器研究班 村上洋介 他 3.慢性腎炎における腎循環障害の関わりと治療薬の評価 ………………………………………………………… 慢性腎炎対策研究班 森川 貴 他 4.糖尿病患者の早期動脈硬化病変(脈波伝播速度)と血中アディポサイトカインとの関連 ………………………………………………………… 糖尿病合併症研究班 細井雅之 他 5.内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査の前処置としてのペパーミントオイル撒布の有用性の検討 …………………………………………………………… 内視鏡検査研究班 山崎智朗 他 6.当院における糖尿病患者の動向…………… 糖尿病患者の運動耐容能研究班 内本定彦 他 Ⅵ 診断治療技術(外科系)に関する研究 1.頚動脈ステント留置術における周術期合併症 …………………… 頚動脈ステント留置術における周術期合併症研究班 石黒友也 他 2.大腿骨頭すべり症治療に用いる新開発内固定材料(トランスフィジアルスクリュー)の 治療効果に関する臨床調査研究………………………… 小児整形外科研究班 北野利夫 他 3.未破裂および破裂脳動脈瘤と高ホモシスチン血症の関係について ……………… 未破裂および破裂脳動脈瘤と高ホモシスチン血症研究班 中村一仁 他 4.腎瘻造設後の腎瘻管理に関する検討 ……………………………………………………………… 尿路変向研究班 上川偵則 他 5.二分脊椎症における排尿障害に対する検討… ………………… 排尿機能研究班 坂本 亘 他 6.成長ホルモン産生腺腫に対するガンマナイフ治療の検討 …………………………………………………………… 下垂体腫瘍研究班 岩井謙育 他 7.加齢が神経回復に及ぼす影響について…………… 住吉市民病院整形研究班 関 昌彦 他 8.子宮腔内腫瘍診断における各種検査法の診断精度とその応用に関する研究 …………………………………………………………… 婦人科腫瘍研究班 李 東満 他 -1<平成 19 年度研究報告> 新臨床研修制度における2年目研修医の職業性ストレス - 他職種との比較 産業精神保健班 班長 引地克仁 班員 片上素久、高橋和宏 学会発表 新臨床研修制度における2年目研修医の職業性ストレス - 他職種との比較 引地克仁 井上幸紀 甲斐利弘 豊永公司 切池信夫 第 20 回日本総合病院精神医学会総会(札幌)平成 19 年 12 月1日 【はじめに】 近年、産業構造の変化や急速な技術革新などに より、勤労者のストレス関連疾患は増加傾向に あり、それによる、作業効率の低下や自殺、休 業などによる労働力の損失などの経済的損失も 問題となっている。このため職場でのメンタル ヘルスの向上が労働者の福利厚生のためだけで はなく、労働効率や生産性の改善など企業経営 においても大きな利益をもたらすものと考えら れ、職場におけるメンタルヘルス対策の重要性 が高まっている。医療現場においてもこれらは 同様であり、労働環境、労働条件などの職場ス トレスが医療事故を誘発する要因の一部になっ ていると推測される。さらに医療現場において は、2004 年から、厚生労働省が医師の資質向 上等を目的に、臨床研修制度を義務化し、一定 の待遇を保証した臨床研修制度が導入されるな ど、近年大きな変化がみられている。これには、 従来、医師免許取得後の臨床研修は努力義務と され、多くの研修医が大学病院に集中し、十分 な研修プログラムもないまま、安価な労働力と して使われ、研修医の過労死が発生し、それに 対して労災認定が出されたことなど不安定な研 修医の労働条件の改善も影響している。 【目的】 新しい臨床研修制度導入後の研修医の職業性ス トレスについて、採用後2年以内の一般労働者 と比較し、現在の研修制度下において、研修医 がどのようなストレスを感じているかについて 調査、検討した。 【方法】 大阪市立総合医療センターにて臨床研修を行っ ている臨床研修 2 年目の臨床研修医 20 名中、 結果の回収できた 18 名を対象とした。精神科 ローテイト中に、任意で自己記入式のアンケー ト調査を実施。評価方法としては、職業性ス トレスモデルにもとづいて、米国国立職業安 全保健研究所(National Institute for Occupational Safety and Health: NIOSH)が作成した、NIOSH 職業性ストレス調査票の日本語版を使用した。 なお日本語版については、原谷らが開発し、十 分な信頼性と妥当性が確認されており、職業 ストレスの職種間の差異などの測定にも有効で あったと報告されている。NIOSH では図1の ような職業性モデルを作成し、仕事に関連す るストレッサーが労働者のストレス反応に影響 し、疾病へと進展する可能性があり、ストレッ サーとストレス反応との関連に関与する要因と して、個人要因、仕事外の要因、緩衝要因がこ のモデルに含まれている。今回は NIOSH スト レス調査票の各項目のなかから、ストレッサー、 仕事外要因、個人要因、緩衝要因の以下にあげ るそれぞれの項目について比較検討を行った。 対照群は過去に実施した一般労働者に対する同 様のアンケート結果のうち、就労 2 年以内の者 (23 名)とした。統計学的処理には、対応のな い t 検定を用いた。 -2ストレッサー 物理的環境 役割における葛藤 役割の曖昧さ グループ内対人葛藤 グループ間対人葛藤 仕事の将来の曖昧さ 仕事のコントロール度 雇用機会 労働負荷の変動 人々への責任 技術の低活用 認知的要求 量的労働負荷 仕事外要因 仕事外の活動 個人要因 自尊心 緩衝要因 社会的支援(上司) 社会的支援(同僚) 社会的支援(家族・友人) 【結果】 役割の曖昧さ、仕事の将来の曖昧さ、認知的要 求の項目で対照群と比べ研修医群で有意に高 かった。 (それぞれ P=0,0036 P=0,0325 P=0,0065) 図 2 【考察】 新しい臨床研修制度下で、一般の新規採用後2 年以内の労働者と比べ、研修医は習得した技術 は職場において活用され、雇用機会に対する不 安は低いと感じている。しかし、仕事上の役割 がはっきりせず、仕事内容に関しても自己の裁 量が及びにくく、仕事の将来に対する不安も大 きく、また、業務を遂行する上で精神的な負担 が大きいと感じており、この点では新規採用の 一般労働者と比べてまだ不安定な立場、待遇に あると考えられる。役割の曖昧さや仕事の自己 コントロールに関しては、ローテイトする各診 療科において、業務内容が異なり、また仕事の 裁量権も若干異なる場合が多く、統一されず曖 昧な点もみられる。これらに対して共通化し、 業務内容や権限を細かく規定するなど改善する 余地があると思われる。ただ、新しい研修制度 が始まった過渡期であるため、仕事の将来対す る曖昧さや、また認知的要求など、なかなか簡 単には改善しがたいと思われる要因もある。こ れらに対してはストレス要因を減らすだけでな く、社会的支援(特に上司)などの緩衝要因を より強化するなどの対応も必要ではないかと考 えられる。今後は各要因と個人の行動パターン やストレス対処法などとの関連について検討し ていく予定である。 参考文献 1) 仕事のコントロール度、雇用機会、技術の低活 用の項目で対照群と比べて研修医群で有意に低 かった。 (それぞれ P=0,0002 P=0,0035 P=0,0031) 図 2 2) Hurrell JJJr, McLaney MA : Exposure to job stress - a new psychometric instrument. Scand J Work Environ Health; 1988, 14 (suppl 1): 27-28 原谷隆志 , 川上憲人 , 荒記俊一 : 日本語版 NIOSH 職業性ストレス調査票の信頼性およ び妥当性 . 産業医学 ; 1993, 35: S214 -3- -4- -5<平成 19 年度研究報告> 統合失調症患者に対する教育目的の 2 週間クリニカルパスの有用性 精神科クリニカルパス班 班長 甲斐 利弘 班員 豊永 公司 市原 久一郎(こころの健康センター兼務) 学会発表 統合失調症患者に対する教育目的の 2 週間クリニカルパスの試み 甲斐 利弘、松脇 孝太郎(大阪市立総合医療センター精神神経科病棟)、松本 真理子(大阪市立 総合医療センター精神神経科病棟)、植田 健二(大阪市立総合医療センター精神神経科病棟)、佐々 木 将太(大阪市立総合医療センター精神神経科病棟)、村上 誠治(大阪市立総合医療センター ICU 病棟)、引地 克仁、豊永 公司 第 20 回日本総合病院精神医学会総会(札幌) 2007 年 12 月 1 日 【はじめに】 当院では平成 16 年より統合失調症患者さんに 対するクリニカルパスを用いた 5 週間の教育プ ログラムを作成、実践している。当プログラム は患者さんが疾患を正しく理解し、効果的な行 動を取れることでよりよい社会生活を送ること ができる土台作りを目標とするものである。ク リニカルパス形式のプログラムとして実施する ことで、教育アプローチを多職種で包括的に捉 え、クリニカルパスを治療計画のツールとして 効率よく活用でき、またその有用性も確認でき ると考えている。今回、クリニカルパス実施 4 年目を迎え、教育パスの見直しを行うことにし た。スタッフ間の教育水準の向上、多職種によ る教育アプローチの定着化により、患者さんの 社会的、心理的、経済的負担の軽減を図るため、 2 週間用の教育プログラムを考案し、効率化を 図った。 【方法】 平成 19 年 10 月から平成 20 年 11 月までの間に 当院へ入院した ICD-10 を満たす統合失調症患 者さんのうち、1.患者さんおよび家人から教 育に対し同意が取れること、2.患者さんを正 しく支えられるキーパーソンがいること、3. 病名が告知済みであること、4.陽性症状は落 ち着いていること、5.陰性症状が著しくない こと、6.日常生活が自立していること、7. 外泊ができること、以上を満たし、教育プログ ラム実施の同意が得られた 8 症例を対象とした。 教育はクリニカルパス(表 1 ~表 3)に従って 実施した。医師は医師用の教育パンフレットを 用い、疾患、症状、治療について教育した。看 護師は看護師用の教育パンフレットを用い、生 活状況について語り合い、患者さんが今出来て いることを支持し、患者さんの自信をつけ自己 効力感が向上することに重点を置き関わった。 また、薬剤師は薬について、精神保健福祉士は 社会資源について教育を行った。アウトカム、 バリアンスについてはその都度、医師と看護師 がチェックするようにした。各職種が集まり、 患者さんの情報を共有し、教育プログラムの効 率的なアプローチの方向性を確認するなどの合 同カンファレンスも行った。 評価ツールとしては理解度アンケート、自己 効力感尺度、主観的ウェルビーイング評価尺 度(Subjective Well-being under Neuroleptic drug treatment:SWN-J)1) を用い、上記の教育プロ グラム前後で比較し、その有用性を検討した。 精神症状の評価は教育前後で PANSS(Positive And Negative Syndrome Scale) を 実 施 し、 精 神 症状の悪化はないかを検討した。また、患者満 足度は CSQ-8J(Client Satisfaction Questionnaire) で評価した。なお、本研究は実施の前に院内の -6倫理委員会にて承認を得ている。 【結果】 今回教育を実施した 8 症例では脱落例はな く、実施した理解度アンケート、自己効力感、 SWN-J すべての得点は教育前後で向上してい た。そのうち、自己効力感、SWN-J では有意に 得点が向上していた(図 1)。PANSS は図 2 で 示したように、教育前後で変化はなかった。患 者満足度(CSQ-8J)は 32 点満点中、平均 25 点 であった。 【考察】 2 週間の教育プログラムで教育前後の自己効力 感、SWN-J に有意差を認めたが、理解度アンケー トは得点が向上したものの有意差は認めなかっ た。その理由としては、2 週間教育プログラム では効率化を図るため役割分担をし、看護師は 患者が自己効力感を増し社会生活を維持するこ とを目的に教育に関わってきたため、知識教育 への関わりが減少したことが考えられる。 PANSS による精神症状の評価は教育前後で変化 はなかったことから 2 週間の教育期間において、 教育により精神症状自体の変化がなかったもし くは、精神症状の変化による教育効果の影響が なかったと推測される。 患者満足度評価(CSQ-8J)は今回の 2 週間教 育プログラムでは 32 点満点中、平均 25 点であっ た。5 週間教育プログラムの平均 26 点と比較し ても患者さんの満足度には変化がなかったこと が示された。 以上のことから統合失調症患者に対するクリ ニカルパス形式での教育プログラムによって患 者が効果的な行動がとれ、よりよい社会生活を 送る事ができる土台作りに有効となったことが 示唆された。 【おわりに】 1.今回、統合失調症患者さんの教育プログラ ムを 5 週間から 2 週間に短縮し、クリニカルパ ス形式で行った。 2.教育前後で精神症状の変化はなく、理解度 アンケート、自己効力感、SWN-J はすべて向上 し、自己効力感、SWN-J で有意差を認めた。ま た、患者満足度は、5 週間と比較しても、変化 がないことが示された。 3.今後、この教育プログラムが長期にわたっ てその有効性が持続できるのか検討していく予 定である。 参考文献 1)渡辺美智代 , 松本人志:抗精神病薬治療下主 観的ウェルビーイング評価尺度短縮版の日本語 版作成とその信頼性と妥当性の検討 , 臨床精神 薬理;2003, 6:905-912 -7- 表 1 医療者用パス(1) 表 2 医療者用パス(2) 表 3 患者さん用パス -8- 図 1 アンケート結果 図 2 PANSS 結果 -9<平成 19 年度研究報告> 難治性疾患患児の終末期医療のありかたについての検討 大阪市立総合医療センター 小児緩和医療研究班 大阪市立総合医療センター 班長 小児血液腫瘍科 大杉夕子 班員 同 上 東浦壮志、岡田恵子、朴 永東、原 純一 発表 年長児における難治性疾患の終末期におけるかかわり方 大杉夕子、第 12 回日本緩和医療学会 2007 年(於、岡山) 当院における血液腫瘍患児の終末期の実際 大杉夕子、第 13 回日本緩和医療学会 2008 年(於、静岡)7 月 5 日 当院における悪性腫瘍年長児に対する終末期医療の実際 大杉夕子、第 24 回 小児がん学会 2008 年(於、千葉)11 月 14 日 はじめに 成人では 3 人にひとりががんで亡くなる時代を むかえ、終末期医療が社会的な問題となってい る。小児科領域では成人に比べるとがん患者の 数は少なく、総死亡例が少ないこともあり、終 末期の医療の実態は十分に知られていない。今 後、終末期の患者さんに対してより適切にかか わっていく目的で、われわれの施設で死亡した 難治性疾患の患者を対象に、過去 5 年間の終末 期の治療やかかわり方の実際を振り返り、問題 点を検討した。 症例 対象は当院で治療し、2002 年 4 月‐2007 年 12 月に死亡した、血液腫瘍の患児 42 例。 [対象] 終末期の年齢:1 ヵ月から 22 歳(中央値 8 歳、 13 歳以上 11 例)。 性差:男性 25 例、女性 17 例。 疾患:良性疾患 4 例、悪性腫瘍 38 例。 悪性腫瘍のうち、血液疾患 17 例、固形腫瘍 21 例(脳腫瘍 11 例、他の腫瘍 10 例)。 告知の有無:病気が理解できる 21 例中 17 例が 病名告知をうけていた。 方法 患者の背景(病名、発症時年齢、病期、治療、 難治性とわかったときの年齢、告知の有無)と 終末期の経過(過ごした場所、コメデイカルの 協力の有無、本人への対応、家族説明、緩和と して行った治療内容)を検討した。中学生以上 の症例(表 1)はさらにまとめて検討した。 結果 悪性腫瘍の 5 例は寛解導入もしくは再寛解導入 時の治療の合併症で治療開始後早期に死亡。残 りの 37 例中 4 例が根治目的の幹細胞移植の合 併症で死亡した。1 例が他病院の緩和病棟、1 例が紹介元病院で死亡。他は全員当院一般病棟 で死亡した。 経過:1 例は本人の希望で原病の治療は行わず。 残りの 32 例は難治例であることを両親に説明 し、外泊、退院を目標に症状緩和を目的とした 治療(含、オピオイド、化学療法、放射線治療) やケアが行われた。28 例で一時退院や外泊が繰 り返された。終末期の告知は 2 例にのみ行われ た。コメデイカルとして 2 例で心理士がかかわっ た。ほぼ全例、終末期の過ごし方は主治医と両 親で決定された。 -10以上のなかで中学生以上の年長児の症例と経過 を表にまとめた(表 1、2)。 1.患者のほぼ全員が終末期を一般病棟で過ご した。 2.希望しなかった患児を除いてみな可能な範 囲で外泊が可能であった。 3.終末期にあたってコメデイカルがかかわる ことは、最近の症例数例(症例 3、7)に限られた。 4.終末期の治療はオピオイドを中心とした鎮 痛剤と病気のコントロール目的の抗がん剤、放 射線治療が中心であった。一般に抗がん剤はホ スピスでは使用されないが、抗がん剤による原 病のコントロールにより外泊が可能となった例 もあり有効と思われた。 5.ほぼ全員が病気のことを理解していたが、 緩和医療に入る時点で、本人には死期が近いこ とは、数例を除いて説明されなかった。予後の 説明をうけた患者は、最期まで自分の意思で治 療の選択を行なった。 表 1 ����� � � � � ����� 1 M 2 F 3 M 16 14 14 � � PNET MDS ALL � � �� 1st rel 1st rel - + + ����� 考案 以上に示したように、年長児は意識のある限 り本人の意思にそって治療を選択したが、死期 が近いことの説明は数例でしか行えていなかっ た。コメデイカルとのかかわりも最近の症例 2 例のみであり、今後診療体制の改善が望まれる。 年少児では両親とのかかわりがより重要と考え られる。小児科における治療方針の決定で両親 の意思は無視できない。どこまで本人の意思に そった治療ができていくかは、最終的に、本人 の意思、家族の希望と主治医の本人の理解にゆ だねられている。年長児もあわせて、緩和医療 をチームで行なっていない現段階では、この判 断が、医師の個人的な経験に先導される可能性 があり、今後は、患者と家族の気持ちを広く汲 みとるためにも、コメデイカルの協力も今以上 に必要と考えている。今後、患者が若年者であ る事や、子の死を看取る両親もみていく特殊性 を考えて、診療体制の問題についても検討して いく予定である。 表 2 ��������� 4 M 12 5 6 7 F F 12 1 ��� RMS ����� ALL 1strel 1st rel + - 8 M M 17 13 AMLL JIA 9 � � M ����� ���� 17 PNET ���� 1st rel ��� 2nd rel + + - HDC 1 ���� ����� ������� 2 3 4 5 6 7 8 9 �� �� �� �� �� �� �� �� �� �� �� �� �� �� �� �� �� ���� ? �� �� �� ��� ����� �� �� ������� �������� ������� + - - - - - - + + + - - - - - - + + + + ����� ���� 16 15 15 14 14 18 18 14 21 ������� ������� ����� + + + + + - + + + ������ ���� + + + + + + + + + ������ ������ ���� ���������� ���� ���� ���� ���� ���� ������ ��� ����� γ��� ��� + - + + + + + + + + ��� + ��� �������������� + + + ��� ��� ��� �� + ��� + ��� ��� ��� ���� �� -11<平成 19 年度研究報告> 平成 19 年度医学調査研究活動報告書 調査研究テーマ てんかん児における画像所見と 発達障害の検討 生活習慣病にかかわる調査研究斑 研究班班長 大阪市立総合医療センター 小児神経内科 共同研究者 大阪市立総合医療センター 小児神経内科 大阪市立総合医療センター 放射線診断部 大阪市立総合医療センター 小児言語科 大阪市立総合医療センター 小児耳鼻科 川脇 壽 岡崎 伸 九鬼一郎 赤土みゆき 真鍋隆夫 草間由美子 堅田利明 永安香 中野友明 愛場庸雅 学会報告 2007/7/7 脳炎・脳症後の高次脳機能障害に対する脳機能画像の有用性 -SPECT を中心に - 第 49 回日 本小児神経学会,大阪 九鬼一郎 川脇壽 温井めぐみ 木村志保子 岡崎伸 池田浩子 富和清隆 石川順一 山室美穂 外川正生 塩 見正司 中枢神経症状を認める結節性硬化症ーてんかん治療と知的障害についてー 第 32 回 2008/5/23 日本遺伝カウンセリング学会,仙台 九鬼一郎 富和清隆 岡崎 伸 木村志保子 川脇壽 塩見正司 2008/8/2 てんかんと発達障害 大阪市勤務医師会学術集会,大阪 九鬼一郎 川脇壽 岡崎 伸 木村志保子 富和清隆 2008/10/19 後頭側頭部中心に持続性棘徐波を認め漢字書字障害を認めるてんかんの臨床的検討 第 42 回日本てんかん学会,東京 九鬼一郎 川脇壽 岡崎 伸 木村志保子 富和清隆 岡田眞子 2009/4/19 睡眠時に局在性優位の持続性棘徐波を認め高次脳機能障害を認めるてんかん症例の臨床的検 討 第 112 回日本小児科学会 奈良 九鬼一郎 川脇壽 岡崎 伸 木村志保子 富和清隆 2009/5/10 International infantile seizuresociety2009 Characteristics of intelligence & language ability in children with epilepsy Okazaki S Kuki I Kawawaki H Inoue T Kimura S Okada M Kusama Y Katada T Nagayasu K Manabe T Togawa M Shiomi M Tomiwa K 論文 2009 年 4 月 小児内科 けいれん・意識障害患者で行うべき救急外来検査 岡崎伸 塩見正司 講演 2007/8/1 広汎性発達障害とてんかんについて 大阪市発達障害圏域支援体制 大阪 岡崎 伸 九鬼一郎 木村志保子 川脇 壽 2007.8.22 小児のてんかんについて 大阪市養護学校医療的ケア研究会 大阪 岡崎 伸 九鬼一郎 木村志保子 川脇 壽 -12【はじめに】 てんかんの罹患率は約 1%といわれており、そ のうち 8 割が 18 歳以下で発症するためてんか ん児の数は多い。投薬により 7 割の児で発作抑 制が可能とされるが、難治性に経過する例も見 られる。難治性に経過するてんかん児の一部で は知的障害・広汎性発達障害(約 20%に合併) の合併がみられるため、発達・学習面の診察も 重要である。その中には特異的言語発達障害な ど複雑な発達障害も経験されその対応が難しい ことがある。現在のところてんかん分類や病巣 部位と発達障害のタイプについて報告はない。 小児のてんかん発作の病巣と、知的障害、広汎 性発達障害、特異的言語障害や視覚認知障害な どの高次機能障害の有無や程度を対比し、現在 推測されている前頭葉や扁桃体病変と広汎性発 達障害の関係など、脳科学的に脳機能局在と発 達障害を検討することを目的とする。 【対象と方法】 大阪市立総合医療センター小児医療センターを 受診した 6-16 歳のてんかんと診断した症例で、 「てんかん児における画像所見と発達障害の検 討」の研究趣旨を説明し、希望された症例を対 象とする。てんかん分類と合併する身体症状、 発達障害の有無を記載する(小児神経内科)。 頭部 MRI や脳 SPECT で局在診断を行う(放射 線科と小児神経内科)。発達障害は、知的水準 と軽度発達障害(広汎性発達障害・注意多動欠 陥性障害・学習障害)を検討する。学習障害は 特異的な言語発達障害や高次機能障害を特に取 り上げる。言語的検討(小児耳鼻科・小児言 語科)、心理的検討(心理士・療育相談室)は WISC-III(必要時 PARS)を使用する。画像所 見とてんかん発作から推測される病巣・発達障 害の有無と分類についての相関を検討する。 【結果】 該当症例は対象数 19 例(男児例 12 例、女児 例 7 例)であり、てんかん分類としては、局 在関連てんかん 11 例、全般てんかん 1 例、未 決定てんかん 7 例であった。(未決定てんかん は、全例が睡眠時に持続的棘徐波複合(ESES: Electrical status epileptics during sleep)であった。 てんかん発病後からの治療期間は~ 1 年 4 例、 2 ~ 3 年 6 例、4 年以上 9 例であった。 発達面としては、全例で当初 普通学級への 通学をしていた。(表 1)てんかん罹患期間を経 て、今回の研究時点で質問した時には、家族が 気づいていた症状としては、学業不振 8 例、 もの覚えが悪い 2 例、漢字が苦手 2 例、注 意不足 2 例 があった。 てんかんのコントロールを表 2 に示す。日単位 2 例、週単位 2 例、年単位 1 例であった。 発作がコントロールされてない例も 11 例みら れた。 脳波上の棘波の存在部位を表 3 に示す。Frontal 4 例、Parietal 1 例、Temporal 6 例、ESES 2 例、Diffuse slow spike&waves 1 例であっ た。この値と画像診断、けいれん発作の臨床的 特徴を含めて、それぞれてんかんの責任部位を 決めた。 各てんかん責任部位別のデーターを示す。 (図 1- 図 4) 全体的にばらつきが大きいのが特徴 的であった。 中でも ESES 症例(赤色の線)は似通った 傾向が見られた。 最終診断を表 4 に示す。男児の 12 例では、 軽度知的障害 4 例、境界域知的障害 1 例、学習 障害 2 例、ばらつきが強い児 4 例みられた。広 汎性発達障害と注意多動欠陥性障害は見られな かった。 女児の 7 例では、軽度知的障害 4 例、境界域知 的障害 3 例、広汎性発達障害 1 例であった。注 意多動欠陥性障害と学習障害はみられなかっ た。 【考察・結論】 てんかん児において、詳細な検討を行うと、 外来での主訴にはならなくとも、経過中に軽度 の知的障害がみられたり、知的に問題なく個別 指導不要と位置付けられるが、能力のばらつき が大きく、学習という領域では大きな問題とな ることが予測される症例が多くみられた。基礎 となる知能が正常もしくは正常に近いため、特 別支援教育による学力の非常に高い向上が期待 される症例である。 てんかん児においては、知能評価と発達障害 -13の検討を正確におこない、 可能な症例では、 画像や脳波などの補助診断も行い、てんかんの 責任部位や脳波的特徴などを詳細に検討し、評 価を個別に検討し症例によっては特別支援教育 の対象児として扱っていくことが必要となるこ とが推測される。 ともに まだ例数が十分でないため、統計学 的な優位差が見られていないが、今後の検討を 続けるのに十分な興味深い結果であったと考え る。 表1 発達検査時の学習環境と気づかれていた症状(男女別) 男児例 通常学級 女児例 通常学級 12 気づかれていた症状 学業不振 もの覚えが悪い 漢字が苦手 7 気づかれていた症状 学業不振 2 注意不足 2 6 2 2 表2 てんかん発作頻度(男女別) 男児例 日単位 週単位 年単位 なし 女児例 1 2 1 8 日単位 週単位 月単位 年単位 なし 1 3 -14- 表3 脳波異常(男女別) 男児例 Focal Spikes Frontal Parietal Occipital Temporal ESES Diffuse slow spike&waves 女児例 Focal Spikes Frontal Parietal Occipital Temporal ESES 3 3 5 1 1 3 2 1 表 4 発達診断 男児(N=12) 軽度知的障害 境界域知的障害 広汎性発達障害 注意多動欠陥性障害 学習障害 ばらつきが強い児 女児(N=7) 4 1 0 0 2 4 軽度知的障害 境界域知的障害 広汎性発達障害 注意多動欠陥性障害 学習障害 4 3 1 0 0 図2 頭頂葉 号 路 * し* 号 せ 符 わ 迷 探 合 列 成 様 配 完 模 画 画 木 組 み 記 積 絵 絵 数 解 語 似 * 算 理 単 類 SS 唱 識 数 知 記 号 * 符 せ 号 路* 探し 合わ 迷 列 成 様 配 完 模 画 画 木 組 積み 絵 絵 数 解 語 唱* 算 理 単 似 S 類 識S 数 知 -15- 16 14 12 10 8 6 4 2 0 図1 前頭葉 12 10 8 6 4 2 0 図4 側頭葉 号 列 路 * し* 号 せ 符 わ 迷 探 合 * 数 解 語 似 成 様 配 完 模 画 画 木 組 み 記 積 絵 絵 算 理 単 類 SS 唱 識 数 知 記 符号 号 探 し * 迷 路 * 算 数 数 唱 絵 * 画 完 絵 成 画 積 配列 み 木 模 組 様 合 わ せ 理 解 単 語 類 似 知 識 S S -16- 16 14 12 10 8 6 4 2 0 図3 後頭葉 16 14 12 10 8 6 4 2 0 -17<平成 19 年度研究報告> 胎便関連性腸閉塞症に対するガストログラフィン胃内投与の 効果についての無作為比較対照試験実施のための予備的検討 極低出生体重児の合併症研究班 班長 田中裕子 班員 大西 聡、寺田明佳 学会発表 シンポジウム 「新生児薬物治療の臨床試験をすすめよう」 胎便関連腸閉塞症に対するガストログラ フィン胃内投与 . 市場博幸、寺田明佳 第 34 回小児臨床薬理学会 (熊本) 2007 年 11 月 15 日 【実施計画表題】 胎便関連性腸閉塞症に対するガストログラフィ 胃内吸引量の増加、嘔吐など腸閉塞を疑う臨床 ン胃内投与法の多施設ランダム化二重盲検比較 を認める、⑤壊死性腸炎、消化管穿孔を否定で 試験 きる。 【背景・目的】 胎便関連性腸閉塞症 ( 以下、MRI) に対する治療 症状を認める、④レントゲン上腸内ガスの増加 試験薬剤;コントロール群:GG3 倍希釈液、GG 群: GG15 倍希釈液、イオパミロン群:イオパミロン 法としては浣腸・注腸が一般的であるが、ガス 原液 トログラフィン ( 以下、GG) の胃内投与の有効 方法; MRI 症例を上記の 3 群に分け、各試剤を 性を検討した。MRI 症例 25 例に対し、3-5 倍の 胃管より 3ml/kg1 日 2 回投与、閉塞症状が解除さ 希釈 GG2-4ml/kg を胃管より注入し、閉塞解除ま れるまで続行する。誤嚥性肺炎や消化管穿孔の で継続した。全例で GG 投与後 1-4 日に閉塞解 発症時、注腸や外科的治療が必要となった時は 除、胃内残渣の減少を認め、日齢 10-38 で 100ml/ 中止する。 kg/ 日の経腸栄養に達した。副作用を認めず、注 腸や外科的治療を要した例も無かった。以上よ 【評価項目】 主要;発症から閉塞解除までの日数。副次的; り本法は有効と考えられたが、高浸透圧の薬剤 投与回数、胃内残渣量、栄養確立までの日数、 を使用することから、方法論 ( 希釈率、使用薬剤 副作用の有無 ( 誤嚥による呼吸器合併症、消化管 等 ) には再考の余地があり、誤嚥性肺炎の有無な 穿孔、脱水、甲状腺機能異常等 )。 ど安全性についても更に検討を行う必要がある。 当実施計画案での多施設共同試験を計画中であ 最も安全で適した方法を確立する為に多施設共 る。 同試験を行う。 【対象・方法】 対 象; 入 院 中 に MRI を 発 症 し た 全 例。MRI は 以下の全項目を満たすものとした。①出生体重 1500g 未満、② IUGR や胎盤機能不全など MRI の危険因子が存在、③胎便の排出遅延、腹部膨満、 -18- �� 1 ⢝ଢ㑐ㅪᕈ⣺㐽Ⴇ∝䈮ኻ䈜䉎 䉧䉴䊃䊨䉫䊤䊐䉞䊮⢗ౝᛩਈᴺ䈱 ലᕈ䊶ోᕈ䈱ᬌ⸛ ᄢ㒋Ꮢ┙✚วක≮䉶䊮䉺䊷 Ꮢ႐ ඳᐘ ኹ↰ ૫ 症例数33例 在胎22-32週、体重423-1266g、男女差無し 重度のIUGRが多かった 全ての症例で、ガストログラフィン投与後1-4日に排 便を認め、日齢10-24で100ml/kgの経腸栄養に達 した 投与回数 平均2回 誤嚥性肺炎、消化管穿孔、電解質異常等無し 最終的に注腸や外科的処置を要した症例無し ��めに �� 2 胎便��性腸閉塞症(Meconium Related Ileus, MRI)� �注腸�胃内投与���� <病態>胎便排泄遅延に伴う麻痺性イレウス様症状 重度の子宮内発育遅延児(以下IUGR)に多い <原因>腸管神経叢の未熟性、血流の減少に伴う腸管運 動低下などによる機能的閉塞、排泄遅延のため胎 便が水分吸収され便栓化した物理的閉塞 注腸施行 胃内投与 症例 4例 33例 週数 27-32w 22-32w 平均体重 697.0g 790.3g 27.8 16.1 ������平均 <治療>絶食・浣腸 ガストログラフィンやイオパミロンによる注腸 重症化すれば、外科的治療を要する ��� �� 1 0 �� 注腸の問題点: 1)����での��������を�����ある 2)全���の安��な��に�、����の����、� �を�� 3)������期�する�、��な効�を���に�� より早期に介入でき、 安全かつ有効な治療法を探索すべきである ������������������ ������������������� ���� ������������������ ⇒��� ��������������������� ⇒��� ������������������� ⇒��� ����������������������� ����������������� 提案 �たな�療������より� ガストログラフィン胃���� 対���方� 希釈ガストログラフィンの早期経胃投与が、 MRIの新たな予防法・治療法となる可能性が ある。 本法の安全性や有効性について評価する為 に、多施設における比較試験を提案する。 1) 2001年以降に、MRIを疑わせる症状を認めた全患児に対し、 3-5倍希釈のガストログラフィン2-4ml/kgを胃管より注入した。 注入は1日2回までとし、通過良好となるまで持続した。1週間 後血清TSHの測定を行なった。 2) 当施設において上記処置を導入する以前3年間に、消化管通 過障害を発症した1500g以下のSFD児について、改善までに 要した処置、日数、副作用などについて診療録を後方視的に 検討した。 -19- 第1案 目的:MRIに対するガストログラフィン胃内投与について、よ り安全と思われる希釈率、或いは他剤でも同様の有効性を 得られるかを検討する 方法: コントロール群;3倍希釈ガストログラフィン ガストログラフィン群;5倍希釈ガストログラフィン イオパミロン群;イオパミロン原液 対象をランダムに3群に分け上記3種のいずれかを、3ml/kg を1日2回投与、閉塞症状が解除されるまで続行する。 必要症例数:1000~3000 本試験は同等性研究であり、効果量を小さく検出力を大きく 設定する必要があるため、膨大なサンプルサイズを要する 第1�の��� 各試薬による、有効性、安全性が証明されていない サンプルサイズがあまりにも膨大で、施行不可能 先ず 希釈ガストログラフィン胃内投与法の有効性・安全性 を検討するための臨床試験をデザインするべき ��す�き�と��� 本当に有効なのか? ・生食(プラセボ)とガストログラフィンの比較試験とする ⇒生食の有効率を予測しサンプルサイズを規定 本当に安全なのか? ・臨床所見より壊死性腸炎、消化管穿孔を除外 ・当院における33例で、誤嚥性肺炎を含む副作用なし 前治療、後治療、併用薬の規定は? ・浣腸や経腸栄養法等前治療を可能な限り統一する ・閉塞を解除できなかった場合は注腸を施行する 除外基準: 多発奇形症候群、先天性心疾患 壊死性腸炎、消化管穿孔は必ず除外する その他、医療者が本法を行うにふさわしくないと判断した例 方法: コントロール群;生理食塩水 ガストログラフィン群;ガストログラフィン3倍希釈液 1)出生時より浣腸1日3回、日齢0または1より早期授乳開始。 2)軽微な症状からMRIを診断し介入を開始する。 3)対象をランダムに2群に分け、 各試薬3ml/kgを胃内チュー ブより1日2回12時間毎に投与し閉塞解除まで続行する。(各 投与前に胸腹部レントゲンを撮影する。) 4)臨床所見の改善をもって治療終了を判断する。 5)介入開始より48時間改善を認めない場合は介入を中止し 注腸を施行。重症合併症を生じた場合も、即時中止。 評価項目: 主要評価項目;発症から閉塞解除までの日数 副次的要素;投与回数、胃内残渣量、栄養確立(100ml/kg/d) までの日数、注腸を要した症例数、外科的治療を要した症例 数、副作用の有無、1週間後の甲状腺機能 その他;在胎週数、出生体重、性別、介入時のインダシン投与 の有無、水分量 必要症例数: コントロール群;16例 ガストログラフィン群;16例 有効率を生食50%、ガストログラフィン100%とし、パワー 80%で上記のサンプルサイズを得た。 実施機関の選定基準: 1)出生体重1500g未満のSFD児が、年間で5~10人出生 2)重症化の際に注腸・外科的治療が可能である ま�め 倫理的問題をいかに解決するか ・胃内投与法の有効性に確信を得ている施設は除外 ・介入期間を48時間に限定し、注腸への移行の遅れを防ぐ ⇒プラセボを投与される被験者が、通常の治療(浣腸・早期 栄養で経過観察し、無効の場合高圧浣腸・注腸へ移行)を 受けられるように考慮する ��� 目的: ガストログラフィン胃内投与がMRIの重症化予防や治療とし て有用であることを証明する 選択基準: 出生体重1500g未満のSFD児の内、MRIを発症し試験施行 に対し保護者の同意を得られた全例 MRI診断基準 1)胎盤機能不全などMRIの危険因子が存在 2)胎便の排泄遅延、腹部膨満、胃内吸引物増加・胆汁混入、 嘔吐など腸閉塞を疑う臨床症状を2つ以上認める 3)腹部単純レントゲン上腸内ガスの増加を認める 4)臨床症状、血液検査並びに画像所見から壊死性腸炎、消 化管穿孔が否定される MRIに対するガストログラフィン胃内投与法の有効 性・安全性を検討するための、多施設比較試験の 考案を試みた 実現可能な試験を提示するためには、統計学や疫 学の専門家を交えた、詳細な調査、意見交換、検討 を重ねる必要がある。 しかし臨床試験を実際に行うまでには、現在の体制 では越えがたいハードルが多く残されている。 その他の問題点 ●対象、介入、評価の簡潔化が必要 ●統計学者など、多方面における援助者が不可欠 ●費用や保険、スポンサーについて -20- -21<平成 19 年度研究報告> NICU における標準予防策の徹底が MRSA 保菌者数、 発症者数に及ぼす効果 NICU での感染予防対策研究班 班長 市場博幸 班員 森 啓之、平野恭悠 学会発表 NICU における標準予防策の徹底が MRSA 保菌者数、発症者数に及ぼす効果 松村寿子、市場博幸、寺田明佳、大西聡、田中裕子、江原英治、保田典子 第 52 回日本未熟児新生児学会(高松) 平成 19 年 11 月 23 日 【 目 的 】NICU に お け る 標 準 予 防 策 の 徹 底 が MRSA 保菌者数、発症者数の減少に有効か否か を検討する。 【方法】大阪市立総合医療センター NICU では、 2004 年 10 月から院内感染対策の一環として標 準予防策を徹底した。ICT の協力を得て手洗い の実態調査を行い、その結果に基づき以下の対 応を行った。一般的な標準予防策に加え、一足 制の導入、入室時ガウン着用の廃止、イソジン による手洗いの廃止と石鹸・流水による手洗い または擦式アルコール消毒剤による手指消毒の 徹底、擦式アルコール消毒剤を全ベッドサイド に設置、NICU へ入室する家族や他部門へ手洗 いの啓蒙などを行った。これらの感染対策導入 前後で、毎月の MRSA 総保菌者数(新規院内 保菌者数、他院からの持ち込み数、前月からの 継続数)、MRSA 感染症発症者数、NTED 発症 者数の推移を比較した。また感染対策導入に先 駆けて、従来のイソジンによる手洗いと擦式ア ルコール消毒剤による手指消毒の効果を、手指 の細菌培養を行い比較した。 【結果】ICT による手洗い実態調査の結果、児 に触れる直前は医師 22%、看護師 12%、直後 は医師 27%、看護師 8%で手洗い・手指消毒 がいずれも未実施であった。感染対策導入前 の MRSA 保菌率は 47%、毎月の MRSA 総保菌 者数は対策導入前の 16 人をピークに、導入後 は経時的に減少し 1 人となった。同様に MRSA 新規院内保菌者数は 7 人から 0 人となった。散 見された MRSA 感染症発症者は、導入後はみ られていない。また、従来のイソジンによる手 洗いを行った 3 例中 2 例が培養陽性、擦式アル コール消毒剤による手指消毒を行った 15 例中 1 例が培養陽性であった。 【結論】徹底した標準予防策は、NICU における MRSA 保菌者数、発症者数を減少させる。擦式 アルコール消毒剤を全ベッドサイドに設置する ことで、緊急時にも簡便で有効な手指消毒が可 能となり、MRSA 減少の一因になると思われる。 目 NICUにおける標準予防策の徹底が MRSA保菌者数、発症者数に及ぼす効果 的 NICUにおける標準予防策の徹底がMRSA保 菌者数、発症者数の減少に有効か否かを 大阪市立総合医療センター 新生児科 松村寿子、市場博幸、保田典子、小澤有希、 寺田明佳、大西聡、森啓之、田中裕子、江原英治 検討する。 -221ー2�イソジン�擦式アルコール消毒剤の 対 �果��結果 象 対象:NICU勤務中の看護師 2004年4月から2007年7月の間で 大阪市立総合医療センタ−新生児科 方法:各方法による手洗い直後の手指からスタンプ 法を用いて細菌培養 結果: (NICU 9床・GCU 21床) に入院した児 培養陽性/総数 菌種 イソジン ��/��������� ������CN� 擦式アルコール 消毒剤 ��/�������� CN� 2. 標準予防策、接触感染予防策の徹底 方 実態調査結果に基づき、 2004年10月から以下の感染対策を導入 法 1. 実態調査 2. 標準予防策・接触感染予防策の徹底 3. MRSA培養 4. 感染対策導入前後のMRSA保菌者数・ 感染症発症状況を調査 1) 2) 3) 4) 一足制導入 入室時ガウン着用廃止 イソジンによる手洗い廃止 石鹸・流水による手洗いまたは擦式アルコール消毒剤に よる手指消毒の徹底(1処置2手洗い) 5) 全ベッドサイドに擦式アルコール消毒剤を設置 6) NICUへ入室する家族・他部門(他科医師、放射線技師、 ヘルパー、 SPD)へ手洗いの啓蒙 7) MRSA発症者・保菌者に対する徹底した接触感染予防 ��������培養 1. 実 態 調 査 1) 咽頭培養 感染対策導入前の手洗い・手指消毒の実 態調査 2) 1)監視培養 NICU入院児:1回/週 GCU入院児 :1回/月 従来のイソジンによる手洗いと擦式アル 2)MRSA保菌者に対して NICU入院児:1回/週 コール消毒剤による手指消毒の効果比較 GCU入院児 :2回/月 1ー1)感染対策導入前の実態調査結果 児に触れる直前・直後の手洗い・手指消毒の未実施率 ��� �� 22% 12% 児に触れる 直前 1)毎月のMRSA保菌者数 { 27% 児に触れ� 直後 4. 感染対策導入前後の MRSA保菌者数・感染症発症状況を調査 8% 新規院内感染数 他院からの持ち込み数 前月からの継続数 2)MRSA発症者数 3)新生児TSS様発疹症(以下NTED)発症者数 -23- 毎月のMRSA保菌者数の推移結果 ( 新規院内感染数、他院からの持ち込み数、前月からの継続数) MRSA感染症発症者数、NTED発症者数の推移結果 ※感染対策導入前のMRSA保菌者率:47% (人) MRSA感染症 NTED 3 感染対策導入 2 1 0 04/4 05/4 06/4 07/4 (年/月) 毎月のMRSA保菌者数の推移結果 ( 新規院内感染数、他院からの持ち込み数、前月からの継続数) MRSA感染症発症者数、NTED発症者数の推移結果 ※感染対策導入前のMRSA保菌者率:47% (人) 新規院内感染数 18 他院からの持ち込み数 (人) 前月からの継続数 感染対策導入 16 MRSA感染症 NTED 3 感染対策導入 14 2 12 10 8 1 6 4 0 2 04/4 0 04/4 05/4 07/4 06/4 05/4 06/4 07/4 (年/月) (年/月) 毎月のMRSA保菌者数の推移結果 ( 新規院内感染数、他院からの持ち込み数、前月からの継続数) 結 語 ※感染対策導入前のMRSA保菌者率:47% (人) 新規院内感染数 18 他院からの持ち込み数 ・標準予防策、接触感染予防策を徹底することで NICUにおけるMRSA保菌者数 、 発症者数を 減 少 さ せることが可能である。 前月からの継続数 感染対策導入 16 14 12 ・ 擦式アルコール消毒薬を各ベッドサイドに設置 することで、緊急時にも簡便で有効な手指消毒 が 可 能 と な り 、 そ の こ と が MRSA減少の一因に なっていると思われる。 10 8 6 4 2 0 04/4 05/4 06/4 07/4 MRSA感染症発症者数、NTED発症者数の推移結果 (年/月) -24- -25<平成 19 年度研究報告> 胆道閉鎖症の成因,病態,治療,予後等に関する調査研究 小児肝胆道疾患調査研究班 班長 東 孝 班員 吉田達之,山田弘人,林 宏昭 学会発表 胆道閉鎖症における肺血流シンチグラフィによる肺血流右左短絡率の検討 東 孝,林 宏昭,吉田達之,大野耕一,中平公士,中村哲郎 第 44 回日本小児外科学会総会(東京)平成 19 年(2007 年)5 月 31 日~ 6 月 2 日 胆道閉鎖症における肺血流シンチグラフィによる肺血流右左短絡率の検討 Evaluation of pulmonary right-to-left shunt in biliary atresia. 【目的】 肝疾患において特に進行したものでは肝肺症候 群などの肺血流異常の存在が以前より指摘され ている 1)2).小児においても代表的な肝疾患 である胆道閉鎖症においても,その進行度に応 じて肺血流異常が発症してくることがわかって いる.今回我々は肺血流の右左シャントを測定 し,血液学的検査とともにその臨床学的意味を 検討した. 99 m Tc-MAA を用いた肺血流シンチグラフィ を行った.全身スキャンによる肺血流右左短絡 率(R/L 率)を算出し,臨床像との関係を検討 してその病因について考察した. 【対象】 胆道閉鎖症の術後患者で肝移植を受けていない 12 例.年齢は 4 歳 7 ヶ月~ 18 歳 4 ヶ月(平均 12 歳 8 ヶ月).男 3 例,女 9 例.病型は 3 型が 10 例 1-cyst 型が 2 例であった.1 例のみ労作時 呼吸困難,低酸素血症を認めた.他に臨床的に 肝肺症候群を呈する症例は無かった.また心臓 超音波検査にて心内シャントを認めた症例はな かった. 【方法】 99 m Tc-MAA を 74 ~ 185MBq 静注後ただちに 撮像する.ROI を両肺と全身におき,その摂取 比を肺血流右左短絡率(R/L rate)とした. (全身カウント-肺カウント)÷全身カウント × 100 =肺血流右左短絡率(R/L rate)(%) 血液生化学検査と R/L rate との関係をみた. 【結果1】 高度の右左短絡がみられた 2 症例を提示する. 症例1)18 歳 5 ヶ月,男児.右左短絡率(R/L rate)= 32.5%(FIG 1) 高度の右左短絡を示す.脾臓,肝臓及び甲状腺 に取り込みが見られる. 症例2)4 歳 7 ヶ月,男児.右左短絡率(R/L rate)= 29.0%(FIG 2) 高度の右左短絡を示す.脳及び腎臓に取り込み が見られる. 種 々 の 程 度 の 右 左 短 絡 を 示 し た.R/L rate = 12.8 ~ 39.2%(平均 23.3%)であった. 臨床的に肝肺症候群を呈さない症例でも高値を 示す場合があった. 【結果2】 血液生化学検査と右左短絡との関係を調べた. AST, ALT, T-Bil, ChE, TBA などの肝機能検査値 と R/L rate の間に有意な関係はみられなかった. 一方 WBC, Plt と R/L rate との間に有意な負の相 関関係がみられた(P<0.05)(FIG 3,4). 肺 血流の右左短絡と脾機能亢進症(門脈血行異常 症)との関係が示唆される. 【考察】 肝機能障害が進行した場合,肺高血圧症や肺血 -26流の右左短絡などの肺血行動態の異常が発生す ることは肝肺症候群として以前より知られてい る.これらが進行した場合は非可逆的な肺高血 圧症は突然死などの生命予後を増悪させ因子と なり,また右左短絡は低酸素血症を引き起こし, 増悪すれば肺高血圧症同様に生命予後を大きく 左右する因子となる. 肺血流の右左短絡は一般的には肺血管が異常に 拡張することによる起こると考えられる.肺内 の毛細血管は通常 8 ~ 15 μmであるがこれが 500 μm程度まで拡張すると肺胞でのガス交換 が正常に行えなくなると考えられている. 肺の血管を拡張する因子として最も大きなもの と考えられているのが一酸化窒素(NO)であ る 3).肝肺症候群の患者の呼気中の NO 濃度が 上昇していたり,メチレンブルーで NO の生成 を抑制すると右左シャント量が低下するなどの 報告がある.これは肝障害による門脈血行異常 によりグラム陰性菌のトランスロケーションが おこりエンドトキシンの増加が NO の産生の増 加を引き起こすと考えられている. も う 一 つ の 因 子 と し て 肺 血 管 系 の Endothelin シ ス テ ム が 考 え ら れ て い る.Endothelin-1 が Endothelin-A receptor と結合することにより肺血 管 は 収 縮 し, ま た Endothelin-1 が Endothelin-B receptor と結合することにより肺血管は拡張す ることが知られている.肝肺症候群の患者では Endothelin-B receptor の数と活性度の増加があ り,NO の産生が増加するとしている 4). 今回我々は胆道閉鎖症患者においても肺血流の 右左シャントが存在することを明らかにした. またそれが門脈血行異常と関係することが示唆 された.小児における肝障害を引き起こす疾患 として胆道閉鎖症は重要な位置を占めている. それが肝機能障害だけでなく肺血流へも影響を 与え,ひいては生命予後にも影響を与えること が明らかになり,臨床的にも注意深く観察して いかなくてはならない点であると考えられる. 1) 2) 3) 4) 参考文献 陳 和 夫: 肝 肺 症 候 群, 呼 吸;2004,23: 699-703 Hoeper MM, Krowka MJ, Strassburg CP: Portopulmonary hypertension and hepatopulmonary syndrome. Lancet; 2004, 363: 1461-68 Fallon MB, Abrams GA, Luo B, et al: The role of endothelial nitric oxide synthase in the pathogenesis of a rat model of hepatopulmonary syndrome. Gastroenterology; 1997, 113: 606-14 Luo B, Liu L, Tang L, et al: Increased pulmonary vascular endothelin B receptor expression and responsiveness to endothelin-1 in cirrhotic and portal hypertensive rats: a potential mechanism in experimental hepatopulmonary syndrome. J Hepatol; 2003, 38: 556-63 FIG1: 症例1)18 歳 5 ヶ月,男児.右左短絡率(R/L rate)= 32.5%.高度の右左短絡を示す. 脾臓,肝臓及び甲状腺に取り込みが見られる. -27- FIG2: 症例2)4 歳 7 ヶ月,男児.右左短絡率(R/L rate)= 29.0%.高度の右左短絡を示す. 脳及び腎臓に取り込みが見られる. n = 12, rs = 0.678 p < 0.05 WBC (/mm3) 9000 8000 7000 6000 5000 4000 3000 2000 1000 0 0 10 20 30 R/L rate (%) 40 FIG3: 白血球数(WBC)と右左短絡率(R/L rate)との間に有意な負の相関関係がみられる(P<0.05). n = 12, rs = 0.629 p < 0.05 Plt (104/mm3) 35 30 25 20 15 10 5 0 0 10 20 R/L rate (%) 30 40 FIG4: 血小板数(Plt)と右左短絡率(R/L rate)との間に有意な負の相関関係がみられる(P<0.05). -28- -29<平成 19 年度研究報告> 腎奇形を合併する Beckwith-Wiedemann 症候群の 腎組織病理及び分子生物学的検討 小児腎疾患治療研究班 班長:藤丸季可 班員:山田浩、西垣五月、松村寿子 学会発表 多発性嚢胞腎を合併する Beckwith-Wiedemann 症候群の一例 藤丸季可、山田浩 第 29 回日本小児腎不全学会総会(松江)平成 19 年 9 月 27 - 28 日 論文発表 多発性嚢胞腎を合併する Beckwith-Wiedemann 症候群の一例 藤丸季可、山田浩 日本小児腎不全学会雑誌 第 28 巻 235-236 貢 2008 多発性嚢胞腎を合併する Beckwith-Wiedemann 症候群の一例 大阪市立北市民病院小児科 藤丸季可 大阪市立総合医療センター小児医療センター小児内科 山田浩 【はじめに】 Beckwith-Wiedemann 症 候 群( 以 下 BWS) は、 臍帯ヘルニア、巨舌、巨体を 3 主徴とする常 染色体優性遺伝の先天奇形症候群である1)。新 生児期低血糖、内臓腫大、半身肥大を合併す ることがある。男女比は 1:1。発生頻度は約 1/14000 と過成長症候群で最も高頻度にみられ るが、最終身長は標準程度に収まる。約 10% にウィルムス腫瘍などの胎児性腫瘍を合併する が、新生時期に顕著であった諸症状は年齢とと もに消失し、一般には予後良好である。知的障 害は通常ない。合併腎奇形としては、腎腫大、 髄質海綿腎、水腎症、また稀ではあるが腎不全 へ進行する可能性がある多発性嚢胞腎の報告が ある。今回、多発性嚢胞腎を合併する BWS の 一例を経過観察しているので報告する。 【症例】 14 歳女児 【家族歴】 同胞 3 人第 2 子。BWS や腎疾患の家族歴なし。 【周産期歴】 在 胎 26 週 頃 よ り 臍 帯 ヘ ル ニ ア を 指 摘 さ れ て い た。 在 胎 週 数 36 週 2 日、 出 生 体 重 3020g (Appropriate for date 上限)、自然分娩にて出生。 【経過】 日齢 0 に臍帯ヘルニア修復術を施行。また、巨 舌も認め、臍帯ヘルニア、出生体重より BWS と診断された。新生時期低血糖発作なし。腹部 腫瘤を認め、腹部超音波検査で両側腎腫大、エ コー輝度上昇、皮質髄質境界部の不明瞭を指摘 されたが、明らかな嚢胞病変は認めなかった。 生後、急速に両側腎腫大が進行したため、悪性 腫瘍を疑われ 3 ヶ月時に腎生検施行。幼弱だが 形態的異常のない糸球体と皮質・髄質に多数の 嚢胞がみられた(図 1)。悪性所見はなかった。 1 歳時より高血圧を加療されているが、半身肥 大、過成長、腫瘍病変は経過中認めていない。 現在、腹部超音波検査で、両側に境界不鮮明な 腎腫大と多発する嚢胞がみられる。腹部 CT 検 査では、肝嚢胞はみられないが、肝腫大や骨盤 腔に達する両側の腎腫大、大小不同の多数す -30る嚢胞、腎表面の不整、腎石灰化を認めている ( 図 2)。BUN 20.1mg/dl、Cre 1.19mg/dl で 軽 度 腎機能低下を呈している。染色体分染法検査は 46XX 正常女性型であった。 【考察】 BWS は、責任遺伝子座が 11p15.5 とされてお り、また均衡型転座例での転座染色体が全例母 由来であること、片親性ダイソミーが全例父由 来であることから、11p15.5 領域内の母性片親 発現を示すインプリンティング遺伝子の機能 不全、もしくは父性片親発現を示すインプリン ティング遺伝子の過剰発現が原因となるイン プリンティング疾患と考えられている1)。ヒト ゲノムでは、インプリンティング遺伝子領域 は 2 領域のみしか同定されておらず、BWS は 代表的なインプリンティング疾患である(他 は 15q11-q13 領 域 で、Prader-willi syndrome と Angelman syndrome が含まれる)。 BWS の病因として、父性片親性ダイソミーな どによる 11p15 領域の父方発現遺伝子 IGF-2 の 発現アレル数の増加が想定されており、この遺 伝子機能が胎児期の細胞増殖促進であること から、発現アレル数の増加により IGF-2 が胎児 期に過剰発現した結果、巨大児として成長する と考えられている。さらに、増殖機能の促進 が出生後腫瘍に罹患しやすい原因と考えられ ている。一方で、母性染色体上の転座例の病態 としては、転座切断点にある p57KIP2 遺伝子 (CDKN1C)が IGF-2 遺伝子発現抑制機能を有 し、P57KIP2 遺伝子の断裂もしくは変異により IGF-2 が抑制されなくなり過剰発現となること が想定されている 2)。最近 P57KIP2 遺伝子など の母方発現遺伝子を抑制するアンチセンス転写 因子 LIT1 がこの近傍でみつかり、この異常と BWS 発症の関係も注目されている。 本症例は、多発性嚢胞腎が生後より認められた が、Denise M. et al の報告と同様に、本症例も 組織所見と画像検査より、家族歴はないが常染 色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)を合併して いると考えられた 3)。しかし、ADPKD の原因 遺 伝 子 は PKD1(16p13.3) と PKD2(4q21-23) とされており、BWS の責任遺伝子座 11p15.5 と は異なった領域であった。各遺伝子の機能や相 互の役割、症状との関連などは今後の研究が待 たれる。 最後に、表 1 のように 3 主徴がそろわない不完 全型 BWS も散見されるため、2 つの主症状を みた場合には、BWS を念頭におき合併症の検 索を行う必要が示唆された 4)。特に、胎児性腫 瘍検索のために 5-6 歳までは腹部エコーを定期 的に行い、早期診断に努めるべきである。 【まとめ】 多発性嚢胞腎を合併する BWS の一例を経験し た。稀ではあるが、BWS の合併腎奇形に腎不 全へ進行する可能性がある多発性嚢胞腎がみら れることを念頭におき、腫瘍病変の早期発見を 含めて経過観察する必要性が示唆された。 【文献】 1)副 島 英 伸, 他:Beckwith-Wiedemann 症 候 群.小児科診療 第 64 巻 増刊号(Vol.64/ Suppl.) 2)Hatada I. et al. : Genomic imprinting of p57KIP2, a cyclin-dependent kinase inhibitor, in mouse. Nat Genet 11:204-6, 1995 3)Denise M. et al. : Beckwith- Wiedemann syndrome and its association with type Ⅲ polycystic kidney disease. Pediatr Nephrol(1989)3:286-289 4)岡本伸彦,他:Beckwith-Wiedemann 症候群 の自然歴.小児科臨床 52:1476-1480 19997 -31- 図1 腎生検組織像 �������������������������������� 図2 腹部CT(8歳時) 表1 本邦におけるBWS34例のまとめ (��4���������) 巨舌 33例(97%) 臍異常 24例(70%) +1.5SD以上のHFD児 22例(68%) 早産 18例(53%) 新生児低血糖 10例(29%) 内臓腫大 12例(35%) 半身肥大 11例(32%) 腫瘍発生 5例(15%) 水腎症 1例 3主徴 -32- -33<平成 19 年度研究報告> 当院で経験した細菌性赤痢・腸チフス・パラチフス患者から 分離された菌株の薬剤耐性の動向 感染症ならびに救命医療に関する調査・研究班 班長:中村匡宏 班員:後藤哲志、片山智香子 【目的】 近年、細菌性赤痢・腸チフス・パラチフスの 輸入感染症から薬剤耐性菌が多く分離されてい る。旅行者下痢症においてニューキノロン系薬 が第 1 選択薬として使用されることが多いが、 特にチフス、パラチフスのニューキノロン系薬 に対する耐性化が進んでいる。しかも通常の感 受性検査ではニューキノロン耐性は検出できな いため、ニューキノロン系薬の使用により治療 が無効であったり、長期化したりすることがあ る。 細菌性赤痢・腸チフス・パラチフス A に対する 適切な抗菌薬を選択するにあたり、耐性菌の動 向を知ることは非常に重要である。そこで本研 究では、当院で経験した細菌性赤痢・腸チフス・ パラチフスの患者から分離された菌株の抗菌薬 に対する感受性を調べ、渡航先、臨床経過を調 査することにより、耐性菌の頻度、年次経過、 渡航先による分布の相違を明らかにした。 【方法】 1.研究デザイン 後方視的症例研究。 2.対象 平成 15 年から平成 18 年までに当院で経験した 細菌性赤痢・腸チフス・パラチフス A 患者。 3.診断基準 1)細菌性赤痢 便培養で Shigella dysenteriae, S.flexneri, S.boydii, S.sonnei のいずれかが検出された時 2)腸チフス、パラチフス 血 液、 便、 尿 の い ず れ か の 検 体 の 培 養 で Salmonella thphi、S. paratyphi が検出された時 4.研究方法 各種培養より検出された菌の抗菌薬感受性検査 結果より、βラクタム薬やニューキノロン系薬 などの通常臨床で使用される抗菌薬対する耐性 菌の割合や年次変化を調べた。また患者の渡航 先より国別の各種抗菌薬に対する耐性菌の割合 を調査した。 【結果】 年毎の検出菌、渡航先、薬剤耐性を表にまとめ た。(TABLE 1) 各菌におけるナリジクス酸耐性について検討し た。赤痢菌は 28 例中 15 例(53.6%)、チフス菌 が 12 例中 4 例(33.3%)、パラチフス A が 7 例 中 6 例(85.7%)がそれぞれナリジスク酸耐性 であった。(FIG 1) 年度別にみたナリジクス酸 耐性率は、赤痢菌では平成 15 年は 3 例中 1 例 (33.3 %)、 平 成 16 年 は 6 例 中 2 例(33.3 %)、 平成 17 年は 10 例中 6 例(60%)、平成 18 年は 9 例中 6 例(66.7%)であった。チフス菌では 平成 15 年が 4 例中 2 例(50%)、平成 16 年が 1 例 中 1 例(100 %)、 平 成 17 年 が 3 例 中 0 例 (0%)、平成 18 年が 4 例中 2 例(50%)であっ た。パラチフス A では平成 15 年が 2 例中 2 例(100 %)、 平 成 16 年 が 3 例 中 4 例(75 %)、 平成 17 年が 0 例、平成 18 年が 1 例中 1 例(100%) であった。 渡航先について検討した結果、細菌性赤痢、腸 チフス、パラチフスを発症した患者はインド渡 航者が最も多く 47 例中 25 例(重複あり)あった。 次いでインドネシア渡航者が多く 8 例であった。 その他の渡航先としてタイ、ミャンマーなどの 東南アジアの国が多かった。渡航先とナリジク ス酸耐性との関係について検証した結果、イン ド、バングラディシュ、パキスタン、ネパール などの南インドにナリジスク酸耐性菌が多く、 -3429 例中 25 例(86.2%)にナリジスク酸耐性菌 が分離された。南インドの中ではインドからの 渡航者が最も多く、ナリジスク酸耐性は 25 例 中 21 例(84%)であった。一方、インドネシ ア、タイ、ミャンマー、ベトナムなどの東南ア ジアではナリジスク酸耐性は 20 例中 7 例(35%) で、特にインドネシアでは 8 例中耐性は 1 例も なく、インドなどの南アジアに比べて耐性菌は 少なかった。またアフリカではナリジスク酸耐 性は 1 例もなかった。(FIG 2) 【考察】 以前はチフス、パラチフスに対してはβラクタ ム薬よりもニューキノロン系の方が治療成績が 良いという報告があったため、1) 細菌性赤痢、 腸チフス、パラチフスに対して従来はニューキ ノロン系薬で治療が行われてきたが、最近は耐 性化が進んでいる。 特にこれらの菌に対する耐性の問題点は通常の 感受性検査では耐性が検出できないということ である。チフス、パラチフスに対するキノロン 耐性は低レベルであっても治療効果に影響を与 える。基準では最小発育阻止濃度(MIC)が1 以下で感受性と判断されるが、実際は MIC が 0.25-1.0 でも低レベルな耐性になる。低レベル な耐性菌を検出する方法としてナリジクス酸の 感受性検査が推奨されている。 オフロキサシンによる治療を受けた 150 人の患 者の後向き研究によるとナリジクス酸耐性株は 感受性株に比べて治療期間が長く(256 vs. 84 hr)、再治療率が高かった(33 vs. 0.8%)と報告 されている。2) 別の研究では、シプロフロキサ シンの感受性が低下した株(MIC 0.125-0.5)は すべてナリジクス酸耐性だったが、シプロフロ キサシンに十分感受性がある群でナリジクス酸 耐性だったものは 1.3%のみであり、さらにナ リジクス酸耐性株はすべてキノロン耐性の遺伝 子変異を保有していたと報告している。3) 渡航先ではインドを始めとする南アジアから 帰国した患者から検出された多くの株がナリジ クス酸耐性であり、ニューキノロン低感受性菌 が蔓延している。南アジアから帰国した患者に 対する経験的治療でニューキノロン系薬を選択 することは避けた方が良い。細菌性赤痢につい てはニューキノロン低感受性菌が治療効果にど のような影響を与えるかはまだ十分に分かって いないが、腸チフス、パラチフスにおいては ニューキノロン系低感受性菌は臨床的にも治療 効果に影響を与えるということが分かってい る。したがって腸チフス、パラチフスに対する 経験的治療では第3世代セファロスポリン系薬 を選択した方が安全である。南アジア以外の国 ではまだ耐性菌が少なく、ニューキノロン系の 効果が十分に期待できる。特に今回の研究では インドネシアでは耐性菌は検出されなかった。 細菌性赤痢、腸チフス、パラチフスは平成 19 年 3 月までは二類感染症に指定されていたため 原則的には感染症指定医療機関でしか診療が行 えなかった。しかし、平成 19 年 4 月 1 日から 三類感染症に変更されたため、指定医療機関以 外でも治療可能な疾患となった。一般的な医療 機関では通常の薬剤感受性試験しか行われてお らずナリジクス酸による感受性試験を行ってい ないことも少なくはない。そのためニューキノ ロン系薬が誤って感受性菌と判定されてしまう ことも考えられる。特にインドなどの南アジア ではニューキノロン低感受性菌が多いためナリ ジスク酸感受性試験を行っていない医療機関で はニューキノロン系薬による治療は避けた方が 無難である。経験的治療を行う場合には渡航先 も考慮し治療薬を選択することが重要である。 参考文献 1)M D Smith, N M Duong, and N T Hoa, et al: Comparison of ofloxacin and ceftriaxone for short-course treatment of enteric fever. Antimicrob. Agents Chemother; 1994, 38:1716-1720 2)Wa i n J , H o a N T, a n d C h i n h N T, e t a l : Quinolone-resistant Salmonella Typhi in Viet Nam: molecular basis of resistance and clinical response to treatment. Clin Infect Dis ; 1997, 25:1404-10 3)Hakanen, A., P. Kotilainen, and J. Jalava, et al: Detection of decreased fluoroquinolone susceptibility in salmonellas and validation of nalidixic acid screening test. J. Clin. Microbiol; 1999, 37:3572-3577 -35�A����1 �����菌��������� 菌 ��� ��15� 1 腸チフス インド 2 腸チフス バングラデシュ 3 パラチフスA インド 4 パラチフスA インド 5 腸チフス ナイジェリア 6 腸チフス インド・ミャンマー・タイ・バングラデシュ 7 赤痢 日本 8 赤痢 中国 9 赤痢 インド ��16� 10 赤痢 インドネシア 11 赤痢 インド 12 赤痢 インド 13 赤痢 マダガスカル 14 赤痢 インドネシア 15 赤痢 カンボジア 16 腸チフス インド 17 パラチフスA インド 18 パラチフスA インドネシア 19 パラチフスA ミャンマー 20 パラチフスA インド・パキスタン ��17� 21 赤痢 インド 22 赤痢 インド・タイ・カンボジア 23 赤痢 インド 24 赤痢 インドネシア 25 赤痢 ベトナム 26 赤痢 タイ 27 赤痢 インド 28 赤痢 インド 29 赤痢 イラン 30 赤痢 インド 31 腸チフス インドネシア 32 腸チフス インドネシア 33 腸チフス インドネシア ��18� 34 赤痢 インド 35 赤痢 インド 36 赤痢 インド 37 赤痢 インド 38 赤痢 エジプト 39 赤痢 インド 40 赤痢 インド 41 赤痢 スリランカ 42 赤痢 タイ・ミャンマー 43 腸チフス タイ・ラオス・ベトナム・インド・ネパール 44 腸チフス マダガスカル 45 腸チフス インド 46 パラチフスA インド 47 腸チフス インドネシア *NA:ナリジクス酸 NA��* �� あり あり あり あり なし 不明 不明 あり 不明 なし あり あり なし なし なし あり あり なし あり あり なし あり あり なし あり なし あり あり なし あり なし なし なし あり あり あり なし なし あり あり あり なし あり なし あり あり なし 菌株なし 菌株なし 菌株なし -36- FIG 1 各菌におけるナリジクス酸耐性率 30 25 20 不明 なし あり 15 10 5 0 赤痢 チフス パラチフス FIG 2 渡航先別のナリジクス酸耐性率 30 25 20 不明 なし あり 15 10 5 の 他 そ フ リ カ ア ア ジ ア イ ー 東 南 ミャ ン マ ン ド イ タ ア ネ シ ジ ア 南 イ ン ド ア 0 FIG 2 南アジア:バングラディシュ、パキスタン、ネパール 東南アジア:タイ、ミャンマー、ベトナム、ラオス、カンボジア アフリカ:エジプト、ナイジェリア、マダガスカル その他:イラン、中国、日本 -37<平成 19 年度研究報告> テーマ:入院時監視培養検査の有用性に関する研究 研究班名:院内感染予防研究班 班長名:大野耕一 班員名:中村哲郎、正畠和典 学会発表: 1) 小児外科病棟における入院時監視細菌培養の有用性. 大野耕一、中村哲郎、東 孝、吉田達之、林 宏昭、中平公士 第 107 回日本外科学会定期学術集会(大阪)平成 19 年 4 月 13 日 2) 入院時監視細菌培養の有用性. 大野耕一、中村哲郎、東 孝、吉田達之、林 宏昭、中平公士 第 44 回日本小児外科学会学術集会(東京)平成 19 年 5 月 31 日 3) メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) 保菌患児に対する病棟内感染予防対策 第 45 回日本小児外科学会学術集会(つくば)平成 20 年 5 月 30 日 大野耕一、中村哲郎、東 孝、吉田達之、山田弘人、林 宏昭、正畠和典 論文発表: 1) 院内重症感染症の予防対策-入院時監視細菌検査による感染症コントロール 大野耕一、中平公士、中村哲郎、東 孝、山田弘人、吉田達之、林 宏昭、正畠和典 小児外科、39 巻 12 号、1408-1412 頁、平成 19 年 12 月 2) Surveillance of bacteriological examinations at hospitalization in a pediatric surgical ward Koichi Ohno, Tetsuro Nakamura, Takashi Azuma, Tatsuyuki Yoshida, Hiroto Yamada, Hiroaki Hayashi, Kazunori Masahata Journal of Pediatric Surgery, 43, 1507-1510, 2008 はじめに 重篤な院内感染症が世界的に問題となっている が1-4)、最近では病院以外にも多剤耐性菌の保 菌者や日和見感染の原因となり得る病原菌の保 菌者が存在している 5、6)。これらの保菌者が 小児外科病棟に入院する際に病原菌が持ち込ま れ、術後感染や院内感染症の原因となる可能性 がある。そこでメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 ( 以下 MRSA と略 )、メチシリン耐性表皮ブド ウ球菌 ( 以下 MRSE と略 )、緑膿菌 ( 以下 PA と略 ) の保菌者を把握し、術後感染症と病棟内感染症 の予防対策の一つとして、入院時に監視細菌培 養検査を行った。 Ⅰ.対象と方法 平成 16 年 6 月から平成 19 年 2 月までに小児外 科病棟に入院または転棟し、4 日以上入院した 延べ 492 例 を対象とした。患児の年齢は第 0 生日~ 24 歳 6 ヶ月、性別は男児 279 例 、女児 213 例であった。 入院後 48 時間以内に咽頭粘液と便の細菌培養 検査を行い、泌尿器疾患を有する症例では尿培 養検査を、感染巣を有する症例では膿または排 液の培養検査を追加した。MRSA、MRSE、PA の保菌者には除菌目的の抗菌剤投与は行わず、 接触感染予防として手洗いと 80% エタノール 含有アルコールワイパーによる環境整備を励行 し、汚物処理を厳重に行った。咽頭粘液からこ れらの病原菌が検出された患児では飛沫感染予 防としてマスクの着用を義務付け、スクリーン で他の患児から隔離した。手術例では培養結果 を参考にして抗菌剤を選択した。 -38対象症例の再入院回数、MRSA、MRSE、PA の 保菌率、MRSA、MRSE、PA 以外の院内感染原 因菌の保菌率、検討期間中の MRSA、MRSE、 PA による病棟内感染症の発生について検討し た。また手術が行われた MRSA、MRSE、PA 保 菌者について、投与された抗菌剤、術式、術後 感染症の有無について後方視的に検討した。 PA による術後感染症はみられなかった(表 3)。 �1����のMRSA�MRSE�PAの保菌率 MRSA MRSE PA 咽頭粘液 7.1 %(35検体) 2.4 %(12検体) 4.3 %(21検体) 便 4.7 %(22検体) 0.6 %(3検体) 2.4 %(11検体) その他 11.3 %(9検体) 1.3 %(1検体) 12.5 %(10検体) 保菌率 10.2 %(50例) 2.8 %(14例) 6.9 %(34例) MRSA and/or MRSE and/ or PA 咽頭粘液 Ⅱ.結 果 研 究 期 間 中 に 72 例(14.6%) が 2 回以 上 入 院 しており、再入院回数は 5 回が 1 例、4 回が 6 例、3 回が 7 例、2 回が 58 例であった。総検体 数は 1039 検体で、咽頭粘液 492 検体、便 467 検体、その他 80 検体(尿 68 検体、膿・排液 10 検体、皮膚 2 検体)であった。MRSA は 50 例 66 検 体、MRSE は 14 例 16 検 体、PA は 34 例 42 検体から検出され、各々の保菌率は 10.2%、 2.8%、6.9% であった。また 86 例 115 検体から MRSA、MRSE、PA のいずれかが検出され、全 体の保菌率は 17.5% であった(表 1)。その他 の耐性菌または日和見感染の原因となり得る院 内感染原因菌が 43 例から検出され、保菌率は 8.7% であった(表 2)。また研究期間中の 2 年 7 ヶ 月間に同じ病棟に入院していたすべての患児で MRSA、MRSE、PA による病棟内感染はみられ なかった。 MRSA、MRSE、PA 保菌者 86 例中 42 例(48.8%) に手術が行われ、これらの細菌に感受性がある 抗菌剤が投与された症例は 21 例(50.0%)であっ た。細菌別にみると、MRSA 保菌者 25 例中 11 例(44.0%)、PA 保 菌 者 18 例 中 11 例(61.1%) で感受性のある抗菌剤が投与されていた。また 感受性のある抗菌剤が投与された MRSA 保菌者 11 例 中 5 例(45.5%)、PA 保 菌 者 11 例 中 7 例 (63.6%)が消化管手術(汚染手術または非清潔 手術)であった。これに対して感受性がない抗 菌剤が投与された MRSA 保菌者 14 例中 12 例 (86.7%)、PA 保 菌 者 7 例 中 5 例(71.4%) は 清 潔手術、体表手術、泌尿器手術であった。また 消化管手術が行われた MRSA、MRSE、PA 保菌 者 5 例では、細菌検査の結果が報告された時点 で術後急性期を過ぎて感染徴候がみられなかっ たため、感受性のある抗菌剤に変更されなかっ た。その結果、研究期間中に MRSA、MRSE、 12.4 %(61検体) 便 7.7 %(36検体) その他 22.5 %(18検体) 保菌率 17.5 %(86例) MRSA: methicillin-resistant Staphylococcus aureus, MRSE: methicillin-resistant Staphylococcus epidermidis, PA: Pseudomonas aeruginosa �2:�院��検出された��SA���SE�PA���院内感染原因菌 1.保菌率:8.7 % (43/492例) 2.検出された院内感染原因菌 Escherichia coli (ESBL) Streptococcus pyogenes 2例 Enterobacter cloacae 9例 Aeromonas sobria 1例 Haemophilus influenzae 4例 Campylobacter coli 1例 12例 (ABPC耐性/低感受性) Acinetobacter baumannii/ haemolyticus Escherichia coli (O-157) 1例 Streptococcus pneumonia (PISP) 1例 1例 3例 Serratia marcescens Campylobacter jejuni 2例 Stenotrophomonas maltophlia 1例 Clostridium difficile 2例 Streptococcus mitis 1例 Klebsiella pneumonia (ESBL) 2例 ESBL: extended spectrum β-lactamases, ABPC: ampicillin, PISP: penicillin intermediate Streptococcus pneumonia �3:MRSA、MRSE、PA�保菌者�投与���抗菌剤�術式 (42例:����) 1.MRSA保菌者(25例): 感受性抗菌剤投与例(11例:VCM 10例, ABK 1例) 総排泄腔根治術*、十二指腸潰瘍大網充填術*、Pena手術*、会陰式肛門形成術*、人工肛門閉鎖術*、 腹腔鏡下脾臓摘出術、腹腔鏡下噴門形成術、脳室腹腔シャント造設術、膣形成術、尿道下裂手術 非感受性抗菌剤投与例(14例) 腸閉塞手術*、脱肛手術*、腫瘍生検術、皮下膿瘍切開術、会陰部脂肪腫切除術、鼠径ヘルニア修復術、幽門 筋切開術、開腹下噴門形成術、恥骨前瘻孔切除術、リンパ管腫硬化療法、食道内視鏡検査、内視鏡的結腸ポ リープ切除術、腎臓摘出術 2.MRSE保菌者(5例): 非感受性抗菌剤投与例(5例) 小腸閉鎖根治術*、十二指腸閉鎖根治術*、腸閉塞手術*、仙尾部奇形腫切除術、試験開腹術 3.PA保菌者(18例): 感受性抗菌剤投与例(11例:TOB 6例, AMK 3例, IPM/CS 1例, CAZ 1例, PIPC 1例) Pena手術*、胃瘻造設術*、人工肛門造設術*、十二指腸潰瘍大網充填術*、虫垂切除術*、十二指腸狭窄根 治術*、 ヒルシュスプルング病根治術*、開腹下噴門形成術、植皮術 非感受性抗菌剤投与例(7例) Pena手術*、腸閉塞手術*、会陰部脂肪腫切除術、腹腔鏡下噴門形成術、幽門筋切開術、開腹下噴門形成術、 精巣血管結紮術 VCM: vancomycin, ABK: arbekacin, TOB: tobramycin, AMK: amikacin, IPM/CS: imipenem/cilastatin, CAZ: ceftazidime, PIPC: piperacillin, *: 消化管手術 Ⅲ.考察 多剤耐性菌や日和見感染の原因となり得る病原 菌による院内感染症のブレイクアウトが世界的 に問題となっている 1-4)。小児外科病棟に入 院する患児は脆弱で入退院を繰り返すことが多 く、健常児に比べて感染症に罹りやすいうえに 病原菌を保菌する機会も多い6、7)。これまで一 般に MRSA をはじめとする耐性菌は抗菌剤の 乱用によって病院内で耐性を獲得して伝播する と考えられてきた。そして耐性菌による院内感 -39染症が発症すると、しばしば医療従事者が責任 を問われることもあった。しかし最近では一般 の生活環境にも耐性菌や病原菌の保菌者が存在 し5、6)、これらの保菌者が病原菌を病棟内に持 ち込み、重篤な術後感染症や院内感染症の原因 となる可能性がある。 1.MRSA、MRSE、PA および院内感染原因菌 の保菌率 小児外科病棟に入院する患児の 10.2 % は既に MRSA を保菌しており、MRSE と PA を含める と保菌率は 17.5 % に達した。さらに 8.7 % の患 児は MRSA、MRSE、PA 以外の院内感染原因菌 を保菌していた。そこで入院時にこれらの保菌 者を把握し、病棟内感染症および術後感染症を 防ぐ対策を講じることは極めて重要である8)。 2.MRSA、MRSE、PA の病棟内伝播の予防 まず保菌者から同じ病棟に入院している他の患 児に耐性菌や病原菌を伝播させないことが重要 となる。ムシロピン点鼻薬などによって MRSA を除菌する試みも行われているが、その効果は 確実ではない9)。そこで除菌目的の抗菌剤投与 は行わず、感染コントロールチームと連携のう え接触感染予防として厳重な手洗い、環境整 備、汚物処理を行った。さらに咽頭粘液から MRSA、MRSE、PA が検出された患児では飛沫 感染予防としてマスクを着用させ、スクリーン で隔離して他の患児との接触を制限した。その 結果、これらの病原菌が他の患児へ伝播するこ となく、病棟内感染症のブレイクアウトもみら れなかった。さらに除菌目的の抗菌剤投与を行 わないことは抗菌剤の乱用を避けることにもつ ながると考える。 3.MRSA、MRSE、PA 保菌者の手術例に対す る抗菌剤の選択 小児外科病棟に入院する患児の多くは手術を目 的 と し て お り、MRSA、MRSE、PA 保 菌 者 86 例中 42 例(48.8%)が外科治療または検査を受 けていた。しかしこれらの病原菌に感受性のあ る抗菌剤が投与された手術患児は 21 例(50%) のみであった。その結果、術後感染症がみられ なかったことから、我々の抗菌剤の選択には妥 当性があるものと思われた。まず感受性のある 抗菌剤が投与された手術例の約半数は消化管手 術(汚染手術または非清潔手術)であった。ま た清潔手術でも脳室腹腔シャント術や植皮術で は感受性のある抗菌剤が選択されていた。一方 感受性がない抗菌剤が投与された手術例をみる と、その多くは清潔手術、体表手術、泌尿器手術、 内視鏡手術であった。また感受性がない抗菌剤 が投与された 5 例の消化管手術例を検討すると、 細菌培養検査の結果が報告されたときには術後 の急性期を過ぎて病状が安定していた。 以上の抗菌剤の投与状況から考えると、手術を 施行された保菌者全員に感受性のある抗菌剤を 投与する必要はなく、選択的に投与することで 術後感染症は予防可能である。消化管手術例の 多くで感受性のある抗菌剤が選択されていた が、術後の病態が安定し、感染兆候がない保菌 者では必ずしも感受性のある抗菌剤に変更する 必要はない。また消化管手術以外の清潔手術、 体表手術、泌尿器手術では、原則として感受性 のある抗菌剤は必要ないと考えられた。ただし、 完全な清潔が要求される手術(脳室腹腔シャン ト術、植皮術など)では感受性のある抗菌剤の 予防投与を否定するものではない。手術を施行 された保菌者に対して感受性のある抗菌剤を選 択的投与することは、新たな耐性菌の発生を防 ぐことにも有効と思われる。 おわりに 入院時監視細菌培養検査を行うことによって、 院内感染原因菌の保菌者が把握でき、病棟内感 染症と術後感染症を防ぐことができる。保菌者 に対して除菌目的の抗菌剤投与は必要なく、厳 重な手洗い、汚物処理、環境整備を行うことに よって病棟内感染症を防ぐことが可能である。 手術を施行された保菌者でも感受性のある抗菌 剤を選択的に投与することで術後感染症を予防 することが可能である。さらに抗菌剤の乱用を 避けることは新たな耐性菌の発生を防ぐことに もつながると考えられる。 文 献 1) 2) Iversen BG, Jacobsen T, Eriksen HM, et al: An outbreak of Pseudomonas aeruginosa infection caused by contaminated mouth swabs. Clin Infect Dis 44: 794-801, 2007 Hoshii S, Wada N, Honda M: Japanese study -40- 3) 4) 5) 6) 7) 8) 9) group of pediatric peritoneal dialysis. Pediatr Nephrol 21: 828-834, 2006 Sfeir PF, Choucair JE, Berbari EF: Pseudomonas aeruginosa bacteremia at a tertiary care center: a cohort study. J Med Liban 54: 191-195, 2006 Tekerekoglu MS, Durmaz R, Ay S, et al: Epidemiologic and clinical features of a sepsis caused by methicillin-resistant Staphylococcus epidermidis (MRSE) in a pediatric intensive care unit. Am J Infect Control 32: 362-364, 2004 Adedeji A, Weller TM, Gray JW: MRSA in children presenting to hospital in Birmingham, UK. J Hosp Infect 65: 29-34, 2007 Naas T, Fortineau N, Spicq C, et al: Thee-year survey of community-acquired methicillinresistant Staphylococcus aureus producing Panton-Valentine leukocidine in a French university hospital. J Hosp Infect 61: 321-329, 2005 Huang YC, Chou YH, Su LH, et al: Methicillinresistant Staphylococcus aureus colonization and its association with infection among infants hospitalized in neonatal intensive care units. Pediatrics 118: 469-474, 2006 Solberg CO: Spread of Staphylococcus aureus in hospital: causes and prevention. Scand J Infect Dis 32: 587-595, 2000 Hayakawa T, Hayashidera T, Katsura S, et al: Nasal mupirocin treatment of pharynxcolonized methicillin-resistant Staphylococcus aureus: preliminary study with 10 carrier infant. Pediatr Int 42: 67-70, 2000 (小児外科、39 巻 12 号、1408-1412 頁、平成 19 年 12 月) -41<平成 19 年度研究報告> 研究テーマ:子宮癌の新しい分子マーカーの解析 大阪市婦人科悪性腫瘍化学療法研究班 班長 西村貞子 協力者 津田浩史 川村直樹 徳山治 永田麻水 学会発表 (1)Microdissection and extraction of RNA from cancer and stromal tissues in epithelial ovarian cancer. 津田浩史、荒尾徳三、西村貞子、川村直樹、西尾和人 第 66 回日本癌学会(横浜) 2007 年 10 月 3 日 (2)Hypoxia-inducible protein 2 (HIG2) is a new biomarker of ovarian clear cell adenocarcinoma. (only proceedings) Nishimura S, Tsuda H, Ito K, Kita T, Terai Y, Sudo T, Jobo T, Kigawa J, Sugiyama T, Yaegashi N. 43th ASCO annual meeting, Chicago June, 2007. 論文発表 (1)Differential expression of ABCF2 protein among different histologic types of epithelial ovarian cancer, and in clear cell adenocarcinomas of different organs. Nishimura S, Tsuda H, Ito K, Jobo T, Yaegashi N, Sudo T, Berkowitz RS, Mok SC. Human Pathol, 38, 134-139, 2007. 【目的】 近年、本邦において子宮体癌は急増している。 子宮体癌は I+II 期においては 80% の生存率が 得られるが、III+IV 期においては 30 - 40% 程 度の生存率であり、早期発見が極めて重要であ る。またその治療は、手術療法、放射線療法お よび化学療法を組み合わせた集学的治療が実施 される。しかしながらその診断および治療には いくつかの問題点がある。①検診は、出血を伴 う閉経後婦人を対象に内膜細胞診にて施行され るが、その検診精度は低い、②卵巣癌と異なり 精度の高い腫瘍マーカー(CA125)がないため、 診断や治療後のモニタリングが難しい、といっ た問題点がある。我々はこれまで卵巣癌を対象 とした解析で、診断・治療につながる新しい分 子マーカーの候補をスクリーニングした。本研 究の目的は、これらの分子マーカーの子宮体癌 での意義を解明することである。 【対象と方法】 (1)対象 文章同意が得られた子宮体癌 60 例の凍結 組織である。 (2)RNA 抽出 凍結組織より、RNA 抽出キット ( キアゲン 社 ) にて、RNA を抽出する。 (3)定量的 PCR 法 我々が卵巣癌にてスクリーニングした抗癌 剤感受性、癌の発癌および進展に関与する ことが予測される 3 遺伝子 (GNB、LYA16、 SIDA) につき、定量的 PCR 法にて RNA の 発現を半定量する。 (4)RNA 発現と臨床的パラメーターおよび予 後との相関を検討する。 【倫理的配慮】 研究等における医学倫理的配慮について 本研究に関する全ての研究者はヘルシンキ宣 言に従って研究を実施する。対象は全て大阪市 -42立総合医療センターの症例である。全ての検体 は文章同意が取得されている。患者のプライバ シーを保護する目的で、全ての検体は番号化し て、それらの情報については本研究責任者のみ が把握するものとする。また既に倫理委員会の 承認は得られている。 【結果】 (1)臨床的パラメーターとの関連 GNB、LYA16、SIDA 遺 伝 子 発 現 を、 GAPDH 遺伝子産物をコントロールにして 定量的 PCR にて検討した。発現比の中央 値より高発現例を高発現群として臨床的パ ラメーターとの相関を解析した。各 RNA 発現と年齢、手術進行期、分化度との間に は相関関係はなかった。 (2)予後との関連 GNB および LYA16 遺伝子発現と抗癌剤感 受性および生命予後との間には有意な相関 関係は認めなかった。しかしながら SIDA 遺伝子高発現群では有意に生存期間は短 かった ( 図 1, p=0.0497)。 【考察】 子 宮 体 癌 は 大 半 が I+II 期 で 発 見 さ れ 予 後 も 良好であるが、III+IV 期症例では予後不良で あり、早期発見が重要である。また卵巣癌の CA125 のような鋭敏な腫瘍マーカーもない。ま た予後を予測しうる分子マーカーの報告も少な い。今回の研究では、卵巣癌の予後と関連して いることを確認した分子マーカーである GNB、 LYA16、SIDA の発現と体癌の臨床的パラメー ターおよび予後との相関を検討した。その中で SIDA 遺伝子発現と予後が相関していた。今後、 同遺伝子産物に対する抗体を作成して、蛋白レ ベルでの検討を加える予定である。 【参考文献】 1. Scully RE, Young RH, Clement PB. : Tumors of the ovary, Maldeveloped Gonads, Fallopian Tube, and Broad Ligament. Atlas of Tumor Pathology. 3rd series, Fascicle 23. Washington, DC: Armed Forces Institute of Pathology. 1998. 2. Russel P. : Surface epithelial-stroma tumors of the ovary. In: Kurman RJ. Blaustein’s pathology of the female genital tract. 4th edition. New York: Springer-Verlag 1994; 705-782. 3. Goff BA, Sainz de la Cuesta R, Fuller AF Jr., et al : Clear cell carcinoma of the ovary: a distinct histologic type with poor prognosis and resistance to platinum-based chemotherapy in stage 3 disease. Gynecol Oncol 1996; 60: 412-417. 4. Behbakht K, Randall TC, Rubin SC, et al : Clinical characteristics of clear cell carcinoma of the ovary. Gynecol Oncol 1998; 70: 255-258. 5. Tsuda H, Ito YM, Ohashi Y, Mok SC, et al : Identification of overexpression and amplification of ABCF2 in clear cell ovarian adenocarcinomas by cDNA microarray analyses. Clin Cancer Res 2005; 11: 6880-6888. 6. Abeler VM, Kjorstad KE, Berie E. : Carcinoma of the endometrium in Norway: A histopathological and prognostic survey of a total population. Int J Gynecol Cancer 1992; 2: 9-22. 7. Yagoda A. Phase II cytotoxic chemotherapy trials in RCC: 1983-1988. Prog. Clin. Biol. Res. 1990; 350: 227-41. 8. Bukowski RM. Natural history and therapy of metastatic renal cell carcinoma. Cancer 1997; 80: 1198-220. 9. Matias-Guiu X, Lerma E, Part J. : Clear cell tumors of the female genital tract. Semin Diag Pathol 1997; 14: 233. 10. Ryan TA. : Significance tests for multiple comparison of proportions, variances, and other statistics. Psychologicall Bulletin 1960; 57, 318328. -43図 1 SIDA 遺伝子の発現率と生命予後 ( 100 90 80 累 積 70 生 60 存 50 率 40 % 30 20 10 0 高発現群 ) 低発現群 0 500 1000 1500 生存期間(時間) 2000 2500 3000 -44- -45<平成 19 年度研究報告> 色素性病変に対するダーマスコピーの有用性について 皮膚研究会 班長 前川直輝 班員 山中一星、國行秀一 【はじめに】 近年、皮膚科診療に取り入れられたダーモス コピーを用いると、肉眼的に認識できない様々 な所見が明瞭に認められることが認識されてき ている。 今回われわれも、足底の色素性病変に対して、 ダーモスコピーの有用性を検討した。 【対象および方法】 当院に受診した足底の色素性病変の患者で切 除し病理検査を行った患者において検討した。 まず、肉眼で診断し、その後ダーモスコピー で観察、記録を行う。使用する機器としては、 derma9500® を使用した。ダーモスコピーの診 断法としては、二段階診断法を用いた。最終的 に切除して病理組織を検討し、肉眼での診断、 ダーモスコピーでの診断の有用性を検討した。 【結果】 肉眼での診断は、悪性黒色腫と疑われた症例 が、2 例であったが、ダーマスコピーで悪性は、 1 例であった。病理の結果は、ダーマスコピー と一致した ( Fig.1 )。 【代表症例】 症例2 35 歳、女性。 既往歴、家族歴:特記すべきことなし。 主訴:足底の色素斑 現病歴:約4年前より左足に色素斑が出現し てきた。近医を受診し悪性黒色腫と診断され、 当院に紹介された。 現症:左足に 8 × 6mm の色素斑を認める ( Fig.2 )。辺縁不整で、色調の濃淡を認めた。 ダーモスコピー所見:全体としては、fibrillar pattern で あ っ た。 悪 性 を 示 唆 す る、irregular diffuse pigmentation ,irregular dots/globules, irregular streaks, abrupt edge などは認めなかった。 以上より、ダーマスコピーでは、良性と診断し た ( Fig.3 )。 病理組織学的所見:真皮表皮境界部に、nevus cell と考えられるメラニンを有する細胞が小胞 巣形成性に増生し、異系な細胞を認めなかった。 Junctional nevus と診断された ( Fig.4 )。 【考察】 ダーモスコピーを用いて色素性病変を観察す ると、肉眼的には認識で気なし様々な所見が認 められる。理由として、単に拡大像を観察する だけの検査法でないからである。ダーモスコ ピーでは、光の乱反射を防止して 10 から 50 倍 に拡大して観察する。これによって、表皮全層 から真皮上層部までの色調の分布が認識できる ようになる。 ダーモスコピーの診断手順としては、二段階 診断法 1) が頻用される。これは、まず、メラノ サイト系病変の有無を検討する。次に第2段階 はメラノサイト系の病変が悪性か良性かを判定 する段階である。特に掌蹠の場合は特有の所見 を有する。 つ ま り 皮 溝 平 行 パ タ ー ン parallel furrow pattern, 格子状パターン lattice-like pattern, 線維 状 パ タ ー ン fibrillar pattern, 皮 丘 平 行 パ タ ー ン parallel ridge pattern の4型に分類 2) される。こ のうち皮丘平行パターンが悪性黒色腫を示唆す るパターンである。 今回、症例2では、他施設でも肉眼的に悪性 黒色腫と考えられた、ダーモスコピーでは、良 性の線維状パターンであった。しかも、病理組 織所見とも一致するものであり、その有用性が 確認された。また、良性の病変であっても、詳 -46細に観察することができ、より診断が容易に なっていると考えられた。 【参考文献】 1. 斎田俊明:ダーモスコピーの診るかた、考 えかた、医学書院,2007;3-12 2. 土田哲也,長島陽子:色素性腫瘍の鑑別: 肉眼所見とダーモスコピー所見.日皮会誌; 2008,118:1057-1062 ぜんた 患者 1 2 3 4 5 6 7 年齢 35 35 32 6 24 41 47 性別 男 女 女 女 女 男 女 肉眼的診断 悪性黒色種 悪性黒色種 色素性母斑 色素性母斑 色素性母斑 色素性母斑 色素性母斑 ダーマスコピー所見 parallel ridge pattern fibrillar pattern fibrillar pattern lattice-like pattern parallel furrow pattern fibrillar pattern lattice-like pattern 病理結果 malignant melamoma junnctunal nevus junnctunal nevus junnctunal nevus junnctunal nevus compound nevus junnctunal nevus Fig.1: 結果 Fig.2: 臨床像 Fig.3: ダーモスコピー像 Fig.4: 病理組織像(HE 染色) -47<平成 19 年度研究報告> -転移性骨腫瘍患者に対する局所経皮的 ラジオ波焼灼法(PRFA)に関する研究- [ 骨 ・ 軟部ラジオ波焼灼班 ] 班長 青野勝成 協力者 小阪 舞、松村 昭、香月憲一 [ 共同研究者氏名および所属施設 ] 高見勝次(西宮渡辺病院 整形外科) 家口 尚(淀川キリスト教病院 整形外科) 星 学、田口 晋、中村博亮(大阪市立大学医学部 整形外科) [ 学会発表など ] 転移性骨腫瘍に対する経皮的ラジオ波焼灼法 大阪市立総合医療センター 整形外科 青野勝成 中村博亮 淀川キリスト教病院 整形外科 高見勝次 大阪市立大学医学部付属病院 整形外科 家口 尚、星 学、田口 晋 第 45 回日本癌治療学会 ワークショップ (2007.10.26 京都) 骨腫瘍の疼痛緩和にラジオ波焼灼療法を応用 日経メディカル オンライン http://medical.nikkeibp.co.jp/ (2007. 10. 31) [ 論文発表 ] Radiofrequency ablation for metastatic bone tumors M. Aono, H. Nakamura, M. Ieguchi, M. Hoshi, S. Taguchi, M. Takami; Osaka City General Hospital, Osaka, Japan; Osaka City University, Osaka, Japan; Yodogawa Christian Hospital, Osaka, Japan (submitted to) American Society of Clinical Oncology, Chicago, 2008 [ 文献 ] 転移性骨腫瘍に対するラジオ波凝固療法の経験 高見勝次、家口 尚、星 学、田口 晋、青野勝成 臨床雑誌「整形外科」59 巻・1 号:11-16、2008 [ 研究目的 ] 転移性骨腫瘍患者を対象に、手術加療の適応と ならない症例の局所治療および、疼痛緩和、病 的骨折の予防を目的に、侵襲性の少ない経皮的 ラジオ波焼灼法(PRFA)をイメージコントロー ル下にて応用すること [ 背景 ] 癌の罹患数は近年増加の一途にあり、1998 年時 点での悪性新生物患者数は推定 50 万人である。 近年、原発巣の治療の急速な発達に応じて担癌 患者の生命期間の延長も認め、それに準じて骨 転移患者数は増加し、日本には全癌患者の約 1 割の 10 万から 20 万人が骨転移を有していると 類推されている。骨転移病巣の治療法としては、 手術療法、化学療法、放射線療法、抗癌剤を主 体とした薬物療法などがあり、全身状態が比較 -48的良好で、切除可能部位に転移がある症例、病 的骨折症例、急速に麻痺をきたした症例に対し ては積極的に手術的治療を選択されることが多 い。また切除不可能症例に関しては局所的治療 に放射線治療を選択されることも多い。しかし ながら実際の臨床の現場では、放射線治療では 局所コントロール不可能な症例もあり、その対 応については難渋することもしばしばである。 経皮的ラジオ波焼灼法(以下 PRFA)は癌の 肝臓転移症例に対しての局所コントロールの目 的として、比較的良好な治療成績が報告されて いる。また骨軟部腫瘍領域においての応用も、 類骨骨腫、癌の転移などの症例に対して、主に 放射線科医を中心としての症例報告が散見され る。当院では放射線治療設備を有し、骨転移患 者症例に対応可能な、がん診療拠点病院として 大学内有数の関連施設である。 今回、切除不能な骨転移症例、多発性の骨転移 巣を有する症例、放射線治療では局所コント ロール不可能な症例のうち、少なくとも PRFA を完結し得るだけの全身状態を有する症例を本 治療の適応症例とし、2006 年度から治療を開始 した。 [ 症例および方法 ] 対象患者は原則として外科的治療法の適応とな らない溶骨性転移性骨腫瘍例に限定して、その 他の選択基準や除外基準を設けて、姑息的治療 を初期施行の主眼におく。 PRFA は施行前日入院とし、基本的に 1 週間の 入院加療として行い、短期有害事象などを評 価する。ラジオ波のジェネレーターとしては Cool-tip RF system(センチュリーメディカル社) を用いて、局所麻酔下に施行する。主要評価項 目として疼痛を VAS(Visual Analogue Scale)を 用いて評価し、副次的評価項目として、PRFA 施行前後に針生検を行い病理組織学的な効果判 定に利用し、画像評価として CT もしくは MRI を施行後 12 週で行なう。 [ 結果、結論 ] 2006 年度を初年度として、多発性の転移性骨腫 瘍の 5 症例を選択し、施行予定であったが、施 行計画と臨床研究倫理専門部会への申請、承認 に時間を費やし、2007 年 2 月、初めて第 1 例目 に施行した。第 1 例目に関して、PRFA 施行後 すぐに血液生化学的検査上 CPK の軽度上昇を 認めた以外、明らかな PRFA による有害事象は なく、病理組織学的評価でも施行前の viable な 腫瘍細胞が、施行後膨化したような特徴的な凝 固壊死の像を呈していた。第 1 例目施行後 4 週 の疼痛評価に関して、最大疼痛 87 が 37、平均 疼痛 60 が 36(VAS)と改善傾向を認めた。さ らに施行後 12 週に予定される画像評価でも焼 灼部位に一致して明らかな腫瘍壊死範囲を確認 できた。 この 1 例目本人の満足度は非常に高く、その結 果は他施設共同研究の結果と併せて第 45 回日 本癌治療学会総会に発表し、好評を得た。同時 に第 44 回米国臨床腫瘍学会・年次集会(ASCO: American Society of Clinical Oncology)でも、緩 和ケアのトピックカテゴリーとして報告させて いただいた。2008 年も既に 1 例施行済みで、こ の症例は効果判定中であるが、既に疼痛の症状 改善は著明であり、良好な結果となっている。 [ 考察 ] 2006 年度を初年度として、転移性骨腫瘍の 5 症 例を選択し、PRFA 施行予定であったが、施行 計画と臨床研究倫理専門部会への申請、承認に 時間を費やし、また開始当初は対象症例を慎重 に選択したため、現在 2 例に施行完了した状況 である。しかし、この 2 例の結果は非常に良好 なものであった。今後、残る予定 3 例に施行して、 その安全性と有効性を確立した上で、症例の幅 を増やして、将来的には骨転移の切迫骨折例な どに対する予防医学にも、さらに積極的な臨床 応用に導いていく予定である。 [ 研究期間 ] 2006 年度を初年度として、2 例に施行したが、 特に明らかな有害事象無く、その効果をあげる ことができた。その安全性や確実性から、さら に適応の幅を拡げて積極的に施行、評価できる と考えられ、研究期間としては 2008 年の下半 期から 2009 年度にかけての研究期間を延長す る必要がある。 -49<平成 19 年度研究報告> 小児脳腫瘍に対する臨床試験 小児脳腫瘍研究班 班長 原 純一 (小児血液腫瘍科) 班員 岡田恵子 (小児血液腫瘍科) 坂本博昭 (小児脳神経外科) 村田佳津子 (放射線科) 学会発表 1. 小児の頭蓋内胚細胞腫瘍の治療成績 – 日本小児脳腫瘍コンソーシアムの取り組み 岡田恵子、原 純一 第 45 回大阪市勤務医師会学術集会 2007 年 7 月 21 日 大阪 2. Low grade glioma に対する VBL/CBDCA 併用化学療法の有用性 大杉夕子、坂本博昭、岡田恵子、東浦壮志、朴永東、松阪康弘、井上健、原純一 第 23 回日本小児がん学会 2007 年 12 月 14-16 日 仙台 【目的】 小児脳腫瘍に対する治療法は近年急速に進歩 し、従来は手術と放射線治療のみの治療であっ たものが、今では多くの脳腫瘍に対して化学療 法が用いられるようになった。しかし、至適な 化学療法および放射線治療については未知の部 分が多く、ほとんどの疾患では標準治療が確立 したとは言えない状況である。欧米では、小児 脳神経外科医、小児腫瘍内科医、放射線治療医 などのそれぞれのスペシャリストによる集学的 治療基盤が整備されて、症例が専門医療施設へ 集中化して治療されている上、精力的に臨床試 験を実施して、より有効な化学療法が開発され、 治療成績の著しい向上が達成されている。一方 わが国では、小児脳腫瘍に対する臨床試験はわ れわれが実施しているものを除いては皆無であ り、小児脳腫瘍の治療成績は欧米に比し著しく 劣っている。また、たとえ救命されたとしても 治療による合併症のため成長しても健全な社会 生活を送ることが困難である場合が多い。わが 国でのこのような現状を改善することは急務で あることは論を待たない。 当センターは小児脳腫瘍治療の専門家が揃い、 症例も集積しており、わが国における小児脳腫 瘍治療の指導的立場にある。当センターが中心 となり全国の小児脳腫瘍治療施設を対象とした 小児脳腫瘍の臨床試験を行い、わが国における 小児脳腫瘍治療のエビデンスを創出し、同時に 集学的治療基盤整備を促進することが、当研究 班の目的である。今年度は、従来行ってきた髄 芽腫に対する臨床試験の継続、頭蓋内胚細胞腫 瘍に対する臨床試験の準備、上衣腫に対する臨 床試験計画を作成することを目的とする。 【19 年度 研究班活動報告】 19 年度は、われわれが設立した NPO 法人日 本小児脳腫瘍コンソーシアム(以下 JPBTC、理 事長:原 純一、副理事長:坂本博昭)が主体 となって以下の研究を行った。 ① 小児髄芽腫に対する臨床試験の継続 1. 「小児髄芽腫 /PNET に対する多剤併用化学 療法と減量放射線療法の第 II 相試験」 研究責任者 原 純一 研究事務局 岡田恵子 大阪市立総合医療 センター データセンター 特定非営利活動法人日本 臨床研究支援ユニット <目的> 標準リスク群では、化学療法の強化 により、全脳全脊髄への標準的な放射線照射 量である 24Gy を、知能障害などの晩期障害の 回避が可能な 18Gy への減量が可能か? 高リ -50スク群では、自家造血幹細胞救援併用大量化学 療法を導入することにより、全脳全脊髄への標 準的な照射線量である 36Gy を知能障害などの 晩期障害の回避が可能な 18Gy への減量が可能 か? <予定症例数> 100 例 <試験遂行状況> 平成 20 年3月時点で、全 国の参加施設から 22 例の登録があった。半年 に1回の症例報告書回収と、データクリーニン グを行った。現時点では、試験継続が問題にな るような有害事象の発生はなく、試験は継続中 である。 2. 「乳幼児髄芽腫 /PNET に対する多剤併用化 学療法および大量化学療法の第 II 相試験」 研究責任者 原 純一 研究事務局 岡田恵子 大阪市立総合医療 センター データセンター 特定非営利活動法人日本 臨床研究支援ユニット <目的> 自家造血幹細胞救援併用大量化学療 法を2コース導入することにより、全脳全脊髄 への放射線照射が回避可能か? <予定症例数> 20 症例 <登録開始> 平成 20 年3月時点で、全国の 参加施設から、6 例の症例登録が あった。半年に1回の症例報告書回収と、デー タクリーニングを行った。1例の死亡例が報告 されたが、試験継続が問題になるような内容で はなかったため、試験継続中である。 ② 頭蓋内胚細胞腫瘍に対する臨床試験計画 1. 1999 年から 2006 年までの頭蓋内胚細胞腫 の治療成績の解析 <対象> 18 歳未満の頭蓋内胚細胞腫 < 方 法 > Pure germinoma に 対 し て は、CDDP / VP16 3コースと、局所 24Gy の放射線療法。 Germinoma with STGC と Non germinomatous germ cell tumor に対しては、CDDP/VP16/CPA 5 コースと、局所 50Gy。後者の治療反応不良例や、 腫瘍残存例例には、自家末梢血幹細胞移植併用 大量化学療法(Thiotepa/melphalan)を行った。 < 結 果 > Pure germinoma 22 例、Germinoma with STGC 10 例、Non germinomatous germ cell tumor 21 例に対して治療が行われた。4年無 増悪生存率はそれぞれ、83.6、100、85.3 %で、 4 年全生存率は、100、100、90.7 %であった。 <考察>最も予後の良い Pure germinoma の無 増悪生存率が低く、治療強化が必要と考えられ た。Germinoma with STGC と Non germinomatous germ cell tumor は、諸外国の成績と比較しても 良い成績が得られ、治療軽減も可能と考えられ た。 2.臨床試験の立案 1. の結果を受け、Pure germinoma(低リスク 群)は、CDDP/VP16 を4コースに強化、Germinoma with STGC (中間リスク群)は、局所 線量を24Gy に減量、Non germinomatous germ cell tumor (高リスク群)は、4,5 コース目の CPA を減量するという内容で、以下のような臨 床試験を立案した。 「頭蓋内ジャーミノーマ(低/中間リスク胚細 胞腫)に対する化学療法」 研究グループ代表者 原 純一(JPBTC) 研究責任者 小阪嘉之 兵庫県立こども病 院血液腫瘍科 登録センター 大阪市立総合医療センター 小児血液腫瘍科内 JPBTC 事務局 <概要> Pure germinoma(低リスク胚細胞 腫)に対しては、CDDP/VP16 x 4 コース、局所 放射線療法 24Gy。Germinoma with STGC ( 中 間リスク胚細胞腫 ) に対しては、CDDP/VP16/ CPA x 5 コース、局所放射線療法 24Gy。ともに、 3年無増悪生存率が 95% 得ることが可能かど うかを検証する。多施設共同第 II 相臨床試験で ある。予定症例数は 50 症例、試験期間は3年 程度の予定。 「頭蓋内非ジャーミノーマ胚細胞腫瘍(高リス ク胚細胞腫)に対する強化化学療法」 研究グループ代表者 原 純一(JPBTC) 研究責任者 小阪嘉之 兵庫県立こども病 院血液腫瘍科 登録センター 大阪市立総合医療センター 小児血液腫瘍科内 JPBTC 事務局 <概要> Non germinomatous germ cell tumor (高リスク群)に対して CDDP/VP16/CPA x 5 コー -51ス、局所放射線療法 50Gy を行う。転移症例や 治療反応性不良症例に対しては、自家造血幹細 胞救援併用大量化学療法を導入する。3年無増 悪生存率が 75% 得ることが可能かどうかを検 証する多施設共同第 II 相臨床試験である。予定 症例数は 20 症例、試験期間は3年程度の予定。 ③ 上衣腫に対する臨床試験計画 上衣腫は小児脳腫瘍では3番目に頻度の高い 疾患であるが、全摘できない場合の予後は極め て不良であり、有用な治療法の開発が急務であ る。また、化学療法の有効性についてはまだ議 論のあるところである。 今までの JPBTC での治療症例を検討したと ころ、化学療法が有効であった症例も少なから ず存在した。そこで非全摘例を対象に、化学療 法反応性を Window phase の化学療法で判定 し、化学療法感受性のある症例に対しては、多 剤併用化学療法を行い、治療成績向上を目指す 臨床試験を計画することになった。化学療法は、 上衣腫に対する有効性が示されている、CDDP/ VP16/CPA を用いることになった。 試験形態は、全国約40施設からなる多施設 共同第 II 相試験で、登録センターは当院に設置 し運営する予定である。 【まとめ】 現在わが国で小児脳腫瘍に対する臨床試験を 行っているのは JPBTC のみであり、日本中の 関心を集めている。また、欧米でも臨床試験を 行っているのは数グループに留まり、われわれ の研究は小児脳腫瘍に対する治療開発において 世界でも重要な位置を占めている。 今後は、小児上衣腫の臨床試験を具体的に開 始するとともに、小児グリオーマ(低悪性度お よび高悪性度)や、脳幹部腫瘍に対する臨床試 験も準備していく予定である。当院はわが国に おける有数の小児脳腫瘍治療施設であり、これ らの疾患の症例数は全国的にも非常に多く、こ れらの研究活動を当院が中心になって行うこと でその地位をさらに高めることができると思わ れる。 -52- -53<平成 19 年度研究報告> 総合医療センター原発性肝癌追跡調査 - 第 9 報 総合医療センター肝カンファレンス 班 長 山崎 修 班 員 堀井勝彦、金沢景繁、清水貞利、 協力者 中澤一憲、山本訓史、岡 博子、木岡清英、川崎靖子、中井隆志、真鍋隆夫、 村田桂津子、井上 健 学会発表 パネルディスカッション 1 ガイドライン改定に向けて;肝移植、ラジオ波導入時代における肝切 除の意義 「肝癌に対する肝切除の役割 - PEIT、PMCT、RFA との比較」 山﨑 修ほか 第 43 回日本肝癌研究会 ( 東京 ) 平成 19 年 6 月 21 日 経皮治療や肝動脈塞栓療法が困難な進行肝細胞癌に対するアイエーコール肝動注 - 予後の検討 村田佳津子ほか 第 43 回日本肝癌研究会 ( 東京 ) 平成 19 年 6 月 21 日 腫瘍マーカーからみた肝癌切除後再発の予測と対策 山﨑 修ほか 第 43 回日本肝癌研究会 ( 東京 ) 平成 19 年 6 月 21 日 後腹膜転移をきたした肝細胞癌の 1 例 中井隆志ほか 第 43 回日本肝癌研究会 ( 東京 ) 平成 19 年 6 月 21 日 パネルディスカッション 1 再発肝癌診療におけるコンセンサスと個別化 「局所療法後の再発肝癌 に対する肝切除の意義」 山﨑 修ほか 第 43 回日本肝臓学会大会 ( 神戸 ) 平成 19 年 10 月 18 日 【はじめに】 総合医療センター開院以来、消化器外科、消 化器内科、放射線科、病理部ならびに十三市民 病院外科で構成される総合医療センター肝カン ファレンスは週 1 回のカンファレンスを開催し て症例検討を行うとともに、当院における原発 性肝癌の疫学的、臨床病理学的および診断治療 学的事項等の解析、および追跡調査による再発 様式や生存率の算出などを行い、quality control に役立てている。また、隔年に実施される全国 原発性肝癌追跡調査(日本肝癌研究会)につい て、これまでに第 12 回(1995 年)、第 13 回(1997 年 )、 第 14 回(1999 年 )、 第 15 回(2001 年 )、 第 16 回(2003 年)、第 17 回(2005 年)、第 18 回(2007 年)の計 7 回の登録事業を行った。今 回は総合医療センターにおける肝細胞癌の長期 予後から治療法選択における腫瘍マーカーの意 義を中心に報告する。 【目的】肝細胞癌切除後の再発様式や予後か ら 肝 移 植 を 含 む 治 療 法 選 択 に お け る AFP、 AFP-L3、PIVKA-II の組合せ診断の意義を検討 する。 【対象と方法】 1.対象 1996 年 10 月から 2003 年 8 月までの肝細胞癌治 癒切除例で、術前後の AFP、AFP-L3、PIVKAII の推移、再発、予後を 3 年以上追跡できた 232 例 を 対 象 と し た。 治 療 前 AFP > 20ng/ml か つ AFP-L3 ≦ 10% か つ PIVKA-II ≦ 40AU/ ml を A 単 独 群、AFP-L3 > 10% を L 群、AFP ≦ 20ng/ml か つ AFP-L3 ≦ 10% か つ PIVKA-II > 40AU/ml を P 単 独 群 群、AFP > 20ng/ml か -54つ AFP-L3 ≦ 10% かつ PIVKA-II > 40AU/ml を AP 群、AFP ≦ 20ng/ml か つ AFP-L3 ≦ 10% か つ PIVKA-II ≦ 40AU/ml を N 群とした。232 例 の 内 訳 は N 群 10%、A 単 独 群 10%、P 単 独 群 33%、AP 群 13%、L 群 34%( AFP > 20ng/ml か つ PIVKA-II ≦ 40AU/ml 4%、AFP ≦ 20ng/ml か つ PIVKA-II > 40AU/ml 3%、AFP > 20ng/ml か つ PIVKA-II > 40AU/ml 27% ) であった(図 1)。 肝切除の内訳は腫瘍を腫瘍の栄養血管が支配す る領域を含めて完全に切除できた系統的肝切除 138 例と非解剖学的な部分切除を行なった非系 統的肝切除 94 例であり、系統的肝切除の内訳 は亜区域切除 40 例、区域切除 61 例、二区域以 上切除 37 例でであった。 2.方法 対象症例の生存分析を行い、術前の患者背景、 肝予備能、腫瘍マーカー、腫瘍進展度と病理学 的所見に術式や輸血の有無を加えた 18 因子に つき単変量ならびに多変量解析により生存期間 に寄与する因子を retrospective に検討した。累 積生存率は Kaplan-Meier 法で算出し、log-rank test で検定した。検出された予後因子の多変量 解析には Cox 比例ハザードモデルを用いた。有 意水準は危険率 5% とした。 【結果】 1.生存分析 全 232 例の 5 年生存率は 56%、各群の 5 年生存 率は N 群 81%、A 単独群 68%、P 単独群 65%、 AP 群 54%、L 群 41% であり L 群が最も予後不 良であった (p=0.0076)(図 2)。また系統的肝切 除群の 5 年生存率は 59%、非系統的肝切除群 の 5 年生存率は 53% であり両群間に差はなかっ た。18 因子を log-rank test で検定すると肝障害 度、AFP、AFP-L3、腫瘍数、肉眼分類、被膜形 成、脈管侵襲、肝硬変、輸血の 9 因子が予後因 子として検出された(表 1)。9 因子を比例ハザー ドモデルでさらに検定すると AFP-L3 > 10% は 多発肝癌、脈管浸潤、肝硬変、輸血とともに肝 細胞癌切除例における独立した予後不良因子で あった(表 2)。 2.L 群における AFP-L3 の変動と術式 L 群 80 例では術後の AFP-L3 が陰性化した 62 例の 5 年生存率は 49%で、陰性化しなかった 18 例の 5 年生存率 17%に較べて良好であった (p<0.0001)(図 3)。しかし AFP-L3 が一旦陰性 化しても再陽性化した群の再発率は極めて高 く、陰性化を保った 31 例の 5 年生存率 78%に 較べて肝切除後に AFP-L3 が一旦陰性化した後 に再度陽性化した 31 例の 5 年生存率は 20%で あり予後不良であった(p=0.0002)(図 3)。 ま た L 群 で 脈 管 浸 潤 の な い 52 例 で は 系 統 的 切 除 30 例 中 90% の 症 例 で 術 後 に AFP-L3 が 陰性化し、50% の症例が経過中陰性化を保っ たのに対し、有意差はないものの非系統的切 除 22 例では 82% の症例で AFP-L3 が陰性化し たが、36% の症例が陰性化を保つにとどまっ た ( 図 4)。 そ の 結 果、 系 統 的 切 除 例 の 3 年 再 発 率 52%、5 年 生 存 率 70%、 非 系 統 的 切 除 例 では 3 年再発率 73%、5 年生存率 23% であり、 L 群では系統的切除例の予後が良好であった (p=0.0462、p=0.0041) ( 図 5)。また、他の群でも 系統的切除例の予後は良好であるが、現時点で 有意差がみられたのは L 群においてのみであっ た ( 図 6)。 腫瘍マーカーと再発様式 再 発 は 153 例 に み ら れ 脈 管 浸 潤 が N 群 4%、 A 単 独 群 5%、P 単 独 群 9%、AP 群 6%、L 群 15%、肝外転移が N 群 0%、A 単独群 0%、P 単 独群 20%、AP 群 13%、L 群 35% であり、いず れも L 群に多かった(図 7)。また肝外転移再 発はミラノ基準適合 127 例では 9%、ミラノ基 準逸脱 105 例では 33% とミラノ基準逸脱群に 多いが、ミラノ基準適合群でも L 群 34 例では 24% と高率にみられた(図 8)。 【考察】 わが国では肝細胞癌の腫瘍マーカーとして AFP、AFP-L3、PIVKA-II の 3 種 が 広 く 普 及 し ており、これまでは主に肝細胞癌の診断や高危 険群に対するスクリーニングに使用され肝癌治 療に貢献してきた。また治療前に高値を呈して いた腫瘍マーカーが、治療後に低下することは 経験的に知られており、最近では腫瘍マーカー と腫瘍の悪性度や予後との関係、さらには組み 合わせ診断の有用性が指摘されている 1)-6)。 著者らの方法では N 群の予後が最も良好で、 -55A 単独群と P 単独群がほぼ同等でこれに次ぎ、 AP 群ではさらに生存率が低下し、L 群は最も 予後不良であった。Toyoda5) らは異常値を呈す る腫瘍マーカーの数が多いほど予後不良であ る 述 べ て い る。L 群 は 73% が AFP、AFP-L3、 PIVKA-II す べ て が 異 常 値 を 呈 す る 群 で あ り、 Toyoda5) らの主張を支持する結果であった。ま た、今回異の検討では AFP-L3 が独立した予後 因子の一つであったが、Toyoda6) らは肝切除と 熱凝固療法が施行された 801 例の検討(共同 研究につき総合医療センターもデータを提供し た)で、熱凝固療法例では AFP-L3 と PIVKAII が独立した有意の予後因子であるが、肝切除 例では腫瘍マーカーは予後因子でなかったと 述べている。多施設共同研究のため治療成績に ばらつきがみられる可能性や腫瘍マーカーの カットオフ値が違うことなどが見解の相違を招 いたと思われる。しかし論文 6) を精読すると肝 切除 345 例の単変量解析で検出された3つの予 後因子の多変量解析で、それぞれのハザード比 は Child-Pugh 分 類 1.5069(p=0.0103)、 門 脈 侵 襲 2.2632(p=0.0732)、AFP-L3 1.5069(p=0.0657) で あり、AFP-L3 は 5% の有意水準に達しないも のの臨床的には Child-Pugh 分類や門脈侵襲と ほぼ同等の意義を有する予後因子と考えても 良いと思われる。その証拠に L 群で肝切除後 に AFP-L3 が正常化しない群や一旦カットオフ 値以下になっても経過中に再び異常値を呈する 群では早期に再発し進行肝癌に進展するため予 後は極めて不良であった。著者らはこれまで初 回肝切除の際には系統的肝切除 7)-9) を積極的に 行ってきたが単変量解析では非系統的肝切除と 較べて予後の差は認められなかった。しかし、 L 群で脈管侵襲がない群では系統的肝切除の再 発率が低く予後良好であり、AFP-L3 の変動を 検討すると非系統的肝切除と較べて系統的肝切 除では AFP-L3 の制御が良好であった。恐らく 悪性度が高く subclinical な腫瘍進展を有する L 群 3) に対して非系統的肝切除では不完全切除に 終わることがより多いものと思われる。また、 2005 年に科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドラ イン作成に関する研究班は肝細胞癌治療アルゴ リズム 10) を公表し、肝障害度 C でミラノ基準 11) に合致する肝細胞癌には肝移植を推奨してい る。しかし、現実にはミラノ基準逸脱例にも生 体肝移植が数多く行われており、適応拡大のた めの予後因子として腫瘍マーカーも注目されて いる 12)。肝移植例で悲惨な予後を招く肝外転移 再発に関してミラノ基準と AFP-L3 の関係を検 討したところ、ミラノ基準逸脱かつ AFP-L3 > 10% では肝外転移が最も多いためこの群に対し ては移植禁忌と思われる。また、ミラノ基準適 合例でも AFP-L3 > 10% ではミラノ基準逸脱か つ AFP-L3 ≦ 10% と同程度の肝外再発が見込ま れるため注意が必要である。 【結語】 AFP-L3 は悪性度の指標であるが、陰性化に成 功すれば良好な予後が期待できるため L 群では 系統的肝切除を積極的に行うべきである。L 群 ではミラノ基準適合群でも肝外転移再発が高率 にみられるため、移植適応の検討においては注 意を要する。 参考文献 1) 2) 3) 4) 5) 6) Oka H, et al. Multicenter prospective analysis of newly diagnosed hepatocellular carcinoma with respect to the percentage of lens culinaris agglutinin-reactive α -fetoprotein. J Gastroenterol Hepatol2001;16:1378-83 K o i k e Y, e t a l . D e s - g a m m a - c a r b o x y prothrombin as a useful predisposing factor for the development of portal venous invasion in patients with hepatocellular carcinoma: a prospective analysis of 227 patients. Cancer 2001;91:561-69 岡 博子ほか 肝腫瘍マーカーのチェック ポイント 臨床消化器内科 2002;17:832-39 Fujiyama S, et al. Tumor markers in early diagnosis, follow-up and management of patients with hepatocellular carcinoma. Oncology 2002;62:S57-63 Toyoda H, et al. Prognostic significance of simultaneous measurement of three tumor markers in patients with hepatocellular carcinoma. Clin Gastroenterol Hepatol 2006;4:111-17 Toyoda H, et al. Prognostic value of pretreatment -56levels of tumor markers for hepatocellular carcinoma on survival after curative treatment of patients with HCC. J Hepatol 2008;49:22232 Ya m a m o t o M , e t a l . E f f e c t i v e n e s s o f systematized hepatectomy with Glisson’s pedicle transaction at the hepatic hilus for small nodular hepatocellular carcinoma: retrospective analysis. Surgery 2001;130(3):443-8 Hasegawa K, et al. Prognostic impact of anatomic resection for hepatocellular carcinoma. Ann Surg 2005;242(2):252-9 Cho YB, et al. Anatomic versus non-anatomic resection for small single hepatocellular 7) 8) 9) carcinomas. Hepato-Gastroenterology 2007;54:1766-1769 10) 科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドライン 研究班編 科学的根拠に基づく肝癌診療ガ イドライン、金原出版、東京、2005 11) Mazzaferro V, et al. Liver transplantation for the treatment of small hepatocellular carcinoma in patients with cirrhosis.N Engl J Med 1996;334:693-9 12) Shimada M, et al. Living donor liver transplantation for hepatocellular carcinoma: a special reference to a preoperative des-gamma –carboxy prothrombin value. Transplant Proc 2005;37:1177-9 表1 HCC�������� 図1 HCC���������� ������� n �� p値 n=232 n �� <65 / ≧65 97 / 135 NS ��� �� / �� 129 / 103 性 男/女 173 / 59 NS ��� ≦2cm / >2cm 42 / 190 NS HBs-Ag -/+ 196 / 36 NS ���� ���� / ��� 179 / 53 .0062 HCV-Ab -/+ 69 / 163 NS ��� ��� / ���� 23 / 203 NS ���� A / B or C 150 / 82 .0015 ���� -/+ 53 / 179 .0182 -/+ 172 / 60 NS ���� -/+ 180 / 52 <.0001 .0007 �� ��� AFP AFP-L3 ≦20 / >20 106 / 126 .0324 ��� ≦10% />10% 152 / 80 .0001 ���� ≦40 / >40 55 / 177 NS PIVKA Ⅱ <.0001 -/+ 113 / 119 �� / ��� 138 / 94 NS -/+ 175 / 57 .0012 �� Oct.’96 – Ju ly ’03 p値 A��� 10% 表2 HCC�������� P��� 10% 図2 ����������� �比��ザード���� � p値 AFP-L3>10% .510 .0144 1.665 1.107 – 2.504 ���� .971 <.0001 2.640 1.739 – 4.007 ����(+) .595 .0071 1.814 1.176 – 2.797 ���(+) .678 .0013 1.969 1.304 – 2.974 ��(+) .546 .0146 1.727 1.114 – 2.676 �ザード比 95%���� AP群 1 L群 .6 .4 .2 p=.0076 0 0 2 4 6 ������� 8 5�� 81% 68% 65% ( n=31 ) 54% ( n=80 ) 41% .8 ����� ����������� N群 ( n=23 ) A��群 ( n=22 ) P��群 ( n=76 ) 10 -57図3 L�����AFP L-3������ 図7 ��������� �������� ���� n=80 n=62 5�� �����%� 5�� AFP L-3 � � ( n= 31 ) 78% AFP L-3 ��� ( n=31 ) 20% AFP L-3 ��� ( n=62 ) 49% AFP L-3 � � ( n=18 ) 17% ����(%) �0 �0 �0 �5 1 p<.0001 .8 ����� ����� 1 .6 .4 .2 p=.0002 .8 .6 5 .4 0 .2 0 15% �0 9% 4% �� 5% 0% ��� �� 2 4 6 8 10 0 2 4 ������� 6 8 ���� ���� ��� 10 図8 ����������� ⣂▤ଚⷅ䋨㪄䋩 AFP-L3≦10% ో⚻ㆊ ⢄ಾ㒰ᓟ 䈅䉍 4% 㓁ᕈ 10% ♽⛔⊛ಾ㒰 㓁ᕈ 50% n=30 ������� n=127 㒶ᕈ 50% 㒶ᕈൻ 90% n=22 㓁ᕈ 64% 㒶ᕈൻ 82% ������� n=105 㒶ᕈ 36% 䈭䈚 96% 䈅䉍 25% ���� ��� ��� ��� 3年 5年 ����� ( n= 30 ) 70% ������( n= 22 ) 23% ����� ( n= 30 ) 52% ������( n= 22 ) 73% 1 .8 ����� 1 .8 .6 .4 p=.0462 .2 .6 .4 p=.0041 .2 0 0 0 2 4 6 8 10 0 2 4 �����年� 6 8 10 �����年� 図6 ���������� ���� ��� A��群 5�� P��群 5�� ����� ( n=11 ) 71 % ( n= 5 ) 100 % ���� ( n=12 ) 90 % ( n=17 ) 55 % 1 .6 1 .6 .4 .4 .2 .2 .2 .2 NS 4 6 8 10 ������� 2 4 6 .2 NS 0 0 8 10 ������� p=.0041 0 0 2 4 6 .6 .4 NS 0 2 .8 .6 .4 NS 1 .8 .4 0 5�� ( n=30 ) 70 % ( n=22 ) 23 % ( n=12 ) 65 % ( n=10 ) 40 % .8 ����� ����� .6 ( n=40 ) 75 % ( n=21 ) 67 % 1 .8 L群 5�� ����� 1 .8 AP群 5� � ����� N群 8 10 ������� 0 0 2 4 6 8 10 ������� 0 2 4 6 8 10 ������� 䈭䈚 76% n=34 䈅䉍 43% 䈭䈚 75% n=59 図5 L������������� AFP-L3>10% 䈅䉍 24% n=93 㓁ᕈ 18% 㕖♽⛔⊛ಾ㒰 ����� �� 13% 0% ������� ࿑㪋 ⢄ಾ㒰ⴚᑼ䈫AFP-L3䈱ᄌേ ����� 0 0 0 0 20% �0 6% ���� ���� 35% �0 n=46 䈭䈚 57% �� -58- -59<平成 19 年度研究報告> 当院での肝細胞癌治療症例における BCAA 長期投与の肝予備能に対する効果の検討 研究班名 肝疾患治療研究班 班長名 倉井 修 班員名 佐々木英二 , 元山宏行 協力者 根引浩子 , 山崎智朗 , 中原憲一 【目的】 肝臓は、蛋白・アミノ酸・糖ならびに脂質代謝 など栄養に関する機能をもっている。肝障害が 出現すると糖代謝や蛋白代謝が悪化し、さらに は食欲低下なども重なって十分な栄養が取れ ず、栄養状態が低下してくることがある。近年、 肝臓病の栄養療法として、分岐鎖アミノ酸を 多く含む肝不全用経口栄養剤 (BCAA 製剤 ) が 栄養状態を改善するという報告がなされている (1) 。一方、肝硬変合併の肝細胞癌患者に対する 治療においては、いかにして肝予備能を維持し て治療を継続していくかが重要な問題になって くる (2)。そこで、今回、我々は肝細胞癌治療患 者における BCAA 製剤 6 ヶ月投与の効果を検討 することとした。 【方法】 肝細胞癌患者において肝切除・RFA(ラジオ 波焼灼療法)・PEIT(エタノール注入療法)な どの治療を施行した患者の中で、3 ヵ月後の CT にて再発を認めていない患者を対象とし、 BCAA 製剤であるアミノレバン EN を 1 日 1 ~ 3 包経口摂取させた。治療開始前と治療後 3 ヵ 月・6 ヵ月の肝予備能・イベント発生(脳症の 明らかな発現・治療を要する腹水・アルブミン 製剤の経静脈的補充の必要性・肝疾患に関連す る入院など)の有無を比較した。 【対象】 平成 20 年 1 月 4 日から 3 月 31 日までに登録し た症例で、6 ヶ月以上経過観察できた 14 例を対 象とした。肝障害の成因は全例 HCV 感染であっ た。 アミノレバン EN 投与群(以下 投与群)が 10 例(男性 8 例 , 女性 2 例で、肝切除 3 例 ,RFA 5 例 ,TAE + PEIT 2 例)で、アミノレバン EN 非 投与群(以下 非投与群)が 4 例(全例女性で、 肝切除 2 例 ,RFA 2 例)であった。肝細胞癌の 進行度は、投与群では全例 Stage Ⅱであり、非 投与群では Stage Ⅰが 1 例 , Stage Ⅱが 3 例であっ た(日本肝癌研究会の取り扱い規約による進行 度分類)。Child-Pugh 分類による肝予備能の評 価は、投与群では A が 4 例 , B が 6 例であり、 非投与群では A が 2 例 , B が 2 例であった (Table 1)。 【結果】 ① 肝予備能の評価 肝予備能の指標として、血清アルブミン濃度 と PT 活性(%)を検討したが、投与開始後 6 ヶ 月時点で両群間に明らかな差異は認めなかっ た。Child-Pugh 分類別に検討しても症例数が少 ないため両群間に明らかな差異は認めなかった (FIG.1 ~ 6)。 ② イベント発生の有無 投与群では、投与開始後 6 ヶ月時点でイベン ト発生(脳症の明らかな発現・治療を要する腹 水・アルブミン製剤の経静脈的補充の必要性・ 肝疾患に関連する入院など)は認めなかった。 非投与群では、登録後 6 ヶ月までに 1 例が治療 を要する腹水にて入院となった。 【考察】 蛋 白 エ ネ ル ギ ー 低 栄 養 状 態(protein-energy は、 肝硬変において日常的 (30 malnutrition ; PEM) ~ 70%)に認められるとされ、また、肝硬変に おける PEM が予後因子として重要であるとの 認識にもほぼ異論はないようである (3)。肝硬変 -60患者の予後に重大な影響をもつ肝細胞癌の治療 に関しても、その制御因子として患者の肝予備 能が重要であり、栄養状態が予備能に大きく影 響するため、患者の栄養状態が治療法の選択や その成否に重要な意味をもつものと考えられる (2) 。 肝硬変患者の蛋白栄養状態は血漿 BCAA 濃度と 高度の相関を示すが、このような相関は低栄養 状態を呈する他の疾患では認められず、肝硬変 に特異的であり、肝硬変症に対する BCAA 補充 療法の根拠となっている。肝硬変で BCAA が減 少する理由として、①肝臓で解毒能が低下した アンモニアを骨格筋で代償的に代謝する際の基 質として用いられる、②肝硬変ではブドウ糖よ り BCAA の方がエネルギー効率は高く、骨格 筋でエネルギーを産生する燃焼基質に用いられ るという 2 つの理由が明らかにされている (4)。 このような蛋白代謝状態にある肝硬変患者に BCAA を経口的に補充することにより、血清ア ルブミン濃度など蛋白低栄養状態が改善され、 無イベント生存率が上昇することが大規模臨床 試験により明らかにされている (5)。 肝硬変患者のエネルギー栄養状態は、エネル ギーを産生する燃焼源としてブドウ糖の割合低 下(原因として、肝萎縮によるグリコーゲン貯 蔵量の減少と肝硬変に伴うインスリン抵抗性で ある)、脂肪の比率上昇が特徴的であり、この パラメータとして正確には呼吸商 (RQ)(=炭 水化物燃焼 / 脂肪燃焼)が用いられる (3)。肝硬 変患者の早朝空腹時の RQ は健常人の 3 日間程 度の絶食状態に匹敵するほど低下しているとさ れる。早朝空腹時における RQ の低下は、肝硬 変にみられる普遍的なエネルギー代謝異常と考 えられ、肝硬変の重症度とよく相関し、予後と も関連する。RQ そのものが単独の予後因子で あったとの報告もあり、それによると RQ : 0.85 を境界にして生命予後に差があったとのことで ある (3)。そこで就寝前に軽食摂取 ( late evening snack ; LES ) し、翌朝までの絶食時間を短縮さ せ、RQ の改善を図るという考え方が考案され、 肝硬変に対する栄養療法として推奨されてい る。わが国でも BCAA を多く含む肝不全用経口 栄養剤を用いた LES の有用性が証明されている (1) 。 肝硬変合併肝細胞癌患者においては再発が必発 であり、治療の継続が必要である。したがって、 再発例に対する積極的治療を継続するためには 肝予備能の維持が重要である。BCAA 製剤を経 動脈的抗癌剤塞栓療法 (TACE) 後の肝細胞癌患 者に投与し、非投与群に比較して合併症が有意 に低率であり、QOL および血清アルブミン値、 血清ビリルビン値を改善し、再入院率を低下さ せたという報告がある (6)。 今回、我々は肝細胞癌治療患者における BCAA 長期投与の効果を検討した。検討前には、投与 群が非投与群に比べて、肝予備能が有意に改善 され、かつイベント発生頻度も有意に少ないこ とを想定していたが、両群の間に明らかな有意 差は認めなかった。この理由として症例数が少 ないこと(特に非投与群の症例数が少ないこと) と観察期間が 6 ヶ月と短かったことが考えられ た。症例数を増やし、かつより長期の観察期間 にて同様の検討を行う必要があると思われる。 【参考文献】 (1) Nakaya Y , Okita K , Suzuki K , et al : BCAAenriched snack improves nutritional state of cirrhosis. Nutrition ; 2007 , 23 : 113-120 (2) Fan ST , Lo CM , Lai EC , et al : Perioperative nutritional support in patients undergoing hepatectomy for hepatocellular carcinoma . N Engl J Med ; 1994 , 331 : 1547-1552 (3) Tajika M , Kato M , Mohri H , et al : Prognostic value of energy metabolism in patients with viral liver cirrhosis. Nutrition ; 2002 , 18 : 229234 (4) 森脇久隆 : 肝硬変の栄養障害と対策 日消 誌 ; 2008 , 105(11) : 1584-1587 (5) Muto Y , Sato S , Watanabe A , et al : Effects of oral branched-chain amino acid granules on event-free survival in patients with liver cirrhosis. Clin Gastroenterol Hepatol ; 2005 , 3 : 705-713 (6) Poon RTP , Yu WC , Fan ST , et al : Longterm oral branched chain amino acids in patients undergoing chemoembolization for hepatocellular carcinoma. Aliment Pharmacol Ther ; 2004 , 19 : 779-788 -61㪫㪸㪹㫃㪼㩷㪈㩷 ኻ⽎ 㕖ᛩਈ⟲ ᕈ ᐕ㦂 ᚻⴚᴺ ↹㪪㫋㪸㪾㪼 㪚㪿㫀㫃㪻㪄㪧㫌㪾㪿ಽ㘃 㪣㪚䈱ᚑ࿃ 㪝㩷㩷㩷㩷㩷㩷㪎㪇㩷㩷㩷㩷㩷㩷㪩㪝㪘㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㸇 㪘㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㪟㪚㪭 㪝㩷㩷㩷㩷㩷㩷㪍㪇㩷㩷㩷㩷㩷㩷㪩㪝㪘㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㸈 㪙㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㪟㪚㪭 㪝㩷㩷㩷㩷㩷㩷㪏㪋㩷㩷㩷㩷㩷㩷㪦㪧㪜㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㸈 㪘㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㪟㪚㪭 㪝㩷㩷㩷㩷㩷㩷㪎㪈㩷㩷㩷㩷㩷㩷㪦㪧㪜㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㸈 㪙㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㪟㪚㪭 㪤㩷㩷㩷㩷㩷㪍㪍㩷㩷㩷㩷㩷㩷㪧㪜㪠㪫㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㸈 㪙㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㪟㪚㪭 㪤㩷㩷㩷㩷㩷㪍㪐㩷㩷㩷㩷㩷㩷㪦㪧㪜㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㸈 㪘㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㪟㪚㪭 㪤㩷㩷㩷㩷㩷㪍㪇㩷㩷㩷㩷㩷㩷㪩㪝㪘㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㸈 㪙㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㪟㪚㪭 㪝㩷㩷㩷㩷㩷㩷㪎㪇㩷㩷㩷㩷㩷㩷㪩㪝㪘㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㸈 㪙㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㪟㪚㪭 㪤㩷㩷㩷㩷㩷㪎㪈㩷㩷㩷㩷㩷㩷㪦㪧㪜㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㸈 㪙㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㪟㪚㪭 㪤㩷㩷㩷㩷㩷㪍㪉㩷㩷㩷㩷㩷㩷㪦㪧㪜㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㸈 㪘㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㪟㪚㪭 㪤㩷㩷㩷㩷㩷㪍㪋㩷㩷㩷㩷㩷㩷㪩㪝㪘㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㸈 㪙㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㪟㪚㪭 㪤㩷㩷㩷㩷㩷㪎㪉㩷㩷㩷㩷㩷㩷㪩㪝㪘㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㸈 㪘㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㪟㪚㪭 㪤㩷㩷㩷㩷㩷㪍㪎㩷㩷㩷㩷㩷㩷㪧㪜㪠㪫㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㸈 㪙㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㪟㪚㪭 㪝㩷㩷㩷㩷㩷㪎㪈㩷㩷㩷㩷㩷㩷㪩㪝㪘㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㸈 㪘㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㪟㪚㪭 ���������������� ��������� 5 ���. ᛩਈ⟲ 3 ��� ���������������� 3��� ���� �����3���������� ������������ ��������� ��� ���� 4 5 ������������ ��������� 5 ���. ���. ��� ���� 4 3 ��� ���� 4 3 ��� 3��� ���� ��� 3��� ���� -62- 㪝㪠㪞㪅㩷㪋㩷㩷㪧㪫ᵴᕈ䈱ផ⒖ 㪝㪠㪞㪅㩷㪌㩷㩷㪧㪫ᵴᕈ䈱ផ⒖ 㪧㪫ᵴᕈ䋨䋦䋩 㪚㪿㫀㫃㪻㪄㪧㫌㪾㪿㩷㪘 㪧㪫ᵴᕈ䋨䋦䋩 㪈㪇㪇 㪈㪇㪇 㪥㪅㪪. 㪐㪇 㪐㪇 ᛩਈ⟲ 㕖ᛩਈ⟲ 㪏㪇 㪎㪇 㪥㪅㪪. 㪏㪇 㪎㪇 㪍㪇 㪍㪇 㐿ᆎ೨ 㪊䊱ᓟ 㪍䊱ᓟ 㐿ᆎ೨ 㪝㪠㪞㪅㩷㪍㩷㩷㪧㪫ᵴᕈ䈱ផ⒖ 㪚㪿㫀㫃㪻㪄㪧㫌㪾㪿㩷㪙 㪧㪫ᵴᕈ䋨䋦䋩 㪈㪇㪇 㪥㪅㪪. 㪐㪇 ᛩਈ⟲ 㕖ᛩਈ⟲ 㪏㪇 㪎㪇 㪍㪇 㐿ᆎ೨ 㪊䊱ᓟ 㪍䊱ᓟ 㪊䊱ᓟ 㪍䊱ᓟ ᛩਈ⟲ 㕖ᛩਈ⟲ -63<平成 19 年度研究報告> 高度進行胃癌または再発胃癌に対する TS-1/CDDP/Lentinan 併用化学療法の有用性 大阪市立十三市民病院外科研究班 班長 堀 武治 班員 山崎修 福長洋介 高塚聡 福岡達成 小西珠貴 協力者 池原 照幸 学会発表 高度進行胃癌に対する TS-1/CDDP/Lentinan 併用化学療法の検討 大阪市立十三市民病院 外科 堀 武治 高塚聡 福岡達成 山崎修 池原照幸 第 63 回 日本消化器外科学会総会 【はじめに】 高度進行胃癌または再発胃癌は拡大手術や術後 補助化学療法などの集学的治療においても依然 その予後は不良である。 Tegafur・gimeracil・oteracil potassium (TS-1) はフッ 化ピリミジン系抗癌剤の効果増強を図るととも に、副作用の軽減を目的に開発された製剤で、 単剤投与の奏効率は 45%と極めて良好な成績が 報告されている。1) TS-1 と Cisplatin (CDDP) の 併 用 療 法 は、 biochemical modulation を 基 盤 に し た 治 療 方 法 で、第Ⅰ / Ⅱ相試験では奏効率が 76%とさらに 良好な成績が報告されている。2) 一方、Lentinan (LNT) は 1969 年 Chihara らがキ ノコの生理活性に着目し、抗腫瘍性の強い物質 を抽出した薬剤である。その効果は主として細 胞免疫系を賦活して発揮されることが報告さ れ、1986 年、手術不能・再発胃癌に対して保険 適応となり、現在にいたっている。また TS-1 との併用にて著明な延命効果と QOL の改善が 報告されている。3) 以上より、われわれは高度進行胃癌に対する TS-1/CDDP/LNT 併用化学療法は、高い奏効率 と副作用の軽減に加え、QOL の維持と生存期 間を延長させる可能性があると考えた。また医 療経済的にも外来にて化学療法が可能であり、 QOL の向上につながり、術前術後化学療法とし ても新たな治療戦略として応用可能と考え、本 併用療法の臨床的有用性について検討した。 【対象および方法】 1. 対象 2008 年 1 月から 8 月までの間に、高度進行胃癌 または再発胃癌症例で、次の基準を満たすもの とした。 (1)組織診または細胞診にて胃癌であることが 確認されている患者 (2)前治療の有無は問わない (3)性別は不問 (4)年齢が原則として 80 歳未満の患者 (5)一般状態 Eastern Cooperative Oncology Group (ECOG) Performance Status (PS) が 0 ~ 2 の 患者 (6)3ヶ月以上の生存が期待できる患者 (7)登録前2週間以内に実施した臨床検査で、 主要臓器(骨髄、肝、腎、心、肺など)に 高度な障害がなく、臨床検査値が選択基準 を満たす患者 (8)十分な経口摂取が可能な患者 (9)測定可能病変・評価可能病変の有無につい ては問わない (10)試験参加について患者本人または代理人、 親権者から文書にて同意が得られている患 者 2. 投与方法 TS-1 を 80mg/m2 2 週間投与 1 週間休薬、CDDP -64を 15mg/m2、LNT2mg/body(day1.8 に 点 滴 静 注 ) を 1 クールとした併用化学療法を入院あるいは 外来にて施行する。 CDDP:15mg/m2 LNT:2mg/body CDDP:15mg/m2 LNT:2mg/body TS-1 80mg/m2/day,bid day 1 8 休薬期間 15 21 3. 観察項目 1)主評価項目:全生存期間:Overall survival (OS) 2) 副次的評価項目: (1)安全性:有害事象の発現頻度とその程度 (2)抗腫瘍効果:Response rate (RR) 【成績】 1. 症例の内訳 2008 年 1 月から 8 月までの間に、高度進行胃癌 または再発胃癌症例 6 例で背景因子をまとめて TABLE1 に示した。 2. 成績 2008.12 月現在において 6 例中 4 例が生存中で あ り、Kaplan-Meier 法 に よ る 50 % 生 存 期 間 は 330 日であった。(FIG1) 抗腫瘍効果については、CR1 例(16.7%)、PR3 例(50.0%)、SD1 例(16.7%)PD1 例(16.7%) であり、奏効率は 67%であった。転移部位別 では、リンパ節及び癌性腹水については奏効率 100% と高率であった。(TABLE2) 副 作 用 で は grade2 以 上 の 白 血 球 減 少 を 33 % に、 血 色 素 減 少 を 17% に、 食 欲 低 下 を 17 % に認めたものの、grade3 以上は認めなかった。 (TABLE3) 【考察】 高度進行胃癌または再発胃癌は予後不良であ り、これらに対する治療方法の開発は重要な課 題である。TS-1 の登場して以来、胃癌に対する 単剤での奏効率が 45%、さらに CDDP との併用 では奏効率 76% と良好な成績が報告されるよ うになり、進行胃癌に対する化学療法も新しい 展開がみられるようになってきた。また TS-1/ CDDP の 併 用 療 法 に て 病 理 組 織 学 的 に CR と なった症例や、多発肝転移が奏効した症例も報 告されつつある。5) 6)7) 今回のわれわれの検討においても、化学療法後 手術を施行した結果病理組織学的に CR となっ た 1 例を経験した。また全体の奏効率も 67% と極めて良好な結果であった。 また副作用の問題も重要な課題であると思わ れるが、今回われわれの検討において、grade2 以上の白血球減少および食欲低下を認めたも のの、grade3 以上はなかった。これらの成績は LNT の併用にて副作用の軽減が期待し得ると考 えられた。 今回の検討において、高度進行胃癌に対する TS-1/CDDP/Lentinan 併用化学療法は症例数 6 例 と少ないものの、高い奏効率と副作用の軽減さ れる可能性が示唆され、進行胃癌に対する新し い治療方法として有望であると思われることか ら、今後さらに多くの症例を検討し、胃癌化学 療法の first-line therapy として位置付けされるこ と期待する。 【参考文献】 1 ) Sakata Y, Ohtsu A, Horikoshi N, et al : Late phase Ⅱ study of novel oral fluoropyrimidine anticancer drug S-1(1M tegafur-0.4M gimestat1M otastat potassium) in advanced gastric cancer patients. Eur J Cancer 1988 , 34(11): 1715-1720 2) Ohtsu A, Boku N, Nagashima F, et al: A phase Ⅰ / Ⅱ study of S-1 plus cisplatin(CDDP) in patients (pts) with British Journel of Cancer. Proc ASCO: 2001 #656(abstr) 3) 二村浩史 , 三森教雄 , 吉行俊郎 , 徳永 昭: 切除不能再発胃癌に対する TS-1/Lentinan の 併用療法 , 癌と化学療法 ; 2003, 30 : 12894) 5) 6) 1296 木 村 豊 黒 川 英 司 吉 川 宣 輝 松 浦 成 昭:進行再発胃癌における TS-1/Lentinan 免 疫化学療法の検討 癌と化学療法 ; 2003, 30: 1125-1130 高橋孝行 藤崎真人 大山隆史 入野 誠 之:TS-1/ 少 量 CDDP/Lentinan 併 用 療 法 が 奏効した多発肝転移を有する進行胃癌の 1 例 癌と化学療法 ; 2006, 33: 2061-2063 白石 治 波多辺 繁 亀山 雅男:TS-1/ CDDP 療法が奏効し病理組織学上癌細胞が -65消失した進行 4 型胃癌の 1 手術例 日消外 会誌 2007, 40(11):1769-1774 杉木 孝章 井上 達夫 高崎 健:TS-1/ CDDP 併用療法にて長期 CR を維持し切除 にて病巣消失を確認された進行胃癌の 1 例 日消外会誌 2006, 39(1):38-43 7) 症例 年齢 性別 肉眼型 組織型 1 転移 1 69 F Ⅳ 低分化型 腹膜播種 2 73 M Ⅲ 低分化型 膵浸潤、腹膜播種 3 72 M Ⅲ 中分化型 肝転移 4 61 M Ⅲ Signet 腹膜播種 5 63 M Ⅳ Signet 膵浸潤 6 43 M Ⅱ 低分化型 膵浸潤、腹膜播種 CTCAE grade 2 3 4 %grade2以上 白血球減少 血色素減少 血小板減少 肝機能障害 腎機能障害 0 0 0 0 0 2 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 33 17 0 0 0 全身倦怠 食欲不振 悪心・嘔吐 下痢 口内炎 色素沈着 味覚異常 1 1 1 0 1 1 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 17 0 0 0 0 0 Kaplan-Meier法 100 N PR SD PD 奏効率(%) 1 1 3 2 1 2 1 0 67 60 1 2 2 0 1 2 0 1 0 0 0 0 1 0 0 0 100 100 80 60 40 (%) 6 5 50%生存期間 330 日 累積生存率 総合評価 胃原発巣 転移巣 肝臓 リンパ節 癌性腹水 CR 20 0 0 200 400 600 生存期間(日) 800 1000 -66- -67<平成 19 年度研究報告> 消化器癌に対する化学療法の有用性についての研究 研究班名 消化器癌化学療法研究班 班長名 大谷 博 班員名 新谷真知子、足立賢治、大庭宏子 論文発表 1) 胃癌による癌性リンパ管症、腹部大動脈周囲リンパ節転移に対し S-1+Irinotecan 併用療法が奏効した 1 例 大谷 博、有本裕一、西尾康平、足立賢治、大庭宏子、新谷真知子、由井三郎 癌と化学療法 35(9): 1563-1567, 2008 2) Efficacy and toxicity of fluorouracil, leucovorin plus oxaliplatin (FOLFOX4 and modified FOLFOX6) followed by fluorouracil, leucovorin plus irinotecan (FOLFIRI) for advanced or metastatic colorectal cancerCase studies Hiroshi Ohtani, Yuichi Arimoto, Kohei Nishio, Yoshitetsu Kanamiya, Hiroko Oba, Kenji Adachi, Machiko Shintani, Rieko Nakamura, and Saburo Yui Jpn J Cancer Chemother 35(10): 1769-1774, 2008 【要旨】 症例は、70 歳、女性。癌性リンパ管症ならび に腹部大動脈周囲リンパ節転移を伴った切除不 能 進 行 胃 癌 に 対 し、TS-1+irinotecan(CPT-11) の 併用療法を施行し、1コースにて、癌性リンパ 管症、腹部大動脈周囲リンパ節転移に対する奏 効ならびに食事摂取上昇、癌性疼痛の改善を得 た。胃原発巣は明らかな改善が見られなかった ため、胃全摘術+膵体尾部切除術+摘脾術を施 行した。術後、癌性リンパ管症が再燃し、永眠 された。胃原発の癌性リンパ管症に対し、TS1+irinotecan(CPT-11) 併用療法は有効な治療法の 一つであるが、原発巣切除には慎重を期する必 要があると思われた。 もに報告する。 【症例】 症例:70 歳、女性 主訴:左季肋部痛 家族歴:特記すべきことなし 既往歴:63 歳、子宮頚癌にて手術 現病歴:2007 年 5 月上旬より左季肋部痛が出現 し、5 月 14 日当院内科を受診。腹部 CT にて、 腹部大動脈周囲リンパ節の腫大とともに胃壁の 肥厚を疑われ、当院内科に入院。 入院時現症:栄養状態良好、貧血・黄疸を認 めず。腹部に腫瘤を触知せず。 入院時検査所見:WBC 6390/ μ l, Hb 11.5 g/dl, Ht 36.3 %, Plt 309X103 / μ l, TP 6.3 g/dl, Alb 3.7 g/ 【はじめに】 癌性リンパ管症とは、高度の呼吸不全をきたす 予後不良な病態であり 1)、原疾患としては、胃 癌、乳癌、肺癌が多い 2)。近年、化学療法の進 歩にともない、胃癌の癌性リンパ管症に対する 化学療法奏効例が散見される。今回、われわれ は、TS-1+CPT-11 にて奏効した、胃癌の癌性リ ンパ管症を経験したので、本邦での奏効例とと dl, CEA 11.4 ng/ml, CA19-9 10.4 U/ml 入院時胸部 X 線、胸部 CT(07/5/14)(Fig.1a): 異常を認めず。 入院時腹部 CT(07/5/14)( Fig.1b):胃壁の肥厚な らびに腹部大動脈周囲リンパ節腫大を認めた。 肝転移は認めず。 入院時上部消化管造影検査 (Fig.2a):胃上部~ 胃体中部にかけて、大弯側を中心に、fold の肥厚、 不整ならびに浅い潰瘍形成を認めた。 -68胃内視鏡検査:上記病変部の粘膜面は粗造で、 易出血性。胃生検にて低分化腺癌であった。 骨シンチ:異常集積を認めず。 臨床経過:4 型胃癌、腹部大動脈周囲リンパ節 転移と診断した。上腹部、腰背部の癌性疼痛 に対し、フェンタニル貼付剤 10mg/3 日、レスキューにオキシ コドン散剤 (0.5%) 4 ~ 6 包 / 日を投与した。患者 と相談の上、胃全摘術の後、術後化学療法の予 定とした。外科転科後の胸部 X 線にて、両肺 野のび漫性陰影と少量の左胸水を認めた。胸部 CT(07/6/5)(Fig.1c) にて、両側肺野はほぼ全体的 に小葉間隔壁の肥厚、気管支血管束の肥厚、末 梢粒状影、少量の左胸水を認め、癌性リンパ管 症と診断した。そこで、化学療法のみによる 治 療 に 変 更 し、TS1 + CPT-11 併 用 療 法(TS1 80mg/m2 を 3 週間連日経口投与、CPT-11 80mg/ m2 を day1, 15 に点滴投与、2 週間休薬)を開始 した。化学療法開始 9 日目より、オキシコドン散剤 の飲用量が減少し、化学療法開始 12 日目には、 癌性疼痛は著明に改善、オキシコドン散剤の投与は 不要となった。同時に、化学療法前は 0 であっ た食事摂取が、化学療法後にはほぼ全量とな り、笑顔も見られるようになった。TS1 + CPT11 併用療法1クール施行後の胸部 CT(Fig.1e) にて、 癌性リンパ管症の著明な改善、左胸水の消失を 認め、腹部造影 CT(Fig.1f) では、化学療法前の 腹 部 造 影 CT(07/6/4)(Fig.1d) に 比 し て、 大 動 脈 周囲リンパ節転移の著明な縮小を得た。上昇し ていた CEA も 38.5 から 15.1ng/ml に低下した。 しかしながら、上部消化管造影検査では、原発 巣である胃に、明らかな改善は認められなかっ た (Fig.2b)。全身状態も化学療法 1 クールで著明に 改善したため(Performance status 2 → 0)、患者 との相談にて、胃全摘術+術後化学療法を施行 することとした。また、化学療法施行中、副作 用は特に認めなかった。 07/7/26 手術を施行した。胃上部~中部大弯側 を中心に胃壁の硬化、肥厚を認めるも、腹腔内 に明らかな腹膜播種ならびに腹水を認めなかっ た。視・触診では、上腹部~腹部大動脈周囲に リンパ節腫大は明らかでなかったものの、上腹 部のリンパ節郭清時、板状の硬化を認めた。ま た、胃上部後壁と膵尾部とは固定され、浸潤が 疑われたため、胃全摘術+膵体尾部切除+摘脾 術を施行した。 組織所見:por1, pT4(pSI, 膵臓 )、pN2( 転移陽性 リンパ節は 31/36)、sci, INF γ , ly3, v1 術後経過は良好で、食事摂取も順調であったが、 術後 14 日目に突然の呼吸苦が出現。胸部 X 線 にて、両肺野にび漫性の浸潤影、胸水が出現し、 癌性リンパ管症の再燃と診断した。その後、全 身状態はさらに悪化し、術後 22 日目に永眠さ れた。 【考察】 癌性リンパ管症は肺転移の一形態であり、肺や 気管支のリンパ管に癌細胞が発育・進展した 状態のことである。肺転移は悪性腫瘍の 30 ~ 40%にみられ、肺転移のおよそ 6 ~ 8%が癌性 リンパ管症を来たす。原発臓器としては、乳癌 (33% )、胃癌 (29% )、肺癌 (17% )、膵癌 (4% )、 前立腺癌 (3% ) といわれている 2)。胃癌は結節 性の肺転移を来たすことは少なく、 癌性リンパ管症あるいは肺へのリンパ節転移を 呈すことが多い。予後は極めて不良で、発症か ら 3 ~4カ月で死亡する例が多い。呼吸器症状 発症から死亡までの平均期間は 8 週間という報 告もある 3)。治療としては、原疾患に対する化 学療法が主体となる。現在、本邦で施行されて いる切除不能進行・再発胃癌に対する化学療 法として、a) 単独療法では、5FU 持続静注療 法、TS-1、CPT-11、paclitaxel、docetaxel、b) 併 用療法では、5FU + LV、5FU + MTX、5FU + CDDP、TS-1 + CDDP、TS-1 + CPT-11、TS-1 + docetaxel、CPT-11 + CDDP などのレジメが施 行されている。現在のところ、切除不能進行・ 再発胃癌に対する first-line は確立されていな い。TS-1 + CDDP、CPT-11 + CDDP は そ れ ぞ れ 76%、58% 4)と高い奏効率が示されているが、 CDDP の投与に伴い hydration が必要であるた め、本症例に対しては、TS-1+CPT-11 を施行した。 癌性リンパ管症に対して、化学療法が奏効した 本邦報告例を検討した ( 表1)5 ~ 9)。組織型はす べて por ~ sig、レジメは TS-1,paclitaxel,docetaxel, CPT-11 の 単 独 あ る い は 併 用 療 法、FP と 施 設 間 で 異 な る が、 癌 性 リ ン パ 管 症 に 対 し て は hydration を必要とするためか、高容量 CDDP の 投与例はない。効果発現は 1 ~ 2 クールで現れ -69る。予後は厳しい。手術施行 2 例においては、 術後 2 週間目に癌性リンパ管症を発症している が、鈴木ら 5)の報告例は、術後の発症が初発で あり、癌性リンパ管症後の手術施行例は、本例 のみである。本例のように、癌性リンパ管症の 著明な改善によって、手術治療は選択肢の一つ になりうるが、慎重に対処することが望まれる。 参考文献 1) 大江裕一郎:癌性リンパ管症の診かた . 治 療 85(6):118-122,2003 2) 3) 4) 5) BruceDM, Heys SD, Eremin O:Lymphangitis carcinomatosa: a literature review. J R Coll Surg Edinb 41:7-13,1996. 佐藤 隆 , 松原 修 , 春日 孟:肺の癌性 リンパ管症の臨床病理学的検討 . 日胸疾患 会誌 26(12):1243-1248,1988. 6) 7) 8) 9) Ohtsu A, Yoshida S, Saijo N:Disparities in gastric cancer chemotherapy between the East and West. JCO 24:2188-2196,2006. 鈴木達彦 , 岩渕正弘 , 松田泰徳・他:TS-1 による前治療歴を有する進行胃癌患者に対 Author Suzuki (2003) Akesaka (2004) する Paclitaxel を用いた治療経験 . 癌と化学 療法 30(1):133-139,2003. 渡 辺 卓 也 , 川 端 英 博 , 高 瀬 郁 夫・ 他: Paclitaxel/TS-1 併用療法が著効した肺の癌 性リンパ管症を伴う進行胃癌の 1 例 . 癌と 化学療法 30(6):849-853,2003. 明坂和幸 , 中西徳彦 , 上田暢男・他:胃癌 に よ る 癌 性 リ ン パ 管 症 に 対 し て TS-1 が 著 効 し た 1 例 . 癌 と 化 学 療 法 31(2):233235,2004. 出 口 靖 之 , 塩 谷 淳 , 酒 井 美 千 絵・ 他: Docetaxel/TS-1 併用療法が有効であった癌 性リンパ管症を伴う切除不能進行胃癌の 1 例 . 癌と化学療法 32(4):519-522,2005. 山岸由幸 , 秋葉保忠 , 泉谷幹子・他:ThirdLine として TS-1, CPT-11 併用化学療法を施 行し長期生存が得られた Krukenberg 腫瘍 術後 4 型胃癌再発性癌性リンパ管症の 1 症 例 . 癌と化学療法 32(8):1167-1170,2005. Table 1 Repoted cases of gastric cancer with pulmonary carcinomatous lymphangitis, showing response to chemotherapy Age/sex Macro Histology previous chemotherapy regimen first-line response new lesion toxicity after first-line 腹腔鏡検査でP1, CY1 TS-1で肝門リンパ節腫 大が改善したため、手 TXL 白血球減少 31/M 4 sig 1クールで改善 肝転移出現 - 術。 X2クール Grade3 2+2(減量)クール施行。 術後2週目に癌性リンパ 51/M IIc por, sig - TS1 X4クール 1クールで改善 腰椎転移 - second-line TXL 1クール →増悪 白血球減少 third-line Grade1 TS1+TXL 4クー 血小板減少 ル Grade2 →改善 肝転移は増悪 白血球減少 Watanabe 65/M (2003) 3 por-tub2 - FP X4クール 2クール後、著名 に 改善→増悪 Deguchi (2005) U por - TS1+TXT X2クール 1クールで改善 TS1+CPT11 3クール 1クールで著名な 改善 TS1+CPT11 X1クール (+), 術後2 1クールで著名な 週目に癌性 - 改善 リンパ管症 出現 51/F Yamagishi 40/F (2005) 4 sig TS1+CDDP TS1+TXL 施行クールは不明 our case 70/F (2007) 4 por - - 骨髄癌腫症 - - 白血球減少 Grade1 - 全身倦怠感 Grade2 - sig: signet-ring cell carcinoma, por: poorly differentiated adenocarcinoma, tub2: moderately differentiated adenocarcinoma CDDP: cisplatin, TXL: paclitaxel, FP: 5FU+CDDP, TXT: docetaxel prognosis conclusion 8M+α 治療継続中 9M dead - U 今後も続行 2M+α QOLの改善 8M TS1+CPT-11 は、胃癌の癌性 リンパ管症、癌 性胸膜炎に対 して、有効な治 療法である 3M dead 原発巣切除は 慎重に対応 -70- a b d c e f Fig.1 Plain computed tomography (CT) on admission showed: a no abnormal lesion in the lung. b paraaortic lymphnode metastases. Contrast enhanced CT (CECT) before chemotherapy showed: c pulmonary carcinomatous lymphangitis. d paraaortic lymphnode metastases. CECT after chemotherapy revealed remarkable response of pulmonary carcinomatous lymphangitis (e) and paraaortic lymphnode metastases (f). a b Fig.2 Upper gastrointestinal series after chemotherapy (a) showed no remarkable change of the gastric tumor, compared with those before chemotherapy (b). -71【Abstract】 AIM: In this study, we investigated the efficacy and toxicity of fluorouracil (FU) + leucovorin (LV) with oxaliplatin (FOLFOX) and with irinotecan (FOLFIRI) for patients with advanced or metastatic colorectal cancer Methods: Eleven patients with advanced or metastatic colorectal cancer underwent chemotherapy, such as FOLFOX4, mFOLFOX6, and FOLFIRI. Four and 7 patients underwent FOLFOX4 and mFOLFOX6 as a first-line therapy, respectively. Five patients underwent FOLFIRI as a second-line therapy. Results: The response rates (RRs) for FOLFOX4 and mFOLFOX6 as a first-line therapy were 0% (0 of 4 patients) and 71% (5 of 7 patients). The RR for FOLFIRI as a second-line therapy was 40% (2 of 5 patients). The survival time of the eight patients experiencing CR, PR or SD in the first-line mFOLFOX6/FOLFOX4 or the secondline FOLFIRI is 7 to 27 months. That of the three patients not showing CR, PR or SD is 4 to 8 months. The former is significantly longer than the latter (p=0.0023). Toxicities were paresthesia, neutropenia, thrombocytopenia and general fatigue in FOLFOX4, paresthesia, neutropenia, thrombocytopenia, diarrhea and anaphylaxis in mFOLFOX6, while those were neutropenia, thrombocytopenia, stomatitis and general fatigue in second-line FOLFIRI. Conclusion: For advanced or metastatic colorectal cancer, mFOLFOX6/FOLFOX4 followed by FOLFIRI may be effective and comparatively safe treatments. 【Introduction】 For some time, 5FU was a drug limited to the treatment of colorectal cancer. Modulation of fluorouracil (FU) by leucovorin (LV) improved the clinical outcomes of patients with this type of cancer.1) Infusional FU/LV was found to be superior to bolus FU/LV in regard to response rate (RR), progression free survival (PFS), and decreased toxicity.2) Infusional FU/LV regimens included a fortnightly regimen (LVFU2) which combined LV+ FU bolus and infusion 2), a simplified fortnightly LVFU2 regimen (sLVFU2) which combined LV + FU bolus on day 1 with only a high-dose FU infusion, and a high-dose FU as a 24-hour infusion in combination with LV (AIO). Irinotecan in combination with bolus FU/LV (IFL) and sLVFU2 (FOLFIRI) led to advantages in RR, PFS, and median survival time (MST). Oxaliplatin plus LVFU2 (FOLFOX4) has been found to be more active and safer than IFL and irinotecan plus oxaliplatin (IROX).3) FOLFOX has been a standard therapy for patients with advanced and metastatic colorectal cancer. FOLFOXs authorized in Japan are the LVFU2 schedule with oxaliplatin (FOLFOX4) a n d t h e s LV F U 2 s c h e d u l e w i t h o x a l i p l a t i n (mFOLFOX6). To investigate the efficacy and the toxicity of mFOLFOX6/FOLFOX4 and FOLFIRI, we studied the clinical courses of 11 cases. 【Patients and Methods】 At our institution, eleven patients with advanced or metastatic colorectal cancer were treated by the following three chemotherapy regimens: LVFU2 schedule 2) with oxaliplatin (FOLFOX4), sLVFU2 schedule 4) with oxaliplatin (mFOLFOX6), and irinotecan in combination with sLVFU2 (FOLFIRI) 5). The first-line therapy was FOLFOX4 for inpatients from May of 2005 to May of 2006 and mFOLFOX6 for outpatients from June of 2006 to June of 2007. The second-line therapy was FOLFIRI. Evaluation of chemotherapy was usually performed every four 2-week cycles by imaging techniques such as computed tomography (CT) scans and by measuring serum levels of carcinoembryonic antigen (CEA). World Health Organization (WHO) criteria were used to assess tumor response. 6) Complete response (CR) was defined as the complete disappearance of all clinically assessable disease for at least 4 weeks, and partial response (PR) was defined as a decrease of at least 50% of the sum of the products of the diameters of measurable lesions for at least 4 weeks. Stable disease (SD) was defined as a decrease of measurable lesions by less than 50% -72or an increase of less than 25%, and progressive disease (PD) was defined as an increase of at least 25% of measurable lesions or the appearance of new malignant lesions. Survival was calculated from the beginning of FOLFOX4 or mFOLFOX6 regimen to death or last contact. Toxicity was assessed before starting each twoweek cycle by the National Cancer Institute common toxicity criteria. Statistical analysis was performed using Logrank test. P values of less than 0.05 were statistically significant. 【Results】 The characteristics and clinical findings of the 11 patients are shown in Table 1. The ages ranged from 55 to 74 years (mean 64.5). Four patients had undergone previous chemotherapy; 2 patients underwent Tegafur/uracil plus irinotecan, while 2 patients underwent Tegafur/uracil plus oral leucovorin. 7) Four patients were treated by FOLFOX4 as inpatients at the beginning of the study. The antitumor responses were SD in 1 patient and PD in 3 patients. Grade 1/3 neutropenia, grade 1/3 thrombocytopenia and grade 3 general fatigue were observed in 4, 2, and 3 patients, respectively. Three patients who had suffered from grade 3 general fatigue chose best supportive care (BSC) after treatment with FOLFOX4. Their prognoses were 4 to 7 months. Lack of efficacy or severe active toxicity warranted the discontinuation of FOLFOX4 within two to five 2-week cycles. Seven patients were treated by mFOLFOX6 as outpatients. One patient (14%) showed CR, 4 patients (58%) showed PR, 1 (14%) showed SD, and 1 (14%) showed PD. Patient number 6 showed PR (Fig. 1) after four 2-week cycles; however, grade 3 diarrhea warranted the discontinuation of mFOLFOX6. The serum CEA level of the patient increased from the normal range (<5ng/ml) to 30 ng/ml after a 5 month treatment-free interval. Therefore, mFOLFOX6 was started again at an 80% volume regimen. The serum CEA level of the patient decreased again to within the normal range and he experienced CR after an additional eight 2-week cycles of 80% volume of mFOLFOX6 (Fig. 1). In all patients treated with mFOLFOX6, four to sixteen 2-week cycles were performed until the disease showed progression or the patient experienced unacceptable toxicity. Five patients underwent FOLFIRI as a secondline chemotherapy. Two (40%) showed PR, 1 (20%) showed SD, and 2 (40%) showed PD. One patient (patient No. 2) who had shown PD after having undergone first-line FOLFOX4 had PR both in lung and liver metastases by the second-line FOLFIRI (Fig. 2). The survival time of the eight patients experiencing CR, PR or SD in the first-line mFOLFOX6/FOLFOX4 or the second-line FOLFIRI is 7 to 27 months. That of the three patients not showing CR, PR or SD is 4 to 8 months. The former is significantly longer than the latter (p=0.0023). Toxicity is presented in Table 1. Grade 1/2 paresthesia was seen at the 2nd to 12th 2-week cycle in 6 patients undergoing FOLFOX4/mFOLFOX6; however, paresthesia > grade 3 has not been present. Grade 3 neutropenia, grade 1/2 thrombocytopenia, grade 3 diarrhea, and grade 2 anaphylaxis were observed as other toxicities associated with mFOLFOX6. Grade 2 anaphylaxis caused the discontinuation of mFOLFOX6 after nine 2-week cycles in 1 of the 4 patients having PR (patient 9). Grade 2 stomatitis and grade 3 neutropenia were observed in those undergoing second-line FOLFIRI. 【Discussion】 FOLFOX and FOLFIRI is the active regimen for treatment of patients with advanced or metastatic colorectal cancer. In this study we discussed the validity, efficacy, and toxicity of mFOLFOX6/ FOLFOX4 and FOLFIRI. In FOLFOX4, SD and PD were 20% and 80%, respectively. Three of the patients who underwent FOLFOX4 as the firstline chemotherapy selected best supportive care (BSC) due to grade 3 general fatigue. FOLFOX4 caused grade 1/3 neutropenia and grade 1/3 thrombocytopenia as other toxicities. Patients underwent FOLFOX4 as inpatients and mFOLFOX6 -73as outpatients. At our institution, the first-line chemotherapy was changed from FOLFOX4 to mFOLFOX6 in consideration of efficacy, toxicity, and necessity of hospitalization. In mFOLFOX6, CR and PR were 14% and 58%, respectively. Grade 3 neutropenia, paresthesia < grade 2, grade 3 diarrhea, and grade 2 anaphylaxis were observed as toxicities. In the patient who suffered from grade 3 diarrhea, serum CEA level increased again at 30 ng/ml 5 months after discontinuation of treatment. He was started on an 80% volume regimen of mFOLFOX6, which reduced his serum CEA level to the normal range and led to CR as determined by imaging. This indicated to us that the regimen which had been acceptably toxic and effective should be restarted in a reduced volume. Second-line chemotherapy was FOLFIRI, which was administered to 5 patients. Two patients (40%) showed PR, 1 patient (20%) showed SD, and 2 patients (40%) showed PD. The survival time of the eight patients experiencing CR, PR or SD in the first-line mFOLFOX6/FOLFOX4 or the secondline FOLFIRI are significantly longer than that of the three patients not showing CR, PR or SD. The above mentioned suggested that CR, PR or SD in mFOLFOX6/FOLFOX4 followed by FOLFIRI may contribute improvement of prognosis for patients with advanced or metastatic colorectal cancer. In regard to toxicity, second-line FOLFIRI caused grade 2 stomatitis, grade 2 neutropenia, and grade 3 general fatigue. Thinking over the improvement of prognosis, mFOLFOX6/FOLFOX4 followed by FOLFIRI may be a suitable treatment for advanced or metastatic colorectal cancer. In the future, use of a combination of FOLFOX, FOLFIRI, and molecular target agents such as bevacizumab8) and cetuximab will be more expected. 参考文献 1) 2) 3) 4) 5) 6) 7) 【Conclusion】 For advanced or metastatic colorectal cancer, mFOLFOX6/FOLFOX4 followed by FOLFIRI may be effective and comparatively safe treatments. 8) Advanced Colorectal Cancer Meta-Analysis Project. Modulation of fluorouracil by leucovorin in patients with advanced colorectal cancer: evidence in terms of response rate. J Clin Oncol 10: 896-903, 1992 de Gramont A, Bosset JF, Milan C, et al: Randomized trial comparing monthly lowdose leucovorin and fluorouracil bolus with bimonthly high-dose leucovorin and fluorouracil bolus plus continuous infusion for advanced colorectal cancer: a French intergroup study. J Clin Oncol 15: 808-815, 1997 Goldberg RM, Sargent DJ, Morton RF, Fuchs CS, Ramanathan RK, Williamson SK, Findlay BP, Pitot HC, Alberts SR. A randomized controlled trial of fluorouracil plus leucovorin, irinotecan, and oxaliplatin combinations in patients with previously untreated metastatic colorectal cancer. J Clin Oncol 22: 23-30, 2004 de Gramont A, Louvet C, Andre T, et al: A review of GERCOD trials of bimonthly leucovorin plus 5-fluorouracil 48-h continuous infusion in advanced colorectal cancer: evolution of a regimen. Groupe d'Etude et de Recherche sur les Cancers de l'Ovaire et Digestifs (GERCOD). Eur J Cancer 34: 619626, 1998. 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(years) sex site metastases Tegafur/uracilX5D/W +irinotecan(HAI)X2D/ W 1 56 F R synchronous liver (X6W/course) Tegafur/uracil + oral leucovorin lung X 4 courses: PD 2 64 F C synchronous liver Tegafur/uracilX5D/W +irinotecan(iv)X2/4W (X4W/course) X 2 courses: PD 3 64 M R synchronous lung 4 5 6 65 69 74 M M M S S D+S synchronous synchronous synchronous LN liver lung liver liver Tegafur/uracil + oral leucovorin X 3 courses: PD - 7 64 F R synchronous liver - 8 69 M A synchronous LN - 9 58 M R synchronous liver PS 1 0 71 F A synchronous liver 2 55 M R synchronous liver, P 3 3 3 1 SD neutropenia general fatigue neutropenia paresthesia (at 4th course) PD general fatigue neutrpenia thrombocytopenia 3 1 1 PD thrombocytopenia 1 CR diarrhea thrombocytopenia F4 0 X2 FOLFIRI X10 X5 BSC X2 BSC X4 FOLFIRI X2 PD 3 1 X4 80%FOLFOX X16 PR 3 2 2 X12 FOLFIRI X4 PD PR neutropenia thrombocytopenia paresthesia (at 2nd course) paresthesia (at 5th course) 1 SD X12 FOLFIRI X16 SD 2 1 X9 FOLFIRI X16 PR anaphylaxis paresthesia (at 3rd course) thrombocytopenia paresthesia (at 12th course) thrombocytopenia paresthesia (at 8th course) 2 1 X12 1 1 X8 F4 F4 0 mF6 0 mF6 0 mF6 - mF6 - PR mF6 - response toxicity BSC F4 mF6 2-week post cycles FOLFOX X4 1 mF6 0 11 3 3 3 PD 2 grade neutropenia thrombocytopenia general fatigue PD 0 10 first- respons toxicity line e PR - grade prognosis - - 4M, d neutropenia 3 27M, a - - - 7M, d - - - 6M, d general fatigue neutropenia 3 2 8M, d thrombocytopenia 1 11M, a neutropenia 2 13M, d stomatitis 2 17M, d PR - - 16M, a - - - - 15M, a - - - - 12M, a PR R, rectum; C, cecum; S, sigmoid colon; D, descending colon; A, ascending colon; LN, lymph node; P, dissemination; D/W, days/week; PS, peformance status; F4, FOLFOX4; mF6, mFOLFOX6; PD, progressive disease; SD, stable disease; PR, partial response; BSC, best supportive care; M, months; a, alive; d, dead A B C D E F Fig 1. Contrast-enhanced CT (CECT) scan in patient 6. A, B: before chemotherapy, C, D: after 100% mFOLFOX6, and E, F: after 80% mFOLFOX6. A, B: CECT scan revealed multiple liver metastases (one arrow and an arrowhead). C, D: CECT scan demonstrated partial response of multiple liver metastatic tumors (one arrow and an arrowhead). E, F: CECT scan showed complete response of multiple liver metastatic tumors. -76- A B C D E F G H Fig 2. CT scan in patient 2. A, B, C, D: before, and E, F, G, H: after second-line FOLFIRI. A, B, C, D: CT scan demonstrated multiple metastases in lung (A; white arrows) and liver (B, C, D; black arrows). E, F, G, H: Partial responses of lung (E; a white arrow) and liver (F, G, H; black arrows) metastatic tumors were observed. -77<平成 19 年度研究報告> テーマ:Dual Chamber Pacemaker が植え込まれた患者において, AV delay の適正化による ANP・BNP の長期的な変動を検討する. 研究班名:ペースメーカ調節班 班長および班員名:大阪市立総合医療センター 循環器センター 班長名 阿部幸雄 班員名 中川英一郎,小松龍士,成子隆彦,伊藤彰 学会発表(平成 19 年度分): DDD ペースメーカが植え込まれた患者において AV delay の変化が左房動態に与える 影響:speckle tracking 法を用いた 2D 心エコー図による検討. 古川敦子,阿部幸雄,柳下大悟,白井直哉,中川英一郎,中村友之,柚木佳,大橋 潤子,小松龍士,成子隆彦,伊藤彰,土師一夫,吉川純一,葭山稔. 第 18 回 日本心エコー図学会学術集会,軽井沢,2007 年 4 月. 【背景】DDD ペースメーカが植え込まれた患者 では AV delay(AVD)の適正化が重要である が,AVD の変化が心房動態に与える影響に関し ては十分に知られていない. 【目的】2D 心エコー図の新手法である speckle tracking 法で作成した左房の時間容量曲線を用 いて,AVD の変化が左房動態に与える影響を調 べること. 【方法】完全房室ブロックに対して DDD ペー スメーカを植え込んだ 10 例で,Siemens 社製 Acuson Sequoia 512 を用いた心エコー図検査下 に AVD の適正化を行った.左室流入血流速波 形(LVIF)の時間速度積分(TVI)が最大とな る AVD を至適 AVD とし 1),長(180 msec)お よび短(40 msec)を加えた 3 種の AVD で LVIF や肺静脈血流速波形を比較した.また,心尖四 腔像において speckle tracking 法を用いて左房の 時間容量曲線を作成し,3 種の AVD で比較した. 【結果】至適 AVD は 111 ± 33 msec(幅:60 ~ 160 msec)だった.LVIF の TVI と LVIF の A 波 の TVI は至適 AVD で最大だったが(p < 0.05), 肺静脈血流速波形の a 波の TVI は至適 AVD で 最小だった(p < 0.05).作成した左房の時間 容 量 曲 線 の 全 て で,reservoir volume(RV) と conduit volume(CV),booster pump volume(BPV) を評価できた.RV と CV は 3 種の AVD 間で有 意な差はなかったが,BPV は短い AVD で最小, 長い AVD で最大となった(短:13.3 ± 7.9 ml, 至適:19.5 ± 9.3 ml,長:25.0 ± 13.6 ml;p < 0.05). 【総括】短い AVD では心房収縮による左房容量 変化および左室充満が小さく,肺静脈への逆流 が大きい.長い AVD では心房収縮による左房 容量変化は大きいが,肺静脈への逆流も大きく 左室充満が小さい.従来のドプラ指標に加え, speckle tracking 法で作成した左房の時間容量曲 線を用いることで,AVD の変化が左房動態に与 える影響を評価できた. 1)Jansen AH, Bracke FA, van Dantzig JM, Meijer A, et al. Correlation of echo-Doppler optimization of atrioventricular delay in cardiac resynchronization therapy with invasive hemodynamics in patients with heart failure secondary to ischemic or idiopathic dilated cardiomyopathy. Am J Cardiol. 2006;97:552557. -78- -79<平成 19 年度研究報告> テーマ アデノシン三リン酸 (ATP) による 早期興奮症候群の鑑別 研究班名 小児循環器研究班 班長名 鈴木嗣敏 班員名 保田典子,小澤有希,江原英治,村上洋介 学会発表 アデノシン三リン酸 (ATP) による早期興奮症候群の鑑別 鈴木嗣敏,村上洋介,保田典子,小澤有希,江原英治 第 21 回近畿小児科学会 平成 20 年 3 月 16 日 【背景】WPW 症候群 ( 心房心室副伝導路 : 以 下 WPW) は学校心臓健診において診断される ことの多い疾患の一つである.WPW は心電図 のデルタ波により診断され,発作性上室性頻拍 や、心房細動による突然死が問題となる疾患 である.しかし、同じデルタ波を有しながら 頻拍発作や突然死のリスクがない異型 WPW 症 候群 ( 束枝心室副伝導路,Fasciculo-Ventricular Mahaim : 以下 FVM) と呼ばれる疾患群が存在す ることが近年明らかになってきた ( 図 1).QRS 幅が 120ms 以上で大きなデルタ波を有する場合 FVM は否定できるが,QRS 幅が狭くデルタ波 が小さい場合は心電図による鑑別診断は困難で あり,鑑別方法,FVM の頻度などが近年議論 されている. 【方法】平成 18 年 11 月から平成 20 年 2 月までに, 学校心臓健診で WPW と診断されて本院を受診 した症例の内,QRS 幅が 120ms 以下で小さな デルタ波を有する症例を対象とした. 疾患と方法,リスクについてインフォームドコ ンセント施行後、書面で同意を得た上で心電図 モ ニ タ ー 下 に ATP を 0.3 ~ 0.4mg/kg/dose 急 速 静注し、WPW と FVM の鑑別を行った. ATP の急速静注により一過性房室ブロックが確 認された場合は FVM と診断し,PR 時間が変化 せず QRS 幅が広く変化して,房室ブロックを 来さなかった場合は WPW と診断した. また WPW の分類に準じて,心電図の V1 の形 により,type A ( 左側に副伝導路がある type), type B ( 右側に副伝導路がある type),type C ( 中 隔に副伝導路がある type) の 3 つのグループに 分けて比較検討した. 【結果】対象症例は 31 例.平均年齢 10.9 歳,6 歳 ~ 17 歳. 男 性 が 12 例, 女 性 が 19 例.type A は 9 例,type B は 11 例,type C は 11 例. ATP の急速静注により FVM と診断された症例 は 21 例 (67%),WPW と 診 断 さ れ た 症 例 は 10 例 (33%) であった ( 図 2). FVM と診断された症例は,type A が 9 例中 1 例, type B が 11 例中 11 例,type C が 11 例中 9 例で あった ( 図 3). 【考察】学校心臓健診で WPW 症候群と診断され た症例の 67% が FVM と診断された.FVM は 頻拍発作や突然死を来すリスクはなく,学校管 理区分は「E 可」から「管理不要」に変更した. FVM はこれまで極めて稀な疾患とされてきた が,今回の検討では WPW と診断されている症 例の多くが実際は FVM である可能性が示唆さ れる. WPW で副伝導路が右側や中隔に存在する場合, デルタ波は大きく QRS 幅は 120ms 以上となり 診断は容易であるが,左側に副伝導路が存在す る場合は,特に小児ではデルタ波が小さくなり, QRS 幅も 120ms 以下のことが多く FVM との鑑 別が困難である. 今回の検討では,QRS 幅が 120ms 以下の場合, V1 で R 波 が S 波 よ り も 高 い type A の 場 合 は -80WPW 症候群である可能性が高いが,V1 で R 波が S 波よりも低い type B や,V1 が QS pattern を呈する type C の場合は FVM である可能性が 高いことが示唆された. ATP テストのリスクは,喘息発作の誘発,冠動 脈疾患における虚血症状の誘発,心室細動を起 こす素因がある場合,心室細動を誘発すること が上げられる.今回は喘息,冠動脈疾患の既往 がないことを確認して検査を行い,これらの合 併症を来した症例は認めなかった. ATP を急速静注する際,顔面紅潮,全身倦怠感, 胸痛,呼吸苦を認める.約 20 秒程度で症状は 消失するが,その程度には個人差がある.これ らの症状については検査前に十分説明した上で 検査を行った.この症状が検査に影響をきたし た症例はなかった.検査は全例外来にて行い, 検査時間は 10 分程度で終了した. Ratnasamy らは,WPW と診断されて電気生理 検査を行った 215 例中 11 例,5.1% が FVM であっ たと報告している 1.しかしこのデータは母集 団が電気生理検査を行った WPW でバイアスが かかっており,FVM の頻度を示すものではな い. Sternick らは,中中隔,前中隔に副伝導路を有 する WPW と FVM の心電図の比較検討を行っ ているが,QRS 幅が狭いことが鑑別に最も有用 であり,QRS の形からの鑑別は困難と報告して いる 2. 今回の検討では母集団数が不明のため頻度の算 出はできなかった.今後,母集団を規定した上 で ATP テストを行うことにより,FVM の正確 な頻度を算出し,その心電図の特徴を検討する 予定である. WPW と FVM は同じΔ波を有する疾患である が,リスクは全く異なる疾患であり,鑑別診断 が重要である ( 図 4).WPW 症候群は突然死の 可能性もあることから,管理方法が議論されて いるが,正確に WPW 症候群を診断することが 必要である. 参考文献 1. 2. Ratnasamy C, Khan D, Wolff GS, Young ML. Clinical and electrophysiological characteristics of fasciculoventricular fibers in children. Int J Cardiol. 2008;123(3):257-262. Sternick EB, Rodriguez LM, Gerken LM, Wellens HJ. Electrocardiogram in patients with fasciculoventricular pathways: a comparative study with anteroseptal and midseptal accessory pathways. Heart Rhythm. 2005;2(1):1-6. -81- -82- -83<平成 19 年度研究報告> テーマ 慢性腎炎における腎循環障害の関わりと治療薬の評価 研究班名 慢性腎炎対策研究班 班長 森川 貴 班員 小西啓夫、今西政仁、岡田範之、前田一石、宮野正人 学会発表 糸球体濾過が保たれた IgA 腎症において尿中 L-FABP を最も反映する腎障害進行因子は何か 岸田真嗣、森川貴、小西啓夫、岡田範之、前田一石、北林千津子、奥村道昭、今西政仁 第 51 回日本腎臓学会学術総会(福岡)平成 20 年 5 月 31 日 【要 約】 目的:L 型脂肪酸結合蛋白 (L-FABP:liver-type fatty acid binding protein) は慢性腎炎を含めた慢 性腎臓病の予後を予測する指標とされ、その発 現は尿蛋白、尿細管間質の虚血や組織障害な どの腎障害進展因子と強い相関を示す。しか し、L-FABP がどの腎障害進行因子と最も関係 するのか、疾患や腎機能を限定して検討されて いない。そこで、今回それを行い、同時に腎循 環障害を改善する治療薬による影響についても 検討した。方法:対象は糸球体濾過 ( クレアチ ニンクリアランス:Ccr) が保たれた ( > 70ml/ min)IgA 腎 症 30 例 ( 年 齢 32 ± 10) と し た。 こ れ ら の 尿 蛋 白 量、Ccr、 腎 血 漿 流 量、resistive index( 腎 ド プ ラ )、 間 質 障 害 ス コ ア 及 び 尿 中 L-FABP を測定し、L-FABP との関係を検討した。 このうち 8 例については、治療(アンジオテン シン II 受容体拮抗剤、ステロイド)の投与前後 でもこれらを測定し、L-FABP の変化率とそれ ぞれの変化率の関係について検討した。結果: 30 例の IgA 腎症患者において、単回帰分析では、 尿蛋白量、Ccr、腎血漿流量、RI、間質障害ス コアが尿中 L-FABP と相関した。重回帰分析で は、尿蛋白量が尿中 L-FABP と最も強い相関を 示した。治療による L-FABP の変化率は、尿蛋 白量の変化率と最と相関を示した。結論:糸球 体濾過が保たれた IgA 腎症では、尿蛋白の程度 が最も L-FABP に反映されることがわかった。 【序 論】 慢 性 腎 臓 病 (CKD:chronic kidney disease) か ら の透析患者は、日本も含めて世界中で増加の一 途をたどっている [1]。このことは、透析患者 の生命予後が非透析患者の半分程度しかないと いう臨床医学上の点と、維持透析には莫大な費 用がかかるという医療経済上の点において重大 な問題となっている。さらに、慢性腎臓病が透 析も含めた末期腎不全への進行リスクであるば かりではなく、心血管疾患の強力な発症因子で あることが明らかになってきた [2]。以上のこ とから、慢性腎臓病の進展を予測して、末期腎 不全への進行を抑制することが非常に重要な課 題である。 最近、この慢性腎臓病の進展を予測する鋭敏 なバイオマーカーとして、尿中肝臓型脂肪酸 結 合 蛋 白 (L-FABP:liver-type fatty acid binding protein)が注目を集めている [3, 4]。FABP は細 胞内で脂肪酸と結合して、その輸送や利用を担 う蛋白であり、肝臓型、腸型、心筋型、脂肪細 胞型など、現在のところ 9 つのアイソタイプが 知られている [5]。このうちの肝臓型が L-FABP で あ り、 分 子 量 14 kDa の 可 溶 性 蛋 白 で、 肝 臓、腎臓、膵臓、小腸に存在する。腎臓におい て、L-FABP は近位尿細管上皮細胞で産生され て、ほとんどが尿中に排泄されるといわれてお り、尿中 L-FABP の 97%は近位尿細管に由来す る [3]。このため、尿細管 ( 特に近位 ) が障害を 受けるような病態、例えば、多量の蛋白尿 [6] や、 尿細管虚血 ( 血流障害 ) [7]、尿細管の組織障害 [3] などで、尿中 L-FABP は増加する。このこと から、尿細管障害が慢性腎臓病の最も有意な進 展因子であること [8] も踏まえると、慢性腎臓 病の進展を予測するバイオマーカーとして尿細 -84管障害を反映する尿中 L-FABP が適当であるこ とは考えやすい。しかし、これらの因子のうち の、どれが最も尿中 L-FABP を反映するのかに ついては良くわかっておらず、検討の余地があ る。特に、腎機能が正常の慢性腎臓病患者にお いての検討は、ほとんど成されていない。そこ で、今回、慢性腎臓病の中で、腎機能、特に糸 球体濾過が保たれた IgA 腎症患者において、尿 細管障害を引き起こす因子のうち、どれが最も 尿中 L-FABP を反映するのかについて検討した。 さらに、同時に腎循環障害を改善する治療薬に よる影響についても検討した。 【方 法】患者とプロトコール 2005 年から 2007 年の間に大阪市立総合医療セ ンターにて同意のもと腎生検を受けた患者は 335 例である。この中で治療歴がなく、腎生検 にて IgA 腎症と診断されて、糸球体濾過が保た れた ( クレアチニンクリアランス:Ccr > 70ml/ min)30 例(男 9 例、女 21 例)を対象とした。 平均年齢は 32 歳であった。腎生検や腎ドップ ラー検査は入院 1 週間以内に行った。入院中に 24 時間蓄尿を行い、尿蛋白、Ccr を計測した。 さらに、パラアミノ馬尿酸を用いて、腎血漿流 量 (RPF) を計測した。血圧は臥位で日に 3 回測 定し、3 日間の平均を値とした。30 例のうちの 8 例においては、治療(アンジオテンシン II 受 容体拮抗剤、ステロイド剤)前後で、尿蛋白量、 Ccr、 RPF のみを測定した。すべての患者は診断、 治療を目的として入院し、今回の検討に同意を 得ている。今回の検討は院内も倫理委員会に認 められている。 組織学的検討 組織は 4% にて固定し、パラフィン包埋した。 一部を凍結切片とした。PAS,PAM 染色を行い、 皮質間質あたりの障害間質の割合で間質障害ス コアとした。 Resistive index の測定 腎内の血流、循環の指標として、腎ドップラー に よ る resistive index(RI ) の 計 測 を 行 っ た。 測定は被験者を 10 分間の仰臥位安静後、LOGIC700(GE Medical System, Milwaukee, WS, USA) を用いて行った。 RI は [peak systolic velocity enddiastolic velocity] / peak systolic velocity と し て測定した。葉間動脈を 6 カ所測定し、その平 均を値とした。日間変動は健常者 15 名にて測 定し、2.3% であった。 尿中 L-FABP の測定 2 種のモノクローナル抗体を用いたサンドイッ チイムノアッセイ法により尿中 L-FABP を測定 した (CMIC,Tokyo,Japan)。 統計学的分析 患者のデータは 平均±標準偏差にて示した。蛋 白尿、尿中 L-FABP、間質障害スコアは 中央値(25 パーセンタイル , 75 パーセンタイル)で示した。 尿中 L-FABP と尿蛋白量、Ccr、RPF、RI、間質 障害スコア及び、尿中 L-FABP の変化率と尿蛋 白量、Ccr、RPF の変化率 の関係は Pearson の相関係数にて検討した。同 様の関係について、重回帰分析でも検討した。 統計は StatView (ver. 5.0) にて行った。P<0.05 を 統計学的有意とした。 【結 果】 table.1 に 30 例の患者背景を示した。単回帰分 析において、尿蛋白量、Ccr、RPF、間質障害 スコア、RI が尿中 L-FABP と相関した(Fig.1)。 重 回 帰 分 析 に お い て は、 尿 蛋 白 量 が 尿 中 LFABP と最も強い相関を示した (table.2)。table.3 にアンジオテンシン II 受容体拮抗剤やステロイ ドで治療した症例 8 例の患者背景を示した。治 療によって、収縮期血圧、拡張期血圧、蛋白 尿量、尿中 L-FABP が有意に減少し、RPF は有 意に増加した。尿中 L-FABP の変化率は、単回 帰分析において、尿蛋白量のみと変化率と相関 した (Fig.2)。重回帰分析においても、尿中 LFABP の変化率は、尿蛋白量の変化率と相関し た (table.4)。 【討 論】 今 回 の 検 討 で、Ccr が 70ml/ 分 /1.73m2 以 上 の Ccr が保たれた IgA 腎症において、尿中 L-FABP は尿蛋白量と最も強い相関を示した。治療によ る L-FABP の変化率においても、尿蛋白量の変 化率と有意な関係を認めた。 尿中 L-FABP が大量の尿蛋白によって増加する のには以下のようなプロセスがあると考えられ ている。血清蛋白の主成分であるアルブミンに は遊離脂肪酸が結合している。糸球体で濾過さ れたアルブミンは近位尿細管で再吸収される が、同時に遊離脂肪酸も再吸収される。このた -85め、尿蛋白が多い場合、アルブミンと同時に大 量の遊離脂肪酸が近位尿細管で再吸収されるこ とになる。そこで、この遊離脂肪酸と結合して 処理するために L-FABP の発現が亢進して、尿 中に排出される [9]。我々の治療前後の検討で も、尿蛋白量の多い症例ほど尿中 L-FABP の排 出量が多く、治療によって蛋白尿の減少した症 例ほど、尿中 L-FABP の減少が著しく、以上の ことについて合致していた。 次に、尿中 L-FABP は腎臓の血流障害によって も増加するといわれている。その機序は、傍尿 細管周囲毛細血管の血流低下による尿細管虚血 が刺激となって、近位尿細管における L-FABP の発現が増加して、尿中への排泄が増加すると 考えられている。実際、尿中 L-FABP の排泄量 は、腎の血液環流量と逆相関することが報告さ れており、尿中 NAG やβ 2MG などの尿細管 障害の指標よりも鋭敏に尿細管虚血を反映する [7]。今回、我々は腎血流を評価する指標として、 腎ドプラ法による RI を用いた。臨床における 腎血流を評価する指標として、他に適当な方法 が無く、過去に行った我々の検討において有用 であったからだ [10]。今回の検討では、L-FABP と RI は単回帰分析では有意な相関を示したが、 重回帰分析では相関を認めなかった。その理由 としては、今回の対象が IgA 腎症という数年 の経過を経て慢性に進行する腎炎であったこと よると推察された。尿細管虚血によって尿中 L-FABP が増加するのは、急性腎不全 [11] や造 影剤腎症 [12] のように、急速で短時間のうちに 尿細管虚血が起こって尿細管にストレスがかか ることで、L-FABP が尿中に排泄される場合で ある。今回の対象である IgA 腎症のように、緩 徐に長時間かけて血流障害が起こっている場合 には、L-FABP の産生も少ないのかもしれない。 次に、尿中 L-FABP は尿細管間質障害の程度が 強い程、排泄が多いといわれている [3]。一方 で、尿細管間質の組織障害は、尿蛋白や、間質 の血流障害にも関係することは周知のことであ る [13] [14] [15]。我々の検討でも、単回帰分析 では、尿中 L-FABP と間質障害スコアに相関は みられたが、重回帰分析では相関が認められず に、尿蛋白のみが強い相関を示した。このこと から、尿中 L-FABP と尿細管間質障害の相関関 係については、尿蛋白が影響を及ぼしていると 考えられた。また、今回の検討では、尿細管障 害の指標である尿中 NAG や尿中β 2MG の測定 を行っていない。今後は、これらの指標も加え て、尿中 L-FABP と尿細管間質障害との関係に ついて評価する必要があると考えられた。 以上より、糸球体濾過が保たれた IgA 腎症にお いては、尿中 L-FABP を最も反映する腎障害進 行因子が、尿蛋白量であることを示すことがで きた。 参考文献 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. Lysaght, M.J., Maintenance dialysis population dynamics: current trends and long-term implications. J Am Soc Nephrol, 2002. 13 Suppl 1: p. S37-40. Go, A.S., et al., Chronic kidney disease and the risks of death, cardiovascular events, and hospitalization. N Engl J Med, 2004. 351(13): p. 1296-305. Kamijo, A., et al., Urinary fatty acid-binding protein as a new clinical marker of the progression of chronic renal disease. J Lab Clin Med, 2004. 143(1): p. 23-30. Kamijo, A., et al., Urinary liver-type fatty acid binding protein as a useful biomarker in chronic kidney disease. Mol Cell Biochem, 2006. 284(1-2): p. 175-82. Furuhashi, M. and G.S. Hotamisligil, Fatty acidbinding proteins: role in metabolic diseases and potential as drug targets. Nat Rev Drug Discov, 2008. 7(6): p. 489-503. Kamijo, A., et al., Urinary excretion of fatty acid-binding protein reflects stress overload on the proximal tubules. Am J Pathol, 2004. 165(4): p. 1243-55. 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J Am Soc Nephrol, 1998. 9(2): p. 231-42. -87table.1:患者背景 (n = 30) parameter 性別 (男/女) 9/21 年齢 (歳) 32±10 収縮期血圧 (mmHg) 118±10 拡張期血圧 (mmHg) 72±8 BUN (mg/dl) 13.8±3.8 Cre (mg/dl) 0.74±0.20 Ccr (ml/min/1.73m2) 125±28 RPF (ml/分) 491±118 尿蛋白量 (mg/日) 388 (104-1317) Resistive Index (>70) 0.585±0.05 尿中 L-FABP (μg/gCre) 3.7 (2.4-6.9) 平均±標準偏差、または中央値(25 パーセンタイル, 75 パーセンタイル) BUN:尿素窒素、Cre:血清クレアチニン、Ccr:クレアチニンクリアランス、 RPF:腎血漿流量 table.2:L-FABP と尿蛋白量、Ccr、RPF、RI、間質障害スコアとの重回帰分析 parameter 標準回帰係数 P値 尿蛋白量 0.746 <0.0001 Ccr -0.006 0.9807 RPF -0.102 0.6496 RI 0.241 0.0743 間質障害スコア -0.095 0.6244 -88table.3:患者背景( n = 8) parameter 治療 (前) 治療 (後) p値 年齢 (歳) 30±8 収縮期血圧 (mmHg) 121±11 114±9 0.0298 拡張期血圧 (mmHg) 75±9 68±8 0.0154 BUN (mg/dl) 14.1±3.4 14.0±3.5 0.7233 Cre (mg/dl) 0.82±0.25 0.80±0.32 0.6058 Ccr (ml/分/1.73m2) 114±26 114±26 0.9260 RPF (ml/分) 451±101 627±172 0.0053 尿蛋白量 (mg/日) 1920 (640-3000) 440 (200-900) 0.0101 L-FABP (μg/gCre) 13.0 (3.1-16.8) 4.9 (2.2-6.1) 0.0121 平均±標準偏差、または中央値(25 パーセンタイル, 75 パーセンタイル) table.4:L-FABP の変化率と尿蛋白量、Ccr、RPF の変化率との重回帰分析 parameter 標準回帰係数 P値 尿蛋白量 0.875 0.0135 Ccr 0.198 0.3905 RPF 0.052 0.8204 -89Figure.1 30 例の糸球体濾過が保たれた IgA 腎症患者における 尿中 L-FABP と尿蛋白量、Ccr、RPF、RI、間質障害スコアの関係. 60 L-FABP (μg/gCre) R = 0.795 P < 0.0001 L-FABP (μg/gCre) R = -0.494 P = 0.0055 60 50 50 40 40 30 30 20 20 10 10 0 0 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170 180 Ccr(ml/分/1.73m2) 尿蛋白量(mg/日) L-FABP (μg/gCre) 60 R = -0.539 P = 0.0021 50 50 40 40 30 30 20 20 10 10 0 200 250 300 350 400 450 500 550 600 650 700 L-FABP (μg/gCre) R = 0.535 P = 0.0023 50 40 30 20 10 0 0 10 20 30 40 間質障害スコア R = 0.388 P = 0.0340 0 .45 .5 .55 .6 .65 RI RPF(ml/分) 60 L-FABP (μg/gCre) 60 50 60 70 .7 .75 .8 -90Figure.2 治療を行った 8 例の IgA 腎症患者における 尿中 L-FABP の変化率と尿蛋白量、Ccr、RPF の変化率の関係. L-FABPの 変化率 1 R = 0.893 P = 0.0028 L-FABPの 変化率 1 .75 .75 .5 .5 .25 .25 0 0 .25 .5 .75 1 R = 0.363 P = 0.3762 1 .75 .5 .25 0 -1 -.75 -.5 RPFの変化率 0 -.25 -.15 -.05 Ccrの変化率 尿蛋白量の変化率 L-FABPの 変化率 R = 0.221 P = 0.5995 -.25 0 .05 .15 -91<平成 19 年度研究報告> テーマ; 糖尿病患者の早期動脈硬化病変(脈波伝播速度)と 血中アディポサイトカインとの関連 研究班名; 糖尿病合併症研究班 班長名; 代謝内分泌内科;細井雅之 班員; 代謝内分泌内科;川崎 勲 代謝内分泌内科;田中永昭 総合診療科;山上啓子 学会発表 (1) 発表テーマ ; Brachial-ankle pulse wave velocity is correlated with coronary artery calcification in diabetic patients. 発表者;Tanaka N, Hosoi M, Matsuyama H, Fukumoto M, Yamakita T, Yoshioka K, Ishii T, Sato T, Fujii S: 発表場所、月日 ; European Association for the Study of Diabetes(EASD) デンマーク 2004.9.8 (2) 発表テーマ; 糖尿病患者の脈波伝播速度(PWV)は冠動脈硬化を反映しうるか?―冠動 脈石 灰化指数との関連 . 発表者;細井雅之、田中永昭、松山 裕、福本まりこ、上田実希、川崎 勲、山北哲也、吉岡克宣、 佐藤利彦、藤井 暁 : 発表場所、月日 ; 第 19 回日本糖尿病合併症学会 2004.10.2 横浜 (3) 発表テーマ ; 糖尿病患者の脈波伝播速度 PWV におよぼすメタボリックシンドロームの影響と運動 習慣の効果 発表者;細井雅之 田中永昭 大村洋子 井坂吉宏 上田実希 山上啓子 福本まりこ 川崎 勲 吉岡克宣 佐藤利彦 発表場所、月日 ; 第 80 回日本内分泌学会学術総会 平成 19 年 6 月 15 日 (4) 発表テーマ ; メタボリックシンドロームの糖尿病患者の脈波伝播速度 PWV におよぼす影響と運動 習慣による抑制効果 発表者;細井雅之 田中永昭 大村洋子 井坂吉宏 上田実希 山上啓子 福本まりこ 川崎 勲 吉岡克宣 佐藤利彦 発表場所、月日 ; 第 39 回日本動脈硬化学会総会学術集会 平成 19 年 7 月 13 日 (5) 発表テーマ ; 糖尿病患者の脈波伝播速度 PWV におよぼすメタボリックシンドロームの影響と運動 習慣による抑制効果 発表者;細井雅之 田中永昭 大村洋子 井坂吉宏 上田実希 山上啓子 福本まりこ 川崎 勲 -92 吉岡克宣 佐藤利彦 発表場所、月日 ; 第 26 回臨床運動療法研究会 平成 19 年 7 月 28 日 (6) 発表テーマ ; 運動習慣のある糖尿病患者ではメタボリックシンドロームであっても脈波伝播速度 PWV の亢進は抑制されている 発表者;細井雅之 田中永昭 大村洋子 井坂吉宏 上田実希 山上啓子 福本まりこ 川崎 勲 吉岡克宣 佐藤利彦 発表場所、月日 ; 第 22 回日本糖尿病合併症学会 平成 19 年 10 月 27 日 論文発表 (1) 「糖尿病患者の PWV は冠動脈硬化を反映するか?」 細井雅之、田中永昭、佐藤利彦 循環 plus 巻号頁、 vol. 6 No.7: pp10-12 , 2006 (2) 「運動習慣は動脈硬化を抑制するか」 細井雅之 月刊「地域保健」2007 年 9 月号 39-43 【背景】 現在、日本では糖尿病患者数は700万人を超 え、その糖尿病患者の生命予後を左右する合併 症は虚血性心疾患、脳梗塞といった動脈硬化病 変である。できるだけ、早期に動脈硬化病変を 評価し、治療介入することが望まれている。そ の早期動脈硬化病変の評価法として、近年、動 脈脈波伝播速度 aortic pulse wave velocity(PWV) が用いられるようになった。これは血管をひと つの弾性体とした仮定に基づき、上肢、大動脈、 下肢動脈長を圧脈波の伝播時間で除したもので あり、例えば、高血圧患者では亢進しており、 高値のものほど、脳心血管イベントが多いこと が報告されている。したがって、PWV をひと つの治療目標として介入し、脳心血管病変を予 防することが、日常臨床上重要である。 また、メタボリックシンドロームは心血管疾患 発症の高リスク群であるが、糖尿病患者におい ては心血管疾患発症の有意な予測因子であるか 否かは種々の報告がある。 今回、第 1 に、2型糖尿病患者の脈波伝播速度 pulse wave velocity(PWV) に及ぼすメタボリック シンドロームの有無の影響、特に、運動習慣と の関係を検討した。 一方、近年動脈硬化発症のメカニズムとして、 脂肪細胞から分泌されるホルモンが重要であ る こ と が 示 さ れ て き て い る。 血 中 Monocyte Chemoatractant Protein 1(MCP-1) や ア デ ィ ポ ネ クチンといった脂肪細胞由来サイトカイン(ア ディポサイトカイン)が、早期の動脈硬化病変 発生に関与することが基礎データーで発表さ れている。例えば、①動脈硬化の初期病変では 酸化ストレス等の障害をうけた血管内皮細胞 へ単球由来マクロファージが集まることが知 られているが,この過程に単球遊走因子であ る Monocyte Chemoattractant Protein 1 (MCP-1) が重要な働きをする。 N Engl J Med 340:115126,1999 ② 2型糖尿病患者 の 血中MCP -1 が上昇し、心血管死亡率と関連する。Diabetes Care 2003 ③糖尿病患者由来の培養血管内皮 細胞においてMCP-1の産生が上昇してお り、高ブドウ糖培養液でさらにMCP-1の産 生が増加する。 Biochem.Biophys.Res.Commun. 2007 ④ヒト培養メサンギウム細胞で高ブド -93ウ糖培養で、酸化ストレス反応が増加し、M CP -1 産生も上昇する。 J.Cell Biochem. 2007 ⑤ 2 型糖尿病患者の血中MCP -1 濃度は AGE,sRAGE と関連し、A1C,FPG とは関連認め ら れ な い と の 報 告 も あ る。Diabetes Metab Res Rev 2008 そこで、本研究の第 2 の目的は糖尿病患者の PWV と血中アディポサイトカイン MCP-1 との 関連を検討することである。 【方法】 対象は、40-70 歳の 237 名の2型糖尿病患者で メタボリックシンドローム群 (MS) は 52 名、非 MS 群は 185 名であった。運動習慣により、全 く運動習慣の無い群(―)20 分以上の運動を 週 1-3 回行なっていた群(+)週4回以上行 なっていた群(++)の3群検討項目;日本 コ ー リ ン 社 の Formu ABI を 用 い て aortic PWV を 計 測。 同 時 に 採 血 を 行 い、 血 中 Monocyte Chemoatractant Protein 1(MCP-1) を ELISA 法 に て測定した。 【結果】 (1)PWV は MS( 運 動 ―) 2053 ± 437 * (p<0.05), 非 MS( 運 動 ―) 1608 ± 421, MS( 運 動 +)1737 ± 250, 非 MS( 運 動 +) 1693 ± 451, MS( 運動 ++)1843 ± 541, 非 MS( 運動 ++) 1687 ± 321 cm/sec と運動習 慣の無い MS 群で最も血管硬度は亢進し ていた。逆に糖尿病では運動習慣があれ ば、MS 群、非 MS 群同程度の亢進度であっ た。 (2)単相関では、血中MCP-1濃度は、年齢、 BMI ,HDL コレステロールレベルと関 連した。 (3)重回帰分析では血清 MCP1 と BMI のみが 有意な関連性を示した。n= 203 (4)重回帰分析では、PWV や冠動脈石灰化指 数と血清 MCP1 は関連性が認められな かった。 【結論】 運動習慣はメタボリックシンドロームでの PWV の上昇を抑制しうると思われた。 【文献】 1. Ross, R., Atherosclerosis--an inflammatory disease. N Engl J Med, 1999. 340(2): p. 115-26. 2. Piemonti, L., et al., Fasting plasma leptin, tumor necrosis factor-alpha receptor 2, and monocyte chemoattracting protein 1 concentration in a population of glucose-tolerant and glucoseintolerant women: impact on cardiovascular mortality. Diabetes Care, 2003. 26(10): p. 28839. 3. Haubner, F., et al., Hyperglycemia increases the levels of vascular cellular adhesion molecule-1 and monocyte-chemoattractant-protein-1 in the diabetic endothelial cell. Biochem Biophys Res Commun, 2007. 360(3): p. 560-5. 4. Manabe, E., et al., Astaxanthin protects mesangial cells from hyperglycemia-induced oxidative signaling. J Cell Biochem, 2008. 103(6): p. 1925-37. 5. Nakamura, K., et al., Circulating advanced glycation end products (AGEs) and soluble form of receptor for AGEs (sRAGE) are independent determinants of serum monocyte chemoattractant protein-1 (MCP-1) levels in patients with type 2 diabetes. Diabetes Metab Res Rev, 2008. 24(2): p. 109-14. -94- 表1 患者臨床像 患者臨床像(1) MS(+) ������� �� ��) ��� �����2) �������) ������������) �������������) ���������) ����������) ����������) ���� ����� 52(26) 63.8±10.0# 29.0±3.7* 8.5±2.0 207±41 54±18 158±69 147±18* 85±12* 2.72±2.19 *P<0.01 #P<0.05 MS(-) 185(113) 60.9±8.3 22.9±4.5 8.7±1.9 204±36 54±16 158±88 126±17 75±11 2.82±2.32 (mean±S.D.) -95- 表2 baPWV baPWVに対する各MS因子の 重回帰分析 β HDL-CHO TG BMI HbA1C systolic BP R2 1.197 0.228 -3.932 5.433 12.895 0.362 P 0.2011 0.4274 0.3791 0.6407 <0.0001 -96- 図1 メタボリック症候群とPWV MSとbaPWVの関連 * ���� baPWV (cm/s) ���� ���� ���� ���� ���� ���� ���� MS���� 1671±393 MS��� 1863±444 *P<0.01 -97- 図2 運動習慣とPWV 運動習慣とbaPWV * ��00 baPWV (cm/s) �000 ��00 ����� ����� �000 �00 ����� 0 0��� ������ ����� ������ *P=0.0008 -98- 図3 血糖と血中MCP1 ��MCP1��A1C�����糖���������� 4000 4000 3500 3500 3000 3000 2500 2500 MCP1 MCP1 2型糖尿病患者175名 2000 2000 1500 1500 1000 1000 500 500 0 -200 0 200 600 1000 1400 FBS MCP1 = 698.203 + 1.09 * FBS; R^2 = .08 1800 2 4 6 8 10 12 14 16 HbA1c MCP1 = 764.826 + 19.299 * HbA1c; R^2 = .006 18 BMI と年齢との関係 図4 4000 4000 3500 3500 3000 3000 2500 2500 MCP1 MCP1 ⴊਛMCP1୯䈫BMI,ᐕ㦂䈱㑐ㅪ 2000 2000 1500 1500 1000 1000 500 500 0 0 10 15 20 25 30 35 40 BMI MCP1 = 815.202 + 2.935 * BMI; R^2 = .001 45 10 20 30 40 50 60 70 80 90 年齢 MCP1 = 592.29 + 5.452 * 年齢; R^2 = .019 100 -99図5 脂質とMCP-1 ⴊਛMCP1୯䈫ⴊਛ⢽⾰䈫䈱㑐ㅪ䇯 4000 3500 3500 3000 3000 2500 2500 MCP1 MCP1 4000 2000 2000 1500 1500 1000 1000 500 500 0 0 0 100 200 300 400 500 600 T-cho MCP1 = 878.92 + .032 * T-cho; R^2 = 9.85E-6 0 20 40 60 80 100 120 140 HDL MCP1 = 792.989 + 1.874 * HDL; R^2 = .003 700 160 4000 3500 3000 MCP1 2500 2000 1500 1000 500 0 0 200 400 600 800 1000 1200 TG MCP1 = 845.087 + .165 * TG; R^2 = .002 図6 1400 腎機能とMCP-1 4000 4000 3500 3500 3000 3000 2500 2500 MCP1 MCP1 ⴊਛMCP1୯䈫⣢ᯏ⢻䇮䉝䊦䊑䊚䊮ዩ䈫䈱㑐ㅪ䈲䈭䈇䇯 2000 1500 2000 1500 1000 1000 500 500 0 0 2 4 6 8 10 Cre MCP1 = 904.956 + 9.776 * Cre; R^2 = 4.663E-4 12 0 -100 0 100 200 300 400 500 600 U-Alb.2(mg/dl) MCP1 = 868.375 + .045 * U-Alb.2(mg/dl); R^2 = 2.25E-5 -100図7 炎症とMCP-1 ⴊਛMCP1୯䈲Ἳ∝䈫㑐ㅪ䈏䈅䉎䋿 4000 3500 3000 MCP1 2500 2000 1500 1000 500 0 -5 0 5 10 15 20 25 30 35 CRP MCP1 = 875.968 + 58.765 * CRP; R^2 = .113 40 -101- 図8 血管硬度、冠動脈石灰化とMCP-1 PWV と MCP1 4000 3500 max PWV 3000 2500 2000 1500 1000 500 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000 MCP1 冠動脈石灰化指数と MCP1 4 3.5 3 logCCS 2.5 2 1.5 1 .5 0 -.5 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000 MCP1 -102MCP1 に対する重回帰分析 表3 n=203, R2=0.06 p=0.03 標準回帰係数 P 年齢 0.132 0.08 BMI 0.155 0.028 HbA1C 0.006 0.935 HDL コレステロール 0.115 0.108 血清 Cre 0.107 0.135 表4 PWV に対する重回帰分析 n=31, R2=0.784 標準回帰係数 P 収縮期血圧 0.913 <0.001 MCP1 -0.127 0.17 表5 冠動脈石灰化指数に対する重回帰分析 n=31, R2=0.283 標準回帰係数 P 収縮期血圧 0.238 0.25 年齢 0.196 0.37 MCP1 0.243 0.18 -103<平成 19 年度研究報告> 内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査の前処置としての ペパーミントオイル撒布の有用性の検討 内視鏡検査研究班 班 長 山崎智朗 班 員 中原憲一 根引浩子 協力者 佐々木英二 元山宏行 倉井 修 【目的】 ペパーミントオイル(以下, PO)は古くよりハー ブ療法で用いられている.その効能としてはリ ラクゼーション効果の他に消化管運動の抑制が 認められている 1. 現在,内視鏡検査の鎮痙剤として臭化ブチル スコポラミンやグルカゴンが用いられている が,臭化ブチルスコポラミンは前立腺肥大 ・ 緑 内障・心疾患が,グルカゴンでは高血糖が投与 禁忌となっており,高齢者での投与が困難なこ とが多い.最近,内視鏡検査時の鎮痙剤として ペパーミントオイルの消化管投与を行いその有 用性が報告されている 2.3.内視鏡的逆行性胆管 膵管造影検査(以下,ERCP)の際にも鎮痙剤 が必要となるが,現在は通例に従い臭化ブチル スコポラミンやグルカゴンを用いている.PO は鎮痙剤としての有効性が示唆されているが, 現時点では普及しているとはいえず十三市民病 院でも導入していない.そこで,当院において ERCP 時の PO 有用性を検討すべく従来の鎮痙 方法である通常群,PO 撒布群の無作為化比較 試験を行う. 【計画】 対象: 文章にて同意が得られた ERCP 実施 予定患者 【方法】 ランダムに被験者を通常群・PO 群に群分け する. 十二指腸乳頭に到達した時点で鎮痙剤投与群 は経静脈的に鎮痙剤(臭化プチルスコポラミン ないしはグルカゴン)を投与する.また PO 群 は乳頭付近に PO 溶液 20 mlを鉗子孔より散 布する. 通常群では 65 歳以下はブスコパン(20mg) の投与,ブスコパン投与禁忌のものならびに 65 歳以上の患者にはグルカゴン(1mg)の投与を 行った.どちらも禁忌のものには鎮痙剤の投与 は原則行わないこととした. 鎮痙剤投与群が鎮痙剤の追加投与が必要になっ た場合には各々の薬剤初回投与量の半量を追加 投与する.PO 群で消化管蠕動が検査の妨げに なる場合にはランダムに PO 群と鎮痙剤投与群 に分け投与する.PO 群で再投与が必要になっ た場合には PO を再度散布するが,術者が鎮痙 剤の投与が望ましいと判断した場合には鎮痙剤 を投与する. PO 溶液は Hiki らの方法に準じ 1.6%のペパー ミントオイル溶液作成する 3. 検討項目 術者による蠕動抑制効果判定(5段階) カニュレーションの成功率 各種パラメータの統計解析は Mann-Whitney の U 検定ならびに Fisher の直接法を用い p<0.05 を もって有意差ありとした.また文中の表記は平 均±標準偏差とした. 【結果】 34 名の患者から同意を取得し,通常群,PO 群それぞれ 17 例ずつ割り当てた.通常群の 1 例で腫瘍による十二指腸狭窄のためファイバー が乳頭まで到達しなかったためその症例は除外 して解析した. 患者背景は表1に記載してあるが両群で背景 因子に有意差は認めなかった. -104通常群と PO 群では蠕動抑制効果はそれぞれ 3.0 ± 0.5,2.0 ± 0.9 と有意に通常群で蠕動が抑制 された(p=0.003) (図1).カニュレーションは 今回観察した全症例で成功しており,差は認め なかった.また EST を施行した症例では PO 群 の5名のうち4名で追加の鎮痙処置(PO 追加: 2名,経静脈鎮痙剤:2名)を行ったが,通常 群では追加の鎮痙処置を行ったものはなかっ た. 【考察】 今回の検討では PO による蠕動の抑制効果は 通常法に比べ低かった.蠕動の抑制効果は主観 的な計測であるが,有意に通常群の方が蠕動が 抑制され,過去の報告とは異なる結果となった 2 .通常観察ではそれほど通常群と PO 群での 差は問題にならないが EST のような処置時は 確実な蠕動抑制が出血・穿孔の予防に必須であ り,PO 群で鎮痙剤の追加が5例中4例で必要 になったことはやはり PO では蠕動抑制が不十 分であるといわざるを得ない. 調査期間中に大腸内視鏡検査での PO の使用を プレリミナリー的に使用したが,こちらの方が 蠕動が抑制される印象があった.臓器により PO の蠕動抑制効果が異なる可能性があるため, 今後検討が必要であろう. PO は作成は簡便で安価あり,蠕動抑制効果が 十分得られれば従来法に変わることができたの だが,現状では通常法での前処置の方が望まし いといえる. 表 1 患者背景 年齢 男/女 EST の有無(有 / 無) 通常群(n=16) PO 群(n=17) 69.6 ± 16.2 66.6 ± 14.2 8/8 8/9 4/12 5/12 参考文献 1. Inamori M, Akiyama T, Akimoto K et al. Early effects of peppermint oil on gastric emptying: a crossover study using a continuous realtime 13C breath test (BreathID system). J Gastroenterol 2007;42:539-542 Ya m a m o t o N , N a k a i Y, S a s a h i r a N e t al. Efficacy of peppermint oil as an antispasmodic during endoscopic retrograde cholangiopancreatography. J Gastroenterol Hepatol 2006;21:1394-1398 H i k i N , K u r o s a k a H , Ta t s u t o m i Y e t a l . 2. 3. Peppermint oil reduces gastric spasm during upper endoscopy: a randomized, double-blind, double-dummy controlled trial. Gastrointest Endosc 2003;57:475-482 図1 各群の蠕動抑制効果 4 3.5 3 2.5 2 1.5 1 .5 0 non PO non:通常群 PO:PO 群 エラーバー:標準偏差 -105<平成 19 年度研究報告> 報 告 書 当院における糖尿病患者の動向 研究班名:糖尿病患者の運動耐容能研究班 班 長:内本定彦(住吉市民病院内科) 班 員:新谷真知子(住吉市民病院内科) 有本裕一(住吉市民病院外科) 【はじめに】 現在我が国において、糖尿病患者および糖尿 病予備軍は増加し、2010 年には糖尿病有病者 数が男性 520 万人、女性 560 万人の合計 1080 万人に増加すると予測されている 1)。同じよう に、大阪市においても糖尿病患者が増加してい る。糖尿病は、早期では自覚症状が乏しいため 比較的早い段階から健康状態をチェックするよ うに、大阪市民への啓蒙活動、保健指導の徹底、 さらに生活習慣病患者およびその予備軍への医 療の介入・受け皿となる医療機関の整備が必要 である。当院では大阪市民に対する種々の啓蒙 活動を行い、糖尿病指導のための短期教育入院 プログラムを平成18年10月より開始してい る。当院は大阪市南西部地域にあり、糖尿病で 通院・加療されている方のほとんどは、住之江 区、西成区、住吉区在住の方である。今後この 地域での糖尿病治療・研究をすすめていくにあ たり、この地域の糖尿病患者さんの現状ならび に特徴を把握しておく必要がある。今回は今後 の調査・研究のための基礎データ作成のために、 当院通院中の糖尿病患者の治療状況や合併疾患 等についての調査研究を行う。 【方法】 当院内科に定期的に通院中の糖尿病患者を対 象とし、糖尿病の治療法、血糖コントロール状 態 (HBA1c、総コレステロール、HDLコレス テロール、中性脂肪 )、合併疾患として高血圧 症や高脂血症の有無について調査する。 【結果】 今回調査対象となったのは、男性185例、 女性72例の計257例である。257例の糖 尿病患者のうち、治療法として食事・運動療法 のみの例が23例、インスリン使用例(経口糖 尿病薬併用例も含む)が88例であり、経口糖 尿病薬使用例が146例であった。 血糖コントロール状態(表 . 1)については HBA1c 平 均 7.8% と コ ン ト ロ ー ル や や 不 良 で あった。総コレステロール 223 mg/dl、HDL コ レステロール 46mg/dl、中性脂肪 178 mg/dl で あった。 また高血圧症については 52% に、高脂血症に ついては 38% に合併がみられた。 【考察】 今回は今後の検討のための基礎データ作りのた めの検討である。血糖コントロール状態を示す HBA1c は高く、全般にコントロールは良好とは 言い難い。一般的に細小血管合併症予防のため には、HBA1c 6.5% 未満が望ましい。血糖コン トロールが不十分である原因としては、医療ス タッフ側の指導不足と患者側の治療に対するコ -106ンプライアンスの問題がある。今回の調査では その原因については不明だが、今後詳細に検討 し、指導・啓蒙していく必要があると考えられ る。 また高血圧症や高脂血症などの他の生活習慣病 の合併例も多くみられた。一般的に糖尿病患者 の約半数が高血圧症を合併すると言われている が、本検討ではほぼ同じ水準であった。また高 血圧症 2)・高脂血症の合併は、心血管系疾患の 発症率を高め、死亡率を高めると言われている。 糖尿病の治療とともに、厳重な管理が必要であ る。 ると同時に、この地域(ないしは当院)におけ る糖尿病を検討していく上での基礎データとし て使用していく。 文献 1) 健康日本21企画検討会、健康日本21計 画策定検討会:21世紀における国民健康 づくり運動(健康日本21)についての報 告書。厚生省、東京(2000) 2) Sowers JR, Epstein M, Frohlich ED. Diabetes, hypertension, and cardiovascular disease: an 【まとめ】 update. Hypertension 2001; 37: 1053-1059. これらのデータをもとに、今後臨床に反映させ 㧝⸘ޓ᷹࠺࠲ *$#E 6% OIFN *&.% OI&. 6) OIFN ᐔဋ୯ 㧞ޓว૬∔ᖚ ว૬₸ 㜞ⴊ 㜞⢽ⴊ∝ -107<平成 19 年度研究報告> 頸動脈ステント留置術における周術期合併症 頸動脈ステント留置術における周術期合併症研究班 班長 石黒友也 班員 小宮山雅樹、池田英敏 学会発表 頚動脈ステント留置術の治療成績 石黒友也、小宮山雅樹、中村一仁、松阪康弘、池田英敏、山中一浩、岩井謙育、安井敏裕 第 6 回日本頚部脳血管治療学会、福岡、平成 19 年 6 月 15 日 頚動脈ステント留置術の治療成績:症候例と無症候例との比較 石黒友也、小宮山雅樹、中村一仁、松阪康弘、池田英敏、山中一浩、岩井謙育、安井敏裕 第 66 回日本脳神経外科学会総会、東京、平成 19 年 10 月 4 日 【緒言】 頸部内頸動脈狭窄症は血行力学性脳梗塞や 動脈原性塞栓症の原因疾患として重要な疾 患 で あ る. 欧 米 で の 大 規 模 臨 床 試 験 の 結 果 1-3,8) により症候例では 50% 以上、無症候例で は 60% 以 上 の 狭 窄 に 対 す る 頚 動 脈 内 膜 剥 離 術 (carotidendarterectomy: CEA) の有用性は広く 認められている.一方でステントを用いた血 管形成術である頸動脈ステント留置術 (carotid angioplasty and stenting: CAS) は 1990 年代後半か ら行われるようになり、特に CEA 高危険群に 対しての CAS の有用性が報告 7)されてからは、 その件数は年々増加傾向である.日本ではこれ まで保険収載されていなかったが、その安全性 および低侵襲性から各院内の倫理委員会の承認 のもとに特に CEA 高危険群に対して CAS が施 行されてきた.2007 年 9 月から CAS が薬事承 認され、今後ますます普及していくものと予想 される.当院では 2001 年より CAS を開始して おり、これまでの CAS の治療成績、特に周術 期合併症について検討する. 【対象と方法】 対 象 は 2001 年 1 月 か ら 2007 年 10 月 ま で に CAS を施行した 83 症例 90 病変である.性別は 男性が 70 例 (84%)、女性が 13 例 (16%) で、治 療時の年齢は平均 69.4 歳 (53-81 歳 ) であった. 症候性病変が 47 例 (52.2%) で、無症候性が 43 例 (47.8%) であった.また術前の狭窄率は平均 78% (47-99%) であった. 治療は原則的に症候性病変では狭窄率が 50% 以 上、無症候性では 60% 以上を適応とした.術 前より抗血小板剤を 2 剤投与した.塞栓予防デ バイスは初期の 20 例は後拡張時のみ protection を 行 う Naviballoon (Kaneka Medics, 神 奈 川 , 日 本 ) を使用し、その他の症例はすべての手技中 に protection が可能な PercuSurge GuardWire Plus (Medtronic Inc, Santa Rosa, CA, USA) を 使 用 し た.治療は局所麻酔で施行可能であるが、側副 血行路の発達が悪く、頸動脈の一時的な血流遮 断に耐えられないことが予想される症例や治 療中に安静が保てない症例では全身麻酔で行っ た.CAS の方法は以下のとおりである.まず大 腿動脈経由にガイディングカテーテルを総頸動 脈に留置する.コントロールの血管撮影の後に PercuSurge GuardWire Plus を病変通過させ、高 位内頸動脈まで誘導する.局所麻酔の場合には そこで一旦 PercuSurge GuardWire Plus のバルー ンを拡張して血流遮断を行い、神経症状の出 現の有無を観察する tolerance test を約 2 分間行 う.その後に徐脈予防のための硫酸アトロピン 0.5mg を静脈投与し、再度バルーンを拡張して 血流遮断を開始し、前拡張、ステント留置、後 拡張を続けて行う.症例によっては 2 段階 ( ス -108テント留置までと後拡張を別に行う ) に分けて 手技を行った.後拡張後は血栓除去用の吸引カ テーテルを挿入して、約 40-60ml の血液を吸引 する.最後に血流遮断を解除して手技を終了す る. 大腿動脈の穿刺部は止血デバイス (AngioSeal (St. Jude Medical, Stratford Upon Avon, UK)) を使 用するか、用手圧迫で止血する.大腿動脈から のアプローチが不可能ないしは high risk と判断 した症例では、上腕動脈経由または頸部小切開 による頸動脈直接穿刺によってステント留置を 行った.術中および術後の徐脈・低血圧に対し ては、薬剤投与で対応する. CAS を局所麻酔で施行したのが 47 例 (52.2%)、 全身麻酔が 43 例 (47.8%) で、アプローチは大 腿動脈経由が 86 例 (95.6%)、上腕動脈経由が 3 例 (3.3%)、頸部小切開による頸動脈直接穿刺 が 1 例 (1.1%) であった.平均経過観察期間は 平均 35.2 ヵ月 (0-81 ヵ月 ) であった.これらの 症例に対して CAS の成否、転帰、周術期合併 症、特に手技に伴う虚血性合併症に関して検討 を行った.転帰は術 30 日後の Glasgow outcome scale で評価した.また 6 ヵ月以上の経過観察を 行った 84 例に関しては、治療側の虚血症状お よび再狭窄の有無も検討した. 【結果】 ステント留置は 90 例中 89 例で行うことが出 来 た (technical success rate 98.9%). 残 り の 1 例 はアクセスルートである総頸動脈に高度動脈硬 化性変化を認めており、ガイディングカテーテ ルの誘導による塞栓性合併症の危険が高いと 判断し CEA に変更した.周術期虚血性合併症 は 6 例で認め、major stroke が 2 例 (2.2%), minor stroke が 3 例 (3.3%), TIA が 1 例 (1.1%) で あ っ た.その中で手技に関連するものは 4 例であっ た (Table 1).4 例中 1 例 ( 症例 3) が major stroke で、残り 3 例は minor stroke だった.虚血性合 併症の原因と考えられた手技は 4 例中 2 例はガ イディングカテーテル留置までに、残る 2 例は PercuSurge GuardWire Plus の操作中に認められ た.その他の合併症は死亡例である過灌流症候 群による脳内出血が 1 例、無症候性の心筋梗塞 を 1 例、コレステリン塞栓症を 2 例、仮性動脈 瘤などの穿刺部合併症を 3 例で認めた.術 30 日後の転帰は Good recovery が 84 例 (93.4%) で、 Moderate disabled 4 例 (4.4%)、Severe disabled 1 例 (1.1%)、dead 1 例 (1.1%) であった. 術後 6 ヵ月以上経過した 84 例のうち、治療 側の虚血症状を呈した例はなかった.狭窄率が 50% 以上の再狭窄を認めたのは 2 例 (2.4%) で、 1 例はバルーンのみでの血管拡張術を、もう 1 例はステント内に新たにステント留置を行った (stent-in-stent).いずれも再狭窄による虚血症状 の出現はなかった. 【代表症例】 〈症例 4〉60 歳、男性 頸部雑音の精査で右頸部内頸動脈狭窄を指摘さ れた.狭窄率は 70% であり、全身麻酔下に大 腿動脈経由で頸動脈ステント留置術を施行し た (Fig. 1-4).術後に軽度の左半身の感覚鈍麻 を認めた.MR 検査では拡散強調像で右放線冠 (Fig.5a)、側頭葉、左側頭葉、橋左背側にも高信 号域を認めていた.治療を行った右側のみでな く、カテーテルを挿入していない左側や後頭蓋 窩にも虚血性変化を認めたことから、ガイディ ンカテーテルをあげる際に大動脈弓からの動脈 原性塞栓症を来したと考えられた. 【考察】 頸部内頸動脈狭窄症に対する CAS は、当初 は CEA 高危険群に限定して施行されていたが 5) 、近年の塞栓予防デバイスの開発に伴い、治 療成績は確実に向上している 4,7).さらに CEA 高危険群での無作為比較試験で CAS は CEA に 劣ることがないという結果が報告 7) されてから は、その低侵襲性もあり CAS が徐々に普及し てきた.頸部内頸動脈狭窄症に対する外科的 治療は合併症の発生が低いことが求められて おり、CEA の場合は症候性で 6%、無症候性で 3% 以下が条件とされている 1,8).当然、CAS の 場合も同様の結果が求められる.CAS の合併 症には塞栓性合併症や徐脈・低血圧に伴う虚血 症状、稀ではあるが過灌流症候群などが挙げら れる.また血管内治療全般に起こりえる合併症 でコレステリン塞栓症や穿刺部合併症などがあ る.今回、いずれの合併症も認めたが、特に塞 栓性合併症が 6 例 (6.7%) と最も多かった.こ -109れら 6 例の中で症例 3 を除く全てが、術者経験 20 例以内ないしは新たなデバイス (PercuSurge GuardWire Plus) を使用し始めて 5 例以内の時期 に認めている.症例 3 は通常行っていない頸部 小切開による直接穿刺の際に頸動脈解離を起こ し、その結果脳塞栓を来した.また塞栓症の原 因が手技に関連した 4 例中 2 例はガイディング カテーテル留置までに、残る 2 例は PercuSurge GuardWire Plus の操作中に認められた.Verzini らは CAS において合併症が起こるタイミング を検討しており、ガイディングカテーテル留置 までと前拡張からステント留置、後拡張、塞栓 予防デバイス回収までの 2 つの step が最も危険 な step と報告している 6).しかしいずれの場合 も術者経験が増えることで合併症は減少してい た 6).当院の結果も同様の傾向を示しており、 CAS を安全に行うためには手技とデバイスの両 者に対する習熟が必要と考えられた. 2007 年 9 月 か ら 日 本 で も CAS が 薬 事 承 認 さ れ た が、 保 険 収 載 さ れ て い る 器 材 は フ ィ ル ターワイヤープロテクションデバイスである Angioguard XP とナイチノール性自己拡張型ス テントである PRECISE (Cordis, Miami, FL, USA) のシステムのみで、従来本邦において多く使用 されてきた PercuSurge GuardWire Plus と異なる 塞栓予防デバイスを用いなければならない.今 後、これまでと同様ないしはそれ以上の治療成 績を修めるためには、新たな塞栓予防デバイス である Angioguard XP の特性を十分に理解した 上で治療に臨む必要がある. 【結語】 バルーン型の塞栓予防デバイスを使用した CAS は安全かつ有効な治療であった.合併症の 多くは手技およびデバイスに対する経験が不足 している時期に認めており、今後のさらなる治 療成績向上のためには手技およびデバイスに対 する習熟が必要と考えられた. 参考文献 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. Barnett HJ, Taylor DW, Eliasziw M, et al: Benefit of carotid endarterectomy in patients with symptomatic moderate or severe stenosis. Engl J Med 339: 1415-1425, 1998 MRC Asymptomatic Carotid Surgery Trial (ACST) Collaborative Group: Prevention of disabling and fatal strokes by successful carotid endarterectomy in patients without recent neurological symptoms: randomized controlled trial. Lancet 363: 1491-1502, 2004 North American Symptomatic Carotid E n d a r t e r e c t o m y Tr i a l C o l l a b o r a t o r s : Beneficial effects of carotid endarterectomy in symptomatic patients with high-grade carotid stenosis. N Engl J Med 325: 445-453, 1991 Henry M, Amor M, Henry I, et al: Carotid stenting with cerebral protection: first clinical experience using the PercuSurge GuardWire system. J Endovasc Surg 6: 321-331, 1999 Teitelbaum GP, Lefkowitz MA, Giannotta SL: Carotid angioplasty and stenting in high-risk patients. Surg Neurol 50: 300-312, 1998 Ve r z i n i F, C a o P, D e R a n g o P, e t a l : Appropriateness of learning curve for carotid artery stenting: an analysis of periprocedural complications. J Vasc Surg 44: 1205-1212, 2006 Yadav JS, Wholey MH, Kuntz RE, et al: Protected carotid-artery stenting versus endarterectomy in high-risk patients. N Engl J Med 351: 1493-1501, 2004 Young B, Moore WS, Robertson JT, et al: An analysis of perioperative surgical mortality and morbidity in the asymptomatic carotid atherosclerosis study. Stroke 27: 2216-2224, 1996 -110- Table 1:Summary of periprocedual stroke cases M: male, F: female, R: right, L: left Figure 1:治療前の血管撮影 ( 右総頸動脈撮影 側面像 ).70% 狭窄を認める ( 矢印 ). Figure 2:前拡張時の単純写.PercuSurge GuardWire Plus の血流遮断用バルーン ( 矢印 ). 病変部拡張用のバルーン(矢頭). -111- Figure 3:ステント留置後の単純写. (a) Figure 4:ステント留置後の血管撮影 (右総頸動脈撮影 側面像). 病変は十分な拡張が得られている. (b) Figure 5:術 6 日後の MRI 拡散強調像.右放線冠部 (a) および左側頭葉 (b) に高信号域を認める ( 矢印 ). -112- -113<平成 19 年度研究報告> 大腿骨頭すべり症治療に用いる新開発内固定材料・ トランスフィジアルスクリューの治療効果に関する臨床調査研究 大阪市立総合医療センター 小児整形外科 班長 北野利夫(大阪市立総合医療センター) 協力者 中川敬介(大阪市立総合医療センター) 森田光明(大阪市立住吉市民病院) 和田麻由子(大阪市立住吉市民病院) 学会発表 第 47 回日本小児股関節研究会 第 48 回日本小児股関節研究会 【はじめに】 これまで使用していた従来型の固定材料を用い た場合の既述の問題点、すなわち、1)骨頭の 骨成長を抑制、2)スクリューの固定強度の低 下、3)骨成熟完成後の抜釘困難、の3点に関 して従来型固定材料による治療群と新開発スク リューによる治療群について比較検討すること を目的とした。 【対象】 当院倫理委員会承認後、安定型 SCFE 5例6関 節に新開発トランスフィジアルスクリューを使 用した(図1)。手術時年齢は平均12歳、術 後経過期間は平均8か月であった。 【方法】 手術時所見、経過中のレントゲン所見、大腿骨 頭壊死・軟骨融解症などの合併症の有無につい て調査した。 【結果】 現時点では重大な合併症は認めていない。 成長軟骨板が閉鎖し抜釘に至った症例において は抜釘時の合併症はなく容易に抜釘できた。代 表症例のレントゲンを図2(12 歳男児)に示す。 【考察】 SCFE に 対 す る in-situ fixation 時 に 使 用 す る 内 固定材料としては、中空スクリュー1本もしく は2本が使用されることが多い。成長軟骨板で の成長障害を最小限におさえるために、先端の ネジ切り部を骨端内に収まるように短くし、ま た dynamic 効果が得られるようにスクリュー刺 入部と頭部に余裕をもたせた長さのスクリュー を選択するために、固定力が低下し内固定期間 中の migration や、抜釘時の困難という問題点 があった。今回新開発したトランスフィジアル スクリューの特徴はスクリュー中央部にネジ切 り部を設けることにある。これにより、骨強度 の強い大腿骨骨幹端でスクリューが強固に固定 される。一方、ネジ山が設けられていないスク リュー先端部が成長軟骨板を貫き骨端に挿入さ れすべりの進行予防が達成される。すなわち、 スクリューのネジ切り部が成長軟骨帯を跨がず に強固な固定が得られる。この結果、骨頭の成 長抑制を最小限に抑えることが期待できる。 【まとめ】 大腿骨頭すべり症など、成長軟骨をまたぐ固定 に使用するトランスフィジアルスクリューを開 発した。 こでまで、5 例 6 関節に使用したが、スクリュー の緩みや抜釘時の合併症等の発生はない。 予防が達成される。すなわち、スクリュー な固定が得られる。この結果、骨頭の成長 -114のネジ切り部が成長軟骨帯を跨がずに強固 抑制を最小限に抑えることが期待できる。 図1 図2 -115<平成 19 年度研究報告> 未破裂および破裂脳動脈瘤と 高ホモシスチン血症の関係について 未破裂および破裂脳動脈瘤と高ホモシスチン血症研究班 班長 中村一仁(大阪市立総合医療センター 脳神経外科) 班員 安井敏裕、韓正訓 協力者 寺田愛子、國廣誉世、山本直樹、池田英敏、石黒友也、小宮山雅樹 学会発表 「当院における破裂脳動脈瘤治療の現状」 中村一仁、池田英敏、石黒友也、韓正訓、小宮山雅樹、安井敏裕 第 13 回日本脳神経外科救急学会、シンポジウム、平成 20 年 1 月 19 日、東京 「当院における破裂脳動脈瘤治療の現状」 中村一仁、池田英敏、石黒友也、韓正訓、小宮山雅樹、安井敏裕 第 37 回日本脳卒中の外科学会、平成 20 年 3 月 22 日、京都 論文発表 「当院における破裂脳動脈瘤治療の現状」 中村一仁、石黒友也、韓正訓、寺田愛子、國廣誉世、山本直樹、池田英敏、松阪康弘、小宮山雅樹 Neurosurg Emerg 13(2): 182-187, 2008 【はじめに】 1969 年に McCully らは高ホモシスチン血症と 血管障害についての仮説を説き 7)、その後多く の報告により虚血性脳血管障害 1)11) としての高 ホモシスチン血症の影響が知られるようになっ た.さらに、頸部動脈解離の危険因子として高 ホモシスチン血症も認知されるに至っている 2). 脳動脈瘤と高ホモシスチン血症についての報告 はほとんどなく、くも膜下出血が高ホモシスチ ン血症と関連なかったという英国の報告 8) はあ るものの本邦での詳細は知られていない.また、 脳動脈瘤破裂の危険因子として、高血圧、喫煙 などが知られている 9)10) が、脳動脈瘤破裂を予 防予測するためには他の危険因子や破裂のメカ ニズムの解明が必要である. 血管内皮障害を惹起すると考えられている高ホ モシスチン血症とその代謝に関連するとされる 血清葉酸,血清ビタミン B12 について脳動脈瘤 破裂との関連性の有無を評価する. 【対象・方法】 2007 年から 2008 年 10 月までに当院で加療を行 なった未破裂脳動脈瘤群 21 例,破裂脳動脈瘤 群 13 例で以下の項目について後方視的に比較 検討を行なった.各群における年齢,性別,動 脈瘤部位,血液検査(ホモシスチン値、葉酸値、 ビタミン B12 値)高血圧,糖尿病,高脂血症の 既往などの血管障害の危険因子を調査し結果の 統計学的解析を行なった. 【結果】 結果を表1に示す.平均年齢はそれぞれ未破裂 群 58.1 ± 11.8 歳,破裂群 62.0 ± 12.7 歳であっ た(t 検定 , NS).性別は未破裂群で男性 6 例, 女性 15 例,破裂群で男性 5 例,女性 8 例であった. 高血圧は未破裂群 10 例(47.6%),破裂群 10 例 (76.9%)に認めた(χ 2 検定,NS).高脂血 症は未破裂群 10 例(47.6%),破裂群 8 例(61.5%) であり(χ 2 検定,NS),糖尿病は未破裂群 (9.5%)2 例,破裂群 1 例(7.7%)であった(χ 2 検定,NS).血清ビ タミン B12(正常値: -116233-914pg/ml) の 平 均 値 は 未 破 裂 群 で 569 ± 289pg/ml,破裂群で 962 ± 431pg/ml で統計学的 有意差を認めた ( t検定,p < 0.003).血清葉酸(正 常値:3.6-12.9ng/ml)の平均値は未破裂群で 7.1 ± 3.8ng/ml,破裂群で 7.3 ± 4.5ng/ml で両群間 に統計学的有意差は認められなかった (t 検定, NS).血清ホモシスチン(正常値:3.7-13.5nmol/ ml)の平均値は未破裂群で 9.6 ± 2.9nmol/ml, 破裂群で 8.5 ± 2.6nmol/ml で両群間に統計学的 有意差は認められなかった (t 検定,NS). 【考察】 1969 年に McCully らは高ホモシスチン血症と 血管障害についての仮説を説き 7)、その後多く の報告 1)11) により虚血性脳血管障害としての高 ホモシスチン血症の影響が知られるようになっ た.1976 年 Harker らは血清ホモシスチン値増 加と大動脈内皮細胞の減少率が相関することを 示し,血清ホモシスチン値増加と血小板寿命低 下もまた相関を示すことを証明した 4).脳動脈 瘤は,血行力学的ストレスが脳動脈分岐部にか かり,この中膜欠損部である動脈分岐を中心と した血管壁の脆弱性などから形成されると考え られてきた 5).内膜細胞障害については高血圧, 喫煙などの多くの危険因子があるが,内皮細胞 を減少せしめる高ホモシスチン血症が脳動脈瘤 形成や破裂に関与しているか否かはよく知られ ていない.渉猟しえるかぎり,英国からの報告 8) で,高ホモシスチン血症が脳動脈瘤破裂と関 連がなかったことが示されているが,本邦での 実態は良く知られていない. 未破裂脳動脈瘤の血清ホモシスチン値は 9.6 ± 2.9mmol/dl で,破裂脳動脈瘤のそれ(8.5 ± 2.6mmol/dl)と統計学的な有意差は見出せず, 本邦においても英国での報告同様に脳動脈瘤破 裂に高ホモシスチン血症は関連しないと考えら れた. 未破裂脳動脈瘤群と比較して,血清ビタミン B12 値が破裂脳動脈瘤群で有意に高かった(p < 0.003).冠動脈ステント留置後に葉酸,ビタミ ン B6,ビタミン B12 の投与を行なうと再閉塞 率が高くなるという報告 6) もあり,血清ビタミ ン B12 高値は脳動脈瘤における破裂の危険性が 増す要素なのかもしれない.破裂におけるビタ ミン B12 の関与は,その機序も不明であり症例 数が少ないため多数例での検討が必要である. 血清葉酸値と出血性脳血管障害の関連性を示し た報告 3) があるが,今回の研究での血清葉酸値 は破裂脳動脈瘤群と未破裂脳動脈瘤群で有意差 を認めず,その関連性を示すことは出来なかっ た. 今回の研究では,比較対象となる血管障害の 既往のない正常コントロール例の蓄積ができな かったため,高ホモシスチン血症と脳動脈瘤形 成の関連を示すことは出来なかった.正常コン トロール例の蓄積を行い,高ホモシスチン血症 の脳動脈瘤形成の関連性を検討する必要があ る. 【結語】 未破裂脳動脈瘤および破裂脳動脈瘤症例の血清 ホモシステイン,葉酸,ビタミン B12 につい て比較を行なったが統計学的な有意差を認めな かった,これらの血管障害因子は脳動脈瘤破裂 に関与する可能性は低いと考えられた. 参考文献 1. Bos MJ, van Goor ML, Koudstaal PJ, et al., Plasma homocystine is a risk factor for recurrent vascular events in young patients with an ischaemic stroke or TIA.. J Neurol 252: 332327, 2005 2. Gallai V, Caso V, Paciaroni M, et al., Mild hyperhomocyst(e)inemia; a possible risk factor for cervical artery dissection. Stroke 32: 714718, 2001 3. Guelpen BV, Jultdin J, Johansson I, et al., Folate, Vitamin B12, and risk of ischemic and hemorrhagic stroke; a prospective, sested casereferent study of plasma concentrations and dietary intake. Stroke 36: 1426-1431, 2005 4. Harker LA, Ross R, Slichter SJ, et al., Homocystine-induced arteriosclerosis; the role of endothelial cell injury and platelet response in its genesis. The Journal of Clinical Investigation 58: 731-741, 1976 5. Kim C, Kikuchi H, Hashimoto N, et al. -117Histopathological study of induced cerebral aneurysms in primates. Surg Neurol 32: 45- 6. 7. 8. 50, 1989 Lange H, Suryapranata H, De Luca G, et al., Folate therapy and in-stent restenosis after coronary stenting. N Engl J Med 24: 2673-2681, 2004 M c C u l l y K S . Va s c u l a r p a t h o l o g y o f homocysteinemia: implications for the pathogenesis of arteriosclerosis. Am J Pathol 56: 111-128, 1969 McEvoy AW, Marras C, Kitchen ND, et al., Plasma total homocysteine and subarachnoid haemorrhage in a co-factor replete population. Amino Acids 21: 237-241, 2001 Nobuyuki Y, Suzuki A, Nishimura H, et al. Long-term follow-up study of unruptured intracranial aneurysms; clinical studies. Neurosurg 40: 1155-1160, 1997 10. Stehbens WE, Etiology of intracranial berry aneurysms. J Neurosurg 70: 823-831, 1989 11. Toole JF, Malinow MR, Chambless LE, et al., Lowering homocystine in patients with ischemic stroke to prevent recurrent stroke, myocardial infarction, and death; the vitamin intervention for stroke prevention (VISP) randomized controlled trial. JAMA 291: 565-575, 2004 9. -118表1 年齢 性別 高血圧 高脂血症 VB12 葉酸 ホモシスチン (233-914pg/ml) (3.6-12.9ng/ml) (3.7-13.5nmol/ml) 812 6 7.9 糖尿病 未破裂群 70 F - ○ - n=21 58 F ○ ○ - 405 5.2 11.1 66 F ○ - - 1360 6.7 7.3 59 M ○ ○ ○ 814 8.1 8 57 F ○ ○ - 677 6.7 8.2 70 F ○ ○ - 399 8.4 9.6 53 F - ○ - 574 6.5 10.3 56 M ○ ○ - 207 6 14 50 F - ○ - 463 12.9 8.1 36 F - - - 321 6.1 10.2 63 M - - - 432 11.5 9.8 61 F - - - 399 5.5 12 68 M - ○ - 476 6.1 14 50 F - - - 363 7.6 6.8 72 M ○ - - 307 3.4 15 35 F ○ - - 252 2.9 14.1 45 F ○ - - 964 20 4.5 41 F - - - 388 3.8 8.1 72 M ○ - - 930 5.7 6.4 66 F - - - 582 7.6 7.2 73 F - ○ ○ 824 3.4 9.5 10 10 2 569±289 7.1±3.8 9.6±2.9 3.8 10.9 58.1±11.8 破裂群 66 M - - - 1020 n=13 71 M ○ ○ ○ 1500 5 11.3 82 F - - - 296 7.2 9.9 66 F ○ ○ - 874 7.5 4.2 74 F - - - 695 4.5 9.7 61 M ○ - - 1500 12.3 6.7 66 F ○ ○ - 440 4.6 8.4 52 M ○ - - 450 20 9.2 40 F ○ ○ - 918 4.1 10.2 64 F ○ ○ - 1500 5 4.2 73 F ○ ○ - 926 5.7 11.8 42 F ○ ○ - 1500 9.7 5.5 50 M p ○ ○ - 881 5.1 8.1 62.0±12.7 10 8 1 962±431 7.3±4.5 8.5±2.6 NS* NS** NS** NS** <0.003* NS* NS* * t-test, ** chi-square test, F: female, M: male, NS: not significant -119<平成 19 年度研究報告> 腎瘻造設後の腎瘻管理に関する研究 総合医療センター泌尿器科 尿路変向研究班 班 長 上川禎則 班 員 杉本俊門、石井啓一、黒木慶和 協力者 田中悦子(総合医療センター看護部) 学会発表 統一した腎疫造設患者の初回指導 ―模型 ( 腎療挿入 ) を作製して― 田中 悦子、上川 禎則、杉本俊門 第 25 回日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会総会 (札幌) 平成 20 年 2 月 2 日 論文発表 統一された腎瘻造設患者の初回指導 腎瘻模型を作製して 田中悦子、上川禎則 泌尿器ケア 第 13 巻 9 号 92-97 頁 平成 20 年 9 月 【はじめに】 腎瘻は、泌尿器科領域のみならず外科・婦人 科領域の悪性疾患患者にも造設されることが多 い尿路変向術である。しかも腎瘻カテーテルの トラブルは腎不全・腎盂腎炎の原因となり生命 に関わる問題となることもある。しかし最近、 入院期間の短縮により、腎瘻の自己管理が理解 できない、あるいは腎瘻そのものを理解できな いままに退院を余儀なくされ在宅へと移行する ケースが増加している。その結果、退院後カテー テルトラブルで救急外来を受診する患者が増え てきた。当院では腎瘻の管理・指導に関する正 式なマニュアルがなく、指導方法にばらつきが あり、これがカテーテルトラブルを引き起こす 一因と考えられた。そこで泌尿器科外来を中心 に腎瘻造設後の指導を統一することで、カテー テルトラブルを減少させることができないかを 検討した。 【対象および方法】 対象は、院内で新規に腎瘻を造設した患者で、 入院科を問わず、すべて泌尿器科外来で腎瘻カ テーテルの管理指導を行った。指導時期は、腎 瘻造設前と、腎瘻造設後の外泊あるいは退院前 である。事前に、年齢・造設後日数・経過・挿 入部の状態・退院までの目安・キーパーソン(支 援者)の有無・身体不自由の有無・退院後の生 活を情報収集した。 指導時間は家族同伴で、30分の予約制(=在 宅療養指導料加算)とし、主に泌尿器科の尿路 変向術後外来で担当医師および専任看護師が指 導を行った。 準備 1)指導者用マニュアルおよび患者用パンフ レット 指導者用マニュアルは、腎瘻管理の指導の際に、 漏れがないことがチェックできる欄を設けた。 (図1)。患者用パンフレットは、指導日が決定 したら当該病棟にパンフレットを送り、患者・ 家族に事前に配布し、事前に学習してもらった。 (図2) 2)腎瘻挿入模型作成 腎瘻を挿入した状態の模型(ピッグテイルカ テーテルと腎盂バルーンカテーテル)を作成し、 それぞれのカテーテルの特徴、テープの貼り方 などを説明した。(図3) -120指導内容と時間配分は以下のように行った。 1)腎瘻とは? < 5分 > パンフレットを用いた腎瘻の構造・しくみの説 明:パンフレットを使って、実際のカテーテル をみながら注意点を説明する。さらに、模型を 用いて日常生活のカテーテル管理・消毒方法の 指導を行う 2)入浴・シャワー < 5分 > 作製した模型を使って、入浴時のテープ固定や 注意点を説明する。(図4) 3)カテーテルの固定方法 < 5分 > 実際のテープの種類を見ながらそれぞれの特徴 を説明する。また、作製した模型を使い、基本 の固定方法を実施・説明する。(図5) 4)採尿袋の選別 < 10分 > レッグバッグ・ウロガード・ベリーバッグの特 徴、長所 ・ 短所、男女別での使用時の違いを説 明する。また、 患者の体型、他のストーマの有無、 生活様式に合わせた採尿袋を勧め、装着体験を してもらう。(図6、7) 5)日常生活での注意事項とトラブルを防ぐた めの観察点 < 5分 > 水分摂取、カテーテル管理、感染徴候を中心に 説明する。また、季節を考慮した注意事項を説 明する。 6)困ったときの対処方法 < 5分 > カテーテル自然抜去時の対処方法を中心に説明 する。また、病院への緊急時の連絡方法を説明 する。 7)退院後の支援方法(訪問診療、訪問看護) などを患者・家族と相談する。 【結果】 1)指導者用マニュアル 指導用マニュアルが文章化されたことで、外来 スタッフが統一した腎瘻ケアの提供をできるよ うになった。また、チェック欄を設けたことで、 指導項目漏れのチェックが容易になった。 2)患者用パンフレット 患者用パンフレットが文章化されたことで、患 者・家族が後で何度も振り返り復習ができ、カ テーテルの管理が早期にできるようになった。 3)腎瘻挿入模型作製 模型を作成したことは、自分では確認しにくい 位置にある挿入部の状態を知る機会となった 。 そして、腎瘻のしくみを患者が理解することで、 異常の早期発見ができるようになり、対処しや すくなった。 【考察】 在院日数の短縮化と早期の在宅医療への移行 が進み、充分に腎瘻管理が理解できないまま退 院を余儀なくされている症例が増加している。 このため、今後腎瘻をはじめとするカテーテル 管理の指導については、外来看護師の果たす役 割が、ますます重要になると考えられる。さら に対象者の高齢化が進み個別性を重視した指導 内容・方法が求められている。しかし、指導内 容や方法を誤ると患者に拒否感や不安を与える ことになり、腎瘻のトラブルや患者の QOL 低 下を引き起こす。 今回、指導用マニュアルを作成したことによ り、医師、看護スタッフによる指導のばらつき を解決し、統一した内容で指導することができ るようになった。また、これまでは腎瘻の説明 は口頭でのみに終わっていたため、患者は腎瘻 管理に不安を持ちながらケアを行なっていた。 患者用パンフレットを作成したことで、何度も 繰り返し復習ができるようになり、腎瘻トラブ ルを未然に防ぐことができるようになった。ま た腎瘻模型を作成したことで、患者の目の届き にくい部位にあるカテーテル挿入部のイメージ ができ、腎瘻カテーテル挿入に対する不安の軽 減につながった。結果 、 夜間・休日にカテーテ ル脱出などカテーテルトラブルで受診する患者 が減少し、腎瘻造設に対する不安の軽減やQO Lの向上につながったと考える。 腎瘻は元来一時的な尿路変向であり、予後の不 良な患者が多いことから、在宅療養においては 本人のみならず家族をはじめとする介護者にも 管理の知識が必要とされる。今後在宅での管理 の必要な患者には、退院前カンファレンスを開 き、本人、家族のみならず、介護者、訪問看護師、 在宅医への指導・説明をしていく必要があると 考える。また、 腎瘻挿入模型などのセット(図8) を用いた訪問指導を行い、診療科を問わずどこ でも同じレベルの初期指導ができるように働き かけていく必要がある。 -121結論 腎瘻造設後の指導を統一することにより、カ テーテルトラブルが減少し、QOL の向上にもつ ながった。 1. 2. この内容の一部は、第25回日本ストーマ・排 泄リハビリテーション学会総会において発表し た。 3. 参考文献 川村佐和子、他:医療処置管理看護に関 するプロトコール , 日本看護協会出版会 , ,215-226, 2004. 杉元幹史、他:完全対応ドレーン・カテー テル管理 , 医学書院 ,156-160, 2005 塚本泰司、他:術式から学ぶ腎・泌尿器 の解剖生理とケアのポイント , メディカ出 版 ,29 - 36, 2004 図1 指導用マニュアル:指導漏れがないかチェックできる欄 ( □ ) を設けた。 -122- 図2 患者用パンフレット -123- 図3 ピッグテイルカテーテル ( 左 )・腎盂バ ルーンカテーテル(右) 図4 入浴・シャワー時の指導 防水テープ ( 上 ) と入浴用パック ( 下 ) 図5 テープ固定 図6 各種採尿袋 レッグバッグ ( 左上 )・ウ ロガード ( 右上 )・ベリーバッグ ( 左下 ) 図7 実際に装着体験をしている様子 図8 腎瘻指導用セット(模型・テープ・カテー テル・採尿袋などが入っており携帯できる) -124- -125<平成 19 年度研究報告> 二分脊椎症における排尿障害に対する検討 排尿機能研究班 班長 坂本 亘、 班員 石井啓一、葉山琢磨 学会発表 小児泌尿器科における排尿障害 坂本 亘 南大阪排尿機能研究会、講演、 平成 19 年 9 月 14 日(大阪) 【はじめに】 我々は、過去、小児の排尿機能を探る方法とし て、膀胱尿道機能を評価できるウロダイナミッ クスを積極的に活用し、また、この結果にもと づいて、各種の排尿機能障害をひきおこす小児 疾患のフォロ-してきた。その代表的な疾患で ある二分脊椎症は、生後直後から排尿障害をひ きおこすばかりでなく、経過観察中に、症状が 急に悪化し、思わぬ腎機能障害を引き起こす例 にでくわすことがある。これらの患者の将来の 排尿機能の悪化を、早期に予測しるウロダイナ ミックスのどのパラメ-タ-を最重視するべき か、また、リスクの高い患児に対して、腎機能 の悪化を防止しうる、的確な治療手段は何かな ど、問題が多い。 今回、二分脊椎症患児の膀胱尿道機能が、その 後の腎機能にいかなる影響をあたえるのか、こ れらの危険因子の抽出を試みた。 【対象】 対象は、当院で、経過観察している二分脊椎 症 57 例 中、16 歳 未 満 の 小 児 31 例( 男 子:14 例、女子:17 例)を検討した。検査項目とし て、膀胱尿道機能を評価したパラメ-タ-と して、Uroflowmetry では最大尿流量、平均尿流 量、 残 尿 量、Cystometry で は 最 大 排 尿 圧、 膀 胱容量、コンプライアンス、detrusor Leak point Pressure(DLPP) を用いた。解剖学的な変化とし て、VCG では VUR の有無、また小川分類に従 い膀胱形態を分類し、grade 2 以上で膀胱変形あ りとした。 水腎症の評価は排泄性尿路造影または腹部超音 波検査で、腎機能評価は、血清クレアチン上昇 例(1.1 mg / dl以上)または腎シンチによ る総摂取率 30%以下で総腎機能障害ありとし、 相対摂取率 40%以下で 40%以下の腎を片腎機 能障害ありとした。評価時の排尿管理は、自排 尿が 17 例、CIC が 14 例で、1歳前に CIC を開 始した例が6例であった。水腎症を 5 例、VUR は 12 例 15 尿 管 に 認 め、VUR の 手 術 既 往 例 2 例では再発を認めなかった 【結果】 腎機能障害は、31 例中 10 例(総腎機能障害 4 例、片腎機能障害 6 例)に認められた。有熟性 尿路感染症の既往を 10 例に認めたが、腎機能 障害の郡に有意に多く認められた。VUR、水腎 症の有無は、腎機能障害有り無しでは差は認め られなかったが、膀胱変形群は腎機能障害の郡 に多く認められた。さらに顕著なのは、有意に DLPP が高値な症例に多くの腎機能障害を認め た。(Fig .1) 現在までの経過観察中、ウロダイナミックスの 結果で、CIC の導尿回数の増加を4例、新たに CIC 管理を 8 例に開始した。2 年後に腎シンチ による腎機能評価可能であった 11 例(7 例は DLPP が 40cmH2O 以下の低圧畜尿例)のうち、 6 例で総摂取率が 5%以上低下し、2 例で相対摂 取率が 5%以上変化した。この間に有熟性尿路 感染症を 4 例に認めた。 -126【考察】 二分脊椎症患者の尿路管理の目標は、第1に腎 機能を保護する、第2に尿路感染症を予防す る、第3に尿失禁を防止する、この3点と考え られている。この中でも腎機能の保護は患者の 生命予後に関係するため、もっとも童視しなけ ればならない。臨床所見、ウロダイナミックス タディー所見、画像所見から、どの様な患者が 将来腎機能悪化をきたす危険の高い群に入るか を予測し早期に治療を開始することが重要であ る。McGuire らは1981年に42人の二分脊 椎患者を7年フォローし、Leak Point Pressure が 40cmH2 0を越える患者の68%にVUR を、81%に尿管拡張を認めたと報告してい る 1)。以後40cmH20を基準にして、腎機 能悪化を予測ざせる多くの報告がざれてきた。 Zweiers らは膀胱内庄を40cmH 2 0に上げ レノグラムを行うと排泄パターンは閉塞性とな り、画像上尿管の拡張をみとめるが、膀胱を空 虚にするとパターンは正常化し尿管拡張も認め なくなると報告している2)。しかし、これらの 報告は膀胱内圧の上昇が上部尿路の閉塞をきた し、最終的に腎機能の悪化をまねくというメカ ニズムを証明したものであった。 今回われわれはDMSA腎シンチグラムを用い 腎実質障害の評価をおこない、それにもっとも 影響すると考えられる因子を検討した。その桔 果、腎機能障害群では正常群に比べ VUR grade は有意に高く、有熱性尿路感染症の頻皮が有意 に多いことがわかった。DLPPについては、 腎機能が正常な患者においても 60%はDLPP 40cmH2 0以下であり、腎機能障害がある 場合は、70%はDLPP40cmH20以上と、 統計学的に2群間で有意な差が認められた。膀 胱については、腎機能障害群で肉柱形成が多く 認められる傾向はあったものの、2群間で有意 な差は認められなかった。 今回の研究は、ある時点においてのDMSAに よる腎障害とウロダイナミックスタディーの関 係を調べたもので、腎機能障害の予後因子を断 定できるものではない。しかし、これらの結呆 から、DLPPが高く、高度のVURを持つ患 者や有熱性UTlの既往を持つ患者は腎機能障 書を有する可能性が高く、DMSAによる評価 は必要であると考える。また二分脊椎症患者の 腎機能を保護するためには、乳児期早期よりV URの評価と管理をおこない、有熱性尿路感染 症の予防に宣点をおくことが最も重要であると 思われた。 【参考文献】 1) McGuire EJ, Woodside JR, Borden TA, et al: Prognosistic value of urodynamic testing in myelodysplastic patients.; J Urol. 1981; 126: 205209. 2) Zweiers W, Van Driel M, de Ruiter BJ, et al: Radionuclid renography to evalulate urodynamically expected upper tract obstruction in patients with meningomyelocele.; J Urol. 1987; 138: 845-846. 表1 有熱性尿路感染症 (有) VUR (有) 膀胱変形 (有) 水腎症 (有) DLPP≧ 40 cmH 2 O 腎機能正常 (21 例) 3/21 7/21 3/21 3/21 5/21 腎機能障害 (10 例) 7/10 5/10 6/10 2/10 7/10 表 1 腎機能正常群と障害群における各種パラメ-タ別の危険因子の比較検討 P ≦ 0.05 NS P ≦ 0.05 NS P ≦ 0.01 -127<平成 19 年度研究報告> 成長ホルモン産生腺腫に対するガンマナイフ治療の検討 研究班 : 下垂体腫瘍研究班 班長:岩井 謙育 班員:山中 一浩、吉岡 克宣 学会発表 成長ホルモン産生腺腫に対するガンマナイフの長期治療成績 岩井謙育、山中一浩、吉岡克宣 第3回アクロメガリーフォーラム(東京) 平成19年10月6日 【はじめに】 成長ホルモン産生腺腫に対する治療のゴール は、成長ホルモン値 (GH) と Insuline-like growth factor(IGF-1) の正常化と腫瘍制御である。治癒 基 準 と し て、GH 値 1 μ g/l 以 下 で IGF-1 正 常 が治癒基準とされている(1)。そのためには、手 術、放射線治療、さらにソマトスタチンアナロ グを含めた薬物治療の有効性も認められている (2) 。放射線治療に関しては、有効性は認められ ているが、長期の治療成績として、放射線治療 施行が生命予後に影響することが報告されてい る(3)。そこで、従来の放射線治療より、周辺の 組織に対する影響の少ないガンマナイフ治療の 成長ホルモン産生腺腫に対する治療成績を検討 した。 (4.3 – 58 μ g/l)であり、IGF-1 値は平均 790 ng/ ml (368 – 1470 ng/ml) であり、IGF-1 値を年齢と 性別で補正すると正常上限の平均 2.56 倍(1.38 【方法】 1995年5月から2005年1月まで35 例の成長ホルモン産生腺腫に対して、ガンマナ イフ治療を施行し、うち、24ヶ月以上の経過 観察が可能であり、最終経過観察時の GH 値と IGF-1 値を含めた経過観察が可能であった26 例を対象とした。男性13例、女性13例、年 齢 は 1 2 〜 6 3 歳( 平 均 4 3 歳 ) で あ っ た。 22例(85%)で手術が施行されており、4 例(15%)は手術加療を施行せずにガンマナ イフ治療を行った。7例で、ガンマナイフ時に 薬物治療を受けていた。内訳はドーパミン作動 薬5例、オクトレオチド2例であった。放射線 治療を受けている症例は無かった。 ガンマナイフ治療前の GH 値は、平均11μ g/l 【結果】 ガンマナイフ治療後、平均84ヶ月(36 – 144 ヶ月)の経過観察が可能であった。腫瘍 制御は MRI の画像の経過が得られた23例中 22例(96%)で可能であり、腫瘍制御が得 られなかった1例は、ガンマナイフ照射野外の 再発であった。 最終観察時の GH 値は平均 1.5 μ g/l (0.5 – 5.9 μ g/l) に低下し、IGF-1 値は平均 247.5 ng/ml(28 – 5.21 倍)であった。腫瘍の存在部位は下垂体 部13例(50%)、海綿静脈洞部9例(35%) 等であった。ガンマナイフ治療は、腫瘍平均体 積 0.8 ml(0.15 – 14.2 ml) であり、治療線量(辺 縁線量)は平均20Gy(14 – 30 Gy) であった。 視神経の平均最大被爆線量は、8Gy (0.5 – 10 Gy) であった。 ホルモン治癒(寛解)基準として、GH 値は 糖負荷テストにて 1 μ g/l 未満もしくは単発の GH 値が 2 μ g/l 未満、かつ IGF-1 値が IGF-1 値 を年齢と性別で補正すると正常上限以内とし た。 – 1150 ng/ml) に低下した。薬物投与なしでの内 分泌学的寛解が得られたのは10例(38%) であり、5年と10年の累積治癒率は 16.9% と 47.4% であった。年齢、性、海綿静脈洞進展の 有 無、 治 療 前 の GH 値、IGF-1 値、 腫 瘍 体 積、 腫瘍線量はどれも、内分泌学的寛解に有意差を -128認めなかった(図1)。 副作用として、遅発性の下垂体機能低下は2 例(8%)に出現した。1例はガンマナイフ治 療後2年後に出現し、1例はガンマナイフ治療 11年後に出現した。1例でガンマナイフ治療 後、薬物治療に反応しない難治性頭痛を認めた。 その他には脳神経麻痺の出現を含め、合併症の 出現は認めなかった。 【考察】 ガンマナイフ治療後の腫瘍制御に関しては 100%との報告があるが(4-8)われわれの 腫瘍制御は96%であったが、照射野外の再発 は 2.4% との報告もある (9)。 内分泌学的治癒に関しては、最近の治癒基準 からは16 – 60% との報告があるが、われわれ の治療成績も同様の結果であった。また、更な る長期の経過観察により、より寛解率も上がる と思われる。 ガンマナイフ治療後の下垂体機能低下に関して は 3 – 35%の報告があり、われわれは8%の 頻度であったが、この下垂体機能低下の出現率 の報告の違いは、内分泌学的評価の方法の違い と、従来の放射線治療の既往の有無が関係して いると思われる。 また、ガンマナイフ治療後、内分泌学的に 寛解が得られるまで、時間を要するため、薬 物投与を併用することが勧められる(10)。また、 ガンマナイフ投与前の薬物投与に関しては、 Landolt らがガンマナイフ治療前にオクトレオ チドを投与されていた症例では、非投与例に比 して治療成績が悪かったと報告しており (11)、わ れわれもガンマナイフ治療2ヶ月前には薬物治 療を中止している。 【結論】 ガンマナイフ治療による内分泌学寛解には長 期間の経過観察を要するが、有用な治療法と思 われる。 文献 1) Giustina A, Barkan A, Casanueva FF, et al: Criteria for cure of acromegaly: a consensus statement. J Clin Endocrinol Metab, 2000, 85: 526529 2) Cozzi R, Montini M, Attanasio R, et al: Primary treatment of acromegaly with octreotide LAR:a long term (up to 9 years) prospective study of its efficacy in the control of disease activity and tumor shrinkage. J Clin Endocrinol Metab, 2006, 90: 44054410 3) Ayuk J, Clayton RN, Holder G, et al: Growth hormone and pituitary radiotherapy, but not serum insulin-like growth factors-1 concentrations, predict excess mortality in patients with acromegaly. Clin Endocrinol Metab, 2004, 89: 1613-1617 4) Attanasio R, Epaminonda P, Motti E, et al: Gamma-knife radiosurgery in acromegaly: a 4-year follow-up study. J Clin Endocrinol Metab, 2003, 88: 3105-3112 5) Gutt, B., Wowra, B., Alexandrov, R: Gamma-knife surgery is effective in normalizing plasma insulinlike growth factor 1 in patients with acromegaly. Exp Clin Endocrininol Diabetes, 2005, 113: 210-224 6) Kobayashi T, Mori Y, Uchiyama Y, et al: Longterm results of gamma knife surgery for growth hormone-producing adenoma: is the disease difficult to cure? J Neurosurg (Suppl), 2005, 102: 119-123 7) Ježková J, Marek J, Hána V., et al: Gamma knife radiosurgery for acromegaly- long-term experience. Clinical Endocrinology, 2006, 64: 588-595 8) P ollock BE, Jacob JT, Brown PD, et al: Radiosurgery of growth hormone-producing pituitary adenomas: factors associated with biochemical remission. J Neurosurg, 2007, 106: 833-838 -1299) Losa M, Gioia L, Picozzi P, et al: The role of stereotactic radiotherapy in patients with growth hormone-secreting pituitary adenomas. J Clin Endocrin Metab, 2008, 93: 2546-2552 11) Landolt AM, Haller D, Lomax N, et al: Octreotide may act as a radioprotective agent in acromegaly. J Clin Endocrinol Metab, 2000, 85: 1287-1289 10) Vik-Mo EO, Oksnes M, Pedersen PH, et al: Gamma knife stereotactic radiosurgery for acromegaly. Eur J Endocrinol, 2007, 157: 255-263 Table 1. Factors associated with biochemical remission Factor Age Sex cavernous sinus invasion Premedication Preradiosurgery GH levels ( μ g/l) Preradiosurgical IGF-1 levels (ng/ml) Remission (mean ± SD) 〔95% CI〕 45.60 ±10.71 (n=10) 〔38.82 - 52.38〕 M=5, F=5 (n=10) 6 (-) 4 (+) (n=10) 7 (-) 3 (+) (n=10) 11.77 ± 6.02 (n=10) 〔7.95 - 15.59〕 697.67 ± 321.50 (n=6) 〔454.21 - 966.50 〕 No remision (mean ± SD) 〔95%CI〕 40.75 ± 13.15 (n=16) 〔34.00 - 47.50〕 M=8, F=8 (n=16) 11 (-) 5 (+) (n=16) 12 (-) 4 (+) (n=16) 23.39 ± 29.24 (n=16) 〔8.77 - 38.01〕 881.77 ± 313.81 (n=13) 〔707.77 - 1056.10〕 2.50 ± 0.69 〔1.95 - 3.05〕 1.57 ± 1.77 〔1.12 - 2.69〕 20.70 ± 4.11 〔18.10 - 23.20〕 2.98 ± 1.20 〔2.31 - 3.65 〕 2.69 ± 3.96 〔0.71 - 4.67〕 20.00 ± 3.43 〔18.29 - 21.75〕 Upper limits of age- and sex-matched IGF-1 Tumour volume (ml) Marginal dose (Gy) CI: confidence interval (n=6) (n=10) (n=10) (n=13) (n=16) (n=16) -130- -131<平成 19 年度研究報告> 加齢が神経回復に及ぼす影響について 住吉市民病院整形研究班 班長 関 昌彦 班員 元田忠伸、河野浩、高橋信太郎 【目的および特色】高齢者の神経回復が悪いこ とは、整形外科の日常臨床においてよく経験さ れていることであるが、実際にどのように加齢 が神経回復に影響を及ぼしているかについて詳 細に調査した報告は少ない。これは動物実験モ デルによる基礎的研究が困難であることも一因 であると考えられる。そこで今回、我々は手根 管症候群の術後の回復を電気生理学的に、患者 に侵襲を与えない方法を用いて観察することに よって検討することを計画した。 【対象および方法】臨床症状から手根管症候群 が疑われた患者に次のような術前電気生理学的 検査を行う。 まず正中神経に沿って遠位掌側手首皮線 (W) と手根管を挟んで 3.5cm 末梢 (BW)、3.5cm 中枢 (AW) に印をつけておく。短母指外転筋 (APB) の筋電図検査を行う。次に腋窩 (AX)、肘部 (E)、 AW と電気刺激し M 波を導出する。上腕およ び前腕レベルにおける運動神経伝導速度 (MCV) と AW 刺激で得られる M 波終末潜時を測定す る。さらに尺骨神経上も肘部 (E-Uln)、手関節 上部 (AW-Uln) と刺激し、APB から M 波が導出 されるかも観察する。 指刺激による順行性知覚神経活動電位 (SNAP)の導出は 5 指すべて順に刺激し、記録 は正中神経上の E、AW、BW に表面電極を置く。 さらに母指、示指、中指刺激の際は AW と同 じレベルで橈骨茎状突起の浅橈骨神経上 (AWRad) にも電極を設置し、また環指、小指刺激の 際は AW と同じレベルで尺骨神経上 (AW-Uln) にも電極を置く。 臨床所見と以上の電気生理学的検査結果を総 合し手根管症候群の診断を下す。 神経障害が重度であり SNAP の導出が満足に いかず、SCV の評価を行うことが困難な症例に 対しては、橈骨神経あるいは尺骨神経から導出 された SNAP と比較することによって正中神経 のみが選択的に伝導ブロックを受けていること を診断の根拠とする。 正中神経から全く SNAP を導出することがで きなかった症例を今回の調査対象とし、手術後 も定期的に電気生理学的検査を行い、SNAP が 導出できるようになるまでの期間と年齢との相 関が認められるかを検討する。 【結果】症例の内訳は男 20 例 23 手、女 100 例 127 手、 計 120 例 150 手。 年 齢 は 男 30-67 歳、 女 23 〜 84 歳であった。150 手のうち最終的に CTS を否定したのは38 手であり、残る 112 手 を CTS と診断した。透析に合併した CTS は 1 手で、残る 111 手は特発性であった。112 手の 内 68 手に神経ブロックや装具治療などの保存 療法を、44 手に手術を施行した。CTS を否定 した症例の内訳は頚椎症 31 手、胸郭出口症候 群 4 手、糖尿病性末梢神経障害 2 手、尿毒症性 末梢神経障害 1 手であった。一方、神経障害を きたす他の疾患を合併しながら CTS が主原因 であると診断したのは 112 手の内 8 手で、その 内訳は糖尿病 5 手、頚椎後縦靭帯骨化症 2 手、 頚椎症 1 手であった。 APB 筋電図検査では高振幅電位、多相性電位 は CTS 以外の疾患でも観察され、CTS に特異 的な所見ではなかった。一方、脱神経性電位は CTS にある程度特異的な所見と考えられたが、 CTS を否定した 38 手の内 3 手に脱神経性電位 が観察された。しかし随意収縮時電位が認めら れない、あるいはさらに神経障害が進行し脱神 経性電位すら観られなくなった症例はすべて CTS であった。 手術を施行した 44 手の内 30 手に対し、術後 も SNAP を検査した。術前に SCV の評価が可 -132能であった症例や部分的に SNAP が導出可能で あった症例は術後早期に知覚障害が改善し SCV も回復することが多かった。一方、正中神経か ら全く SNAP を導出することができなかった症 例は臨床症状の改善も数カ月を要することが多 く SNAP が導出できるようになるまで長期を必 要とした。特に罹病期間の長い高齢者は回復が 悪く、SNAP が導出できるようになるまでの期 間と年齢との間に相関が認められた。 【結論】加齢は手根管症候群における術後の神 経回復に影響を与える。 -133<平成 19 年度研究報告> 子宮腔内腫瘍診断における各種検査法の診断精度と その応用に関する研究 婦人科腫瘍研究班 班長:李 東満(北市民病院産婦人科) 班員:半羽宏之、辻田祐二良 【はじめに】 子宮不正性器出血の原因としては卵巣の内分 泌機能異常や子宮内腫瘍(良性、悪性)による 出血、等があるが、子宮腔内腫瘍による出血で は保存的治療での根治治療は困難であり、腫瘍 存在の確定とそれに基づく手術的切除が必要で ある。一方、子宮内に到達して検査を行うには 通常、子宮口は極めて狭小であり、侵襲的操作 による子宮口内部の検査は患者負担が大きく、 できるだけ侵襲の少ない検査法が求められてい る。そこで今回、各種検査法の腫瘍存在診断に 関する診断精度を検討することによって、より 侵襲が少なく、実用性の高い検査法を総合的な 観点から明らかにすることを目的として本研究 を行った。 【対象と方法】 <対象>産婦人科外来を受診し経膣超音波検査 にて子宮内膜の肥厚あるいは腫瘍陰影を疑わせ る所見を認めた 105 例を対象とした。 <方法>子宮腔内腫瘍診断のために各種検査法 (経膣超音波検査、経膣超音波検査(子宮内生 食注入法)、子宮鏡検査、MRI 検査)を施行し 各種検査法における腫瘍存在診断の診断精度を 調べるために次の検討を加えた。①経膣超音波 検査の子宮腔内腫瘍診断の正診率の検討:105 例の対象患者の内、不正出血を合併した 34 例 においてリゼクトスコープによる直視下に腫瘍 摘出術、子宮内膜掻爬術を施行した。術後に病 理組織検査を実施し、術前診断の正診率を検討 した。またリゼクトスコープ施行時に子宮腔内 の腫瘍所見についても検討した。また一部症例 において②経膣超音波検査(子宮腔内生食注入 法)、③子宮鏡検査の有用性の検討、④ MRI の 子宮腔内腫瘍診断の正診率の検討:MRI を施行 した 17 症例の内リゼクトスコープ手術を施行 した 8 例において MRI の正診率を検討した。 【結果】 不正子宮出血を合併する症例でリゼクトス コープ手術を施行した34例の病理診断に基づ く最終診断の内訳は EMP(子宮内膜ポリープ) ; 22例 (65%)、SUBM(子宮粘膜下筋腫);9 例 ;2例 (6%)、病 (26%),EMHP(子宮内膜増殖症) 理学的異常なし;1例 (3%) であった。34例 の検討で経膣超音波検査の正診率は 82%(28/34) であった。正診できなかった症例の内訳(術前 診断→病理検査結果)は SUBM → EMP;1 例、 EMHP → EMP;3 例、EMP → EMHP;2 例であっ た。経膣超音波検査で子宮内膜の厚さが 17mm 以上は 85%(29/34) であった。術後診断で子宮腔 内の複数腫瘤を認めたのは 24%(8/34) であった (表1)。 経膣超音波検査および MRI を施行した 8 症 例において術後診断と比較したところ経膣超音 波検査診断の正診率は 100%(8/8),MRI の正診率 は 25%(2/8) であった。MRI では診断できなかっ た 6 例の内の 5 例は EMP であった(表2)。 【考察】 不正子宮出血の精査のため子宮内に到達して 検査を行うには通常、子宮口は極めて狭小の状 態である。そのため子宮口を拡張させる侵襲的 操作が必要となった場合、子宮内検査は患者負 担が大きい。そのため、より侵襲が少なく診断 精度も確保される検査法が求められている。そ こで今回、各種検査法の腫瘍存在診断の診断精 度を検討することによって、より侵襲が少なく -134実用性の高い検査法を見出すことを目的として 本研究を行った。 産婦人科外来を受診した患者で経膣超音波 検査で子宮腔内腫瘍を疑がわれた症例が 105 例であった。子宮腔内腫瘍を疑う超音波検査 の基準として子宮腔内の腫瘤を疑う陰影を認 めること、あるいは子宮内膜厚が 17mm 以上 の状態が続くこととした。105 例の内で不正 出血が持続した 34 例の症例でリゼクトスコー プによる腫瘍摘出術を行が行われ摘出標本は 病理検査を実施された。経膣超音波検査の正 診率は 82%(28/34) であった。正診できなかっ た 6 例 の 術 前 診 断 と 病 理 検 査 の 結 果( 術 前 診 断 → 病 理 検 査 結 果 ) は EMHP → EMP,3 例、 EMP → EMHP,2 例と計 5 例で EMHP と EMP の 鑑別ができなかった。その理由としては EMHP でも EMP 状を呈する場合があること、EMP で もサイズが小さいため同定が難しい場合等が考 えられた。不正出血のため手術が必要であった 症例のうち経膣超音波検査による子宮内膜の厚 さが 17mm 以上の症例は 85%(29/34) であった。 不正性器出血症状を伴い子宮内膜厚が 17mm 以 上で腫瘤陰影が疑がわれる場合など所見が揃う 場合は病変存在の可能性が高くなると推測され た。リゼクトスコープ施行時の子宮腔内所見で は 24%(8/34) で複数の腫瘤が認められた。経膣 超音波検査で単一腫瘤のように見えてもリゼク トスコープ施行時の所見では約 1/4 の症例で複 数個の腫瘤が認められたことより詳細な腔内評 価が必要な症例も少なくないと考えられた。症 例によっては子宮腔への生食注入後の経膣超音 波検査を行うことによって腫瘤の形状、個数、 等を同定する試みも有益かと思われた。 また子宮鏡検査を少数例で施行したが子宮内を 直接、観察できるため最も診断精度が高い。超 音波検査に比し患者負担が大きいため超音波診 断が難しい場合等に選別的に施行することが望 ましいと考えられた。 経膣超音波検査と MRI を施行した症例の内、 手術施行例 8 例における検討では経膣超音波検 査の正診率は 100%(8/8) であった。MRI の正診 率は 25%(2/8) であったことより MRI の子宮腔 内腫瘍正診率は経膣超音波検査に比較し低かっ た。また MRI で診断できなかった 6 例中 5 例 が EMP であったことより MRI では小さな EMP の診断が難しいと考えられた。 一方、MRI 検査が必要な場合として、大きな粘 膜下筋腫などではリゼクトスコープ手術施行前 評価として、粘膜下筋腫の子宮筋層埋没部分の MRI 評価が必須である。 【まとめ】 1. 不正子宮出血を伴う手術症例の病理診断結 果による診断では経膣超音波検査の正診率 は約 8 割と比較的高かった。正診できな かった 6 例のうち 4 例が EMHP,EMP を判 別できなかった。また病巣存在診断は約 97%(33/34) であった。 2. 不正性器出血、経膣超音波検査で腫瘤像お よび子宮内膜肥厚を認める時は子宮腔内に 腫瘍が存在する可能性が高いと推測され た。 3. 経膣超音波検査(子宮内生食注入法)が子 宮腔内の腫瘤の形状および個数の判別に限 定的ではあるが有益と考えられた。 4. 子宮鏡検査は子宮内の詳細な観察が可能で あるが患者の負担度が大きいため超音波検 査では鑑別が難しい症例で手術前の正確な 子宮腔内評価などに実施するのが望ましい と考えられた。 5. MRI 検査は正診率が 25%(2/8) と低かった。 特に EMP の存在診断が難しかった。 6. 以上より子宮腔内腫瘍が疑われる症例では 患者負担が比較的軽い経膣超音波検査を基 本としつつ必要性によって経膣超音波検査 (子宮腔内生食注入法)或いは子宮鏡を併 用使用することが検査時の患者負担の軽減 につながると考えられた。 【文献】 1) 2) 3) C h r i s S u t t o n a n d M i c h a e l P. Diamond:Endoscopic Surgery for Gynaecolists W.B.Saunders Company Ltd;1993 Michael S. Baggish,Jacques Barbot and Rafael F. Valle:Diagnositic and Operative Hysteroscopy Mosby,Inc;1999 竹内久彌、中野仁雄:図解産婦人科超音波 講座 東京医学社;2002 -1354) 5) 富樫かおり:婦人科疾患の MRI 診断 医 学書院;1991 佐藤和雄、野澤志朗、荒木勤、等:産婦人 科内視鏡下手術スキルアップ MEDICAL 6) 7) VIEW;2001 症 子宮内 例 膜厚 No (mm) 多田信平、福田国彦、田中宏:MRI 免許皆 伝 日本医事新報社;1997 野澤志朗、三橋直樹、永田尚夫:産婦人科 手術のコツ、その創意と工夫を伝承する、 日本産婦人科手術学会編;2001 術前診 術後診 子宮内 症 子宮内 断 断 所見 例 膜厚 No (mm) 術前診 術後診 子宮内 断 断 所見 1 5 EMP EMP 21 20 EMP EMP 2 8.5 EMP EMP 22 20 SUBM SUBM 3 10 SUBM SUBM 23 20 EMHP EMP 4 15 SUBM SUBM 24 20 SUBM SUBM 5 15 EMP EMP 25 21 EMP EMP 6 17 EMP EMP 5個 26 21 EMP WNL 7 17 EMP EMP 多数 27 22 EMP EMP 8 17 EMP EMP 2個 28 22 EMP EMP 9 17 SUBM EMP 3個 29 22 EMP EMHP 10 18 EMHP EMP 30 23 EMP EMP 11 18 SUBM SUBM 31 26 EMP EMP 12 18 EMHP EMP 32 26 SUBM SUBM 13 18 EMP EMP 33 30 SUBM SUBM 14 18 EMHP EMHP 34 48 SUBM SUBM 15 18 EMP EMP 16 18 EMP EMP 17 18 EMP EMP 18 19 SUBM SUBM 19 19 EMP EMP 20 20 EMP EMP 表1 3個 多数 4個 2個 リゼクトスコープ手術症例の経膣超音波検査診断と術後病理診断の結果 術前診断 MRI 診断 術後診断 1 SUBM IMM SUBM 誤 2 EMP NP EMP 誤 3 EMP SUBM EMP 誤 症例 MRI 正 診 or 誤 No 4 EMP NP EMP 誤 5 EMP IMM EMP 誤 6 EMHP IMM EMP 誤 7 EMP EMP EMP 正 8 SUBM SUBM SUBM 正 表2 リゼクトスコープ手術例における経膣超音波診断、 MRI 診断と術後診断の結果 -136- -137- 総合医療センター 発 表 論 文 総合診療科 1.著 書 (1)今西政仁,森川 貴:カプトプリル負荷によりアルドステロンが上昇した腎血管性高血圧の 1 症例. 治療学 ライフサイエンス出版 41(2):84-88,2007 (2)前田一石,今西政仁:腎実質性高血圧 二次性高血圧の診断と治療~最近の進歩~.血圧 先端 医学社 14(7):22-26,2007 2.誌上発表 (1)Yamaguchi T,Yoshioka K,Ueda M,Morikawa T,Yamagami K,Konishi Y,Sato T,Kawasaki Y, lmanishi M:A case of Wegener’s granulomatosis associated with progressive dysphagia owing to esophageal involvement. Mod Rheumato1 17 : 521-525, 2007. (2)Yoshioka K, Hattori T, lsaka Y, Yamaguchi T, Yamagami K, Morikawa T, Konishi Y,Sato T, lmanishi M : Thrombotic microangiopathy due to malignant hypertension following corticosteroid therapy for microscopic polyangitis. lntern Med. 46 : 785-788, 2007 (3)Kamiyama, M, Kobayashi, M, Araki ,S, lida, A, Tsunoda, T, Kawai, K, lmanishi M, et al. :Polymorphisms in the 3’UTR in the neurocalcin delta gene affect RNA stability,and confer susceptibility to diabetic nephropathy. Hum Genet 122 : 397-407, 2007. 代謝・内分泌内科 1.著 書 (1)川崎 勲,細井雅之,佐藤利彦*:インスリン治療と血糖自己測定(SMBG)糖尿病関遮注射薬 の新展開-インスリン・GLP-1・グルカゴンー (2)田中永昭,佐藤利彦:合併症時の運動療法 糖尿病最新の治療 2007-2009 2.誌上発表 (1)佐藤利彦ほか:SMBG機器の「使い勝手と満足度」に関する調査研究(1)現在の使用機器に 関する調査 糖尿病 50 巻 4 号(2007) (2)佐藤利彦ほか :SMBG 機器の「使い勝手と満足度」に関する調査研究(2)代表的 4 機種の使い勝 手と満足度 糖尿病 50 巻 4 号(2007) (3)佐藤利彦 ほか:『妥協しないインスリン治療-アナログ混合製剤の最大活用』 日本医事新報 N0.4343(2007 年 7 月 21 日) (4)細井雅之:運動習慣は動脈硬化を抑制するか 月刊 地域保健 9 月号 (5)細井雅之:脂肪と死亡の関係一理想的な BMI は?アメリカと韓国の 170 万人のデータより 糖尿 病診療マスター vol.5 N0.1 2007 年 1 月 (6)細井雅之 :2 型糖尿病の第一選択薬にはどれが良いか?-ロシグリタゾン,メトフォルミン,グリ ブリドの対決 糖尿病診療マスター 第 5 巻第 2 号 2007 年 3 月 (7)細井雅之 : 肥満 2 型糖尿病患者では運動してもすぐには報われない? - AMPキナーゼシグナル ヘの急性運動効果 糖尿病診療マスター 第 5 巻第 3 号 2007 年 5 月 (8)細井雅之:メトフォルミンのテーラーメイド治療 -Organic cation transporter1 の遺伝子型によって メトフォルミンの効果が変わる 糖尿病診療マスター Vol.5 No.4 2007 年 7 月 (9)細井雅之 : 血糖コントロールと認知機能一低血糖と高血糖,どちらが悪い? 糖尿病診療マスター -138Vol.5No.5 2007 年 9 月 (10)細井雅之:糖尿病とメタボリックシンドローム,どちらが悪者?一無症候性心血管障害の評価 の重要性一 糖尿病診療マスター Vol.5 No.6 2007 年 11 月 (11)佐藤利彦:療養指導はピンチがチャンス,チャンスがピンチ.「ステージアップのためのアプロー チ 3」糖尿病ケア 4 : 48, 2007 (12)佐藤利彦:療養指導はピンチがチャンス,チャンスがピンチ.「ステージアップのためのアプロー チ 4」糖尿病ケア 4 : 158, 2007 (13)佐藤利彦:療養指導はピンチがチャンス,チャンスがピンチ.「ステージアップのためのアプロー チ 5」糖尿病ケア 4 : 286, 2007 (14)佐藤利彦:療養指導はピンチがチャンス,チャンスがピンチ.「患者さんはなぜ民間療法に走る のか」糖尿病ケア 4 : 393, 2007 (15)佐藤利彦 : 療養指導はピンチがチャンス,チャンスがピンチ .「民聞療法に目を向けさせる要因 は何か」糖尿病ケア 4 : 505, 2007 (16)佐藤利彦:療養指導はピンチがチャンス,チャンスがピンチ.「病院への治療に後ろ向きで民間 療法に向かう人のためのアプローチ 1」糖尿病ケア 4 : 625, 2007 (17)佐藤利彦:療養指導はピンチがチャンス,チャンスがピンチ.「病院への治療に後ろ向きで民間 療法に向かう人のためのアプローチ 2」糖尿病ケア 4 : 706, 2007 (18)佐藤利彦:療養指導はピンチがチャンス,チャンスがピンチ.「病院への治療に後ろ向きで民間 療法に向かう人のためのアプローチ 3」糖尿病ケア 4 : 817, 2007 (19)佐藤利彦:療養指導はピンチがチャンス,チャンスがピンチ.「プロフェショナルとは」糖尿病 ケア 4 : 906, 2007 (20)佐藤利彦:療養指導はピンチがチャンス,チャンスがピンチ.「プロフェッショナルとしての糖 尿病療養指導士」糖尿病ケア 4 : 1014 2007 (21)佐藤利彦:療養指導はピンチがチャンス,チャンスがピンチ. 「患者さんに選ばれるプロフェッショ ナルな医療従事者」糖尿病ケア 4 : 1107, 2007 (22)佐藤利彦:療養指導はピンチがチャンス,チャンスがピンチ.「療養指導はやっぱりピンチがチャ ンス,チャンスがピンチ .」糖尿病ケア 4 : 1213, 2007 精神神経科 1.誌上発表 (1)Takahashi K,Miyawaki D,Suzuki F,Mamoto A,Matsushima N,Tsuji H,Horino A,Ballas Paul A, Kiriike N : Hyperactivity and comorbidity in Japanese children with attention-deficit/hyperactivity disorder. Psychiatry and Clinical Neurosciences 61(3):255-262,2007. (2)片上素久:自己記入式パ二ック障害重症度評価スケールー The self-report version of panic disorder severity scale 日本語版-その信頼性および妥当性の検討.心身医学 47(5):331-338,2007. (3)谷 宗英,竹内伸江,福原秀浩,市原久一郎,三浦千絵,古塚大介:大阪市における措置入院の 現状について 2001 年度から 2005 年度までの 5 年間の調査より.精神医学 49 : 757-767,2007. (4)鈴木 太:ADHDにおける精神医学的併存症.臨床精神医学 37 : 155-164,2007. (5)市原久一郎:公務員における職業性ストレスおよびストレス対処方法と抑うつ症状との関係.大 阪市医学会雑誌 56(1/2):1-8,2007. (6)橋本博史,河邉譲治,甲斐利弘,東山滋明,秋山尚徳,片岡浩平,井上幸紀,森 啓 , 塩見 進,切池信夫:FDG - PETにおける塩酸ドネペジ治療反応性の評価.大阪豚知症研究会年報 15 : 24-30,2007. (7)手塚千恵子:多様な病態水準で引きこもり症状を示す患者達のコンバインド・セラピー(1)- -139メタファーとして機能した「暴力の影」という“夢想”-.集団精神療法 23(1):42-47,2007. 神経内科 1.誌上発表 (1)小西哲朗,上田進彦,林 理之ほか:平成 19 年度近畿地区におけるスモン患者の検診結果 . スモ ンに関する調査研究班 平成 19 年度総括・分担研究報告書 :45 ~ 47,平成 20 年 3 月 31 日 皮膚科 1.誌上発表 (1)渡部昌利,吉田有紀,前川直輝,國行秀一,鈴木伸典:印鑑細胞癌皮膚転移の 1 例.皮膚の科学 6: 368-371,2007. (2)武井怜子,吉田有紀,前川直輝,國行秀一,鈴木伸典:陰嚢部皮膚転移より発見された残胃癌. 皮膚の科学 6 : 364-367,2007. (3)渡部昌利,吉田有紀,前川直輝,國行秀一,鈴木伸典 :Venous hemangioma with thrombosis に併発 した intravascular papillary endothelial hyperplasia. 皮膚の科学 6 : 280-283,2007. 循環器内科 1.著 書 (1)土師一夫,伊藤 彰:冠動脈造影の適応と禁忌.土師一夫編,新目でみる循環器病シリーズ 5: 冠 動脈造影 .pp 32-43,メジカルビュー社,東京,2007 (2)土師一夫,伊藤 彰:冠動脈造影の合併症.土師一夫編,新目でみる循環器病シリーズ 5: 冠動脈 造影 . pp 44-61,メジカルビュー社,東京,2007 (3)伊藤 彰,土師一夫:補助的診断法の使い分けと内視鏡.土師一夫編,新目でみる循環器病シリー ズ5:冠動脈造影 .pp 160-167,メジカルビュー社,東京,2007 (4)阿部幸雄,ほか:進化し続ける超音波診断の到達点.臨床・経営面から超音波の有用性を探る. 病院経営面から見た超音波検査の位置づけを検証する.新医療,34 : 48-51,2007. 2.誌上発表 (1)柚木 佳,成子隆彦,大橋潤子,藤本浩平,嶋村浩一,白井直哉,小松龍士,坂上祐司,久保勇記, 裴 英洙,井上 健,伊藤 彰,土師一夫:心タンポナーデを合併した原発性体腔性リンパ腫の 1 例 .J Cardiol 49 : 205-210,2007 (2)Yamashita H,Naruko T,ltoh A,Haze K,et al. Ueda M : Elevated plasma levels of oxidized low-density lipoprotein relate to the presence of angiographically detected complex and thrombotic coronary artery lesion morphology in patients with unstable angina. Circ J 71 : 681-687,2007 (3)Yui Y,Haze K,et al. and the Japan Multicenter lnvesigation for Cardiovascular Disease B(JMIC-B) study group : Nifedipine retard prevents hospitalization for angina pectoris better than angiotensin-converting enzyme inhibitors in hypertensive Japanese patients with previous microcardial infarction. J Hypertens 2007; 25 : 2019-2026 (4)Nagashima M,Haze K,et al. for the Heart lnstitute of Japan,Department of Cardiology(HIJC) lnvestigators : Effect of early statin treatment at standard doses on long-term clinical outcomes in patients with acute myocardial infarction(the Heart lnstitute of Japan,Department of Cardiology Statin Evaluation Program). Am J Cardiol 2007; 99 : 1523-1528 (5)Yamaguchi J,Haze K,et al. for the Heart lnstitute of Japan,Cardiology(HIJC)investigators : Serum creatinine on admission predicts long-term mortality in acute myocardial infarction patients undergoing successful primary angioplasty-data from the Heart lnstitute of Japan Acute Myocardial Infarction(HIJAMI) -140registry. Circ J 2007; 71 : 1354-1359 (6)Adachi T,Naruko T,ltoh A,Komatsu R,Abe Y,Shirai N,Yamashita H,Ehara S,Nakagawa M, Kitabayashi C,lkura Y,0hsawa M,Yoshiyama M,Haze K,Ueda M : Neopterin is associated with plaque inflamation and destabilisation in human coronary atherosclerotic lesions. Heart 2007; 93 : 1537-1541 (7)古川敦子,小松龍士,伊藤 彰,中村友之,柳下大悟,柚木 佳,大橋潤子,白井直哉,阿部幸雄, 中川英一郎,成子隆彦,土師一夫:心室細動で発見された原発性アルドステロン症の 1 例 . J cardiol 50 : 77-82,2007 (8)古川敦子,伊藤 彰,中村友之,柳下大悟,柚木 佳,大橋潤子,白井直哉,阿部幸雄,中川英一郎, 小松龍士,成子隆彦,土師一夫:難治性心嚢液貯留の治療に経皮的バルーン心膜開窓術と心膜癒着術 の併用が有用であった 1 例 . J Cardiol 50 : 389-395,2007 (9)伊藤 彰,古川敦子,田川慈子,柳下大悟,柚木 佳,白井直哉,中川英一郎,阿部幸雄,小松龍士, 成子隆彦,土師一夫:高齢急性冠症候群の院内予後と予後規定因子の検討.循環器科 62 : 367 - 373, 2007 (10)Okajima K,Abe Y,et al. lmpact of valvular thickness on stroke recurrence in medically treated patients with stroke. Cerebrovasc Dis. 2007; 24 : 375 - 380. (11)Okajima K,Abe Y,et al. Comparative study of high-resolution microimaging with 30-MHz scanner for evaluating cardiac function in mice. J Am Soc Echocardiogr. 2007; 20 : 1203 - 1210. (12)Otsuka R,Abe Y,et a1. Extracardiac ablation of the left ventricular septum in beating canine hearts using high-intensity focused ultrasound. J Am Soc Echocardiogr. 2007; 20 : 1400 - 1406. 呼吸器内科 1.誌上発表 (1)住谷充弘,武田晃司,瀧藤伸英ほか:縦隔・腹部リンパ節の急速な増大を認めたサルコイドーシ スの 1 例 . 日本呼吸器学会雑誌 45 : 54-58, 2007. 消化器内科 1.著 書 (1)大川清孝 : 潰瘍性大腸炎の診断 ・ 治療のリスクマネージメントー内視鏡検査とのかかわりを中心に. 第 20 回日本消化器内視鏡学会近畿セミナーテキスト p76-80 2007 (2)大川清孝:潰瘍性大腸炎 腸疾患診療 プロセスとノウハウ 清水誠治,斉藤裕輔,田中信治, 津田純郎編集 医学書院 p267-296 2007 (3)大川清孝:腸間膜脂肪織炎 腸疾患診療 プロセスとノウハウ 清水誠治,斉藤裕輔,田中信治, 津田純郎編集 医学書院 p393-399 2007 2.誌上発表 (1)玉森 豊,西口幸雄,清水貞利,中沢一憲,大川清孝,有元純子:腸重責にて発症した肺多形成 癌多発大腸転移の 1 例.日本腹部救急医学会雑誌 27 : 99-102,2007 (2)佐野弘治,池田宜史,池田雄一郎,中井隆志,上田 渉,青木哲哉,川崎靖子,木岡清英,岡 博子,大川清孝:胃瘻,十二指腸瘻を合併し治療に難渋した膵膿瘍の 1 例 . Gastroenterol Endosc 49 : 1446-1451,2007 (3)大川清孝,田中敏宏,小谷晃平,松井佐織,会沢信弘,中井隆志,佐野弘治,池田宜史,上田 渉, 青木哲哉,川崎靖子,木岡清英,岡 博子:潰瘍性大腸炎に類似した内視鏡像を示したカンピロバター 腸炎の 1 例一細菌性腸炎の鑑別診断- IBD Research l : 219-225, 2007 (4)池田雄一郎,池田宜史,中井隆志,佐野弘治,上田 渉,青木哲哉,川崎靖子,木岡清英,岡 博子, 大川清孝,裴 英洙,井上 健:症状が遷延した腸間膜リンパ節炎に対してステロイドが著功した 1 例 . -141日本消化器病学会誌 104 : 1371-1376, 2007 (5)中村志郎,大川清孝,ほか :NSAID 坐剤起因性直腸病変の臨床的検討.胃と腸 42 : 1730-1738, 2007 (6)石川祐子,岡 博子,堀井勝彦,中通由美,横田重樹,大内田祐一,嶋 三恵子,中井隆志,川崎靖子, 西澤輝彦,山崎 修,裴 英洙,井上 健 : 経過観察中に肝嚢胞腺癌を疑わせる出血性病変がみられ た多発性肝嚢胞の 1 例 肝臓 48 : 546-552, 2007 (7)中通由美,岡 博子,西澤輝彦,横田重樹,大内田祐一,嶋 三恵子,白野倫徳,後藤哲志,井上 健 : HIV 患者に発症したCMV腸炎の 1 例 Jpn J Med Ultrasonics 34(4)461-465 2007 (8)Kasugai H,0saki Y,0ka H,Kudo M,Seki T,the Osaka Liver Study Group : Severe Complications of Radiofrequency Ablation Therapy for Hepatocellular Carcinoma : An Analysis of 3891 Ablations in 2614 Patients. Oncology 72 : 72-75 2007 (9)Kobayashi S, Kioka K, et al : Development of hepatocellular carcinoma in patients with chronic hepatitis C who had a sustained virological response to interferon therapy : a multicenter, retrospective cohort study of 1124 patients. Liver lnt 27 : 186-191, 2007 (10)村田佳津子,甲田洋一,真鍋隆夫,細川知紗,赤土みゆき,千草 智,池田裕子,田中正博, 木岡清英,岡 博子:経皮治療や肝動脈塞栓療法が困難な進行肝細胞癌に対する粉末シスプラチン製 剤肝動注の検討.臨床放射線 52 : 1007-1012, 2007 感染症センター 1.著 書 (1)塩見正司: 【DATAで読み解く内科疾患】 感染症 ウイルス性脳炎.綜合臨床 56 増刊号 :17371746,2007.04. (2)小林慈典,塩見正司ほか : インフルエンザ脳症特殊治療の全国調査.日本小児科学会雑誌 111: 659-665,2007.05. (3)塩見正司,石川順一,山村美穂,外川正生:【肝・消化管疾患の新しい臨床】 消化管疾患 細菌 性胃腸炎の合併症と治療.小児科診療 70 : 993-1000,2007.06. (4)塩見正司:【小児中枢神経系疾患の画像診断 2008】疾患別アトラス編 感染症,脳症 インフル エンザ脳症.小児内科 39 増刊号 :310-319,2007.11. (5)天羽清子,塩見正司:【周産期とウイルス感染】院内周産期ウイルス感染対策 スタッフあるい は面会者.周産期医学 37 : 1589-1593,2007.12. (6)Kaida A,Kubo H,Goto K,Shiomi M,et al : Co-infection of human metapneumovirus with adenovirus or respiratory syncytial virus among children in Japan. Microbiol lmmunol. 51 : 79-83,2007. (7)Kenji U,Shigeki S,Mitsuru K,Yasuki Y,Keiichi M,Eiji K : Evaluation of diagnostic methods for Candida albicans translocation in a mouse model : seminested polymerase chain reaction,blood culture and serological assays. Journal of Infection and Chemotherapy,13 : 196-203,2007 (8)Kenji U,Mitsuru K,Eiichiro Y,Kei Kasahara,Koichi M,Koichi M,Keiichi M : Fatal cytomegalovirus-associated adrenal insufficiency in an AIDS patient receiving corticosteroid therapy. lnternal Medicine, 46 : 617-20,2007 (9)Kenji U,Mitsuru K,Eiichiro Y,Kei Kasahara,Koichi M,Koichi M,Keiichi M : A case of gynecomastia associated with efavirenz. The Journal of Nara Medical Association, 58 : 141-5,2007 臨床腫瘍科 1.誌上発表 (1)住谷充弘,武田晃司,瀧藤伸英ほか:縦隔・腹部リンパ節の急速な増大を認めたサルコイドーシ -142スの1例.日本呼吸器学会雑誌 45 : 54-58,2007. (2)Takeda K,Takifuji N,etal : Phase ll study of amraubicin,9-amino-anathracycline,in patients with advanced non-small-cell-lung cancer : a West Japan Thoracic Oncology Group(WJTOG)study. lnvest New Drug 25 : 377-383,2007. (3)武田晃司:肺癌の化学療法(AVAiL,BO17704 study). 腫瘍内科 1 : 483-488,2007. 血液内科 1.誌上発表 (1)坂本恵利奈,金島 広ほか:黄色ブドウ球菌による壊死性筋膜炎を合併した慢性骨髄増殖性疾患 . 臨床皮膚科 2007;61(7):558-561 (2)中根孝彦,金島 広,坂本恵利奈ほか:寛解導入療法中に脳膿瘍を合併し救命し得た急性骨髄性 白血病 . 癌と化学療法 2007;34(5):789-92 (3)Takeoka Y,Sakamoto E,et al : Two cases of Ampulla(Takotsubo-shaped)cardiomyopathy associated with hemophagocytic lymphohistiocytosis. Acta Haematol. 2007;117(4):205-10[Epub ahead of print] (4)lto Y,Sakamoto E,et al,The Japan Febrile Neutropenia Study Group : The prophylactic effect of itraconazole capsules and fluconazole capsules for systemic fungal infections in patients with acute leukemia and myelodysplastic syndromes : a Japanese multicenter randomized,controlled study. lnt J Haematol 2007;85 (2):121-127 (5)手島博文:血液疾患の真菌感染症一最近の傾向と対策- 3. 真菌感染症の予防.血液フロンティア 17(9)1327-1334,2007 整形外科 1.誌上発表 (1)中村博亮:骨粗髭症性脊椎骨折に対する早期治癒のための低侵襲新技術の基礎的研究と開発 Osteoporosis Japan 14(4)709-713, 2007 (2)中村博亮:今日の治療指針 私はこう治療している 腰痛体操 734, 2007 (3)中村博亮:脊椎内視鏡下手術 基本手技から技術認定まで 95-100, 204-207, 224-227, 2007 (4)中村博亮,他:最新整形外科体系 11 頚椎・胸椎 110-117, 2007 (5)日高典昭:腕と手の痛み・手指の痛み・しびれ 糖尿病ケア 35(春季) 155-163, 2007 (6)北野利夫: 【関節疾患の視診・触診のコツ】小児股関節の診療 視診・触診のコツ MB Orthop. 20(12) 42-45, 2007 (7)加藤相勲,中村博亮,小西定彦,堂園 将,松田英樹,他:頚椎選択的椎弓形成術における C2,C7 棘突起付着筋群温存の意義 整形・災害外科 50(9)977-983, 2007 (8)加藤相勲,中村博亮,並川 崇,他 : 分子レベルからみた整形外科的疾患 骨誘導能を有する rhBMP-2 含有ペーストマテリアル 整形・災害外科 50(8)834-836, 2007 (9)飯田高広,森田光明,坂和 明:臼蓋骨欠損に対して補填を行った人工関節再置換術の成績 Hip Joint 33 227-230, 2007 (10)飯田高広,坂和 明,森田光明,日高典昭,尾原善和:大腿骨頚部内側骨折に対する骨接合術 の成績因子の検討 骨折 29(3)550-553, 2007 (11)岡野匡志,青野勝成,森田光明,中村博亮:出生時より存在した乳児軟部腫瘍の 1 例 中部日 本整形外科災害外科学会雑誌 50 1115 - 1116, 2007 (12)辻尾唯雄,中村博亮,松村 昭,並川 崇,他:【骨粗鬆症性脊椎骨折の発症リスクファクター と予後因子】早期 MRI からみた骨粗鬆症性椎体骨折の予後不良因子 骨・関節・靭帯 20(1)4553, 2007 -143(13)辻尾唯雄,中村博亮,松村 昭,他:【関節リウマチおよびその脊髄病変】骨粗鬆症性脊椎椎体 骨折による遅発性脊髄麻痺に対する手術療法 脳 21 10(2)178-183, 2007 (14)Namikawa T,Kato M,Toyoda H,et al : Enhancing effects of a prostaglandin EP4 receptor agonist on recombinant human bone morphogenetic protein-2 mediated spine fusion in a rabbit model. Spine 32 2294-2299, 2007 (15)明石健一,日高典昭,森田光明,尾原善和,松田英樹:リン酸カルシウム骨ペーストの生体内 での吸収一臨床例における単純X線像での検討一 整形外科 58(10)1379-1382, 2007 (16)今井祐記,北野利夫,中川敬介,他 :Calcaneal apophyseal avulsion fracture. Arch Orthop Trauma Surg. 127 331-333, 2007 (17) 山 本 研, 日 高 典 昭, 明 石 健 一, 香 月 憲 一, 中 川 敬 介: 小 児 上 肢 骨 折 に お け る impending malunion に対する治療 骨折 29(3)427-431, 2007 (18)中川敬介,北野利夫,他:先天性筋性斜頚による顔面非対称性のインスタント写真を用いた評 価 日本小児整形外科学会誌 16 114-117, 2007 (19)中川敬介,北野利夫:【創意と工夫】大腿骨頭すべり症に対するナビゲーションシステムを用い た現位置固定 整形外科 58(3)1767-1771, 2007 (20)Hoshino M, Namikawa T, Kato M : Repair of bone defects in revision hip arthroplasty by implantation of a new bone-inducing material comprised of recombinant human BMP-2,Beta-TCP powder,and a biodegradable polymer : An experimental study in dogs. J Orthop Res 25 1042-1051, 2007 (21)de Vos,Paul. Kitano,Toshio,et al : Zeta-potentials of alginate-PLL capsules : a predictive measure for biocompatibility. J Biomed Mater Res(Am). 80(4)813-819,2007 (22)Hashimoto Y,Toyoda H,et al : Generation of tendon-to-bone interface“”enthesis””with use of recombinant BMP-2 in a rabbit model. J Orthop Res. 25(11)1415-1424, 2007 泌尿器科 1.誌上発表 (1)坂本 亘,武本佳昭,仲谷達也 : 多嚢胞化委縮腎からの腎癌一治療,透析フロンティア 239-241, 2007 (2)浅井利大,金 卓,仲谷達也:腎移植後免疫抑制療法の進歩,大阪透析研究会誌 25, 1-6, 2007 (3)石井啓一,坂本 亘,葉山琢磨,黒木慶和,浅井利大,上川禎則,金 卓,杉本俊門,仲谷達 也 : lmpalpable testis に対する当科における腹腔鏡の実際と術後長期成績,日本小児泌尿器科学会雑誌, 16,82-87, 2 (4)坂本 亘:小児泌尿器科の病気- 2 尿道下裂,停留精巣,育成 401,13, 2007 眼科 1.誌上発表 (1)三村真士 , 森 秀夫 : 硝子体手術後発症の細菌性眼内炎を再手術で救えた 1 例.眼科手術 20 : 123-126,2007 (2)森 秀夫:高度近視性新生血管黄斑症の放射線治療後に後極部網膜の変性を生じた 1 症例.眼臨 101 : 860-863, 2007 (3)森 秀夫:血管新生緑内障のトラベクレクトミー後に発症した前房蓄膿を伴う無菌性眼内炎.あ たらしい眼科 24 : 681-684, 2007 -144耳鼻咽喉科・小児耳鼻咽喉科 1.著 書 (1)愛場庸雅 : がんを体験した医療者が思うホリスティック医学.ホリスティック医学.東京,東京 堂出版,2007, p82-83 2.誌上発表 (1)愛場庸雅:先天性無嗅覚症.神経内科 66(44):353-360, 2007 (2)久保武志:新生児,乳幼児,小児の難聴 -ダウン症児の難聴と教育-.ダウン症療育研究会誌 1: 44-47,2007 婦人科 1.誌上発表 (1)Nishimura S,Tsuda H,lto K,Jobo T,Yaegashi N,Sudo T,Berkowitz RS,Mok SC : Differential expression of ABCF2 protein among different histologic types of epithelial ovarian cancer,and in clear cell adenocarcinomas of different organs. Human Pathol,38,134-139,2007. (2)Nishimura S,Tsuda H,Hashiguchi Y,Kokawa K,Nishimura R,lshiko O,Kamiura S,Umesaki N : Phase II study of irinotecan plus doxorubicin for early recurrent(<12months)or platinum-refractory epithelial ovarian cancer. Interim analysis. lnt J Gynecol Cancer,17,159-163,2007. (3)Shimada M,Kigawa J,Terakawa N,Yoshizaki A,Shoji T,Suzuki M,Hatae M,Tsuda H,Ohwada M, Sugiyama T : Phase I trial of paclitaxel,doxorubicin,and carboplatin(TAC)for the treatment of endometrial cancer. Int J Gynecol Cancer 17,210-214,2007. (4)Takano M,Sugiyama T,Yaegashi N,Suzuki M,Tsuda H,Sagae S,Udagawa Y,Kuzuya K,Kigawa J,Takeuchi S,Tsuda H,Moriya T,Kikuchi Y : Progression-free survival and overall survival of patients with clear cell carcinoma of the ovary treated with paclitaxel-carboplatin or irinotecan-cisplatin : retrospective analysis. lnt J Clin Oncol 12,256-260,2007. (5)川村直樹:針生検による子宮筋腫管理の実際とその間題点.日産婦誌 59,1671 - 1678,2007. (6)川村直樹:産婦人科診療 Data Book 子宮筋腫.産婦の実際 56,1675-1679, 2007. (7)津田浩史:婦人科領域からみたプラチナ製剤.臨床腫瘍プラクティス 3,191 - 196,2007. (8)津田浩史:子宮頸癌の化学療法 . Cancer Treatment Navigator 2007. (9)徳山治,康文豪,西村貞子,津田浩史:当科における子宮内膜症性嚢胞の保存手術に関する検討. 日産婦内視鏡学会誌 23 : 190-192,2007. 形成外科 1.誌上発表 (1)今井啓介:骨欠損への対応【骨・人工骨移植,骨延長・再生】骨延長の適応とコツ 頭蓋・眼窩 領域 頭蓋形成(拡大)術における骨延長,PEPARS 15 : 62-68,2007. (2)松本 洋,今井啓介,山田 朗,藤本卓也,森本訓行,新妻克宜,藤川平四朗,坂本博昭,松阪 康弘,中野友明:症候性頭蓋縫合早期癒合症における気道形態異常の検討,日本頭蓋顎顔面外科学会誌, 23 : 287-293,2007. (3)Yamada A,lmai K,Nomachi T,Fujimoto T,Morimoto K : Total reconstruction of the burned auricle. Burns. 33 : 112-120,2007. 口腔外科 1.著 書 (1)連 利隆,岸本裕充 分担執筆,「Q31. HIV 感染者の口腔の特徴と口腔ケア時に注意することに -145ついて教えてください」,P124 ~ 127 岸本裕充編集「よくわかる!口腔ケア」2007.6.23 発行,KK メヂカルフレンド社 2.誌上発表 (1)大石建三,黒田 卓,青柳信好,連 利隆,佐野寿哉,酒匂 潤 :AV ブロック発症後の心エコー 検査により心臓転移が発見された舌癌の 1 例.日本口腔診断学会雑誌 20 巻1号 2007.3 (2)青柳信好,黒田 卓,大石建三,佐野寿哉,連 利隆:苛性ソーダによる口腔化学損傷の 1 例. 日本口腔外科学会雑誌 53 巻 8 号 2007.8 脳神経外科 1.著 書 (1)小宮山雅樹:脳脊髄血管の機能解剖.メディカ出版,大阪 ,2007 (2)小宮山雅樹:第 2 章 脳血管の機能的解剖,1. 脳血管,脳神経血管内治療のすべて.最新症例か ら学ぶ.にゅーろん社,東京,滝 和郎,他,編集 , 7-14, 2007 (3)小宮山雅樹:第 9 章 脳脊髄動静脈痙瘻 , 5. 小児脳動静脈瘻に対する血管内治療,脳神経血管内 治療のすべて.最新症例から学ぶ.にゅーろん社,東京,滝 和郎,他,編集 ,150-157,2007 (4)小宮山雅樹:第 11 章 脳腫瘍,頭頚部疾患,2. 頭頚部血管病変(血管腫・血管奇形,鼻出血) の血管内治療,脳神経血管内治療のすべて.最新症例から学ぶ.にゅーろん社,東京,滝 和郎,他, 編集,192-198, 2007 (5)小宮山雅樹:第 15 章 その他の動静脈瘻の症例,3. 顔面動静脈奇形に対して直接穿刺で塞栓術 を行なった Wyburn-Mason syndrome 症例,脳神経血管内治療のすべて.最新症例から学ぶ.にゅーろ ん社,東京,滝 和郎,他,編集 , 260-261, 2007 (6)小宮山雅樹:第 19 章 脳腫瘍,頭頚部腫瘍ほかの症例,1.Mural type のガレン大静脈瘤の血管内 治療,脳神経血管内治療のすべて.最新症例から学ぶ.にゅーろん社,東京,滝 和郎,他,編集, 302-303, 2007 2.誌上発表 (1)安井敏裕,小宮山雅樹,岩井謙育,山中一浩,松阪康弘,中村一仁,山形桂司 :SAH で発症し た多発性脳動脈瘤症例の治療-クリッピング術かコイル塞栓術かー . Neurosurg Emerg 12 : 163-168, 2007 (2)安井敏裕,小宮山雅樹,山形桂司:高齢者未破裂脳動脈瘤の治療方針.大阪市動務医師会平成 17 年度研究年報 34 : 183-186, 2007 (3)小宮山雅樹:新生児の脳動静脈シャントに対する脳血管内治療.脳神経外科速報 17 : 347-353, 2007 (4)Komiyama M:Does moyamoya disease exist as an isolated clinical entity? lnterventional Neuroradio1 13: 101, 2007 (5)小宮山雅樹:小児期の interventional neuroradiology とはどのようなものですか?小児内科(増刊号) 39 : 160-165, 2007 (6)lwai Y, Yamanaka K, Yoshimura M : lntracerebral cavernous malformation induced by radiosurgery –case report-. Neurol Med Chir(Tokyo)47 : 171-173, 2007 (7)lwai Y, Yamanaka K, Yamagata K, Yasui T: Surgery after radiosurgery for acoustic neuromas : surgical strategy and histological findings. Neurosurgery 60(2 Suppl 1):ONS 75-82, 2007 (8)岩井謙育,山中一浩,石黒友也,中村一仁,小宮山雅樹,安井敏裕:頭蓋咽頭腫に対するガンマ ナイフの治療成績.日本内分泌学会雑誌 83 : 78-81, 2007 (9)岩井謙育,山田浩二,山中一浩,中村一仁,石黒友也,小宮山雅樹,安井敏裕:内視鏡下両側経 鼻的下垂体腫瘍摘出術(耳鼻咽喉科との協同手術)の経験.脳神経外科ジャーナル 16 : 712-716, 2007 -146(10) 岩 井 謙 育: 繊 維 性 で 易 出 血 性 の 脳 腫 瘍( 血 管 外 皮 腫 ) に 対 す る Surgi-MaxTM の 有 用 性 . Radiosurgery 研究会ジャーナル 5 : 10, 2007 (11)岩井謙育:非機能性下垂体腺腫に対するガンマナイフ治療の検討.大阪市勤務医師会平成 17 年 度研究年報 34 : 201-204, 2007 (12)岩井謙育,山中一浩,池田英敏,石黒友也,中村一仁,小宮山雅樹,安井敏裕:頭蓋咽頭腫に 対するガンマナイフの治療成績.定位的放射線治療 11 : 37-43,2007 (13)松阪康弘,坂本博昭,中村一仁:頚椎症に対する低侵襲椎弓拡大形成術.大阪市勤務医師会平 成 17 年度研究年報 34 : 193-200,2007 (14)中村一仁,岩井謙育,山中一浩,川原慎一,池田英敏,永田理絵,宇田武弘,一ノ頻 努,村田敬二, 阪口正和,安井敏裕:超高齢非機能性下垂体腺腫に対する外科治療.脳神経外科 35 : 371-375,2007 (15)中村一仁,山中一浩,岩井謙育,池田英敏,松阪康弘,小宮山雅樹,安井敏裕 :Gamma knife の 三叉神経痛に対する MVD(microvascular decompression). 脳神経外科速報 17 : 86-90,2007 (16)中村一仁,石黒友也,池田英敏,宇田武弘,村田敬二,阪口正和,小宮山雅樹,安井敏裕:未 破裂脳動脈瘤クリッピング術の治療成績一脳動脈瘤手術初心者の経験-.脳卒中の外科 35 : 370-375, 2007 (17)中村一仁,池田英敏,石黒友也,松阪康弘,山中一浩,岩井謙育,小宮山雅樹,坂本博昭,安井敏裕: 高齢者に対する微小血管減圧術 . Geriatric Neurosurgery 20 : 113-117,2007 心臓血管外科 1.誌上発表 (1)瀬尾浩之,南村弘佳,八百英樹,細野光治,青山孝信,宮本 覚:開心術後の心房細動に対する 短時間作動型β 1 遮断薬 landiolol hydrochloride の治療経験,医学と薬学 , vo157, No 6 : 921-23, 2007 呼吸器外科 1.著 書 (1)多田弘人:術前治療 . 江口研二 , 横井香平 , 弦間昭彦編.肺癌のすべて.東京,文光堂 , 2007, p302-305 (2)多田弘人:非小細胞肺癌一補助療法の考え方は? . 永井厚志,吉澤靖之,太田 健,江口研二編 . EBM 呼吸器疾患の治療.東京,中外医学社 , 2007, p323-326 2.誌上発表 (1)Kawahara K, Tada H, etal : AN EXTREMELY SOLID VARIANT OF ADENOID CYSTIC CARCINOMA ARISING IN THE LOWER TRACHEA. Archieves of Histopathologic Differential Diagnoses 13 : 10-14, 2007. (2)多田弘人:肺癌の再発診療に関する最新のデータ . 臨床外科 62 : 97-100, 2007. (3)Kushibe K,Takahama M,etal : Operative indications for lung cancer with idiopathic pulmonary fibrosis. Thorac Cardiovasc Surg 55 : 505-8, 2007. (4)Yoshioka M, Takahama M, etal : Lipoteichoic acid downregulates Fcepsilon Rl expression on human mast cells through Toll-like receptor 2. J Allergy Clin lmmunol 120 : 452-61, 2007. (5)長田陽子,高濱誠ほか:基礎疾患を有さない胸壁原発悪性リンパ腫の一治験例 . 日本呼吸器外科 学会雑誌 21 : 70-75,2007. 新生児科 1.誌上発表 (1)Tanaka Y, et al : lnhaled nitric oxide therapy decreases the risk of cerebral palsy in preterm infants with -147persistent pulmonary hypertension of the newborn. Pediatrics 119 : 1159-1194, 2007. (2)市場博幸:第 7 章 入院中の母乳育児一産祷期,医師のための母乳育児ハンドブック(平林 円, 笠松堅實監訳).メディカ出版,大阪 , 2007, p65-79. (3)市場博幸,山中聡子,大谷早苗:当院における糖尿病母体児(IDM)の検討 一臍帯血中 IGF-1 値の観点からー.周産期医学 37 : 1216-1218, 2007. (4)市場博幸,保田典子 : 大阪における新生児死亡の推移 - NMCS データベースを用いた解析- . 新生児白書Ⅲ :79-80, 2007. (5)市場博幸 :NMCS の新生児診療実績 一推移,現状,間題点,展望-.新生児白書Ⅲ : 85-90, 2007. (6)市場博幸:羊水と消化管の発達.周産期医学 37 : 1379-1382, 2007. (7)森 啓之,市場博幸:第 5 章ルート管理 ,48A ライン,新生児医療と看護の臨床手技 70(堺 武男編). Neonatal Care(春季増刊号):230-235,2007. (8)寺田明佳,市場博幸,郡山 健,田中裕子,森 啓之,大西 聡,江原英治:極低出生体重児の 胎便関連腸閉塞に対するガストログラフィン胃内投与の効果.未熟児 19 :251-254, 2007. (9)森 啓之,市場博幸,楠田 聡 :2004 年に総合周産期母子医療センターで出生した CLD 児の臨床 像.アウトカムを指標としてベンチマーク手法を用いた質の高いケアを提供する「周産期母子医療セ ンターネットフーク」の構築に関する研究.平成 18 年度 総括分担研究報告書 :33-40, 2007. (10)田中裕子,市場博幸 : 子宮内発育遅延,周産期の症候 ・ 診断 ・ 治療ナビ.周産期医学 37(増刊 号):596-599, 2007 (11)Yokoi T, lchiba H, et al : Hippocampal BDNF and TrkB expression in young rats after status epilepticus. Osaka City Med. J.53 : 63-71, 2007 小児内科 1.著 書 (1)藤田敬之助:小児期ターナー症候群の診断と治療.監修:藤田敬之助.成人ターナー女性一ターナー として生きるー . pp5-13. メディカルレビュー社,東京 , 2007 2.論文発表 (1)藤丸季可 , 山田 浩:家族性逆流性腎症の父子例.日本小児腎不全学会誌 27 : 38-39, 2007 (2)望月貴博 , 藤田敬之助:内分泌様物質と性早熟.小児内科 39 : 762-765, 2007 (3)望月貴博 , 藤田敬之助:抗 Ca 感知受容体抗体が原因と考えられた副甲状腺機能低下症の 1 例.日 本内分泌学会雑誌 83(suppl):131-132, 2007 (4)藤田敬之助 :Turner 症候群.よくわかる小児内分泌代謝疾患の診断と治療.小児科 48 : 1581-1584, 2007 (5)東 孝,中村哲郎,林 宏昭,吉田達之,大野耕一,中平公士,藤田敬之助,裴 英洙,井上 健, 小林庸次 :Dysgerminoma を発症したモザイク型ターナー症候群の 1 例.小児がん 41 : 771-777, 2007 小児循環器内科 1.著書・誌上発表 (1)村上洋介:小児心臓病の治療一過去から現在ヘー.大阪小児科医会会報 140 : 1-3, 2007 (2)村上洋介:巻頭言一川崎病発表から 40 年を経てー . PROGRESS IN MEDICINE 27 : 1523-1524, 2007. (3)保田典子, 村上洋介,小澤有希,鈴木嗣敏,江原英治:冠血流速度予備能(CFVR)が管理に有用であっ た川崎病冠動脈障害(閉塞後再疎通)の 1 成人例 .PROGRESS IN MEDICINE 27 : 1550-1554, 2007. -148小児血液腫瘍科 1.著 書 (1)原 純一:髄芽腫/PNETにおける集学的治療のEBMは?五十嵐隆ら編 EBM小児疾患の 治療 東京,中外医学社 2007,p514-518. (2)岡田恵子,坂本博昭,原 純一:小児脳腫瘍患児の看護 野村和弘ら監修がん看護 実践シリー ズ 13 小児がん 東京 メヂカルフレンド社 2007,p39-78. 2.誌上発表 (1) 梅 田 雄 嗣, 原 純 一 ほ か 17 名: 小 児 急 性 リ ン パ 性 白 血 病 治 療 に お け る 中 枢 神 経 系 合 併 症 :JACLSALL-02 研究 日臨血誌 48 : 204-11,2007 (2)井上 健,久保勇記,裴 英洙,小林庸次,田中千賀,大杉夕子,岡田恵子,朴 永東,原 純一: 造血幹細胞移植後に形質細胞腫様リンパ増殖性疾患を発症した一例 小児がん学会誌 44 : 55-59,2007 (3)田中千賀,大杉夕子,北野昌平,岡田恵子,朴 永東,坂本博昭,原 純一:治療抵抗性小児 central neurocytoma の 2 症例 小児がん学会誌 44 : 176-180,2007 (4)Sano T,Kurotobi S,Matsuzaki K,Yamamoto T,Maki l,Miki K,Kogaki S,Hara J. Prediction of nonresponsiveness to standard high-dose gamma-globulin therapy in patients with acute Kawasaki disease before starting initial treatment. Eur J Pediatr. 2007 Feb;166(2):131-7. (5)Parsons SK,Saiki-Craighill S,Mayer DK,Sullivan AM,Jeruss S,Terrin N,Tighiouart H,Nakagawa K,lwata Y,Hara J,Grier HE,Block S. Telling children and adolescents about their cancer diagnosis : Crosscultural comparisons between pediatric oncologists in the US and Japan. Psychooncology. 2007 Jan;16(1):60-8. (6)Tsurusawa M,Yumura-Yagi K,Ohara A,Hara J,Katano N,Tsuchida M. Survival outcome after the first central nervous system relapse in children with acute lymphoblastic leukemia : a retrospective analysis of 79 patients in a joint program involving the experience of three Japanese study groups. lnt J Hematol. 2007 Jan;85 (1):36-40. (7)Yoshimoto A,Hashii Y,Kashiwagi H,Koizumi M,Tokimasa S,Fujisaki H,Ohta H,Hanai N,Ozono K, Hara. J. Successful allogeneic stem cell transplant for leukocyte adhesion deficiency using an adjusted busulfancontaining regimen. Pediatr Transplant. 2007 Jun;11(4):453-5. (8)Matsumoto M,Kawa K,Uemura M,Kato S,lshizashi H, lsonishi A, Yagi H,Park YD,Takeshima Y,Kosaka Y,Hara H,Kai S,Kanamaru A,Fukuhara S,Hino M,Sako M,Hiraoka A,Ogawa H,Hara J,Fujimura Y. Prophylactic fresh frozen plasma may prevent development of hepatic VOD after stem cell transplantation via ADAMTS13-mediated restoration of von Willebrand factor plasma levels. Bone Marrow Transplant. 2007 Aug;40(3):251-9. (9)Hosoi H,Teramukai S,Matsumoto Y,Tsuchiya K,lehara T,Hara J,Mitsui T,Kaneko M,Hatae Y, Hayashi Y,Mabuchi O,Adachi N,Morikawa Y,Nishimura S,Kumagai M,Takamatsu H,Sawada T, Sugimoto T. A review of 331 rhabdomyosarcoma cases in patients treated between 1991 and 2002 in Japan. lnt J Clin Oncol. 2007 Apr;12(2):137-45. 児童青年精神科 1.著 書 (1)補永栄子 , 水田一郎 : 子どもの虐待.マイケルラター編 , 長尾圭造監訳 児童青年精神医学.明石 書店,2007, p1361-1370 小児外科 1.誌上発表 (1)東 孝,中村哲郎,林 宏昭ほか :Dysgerminoma を発生したモザイク型ターナー症候群の 1 例. -149日本小児がん学会雑誌 43 : 771-777,2007. (2)Ohno K,Nakamura T,Azuma T,et al : Evaluation of the portal vein after duodenoduodenostomy for congenital duodenal stenosis associated with the preduodenal superior mesenteric vein,situs inversus, polysplenia, and malrotation. J Pediatr Surg 42 : 436-439, 2007. (3)大野耕一,中村哲郎,東 孝ほか:胸の前が落ち込んでいるのですが(5 歳).小児外科 39 : 404-405,2007. (4)大野耕一,中村哲郎,中平公士ほか:院内重症感染症の予防対策一入院時監視細菌検査による感 染症コントロールー.小児外科 39 : 1408-1411,2007. (5)吉田達之,大野耕一,中村哲郎ほか:手術所見に基づく Ascending testis の成因と治療方針に関す る検討.日小泌尿会誌 16 : 210-213,2007. (6)林 宏昭,東 孝,中村哲郎ほか:出生後に小腸捻転によって小腸閉鎖が完成したと考えられ る超低出生体重児の 1 例.日小外会誌 43 : 620-624, 2007. (7)正畠和典,中村哲郎,東 孝:特発性乳糜胸に対するミノマイシン注入療法による治療経験. 日小外会誌 43 : 923-927,2007. 小児泌尿器科 1.誌上発表 (1)坂本 亘,武本佳昭,仲谷達也:多嚢胞化萎縮腎からの腎癌一治療,透析フロンテイア,透析療 法における様々な疑間に答える Series 5,p 239-241, 2007 (2)石井啓一,坂本 亘,葉山琢磨,黒木慶和,浅井利大,上川禎則,金 卓,杉本俊門,仲谷達 也 : lmpalpable testis に対する当科における腹腔鏡の実際と術後長期成績,日本小児泌尿器科学会雑誌, 16,82-87, 2007 小児眼科 1.著 書 (1)横山 連:固定斜視と眼窩画像検査.すぐに役立つ眼科診療の知識 両眼視.金原出版,東京, 83-87,2007 (2)横山 連:両眼視機能獲得を重視した眼位矯正のコツ.すぐに役立つ眼科診療の知識 両眼視. 金原出版,東京 , 165 - 168, 2007 (3)横山 連:先天性眼瞼下垂・睫毛内反症.眼科ケア 2007 年夏季増刊 患児と親へのよりよい対 応のために 子どもの目の病気とケア,メディカ出版,大阪 , 96-103, 2007 (4)太田眞理子:小児検査の特徴.眼科ケア 2007 年夏季増刊 患児と親へのよりよい対応のために 子どもの目の病気とケア,メディカ出版,大阪 , 120-125, 2007 (5)横山 連 :Duane 症候群.田野保雄 , 樋田哲夫編:今日の眼疾患治療指針,医学書院,東京 - , 2007 (6)横山 連:固定斜視.田野保雄,樋田哲夫編:今日の眼疾患治療指針,医学書院,東京 - , 2007 (7)横山 連:視能検査学.視能訓練士スペシャリストヘの道(5),メディカル葵出版 , 159-169, 2007 小児脳神経外科 1.論 文 (1)坂本博昭:子どものくび(頚)の痛み.あゆみ(大阪市幼児教育センターだより):6, 2007 (2)坂本博昭,松阪康弘 : 潜在性二分脊椎 , Tethered cord, 脊髄脂肪腫.小児内科(増刊号)39:665-667, -1502007 (3)北野昌平,坂本博昭,本田雄二,山形桂司:神経内視鏡を用いた安全な手術 新生児脳室内出血 への応用.大阪市勤務医師会平成 17 年度研究年報 34 : 187-192, 2007 (4)岡田恵子,坂本博昭,原 純一ほか:第 2 章 小児脳腫瘍患児の看護.牧本 敦 編.がん看護 実践シリーズ 13 小児がん.東京,メヂカルフレンド社 , 2007, pp39-78 (5)松阪康弘,坂本博昭:キアリ奇形.脊椎脊髄ジャーナル 20 : 1298-1299, 2007 (6)池田英敏,松阪康弘,坂本博昭 : GeneReviews. FGFR 関連頭蓋骨縫合早期癒合症(http : //www. genereviews.org/profiles/craniosynostosis)(日本語訳) 小児心臓血管外科 1.論文発表 (1)西垣恭一 :Ebstein 奇形.循環器疾患最新の治療 2008-2009,南光堂,東京 : 239-243, 2008 (2)小澤秀登,西垣恭一,川平洋一,等:完全型房室中隔欠損に対する心室中隔直接閉鎖法の中期成 績 日本小児循環器学会雑誌(in press) 小児言語科 1.著 書 (1)堅田利明:キラキラどもる子どものものがたり 海風社 2.誌上発表 (1)堅田利明:ことばの支援を通して自己肯定感を育めるか.日本特殊教育学会第 45 回大会論文集 . 2007. (2)堅田利明:子どもと自分との間にある「何か」.第 2 回特別支援教育を考えるセミナー.人間関 係論的アプローチ研究会編 2007. 小児救急科 1.著 書 (1)塩見正司:無菌性髄膜炎,細菌性髄膜炎,急性脳炎,マイコプラズマ肺炎.感染症発生動向調査 事業報告書第 24 報(平成 18 年版);大阪府保健衛生部 / 大阪市健康福祉局 2007.3 (2)塩見正司,木村志保子,九鬼一郎,岡崎 伸,川脇 寿,石川順一,外川正生:ウイルス性胃腸 炎に合併した hemorrhagic shock and encephalopathy の 3 例.感染症流行予測調査結果報告書(第 41 報) 平成 18 年度;大阪感染症流行予測調査会 2007.3 (3)塩見正司 : 急性脳炎 ・ 急性脳症 小児救急治療ガイドライン.市川光太郎編集,診断と治療社 2007.10 (4)外川正生:HIV感染妊婦より出生した児の実態調査とその解析およぴHIV感染妊婦とその出 生児に関するデータベースの構築.平成 18 年度厚生労働科学研究費補助金(エイズ対策研究事業) 周産期・小児・生殖医療おけるHIV感染対策に関する集学的研究 2007.04 2.誌上発表 (1)天羽清子,塩見正司:【周産期とウイルス感染】院内周産期ウイルス感染対策 スタッフあるい は面会者.周産期医学 37 : 1589-1593, 2007.12 (2)塩見正司:【小児中枢神経系疾患の画像診断 2008】疾患別アトラス編 感染症,脳症 インフル エンザ脳症.小児内科 3: 増刊号 310-319, 2007.11 (3)塩見正司:【DATAで読み解く内科疾患】感染症 ウイルス性脳炎.綜合臨床 56: 増刊号 17371746,2007.04 (4)小林慈典,塩見正司ほか:インフルエンザ脳症特殊治療の全国調査 日本小児科学会雑誌 111: -151659-665 2007.05 (5)塩見正司,石川順一,山村美穂,外川正生:【肝・消化管疾患の新しい臨床】消化管疾患 細菌 性胃腸炎の合併症と治療.小児科診療 70 : 993-1000, 2007.06 (6)Kaida A, Kubo H,Goto K,Shiomi M, et al : Co-infection of human metapneumovirus with adenovirus or respiratory syncytial virus among children in Japan. Microbiol Immunol. 51 : 79-83, 2007 (7)外川正生:日本で今エイズはどれくらい発生している?母子感染は?.チャイルドヘルス 10 : 4146,2007 (8)稲葉憲之,外川正生ほか:予防と対策「スクリーニング無くして対策無し」.日本エイズ学会誌 9: 6-10,2007 麻酔科・小児麻酔科 1.著 書 (1)奥谷 龍:呼吸循環急変対応 日総研出版 2007.3.15 pl-191(単著) (2)奥谷 龍 :4. ショックとサイトカイン 臨床サイトカイン研究会 編集 臨床サイトカイン学 メディカル・サイエンス・インターナショナル 2007.5.25 p30 ~ 36 2.誌上発表 (1)中田一夫:小児麻酔管理の基本理解度チェック こどもケアー 2007.7/8 p16-23 日総研出版 (2)演田 拓:嘔気・嘔吐 こどもケアー 2007.7/8 p16-23 日総研出版 放射線科 1.著 書 (1)田中茂子,田中正博 他 :MRI を用いたメタボリック症候群の診断一水選択的抑制パルスを用い た脂肪体積測定の試み一 扇 和之編.ルーチンクリニカル MR1 2008 BOOK. 東京,産業開発機構, 2007,pp70-77 2.誌上発表 (1)赤土みゆき:神経放射線診斯における症候群.臨床画像 23(2)242-246, 2007. (2)Nishimura Y, Takeda K, Tanaka M, et al. :Phase I/II trial of sequential chemoradiotherapy using a novel hypoxic cell radiosensitizer,doranidazole(PR-350),in patients with locally advanced non-small-cell lung Cancer(WJTOG-0002). lnt J Radiat Oncol Biol Phys 69(3):786-92,2007. (3)Tanaka S, Tanaka M, et al. :Measuring visceral fat with water-selective suppression methods(SPIR,SPAIR) in patients with metabolic syndrome. Magn Reson Med Sci 6(3):171-5,2007. リハビリテーション科 1.誌上発表 (1)金田浩治 :2004 年 4 月~ 2007 年 1 月までに,当院でリハビリテーションを行った非外傷性下肢切 断患者の検討.リハビリテーション医学 44(S):S547, 2007 (2)中村一仁,坂本博昭,金田浩治,夫 由彦,下川宣幸:仙骨部褥瘡の治療に対する Flexible Seal の使用経験 . リハビリテーション医学 44(S):S421, 2007 (3)馬屋原 学: 「ものづくり」宣教師~ソウルひとり歩き~.大阪作業療法ジャーナル 20(2):93-96,2007 (4)馬屋原 学:トライアングルグリップ(第 2 報)~棒体操や滑車訓練の握りに~.大阪作業療法ジャー ナル 21(1):20-22,2007 -152中央臨床検査部・生理機能検査部 1.誌上発表 (1)中通由美,岡 博子,西澤輝彦,横田重樹,大内田祐一,嶋 三恵子,白野倫徳,後藤哲志,井上 健 : HIV 患者に発症したCMV腸炎の 1 例 , J Med ultrasonics, vol.34N0.4 P461-465 (2)尾崎幸雄,足立三郎,森 昌彦,大内田祐一 :Panayiotopoulos 症候群における脳波の経時変化へ のアプローチ,医学検査 , Vol.56No10 2007 P1351-1356 (3)石川祐子,岡 博子,堀井勝彦,中通由美,横田重樹,大内田祐一,嶋 三恵子,中井隆志,川崎靖子, 西澤輝彦,山崎 修,裴 英洙,井上 健 : 経過を観察中に肝嚢胞腺癌を疑わせる出血性病変がみら れた多発性肝嚢胞の 1 例,肝臓,第 48 巻 第 11 号 P546-552 病理部 1.誌上発表 (1)Nishimura S, Tsuda H, lnoue T, et al : Differential expression of ABCF2 protein among different histologic types of epithehelial ovarian cancer and in clear cell adenocarcinomas of different organs Hum Pathol 38 : 134139, 2007 (2)小林庸次,井上 健,裴 英洙,久保勇記:腋窩に発生した単相線維型滑膜肉腫の 1 例 小児が ん 43 : 822, 2007 (3) 井 上 健, 裴 英 洙, 久 保 勇 記, 小 林 庸 次 :Anaplastic feature を 伴 っ た pleomorphic xanthoastrocytoma の 1 例 小児がん 43 : 830, 2007 (4)東 孝,中村哲郎,林 宏昭,吉田達之,大野耕一,中平公士,藤田敬之助,裴 英洙,井上 健, 小林庸次 :Dysgerminoma を発症したモザイク型ターナー症候群の 1 例 小児がん 43 : 771-777, 2007 (5)井上 健,久保勇記,裴 英洙,小林庸次,田中千賀,大杉夕子,岡田恵子,朴 永東,原 純一: 造血幹細胞移植後に形質細胞様リンパ増殖性疾患を発症した一例 小児がん 44 : 55-59, 2007 (6)中通由美,岡 博子,西澤輝彦,横田重樹,大内田祐一,嶋 三恵子,白野倫徳,後藤哲志,井上 健 : HIV 患者に発症したCMV腸炎の 1 例 Jpn J Med Ultrasonic 34 : 461-465, 2007 (7)池田克実,半羽宏之,永野晃史,清水貞利,中澤一憲,西口幸雄,小川佳成,井上 健 :Paclitaxel (Taxol)投与中に腸管壊死を生じた局所進行乳癌の 1 例 日本外科系連合学会誌 32 : 638-642, 2007 (8)石川祐子,岡 博子,堀井勝彦,中通由美,横田重樹,大内田祐一,嶋 三恵子,中井隆志,川崎靖子, 西澤輝彦,山崎 修,裴 英洙,井上 健 : 経過観察中に肝嚢胞腺癌を疑わせる出血性病変がみられ た多発性肝嚢胞の 1 例 肝臓 48 : 546-552, 2007 集中治療部 1.著 書 (1)徳平夏子:デクスミデトミジンの使い方一基礎と臨床-.武田純三監,小板橋俊哉編.真興交易(株) 医書出版部.東京 . 2007. p152-158 (2)安宅一晃,西 信一,徳平夏子,嶋岡英輝 : デクスミデトミジンの使い方一基礎と臨床- . 武田 純三監,小板橋俊哉編.真興交易(株)医書出版部.東京 . 2007. p80-88 2.誌上発表 (1)嶋岡英輝:透析とはどう違う ? 持続的血液浄化法の基礎知識 . Expert Nurse23(4):19 ~ 21, 2007 (2)安宅一晃,嶋岡英輝,西 信一 : 化学発光法を用いた Endotoin Activity Assay(EAA)の検討 . ICU と CCU31(6): 445 ~ 452,2007 (3)嶋岡英輝:持続血液浄化法の抗凝固薬を見直す.日集中医誌 2007;14 : 511-3 (4)嶋岡英輝,徳平夏子,宇城敦司,大塚康義,松尾崇史,安宅一晃:当院集中治療室における感染 対策- MRSA 対策を中心にー . ICU と CCU31(9):653-659,2007 -153臨床教育研究部 1.誌上発表 (1)Nishimura S,et al. :Differential expression of ABCF2 protein among different histologic types of epithelial ovarian cancer and in clear cell adenocarcinomas of different organs. Hum Pathol 38 : 134-139, 2007(大阪市 市長賞・大阪市医学会賞受賞論文) (2)Nishimura S, Tsuda, Hashiguchi Y, Kokawa , Nishimura , lshiko, Kamiura S, Hasegawa K, Umesaki N, Phase II study of irinotecan plus doxorubicin for early recurrent or platinum-refractory ovarian cancer : interim analysis. lnt J Gynecol Cancer. 2007 Jan-Feb;17(1):159-63. (3)Ehara S,Naruko T,Kobayashi Y,Kataoka T,Nakagawa M,Shirai N,lshii H,Okuyama T,Oe H, Sugioka K,Hozumi T,Haze K,Yoshikawa J,Yoshiyama M,Ueda M. Comparison of clinical characteristics and arterial remodeling by intravascular ultrasonic imaging in three age groups(<or = 55,56 to 69 and>or = 70 years)of Japanese patients with acute myocardial infarction. Am J Cardiol. 2007;100 : 1713 - 1717. (4)Adachi, Naruko T, ltoh A, Komatsu , Abe Y, Shirai N, Yamashita H, Ehara , Nakagawa M, Kitabayashi C, Ikura Y, Ohsawa , Yoshiyama, Haze K, Ueda M. Neopterin is associated with plaque inframmation and destabilisation in human coronary atherosclerotic lesions. Heart. 2007;93 : 1537 - 1541 (5)Yamashita H,Ehara S,Yoshiyama M,Naruko T,Haze K,Shirai N,Sugama Y,lkura Y,Ohsawa M, ltabe H,Kataoka T,Kobayashi Y,Becker AE,Yoshikawa J,Ueda M. Elevated plasma levels of oxidized lowdensity lipoprotein relate to the presence of angiographically detected complex and thrombotic coronary artery lesion morphology in patients with unstable angina. Circ J. 2007;71 : 681-687 (6)Kamiyama,M,Kobayashi,M,Araki,S,lida,A,Tsunoda,T,Kawai,K,lmanishi M,et al. :Polymorphisms in the 3’UTR in the neurocalcin delta gene affect mRNA stability,and confer susceptibility to diabetic nephropathy. Hum Genet 122 : 397-407,2007. (7)細井雅之,佐藤利彦,田中史朗:メタボリックシンドロームの進展阻止:スポーツ,運動療法の 役割と効果 日本臨床スポーツ医学会誌 vol 15 No3, 316 - 321 薬剤部 1.誌上発表 (1)吉田徹也,中尾將彦,大谷 司,後藤泰隆,本郷明理,梶谷文裕,北田なみ紀,若林みどり,徳永伸也, 武田晃司:肺がん患者に対するがん化学療法時の情報提供の効果.日本病院薬剤師会雑誌,43(12): 1707 - 1710, 2007 看護部 1.誌上発表 (1)豊島裕子,藤井直美,西口幸雄:ストーマ造設後に双胎妊娠し心身ともに順調に経過した一例. 関西 STOMA 研究会事務局 , STOMA, Vol4, No1, p24 ~ 26, 2007 (2)宮原聡子,第 34 回日本集中治療医学会学術集会,看謹部門・臨床工学士部門講演集,メディカ出版. 救命救急センター 1.著 書 (1)鍛冶有登 : 治療 . MIMMS 大事故災害への医療対応 現場活動と医療支援一イギリス発,世界標準 一 第 2 版.永井書店 , 2007, p121-126. (2)鍛冶有登 : 搬送 . MIMMS 大事故災害への医療対応 現場活動と医療支援一イギリス発,世界標準 一 第 2 版.永井書店 , 2007, p127-134. (3)鍛冶有登:遺体の取扱い.MIMMS大事故災害への医療対応 現場活動と医療支援一イギリス -154発,世界標準一 第 2 版.永井書店 , 2007, p135-138. (4)鍛冶有登:無線機の操作法と通話術 . MIMMS 大事故災害への医療対応 現場活動と医療支援一 イギリス発,世界標準一 第 2 版 , 永井書店 , 2007, p141-150. (5)鍛冶有登:気道確保と人工呼吸の手順 . MIMMS 大事故災害への医療対応 現場活動と医療支援 一イギリス発,世界標準一 第 2 版 , 永井書店 , 2007, p151-164. 2.誌上発表 (1)末廣浩一,林下浩士,松浦康司,宮市功典,吉本 昭,有元秀樹,韓 正訓,鍛冶有登:著名 なメトヘモグロビン血症を伴ったアルカプトン尿症の 1 例.日本臨床救急医学会雑誌 10(1):71-75, 2007. (2)林下浩士,吉本 昭,松浦康司,宮市功典,韓 正訓,鍛冶有登,宮本 覚:血管の透過性から みた敗血症に続発した ALI/ARDS 症例に対する好中球エラスターゼ阻害薬の効果.日本救急医学会誌 18 : 283-290, 2007. (3)温井めぐみ,吉田健史,林下浩士,吉本 昭,松浦康司,宮市功典,韓 正訓,鍛冶有登,裴 英洙, 井上 健:日本臨床救急医学会雑誌 10(6):598-602, 2007. (4)吉田健史,児玉昌身,田村慶朗,宍戸克子,宍戸直彦,石原英樹,松本智成,林下浩士,鍛冶有 登:特発性肺線維症に対する PMX-DHP の効果 -2 症例の比較 -.日本呼吸器学会雑誌 45(11):890-897, 2007 -155- 北市民病院 発 表 論 文 内科 1.著 書 (1)佐藤利彦:合併症時の運動療法。河盛隆造、岩本安彦編『糖尿病最新の治療 2007-2009』 (南 江堂)91-94、2007 (2)佐藤利彦:1 型糖尿病はどのように治療するのか。日本糖尿病学会編『食事療法~ 2 型糖尿病と の違い~糖尿病療養指導の手びき 改訂第 3 版』124-129、2007 (3)佐藤利彦:1 型糖尿病はどのように治療するのか。日本糖尿病学会編『運動療法~ 2 型糖尿病と の違い~糖尿病療養指導の手びき 改訂第 3 版』130-136、2007 (4)佐藤利彦:日本糖尿病療養指導士認定機構編『運動療法 日本糖尿病療養指導士受験ガイドブッ ク 2007』34-38、2007 (5)佐藤利彦:インスリン治療と血糖自己測定(SMBG)。難波光義編『糖尿病関連注射薬の新展開 ~インスリン・GLP-1・グルカゴン~』(フジメディカル出版)87-92、2007 2.誌上発表 (1)内潟安子、小野百合、佐藤利彦、清野弘明、滝野博文、武田倬、津田晶子、中山秀隆、平盛裕子、 森田千尋、渡部良一郎、岩本安彦:SMBG 機器の「使い勝手と満足度」に関する調査研究(1)現在 の使用機器に関する調査。糖尿病 Vol. 50(4):261-268、2007 (2)内潟安子、小野百合、佐藤利彦、清野弘明、滝野博文、武田倬、津田晶子、中山秀隆、平盛裕子、 森田千尋、渡部良一郎、岩本安彦:SMBG 機器の「使い勝手と満足度」に関する調査研究(2)代表 的 4 機種の使い勝手と満足度。糖尿病 Vol. 50(4):269-273、2007 (3)Katsunobu Yoshioka, Taeko Hattori, Yoshihiro Isaka, Toshimasa Yamaguchi, Keiko Yamagami, Takashi Morikawa, Yoshio Konishi, Toshihiko Sato and Masahito Imanishi: Thrombotic Microangiopathy due to Malignant Hypertension Following Corticosteroid Therapy for Microscopic Polyangitis. Internal Medicine Vol. 46, No.6(June) 785-788, 2007 (4)池上博司、小杉圭右、佐藤利彦、絵本正憲、今川彰久:妥協しないインスリン治療~アナログ 混合製剤の最大活用~。日本医事新報、No.4343; C1-C6、2007 (5)細井雅之、佐藤利彦、田中史朗:メタボリックシンドロームの進展阻止:スポーツの役割 スポー ツ、運動療法の役割と効果。日本臨床スポーツ医学会誌 Vol.15 No3; 316-321、2007 (6)佐藤利彦:療養指導はピンチがチャンス、チャンス。糖尿病ケア、Vol.4 No.1:48-50、2007 (7)佐藤利彦:療養指導はピンチがチャンス、チャンス。糖尿病ケア、Vol.4 No.2:54-56、2007 (8)佐藤利彦:療養指導はピンチがチャンス、チャンス。糖尿病ケア、Vol.4 No.3:78-80、2007 (9)佐藤利彦:療養指導はピンチがチャンス、チャンス。糖尿病ケア、Vol.4 No.4:73-75、2007 (10)佐藤利彦:療養指導はピンチがチャンス、チャンス。糖尿病ケア、Vol.4 No.5:73-75、2007 (11)佐藤利彦:療養指導はピンチがチャンス、チャンス。糖尿病ケア、Vol.4 No.6:89-91、2007 (12)佐藤利彦:療養指導はピンチがチャンス、チャンス。糖尿病ケア、Vol.4 No.7:58-60、2007 (13)佐藤利彦:療養指導はピンチがチャンス、チャンス。糖尿病ケア、Vol.4 No.8:65-67、2007 (14)佐藤利彦:療養指導はピンチがチャンス、チャンス。糖尿病ケア、Vol.4 No.9:50-52、2007 (15)佐藤利彦:療養指導はピンチがチャンス、チャンス。糖尿病ケア、Vol.4 No.10:62-64、2007 (16)佐藤利彦:療養指導はピンチがチャンス、チャンス。糖尿病ケア、Vol.4 No.11:59-61、2007 (17)佐藤利彦:療養指導はピンチがチャンス、チャンス。糖尿病ケア、Vol.4 No.12:69-72、2007 -156(18)佐藤利彦、細井雅之監修:糖尿病患者の症状別対応緊急コール 35。『糖尿病ケア』2007 年春季 増刊号 (19)白石 訓、森本光俊:睡眠時無呼吸症候群、『糖尿病ケア』2008 年春季増刊号(通巻 49 号) 2008/3/5 発行 精神神経科 1.誌上発表 (1)谷 宗英、北村惠子、根来千穂、高橋育美、熊谷由喜子、森脇登志夫、岡部信子、竹内伸江、 古塚大介:大阪市における精神保健福祉法第 23 条に基づく措置入院制度の現状と問題点。臨床精神 医学 36: 203-210、2007 (2)谷 宗英、竹内伸江、福原秀浩、市原久一郎、三浦千絵、古塚大介:大阪市における措置入院 の現状について 2001 年度から 2005 年度までの 5 年間の調査より。精神医学 49: 757-767、2007 (3)片上 素久:自己記入式パニック障害重症度評価スケール : -The Self-report Version of the Panic Disorder Severity Scale 日本語版 - その信頼性および妥当性の検討 心身医学 47(5): 331-338、2007 (4)KAZUHIRO TAKAHASHI, DAI MIYAWAKI, FUTOSHI SUZUKI, AKIKO MAMOTO, NORIAKI MATSUSHIMA, HISASHI TSUJI, AKEMI HORINO, PAUL A. BALLAS AND NOBUO KIRIIKE: Hyperactivity and comorbidity in Japanese children with attention-deficit/hyperactivity disorder. Psychiatry and Clinical Neurosciences 61: 255–262, 2007 小児科 1.誌上発表 (1)Kosaki R, Fuzimaru R, Samezima H, Yamada H, Iizima K, Kosaki K:Wide phenotypic variations within a family with SALL1mutations:Isolated external ear abnormalities to Goldenhar syndrome Am J Med GenetA.2007 May15;143(10):1087 (2)藤丸季可、平林円、山田浩:家族性逆流性腎症の父子例。日本小児腎不全学会雑誌 Vol.27 3839、2007 (3)Rika Fuzimaru, Hiroshi Yamada:Outcome of Childhood Henoch-Schonlein Purpura Nephritis with Nephrotic-range Proteinuria in a Single Center Pediatr Nephrol 2007 22:1609 (4)藤丸季可、山田浩:多発性嚢胞腎を合併する Beckwith-Wiedemann 症候群の1例。 日本小児腎不全学会雑誌 Vol.28 2008 in press 外科 1.誌上発表 (1)上西崇弘、久保正二、竹村茂一、半羽宏之、首藤太一、広橋一裕:肝内結石症の外科治療。外 科治療 97 巻 6 号:593-598、2007 耳鼻咽喉科 1.誌上発表 (1)Nakamura A, Iguchi H, Kusuki M, Yamane H, Matsuda M, Osako S Laryngeal myxoma. Acta Otolaryngol. 2007 18;1-3 (2)Iguchi H, Takayama M, Kusuki M, Nakamura A, Kanazawa A, Hachiya K, Yamane H Transmucosal coil migration after endovascular management for carotid artery pseudoaneurysm: a late complication. -157Acta Otolaryngol. 2007 127(4):447-8. (3)Nishiguchi T, Nakamura A, Mochizuki K, Tokuhara Y, Yamane H, Inoue Y Expansile Organized Maxillary Sinus Hematoma:MR and CT Findings and review of Literature AJNR Am J Neuroradiol 2007 28:1375-77 -158- -159- 十三市民病院 発 表 論 文 内科 1.著 書 気管支鏡 臨床医のためのテクニックと画像診断(第 2 版) 瀧藤伸英 5.密封小線源治療 9.気管・気管支骨軟骨異形成症 日本呼吸器内視鏡学会編 2008 小児科 1.著書 / 翻訳 医師のための母乳育児ハンドブック 平林 円、岩村千代、宮城伸浩、 その他 メディカ出版 2007 10/15 発行 2.誌上発表 原著 子育てサポートのための周産期ケアと母乳育児に関する考察 平林 円、橋本友美、宮城伸浩、岩村千代 近畿新生児研究会会誌 16 36-38 2007 消化器科 1.誌上発表 (1)原著 胸痛と逆流性食道炎に関する研究 根引浩子 , 赤土正洋 , 鈴木緑郎 , 山田政司 , 川崎浩一 , 蘆田玲子 , 山崎智朗 平成 17 年度大阪市勤務医師会会報 2007 (2)原著 ストレプトゾトシン誘発糖尿病モデルラットにおける胃潰瘍治癒に対するラフチジン の効果 谷川徹也 , 渡辺俊雄 , 越智正博 , 田中史生 , 須川貴史 , 早川剛 , 佐々木英二 , 斯波将次 , 富永和作 , 藤原靖弘 , 押谷伸英 , 樋口和秀 , 荒川哲男 : 潰瘍 34 巻 1 号 38-41 2007 (3)原著 Growth inhibition of colon cancer cells by transfection of dominant-negative apoptosis signal regulating kinase-1. Kuwamura H, Tominaga K, Shiota M, Ashida R, Nakao T, Sasaki E, Watanabe T, Fujiwara Y, Oshitani N, Higuchi K, Ichijyo H, Arakawa T, Iwao H: Oncol Rep. 17(4) 781-786 2007 (4)原著 Primary duodenal lymphoma: successful rituximab treatment and evaluation by FDG-P Tanaka F, Tominaga K, Ochi M, Yamada T, Sasaki E, Shiba M, Watanabe T, Fujiwara Y, Uchida T, Oshitani N, Higuchi K, Arakawa T: Hepatogastroenterology. 54(78) 1658-61. 2007 (5)原 著 Synergistic antitumor effect of combined 5-fluorouracil (5-FU) with 5-chloro-2,4-dihydroxypyridine on 5-FU-resistant gastric cancer cells: possible role of a dihydropyrimidine dehydrogenase-independent mechanism Sasaki E, Tominaga K, Kuwamura H, Watanabe T, Fujiwara Y, Oshitani N, Higuchi K, Arakawa T J Gastroenterol. 42(10) 816-22 Epub 2007 -160(第 21 回日本消化器病学会奨励賞受賞) (6)腎機能障害患者に対する消化管薬の使い方 根引浩子 消化管 Network 9 巻 2 号 39-40 2008 産婦人科 1.著書 / 翻訳 (1)医師のための母乳育児ハンドブック 出口昌昭、中田真一、福益康子、 その他 メディカ出版 2007 10/15 発行