No.100 2015å¹´4æå·
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No.100 2015å¹´4æå·
CONTENTS §筑豊小児科医会のご案内・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 §小児科医会報告・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 §飯塚病院月間診療のまとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 §地域連携ささえあい小児診療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 §今月の TOPICS ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 §異動のお知らせ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 §お知らせ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 §筑豊小児科医会のご案内 ■第 264 回 ●日 時:2015 年 4 月 23 日(木)(18:45~20:30) ●場 所:のがみプレジデントホテル 一般演題(19:00~19:20) 1.「小児虐待防止システムの必要性」 飯塚病院 小児虐待防止委員会 大淵 孝一 2.「不安だらけの NICU 退院後の育児を支えあうピアサポート」 ~産後ウツ、虐待防止の視点から~ N っ子クラブカンガルーの親子 代表 登山 万佐子 氏 特別講演(19:20~20:20) 「北九州市におけるペリネイタルビジットと妊娠期からの 養育支援事業(ハローサポート北九州)について」 医療法人 よしだ小児科医院 理事長 吉田 ゆかり 先生 ■第 265 回 ●日 時:2015 年 5 月 20 日(水)(19:00~20:30) ●場 所:飯塚病院 北棟 4 階 多目的ルーム 「これからの筑豊地域の小児救急医療体制を考える」 1. 飯塚病院の小児救急医療の現状 ~これまでの 10 年の振り返り~ 飯塚病院 小児科 岩元 二郎 2. 「飯塚方式」の現状 ○研修医の立場から 飯塚病院 初期研修医 赤星 和明、古賀 直道 ○家庭医の立場から 飯塚病院 家庭医療プログラム 後期研修医 西園 久慧 3. シンポジウム “地域連携ささえあい小児診療”を考える ■第 266 回 (第 40 回筑豊周産期懇話会と同時開催) ●日 時:2015 年 6 月 11 日(木) ●場 所:飯塚病院 エネルギーセンター6 階 大会議室 1 §小児科医会報告 ~第 263 回~ ■ 第 263 回のまとめ (「小児の成人期移行医療~小児がんをモデルにして~」 愛媛県立中央病院 小児医療センター 石田 也寸志 先生) ○成人医療移行(トランジション)の概念 小児期に何らかの基礎疾患を有して成人に移行する場合に 3 つのパターンがある。1 つは完全に成人 診療科に移行する場合で、成人診療科でも慢性疾患として関わりやすい疾患(喘息や糖尿病、血液疾患 など)は比較的移行しやすい。2 つ目は成人に達しても小児科と成人診療科の両方にかかる場合で、脳 性麻痺などの重症心身障害児・者はこのパターンが多い。3 つ目は成人診療科にはなかなか移行しにく く小児科単独でみる場合で小児期特有の疾患である先天代謝異常や染色体異常などは、成人診療科が経 験しえない疾患であり、そのまま小児科が継続して診療にあたるパターンである。 ○小児がんの治療の進歩と晩期合併症 わが国において小児がんの新規発症数は年間2,000~2,500人と言われ、がんの種類別では、白血病 (32.9%)が最も多く、次が脳腫瘍(14.3%)、悪性リンパ腫(7.7%)、神経芽腫(7.1%)の順とな っていて、成人のがんとは種類も発生頻度も大きく異なるのが特徴である。小児がんの治癒率は年々向 上し、特に小児の急性リンパ性白血病は9割程度治癒しているのが現状である。しかしながら近年問題と なっているのが、晩期合併症(Late effects)と呼ばれるもので、小児がんが治療を終了して治癒した とみられる患児の中に、小児がん自体またはその治療の直接的または間接的な影響によって生じたと考 えられる合併症が出現することを指す。晩期合併症には内分泌疾患や低身長、骨筋肉症状や肝臓障害な どがあり、さらには2次がんの発症もある。晩期合併症のリスク因子としては、治療終了後15年以上の経 過例、固形腫瘍、放射線治療歴、造血幹細胞移植術歴、再発例が有意に高い。 成人医療移行に関しては、小児がん経験者は治療を受けた病院で継続して医療を受けたいというのが 半数あり、かつ実際には治療者側としても成人診療科に紹介しないで小児科医または小児外科医がみる ことが多いのが現状である。成人期の病名告知に関しては、6~7 割の医師は 80%以上の患者に告知をし ているが、小児科自身は 21 歳以上の小児がん経験者の長期フォローアップには不安を持っていることが 多い。 ○小児がんの成人移行(トランジション)を阻む問題点 小児がんのスムースなトランジションを阻む要因として、家族側、患者としての小児がん経験者側、 小児科医側、成人医療専門家側のそれぞれ4者特有の問題点があげられる。 家族側の問題としては、患児に対する過剰な保護、小児医療への精神的な依存、将来のケアに関わる 医療者への不信感などがある。小児がん経験者側の問題は、病名告知や診断、治療内容の把握、晩期合 併症の危険性など医療情報不足と親への過剰な依存による自己管理能力の欠如などがあげられる。小児 科医側の問題点は、自分の患者・家族を手元から手放したくないような感覚、小児がん経験者の自己管 理能力を育成する視点の欠如などがある。成人医療専門家側の問題点としては、小児がん経験者の問題 に関する知識・関心の欠如、小児がん経験者への共感の少なさや専門分化のため総合的視点が欠如して いる。 ○長期フォローアップの必要性 近年の小児がんの治療成績の進歩は著しく、5年無イベント生存率は本邦でも70~80%に及んでいると 推測される。しかし小児がんの治癒を目指して、成長・発育盛りの小児期に抗がん剤や放射線治療など 毒性の可能性のある治療をしたため、治療終了後10年以上経ち成人期になってから、さまざまな身体的 2 晩期合併症や心理社会的不適応を呈する小児がん経験者も少なからず存在する。小児期に発病した経験 者にとって、人生の大きなイベントである就労・結婚・出産などは未知の体験であり、心理社会的なサ ポート、健康の維持・教育など包括的なヘルスケアによる支援が必要不可欠である。長期フォローアッ プの支援ツールとしてフォローアップ健康手帳やガイドライン(「小児がん治療後の長期フォローアッ プガイドライン」)などがある。 血液腫瘍の専門医だけでなく、今後はゲートキーパーとしての総合的なヘルスケアを含めて、総合診 療医とも協働して小児がん経験者の長期フォローが必要となってくる。 §飯塚病院月間診療のまとめ ●入院患者数 125人 《2015年2月》 ●外来患者数 ●新生児センター入院患者数 19人 1,803人 ●救命救急センター受診者数 ●分娩件数 951人 39件 ●主要疾患数(退院患者数;100 人) 肺炎・気管支炎 低出生体重児 喘息 その他 痙攣及びてんかん 新生児呼吸障害・心血管障害 新生児感染症 14 9 2 44 ●紹介件数 105件 12 6 1 急性胃腸炎 急性上気道感染症 腸重積・腸閉塞 9 2 1 (件) ① 社会保険田川病院 7 ② まつなり医院 6 ③ こどもクリニックもりた 5 ④ くわの内科・小児科医院 4 宮嶋外科内科医院 4 §地域連携ささえあい小児診療 地域連携ささえあい小児診療スケジュール ■2015 年 4 月 5 月 4月 5月 4月2日 木 津川診療所 津川 信 5月7日 木 飯塚市立病院 4月7日 火 ひじい小児科・アレルギー科 クリニック 肘井孝之 5 月 12 日 火 荒木小児科医院 4 月 14 日 火 飯塚病院 小児科 岩元二郎 5 月 14 日 木 飯塚病院 小児科 岩元二郎 4 月 16 日 木 たなかのぶお小児科医院 田中信夫 5 月 19 日 火 4 月 21 日 火 ささきこどもクリニック 佐々木宏和 5 月 21 日 木 4 月 23 日 木 こどもクリニックもりた 森田 潤 5 月 26 日 火 飯塚病院 小児科 岩元二郎 4 月 28 日 火 飯塚病院小児科 細川小児科内科医院 細川 清 4 月 30 日 木 くわの内科小児科医院 岩元二郎 5 月 28 日 木 桑野瑞恵 牟田広実 荒木久昭 栗原小児科内科クリニック 栗原 潔 やまのファミリークリニック 山野秀文 2015 年 4 月 10 日現在 §今月のTOPICS 飯塚病院小児科部長として平成 17 年 4 月に赴任して以来、本年 4 月で丸 10 年が過ぎました。これま でを振り返りつつ、飯塚病院小児科の現状と今後の方針を述べ、筑豊地域の基幹病院小児科として、ど のようなことに取り組んでいるかを紹介します。(文責 岩元二郎) 3 1.将来あるべき姿 飯塚病院小児科の Mission として、“We deliver the best for children.”~子どもは未来、すべて は子どもたちのために~の標語を掲げている。筑豊地域の中核病院小児科(地域小児科センター)の使 命として、4 部門(小児病棟、新生児センター、一般外来、救急外来)の充実を図っていく。また国策 としての 2 つの拠点事業である「児童虐待防止医療ネットワーク事業」による拠点病院と「小児等在宅 医療連携拠点事業」の拠点病院として、院内体制の整備と地域とのネットワークを形成し、筑豊地域の 小児医療の充実とともに社会的貢献を目指す。 2.現状把握と今後の対策 “新棟効果”としての小児医療の変化 平成 25 年 1 月新棟(北棟)の設立を契機に、この 2 年間で小児医療に大きな変革がみられた。経営改 善を目的に、MRI や脳波など主に乳幼児の検査を、従来は外来で行っていたものを新病棟で安全安心に 行えるように病棟での日帰り検査入院を開始。また重症心身障害児のレスパイト入院を新たに導入し病 床利用率が大幅に改善した。同年 6 月には県の「児童虐待防止医療ネットワーク事業」における北九州 市を除く県北の拠点病院に指定。さらに同年 12 月には、新生児センターとして「地域」から「総合周産 期母子医療センター」に昇格。平成 26 年 12 月には県の「小児等在宅医療連携拠点事業」の拠点にも指 定された。このように筑豊地域の中核病院としての重責が増えた反面、小児救急や NICU の分野では、で きることとできないことを見極めつつ身の丈にあった医療を実践していくことも課題として上がった。 上記 4 部門と 2 つの拠点事業の現状と課題を示す。 〈4 部門の現状と課題〉 ○小児病棟 ・入院経営戦略としての検査入院の増加とレスパイト入院の質的・量的改善を目指す ・院内急変事例への対応:看護体制を組み換え、PALS 勉強会を定期的に開催 ・難治症例および重篤小児は積極的に他院(九大病院 PICU,久留米大学)に紹介 ○新生児センター(総合周産期母子医療センター) ・リーダー(新生児部門長)の固定と安定した医師確保 ・将来的には受け入れ在胎週数(現在は 28 週以降)の見直しも検討 ・特定妊婦とその児のフォローアップ(周産期虐待予防としての産科との連携) ○一般外来 ・専門外来の充実(県予防接種センターとしての体制整備、発達支援) ・トランジション症例の他科への移行促進 ・“小児センター構想”として小児科と小児外科の統合(ヒト、モノ、組織の集約化) ○救急外来 ・ささえあい小児診療体制の見直し 登録医の減少、キャンセル増加、診療の在り方、飯塚急患センターとの棲み分け →病院側と医師会、ささえあい登録医との調整 ・教育体制(研修医への小児 T&A、トリアージの評価、重症児の対応)の強化 〈拠点事業の現状と課題〉 ○小児虐待 ・AICAP;院内活動としてのグループワークの実施 ・院外連携としての拠点 CPT(Child Protection Team)の立ち上げ 4 (行政、児相、NPO、教育機関との関わり方の模索) ・医療連携の強化(各地域での研修会、医療機関訪問の実施) ・多職種連携の活動として TQM で発表 ○小児等在宅医療 ・院内での体制整備(多職種連携、レスパイト入院の再整備) ・院外の関係機関とのネットワーク(研修会、意見交換会、施設訪問など) 〈教育体制〉 ・大学人事で指導医クラスの派遣で教育の質が一段と改善、今後も期待大 ・専攻医制度(2017 年度以降)に向けた関連施設としての教育プログラムの実施 ・研修医向けカリキュラムの再編 §異動のお知らせ 今春、飯塚病院小児科では常勤医10名中6名が異動となり入れ替わることになりましたので、お知らせ いたします。新しく赴任した6名は5月号で自己紹介させていただきます。 新任 医師名 前任 入社日 久留米大学 4月1日付け 久留米大学 4月1日付け 聖マリア病院 4月1日付け 聖マリア病院 4月1日付け 久留米大学 4月1日付け 聖マリア病院 4月16日付け 医師名 異動先 退職日 齋木 玲央 久留米大学小児科 3月31日付け 松石 登志哉 北九州市立八幡病院 3月31日付け 石原 潤 久留米大学小児科 3月31日付け 廣瀬 彰子 聖マリア病院 4月15日付け 古賀 木綿子 大分こども病院 4月15日付け 嶽間澤 昌史 久留米大学 4月15日付け 栁 忠宏 (平成14年長崎大卒 平成24年久留米大入局) 海野 光昭 (平成16年藤田保大卒、平成22年久留米大入局) 向井 純平 (平成19年熊本大卒、平成25年久留米大入局) 坂本 浩子 (平成23年福岡大卒、平成25年久留米大入局) 酒井 さやか (平成24年長崎大卒、平成26年久留米大入局) 冨田 舞 (平成23年久留米大卒、平成25年久留米大入局) 退職 5 §お知らせ お陰様で平成20年1月に始まった本会報も100号になりました。これまで多くの情報をお届けしてきま したが、来月号から内容を縮小してお届けすることにしました。「今月のTOPICS」と「ペディシェアメ ール」は割愛し、「小児科医会報告」と「保険診療メモ」等、他の内容は継続して報告させていただき ます。どうぞ御了承ください。 飯塚病院 〒820-8505 飯塚市芳雄町 3-83 TEL0948-22-3800(代) http://aih-net.com/ Vol.100 発行日/2015 年 4 月 10 日 発行/飯塚病院 小児科 6